インシテミル
- 作者: 米澤穂信
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2007/08
- メディア: 単行本
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バイト雑誌を立ち読みしていたビンボー大学生・結城は、ひとりの少女から声をかけられて……。この夏、鮮烈なミステリーがはじまる。
この手の小説は読んだ時の自分のコンディションによって感想が変わるような気がする。
ぴたりとはまれば「おおっ。おもしろい!」と楽しめるし、そういう気分じゃない時に読んだら「けっ」で終わってしまいそうだ。
そういう意味では、この本を読むにはベストなコンディションだったかもしれない。
時給11万2千円で7日間24時間とある場所に閉じ込められて観察されるという、いかにも危ないバイトに応募してきた12人。
「暗鬼館」という屋敷に閉じ込められ、それぞれ個室が与えられる。個室には鍵がかからず1人に1つ「宝箱」が与えられ、そこには凶器が用意されていた。
この屋敷の「観察者」はいったい彼らに何をさせようとしているのか。
「バトルロワイヤル」もそうだったけれど、人の命をこんな風にゲーム感覚で…とか、こういう小説を「おもしろいっ!」と手放しで面白がっていいのかとか思わなくもないけれど、でもまあこれはこれで「そういう世界」として面白がって読んでも別にいいのではないか、と私は思う。
ミステリーとしてみると、ちょっと話が破綻しているようなところもあるけれど、ハラハラドキドキしながら最後まで楽しく読めた。
主人公がなかなかいい味を出している。最初と最後でちょっとキャラが変わってませんか?と思わなくもなかったけれど、まあ極限に追い詰められた時の人間性もミステリーなわけだから、それもありか。
以下ネタバレ。
館の主の意図はなんだったのか?関水が10億円も必要だったのかなぜか?つながりのある人たちを集めたのはなぜか?
もやっとしたまま終わってしまったところもあるけど、招待状で終わったということは、続編もありそうだけど、もう一回これを読みたいと思う人がいるのか?(それもミステリー…)