でかい月だな
- 作者: 水森サトリ
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2007/01/06
- メディア: 単行本
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わーわーわー。これ良かったーーー。明日から読むつもりで寝る前にちょっとだけ…と読み始めたら面白くて面白くて一気に読んじゃった。しかもだーだー泣いてすっかり目が覚めちゃった。
宇宙的スケールの青春小説。
満月の夜、友人に崖から蹴り落とされた「ぼく」。命は助かったが、右足に大怪我を負う。そんな「ぼく」の前に、二人の変人科学オタク・中川と邪眼を持つオカルト少女・かごめ、そして「やつら」が現れる…。第19回小説すばる新人賞受賞作。
ユキが、「ようやくあなたの気持ちがわかったわ」と綾瀬への怒りを急に静めた両親に対して怒りを爆発させるシーン、自分の中にぽっかりあいた穴に気づいて呆然とするシーン、中川とキャベツでバスケットをするシーン、花火のシーン、そのどれもがとても切なくて愛おしくてもう泣けて泣けてししょうがなかった。
ユキの心情がとても丁寧に描かれているので本当に共感できてすっかり自分がユキになった気持ちで読んでいた。科学オタクの中川、邪眼を持つという眼帯少女かごめ、そして綾瀬。みな魅力的で生き生きと描かれているから、重いテーマを扱っているけれど救いになっているし読んでいて「楽しい」小説になっていると思う。
中川がいいなぁ…。中川の優しさをきちんとわかって自分に照らし合わせるユキも素敵だ。
いつも翻訳本を読んでいるせいか、日本の小説ってなんて読みやすい!と思う…。