公園へ行かないか? 火曜日に
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アメリカにいるから、考えること。そこにいないから、考えられること。2016年11月8日、わたしはアメリカで歴史的瞬間に居合わせた、はずだった――。世界各国から作家や詩人たちが集まる、アイオワ大学のインターナショナル・ライティング・プログラムに参加した著者が、英語で議論をし、街を歩き、大統領選挙を経験した3ヶ月。現地での様々な体験から感じたことを描く11の連作小説集。
わざわざ「小説」と言っているということは、実際に体験したことをベースとしながらも状況とか会話とか登場人物などはフィクションなのだろうか。
アイオワ大学のインターナショナル・ライティング・プログラムに参加した著者が、様々な国から集まった作家たちとともにいろいろなプログラムに参加する。
英語は得意でないと言いながらもみんなの会話に耳を傾け、知りたいと思ったらきちんと尋ね、自分が見たいと思ったものは一人で見に行く。
トランプ大統領誕生の場に居合わせ、直前のSNSの盛り上がりに感じた違和感、アメリカ国内の格差など、その空気がとてもリアルに伝わってきた。
言葉に関する文章も素晴らしかったけれど、個人的には空港でワールドシリーズを見る話が好き。私も野球が大好きなのでワールドシリーズと聞いて血沸き肉躍る感覚、それを誰かと共有したい気持ちがすごくよくわかる。
柴崎さんって小説を読むと凛としていて迷いのない人という印象が強いけれど、これを読むと逡巡したりもやもやしたりもするんだな、と改めて(当たり前だけど)。