りつこの読書と落語メモ

読んだ本と行った落語のメモ

ビタミンF

ビタミンF (新潮文庫)

ビタミンF (新潮文庫)

★★★★★

理想どおりに育たなかった息子にいらだつ父、オヤジ狩りに怯えつつ、しかし根っこにある正義感と葛藤する父、娘がいじめられていることに気づいた父…家族の危機に直面した父親の悲しみと頑張りを描いた7つの短編。

やけに身につまされるなぁと思って読んでいたのだが、この本に登場するお父さんたちはみんな37歳。
そうか、今の私とおない年なのだ。
どれもちょっと痛くて(いや、泣きたくなるほど痛い話もある)、でもちょっと元気が出るような話だ。

「セッちゃん」「パンドラ」は二人の娘を持つ私にはあまりにもリアルでつらい話だった。ああ、こんなことが起きたらどうしよう。でもない話じゃないなぁ。
そうなったとき、私もこんなふうにジタバタするんだろうなぁ。「正しく」行動したいと思いながら決してそうはできないんだろうなぁ。
読んでいて胸が苦しくなって、どきどきして、つらかった…。

「はずれくじ」これが私は一番好きだったなぁ。
理想どおりに育たなかった息子。その人の良さ、気の弱さに苛立つ父親。ラストがよかったなぁ、これは。

他の作品ももっともっと読みたくなった。