穴あきエフの初恋祭り
★★★
重ねたはずの手紙のやりとり、十年ぶりに再訪したはずの日本、そして私とあなた。輪郭がゆらぐ時代のコミュニケーション、その空隙を撃つ七篇の物語。
物語ありきで展開していくのではなく、言葉がすべって思わぬ方向に転がっていくようなイメージ。前半に収められた作品は好みだったけど、後半はちょっと置いていかれちゃった感。
言葉を大切にしながら、音で聞いて自由に想像してるような。日本人だけど日本人じゃないような。不思議な世界。
私には少し難解だった。多和田さんは短編より長編の方が好きだな。