愛がなんだ
- 作者: 角田光代
- 出版社/メーカー: 角川書店
- 発売日: 2006/02
- メディア: 文庫
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「私はただ、ずっと彼のそばにはりついていたいのだ」―OLのテルコはマモちゃんに出会って恋に落ちた。彼から電話があれば仕事中でも携帯で長話、食事に誘われればさっさと退社。すべてがマモちゃん最優先で、会社もクビになる寸前。だが、彼はテルコのことが好きじゃないのだ。テルコの片思いは更にエスカレートしていき…。直木賞作家が濃密な筆致で綴る、全力疾走片思い小説。
ぎゃ〜。
感想書こうと思って検索したら、なんと2008年に読んで感想書いてた…。
普通読み始めたら気づくもんだけど、まるで気づかずに最後まで読んでたよ。大丈夫か、あたしの記憶力。(だめだろう)
テル子にとって「それじゃ都合のいい女になっちゃうよ」なんて言葉は無意味なのだ。
恋をしたらそれがすべてになってしまい、それ以外のすべてのこと、自分自身のことさえもどうでもいいことになってまうのだから。
誰かを好きになるということは、相手に対して弱くなることでもあるのだな。
そんな女にはなりたくないと、男に甘い顔を見せず常に優位に立てるように振る舞う葉子の方もやっぱり痛々しいのはなぜだろう。
葉子がテル子の家に来て掃除をする場面がいい。これが本当の友だちだと思う。
「しかもあのパーティのときのあいつでしょ?ちびっこい、ガリで地味な顔立ちの、チンコちっちゃそうな男でしょ?」
「チンコは関係ないじゃん」さすがにその発言にはむっとして私は口を挟んだ。
「エッチ下手そうな男でしょ?」
「エッチも関係ないじゃんか」
「前戯ねちっこそうな」
「もういいって」言って、思わず私はふきだしてしまう。両手に雑誌を手にした葉子も八畳間の真ん中に仁王立ちして笑い出す。
意外なラストもなんだかいい。
いつもならイライラするタイプの物語だけど不思議な爽快感があった。