りつこの読書と落語メモ

読んだ本と行った落語のメモ

池袋演芸場7月中席夜の部

7/18(水)、池袋演芸場7月中席夜の部に行ってきた。

・あおもり「たらちね」
・小太郎「弥次郎」
・さん助「しゃっくり政談」
マギー隆司 マジック
・きく麿「寝かしつけ」
・馬遊「牛ほめ」
・ホームラン 漫才
・一之輔「新聞記事」
・白鳥「黄昏のライバル」
~仲入り~
・喬之助「宮戸川(上)」
・扇辰「麻のれん」
・楽一 紙切り
喬太郎宮戸川(下)」


さん助師匠「しゃっくり政談」
久しぶりの「しゃっくり政談」。この噺を聞くと、ああ、夏だなぁ…と思うさん助ファン(笑)。
定吉がかわいいなぁ。顔がうるさい、にはいつも笑ってしまう。
そして生意気を言うけどお嬢様のことを思って守ろうとするところにじーん…。
あと、夏の昼下がり、人っ子一人歩いてないところを歩く怖さ、というのも伝わってくる。
喬太郎師匠目当てでお客さんが詰めかけて異様な雰囲気だったこの日。さん助師匠、大丈夫かと心配したけど大丈夫だった。あーよかった。って何様だあたしは。

きく麿師匠「寝かしつけ」
この代演はうれしいなぁ。
いいなぁ、この二人の会話のかみ合わなさ。前半がちょっとひねくれた感じなだけに、後半の歌の応戦で解放されて気持ちよく笑える。楽しい!
隣のカップル、女性の方が初めて寄席に来たみたいだったんだけど、仲入りの時に「きく麿さんが面白かった」と言っていて、思わずガッツポーズ。って何様だあたしは。

一之輔師匠「新聞記事」
テンション低く出てきて、前半部分もテンション低めで始めて、後半からもうギャグの応酬でドッカンドッカン。
スピードとギャグのセンスの良さにもう笑いが止まらない。
たいして面白くないこの噺でこれだけ沸かせるとはほんとにすごい。


白鳥師匠「黄昏のライバル」
「馬遊でもっと笑ってやってよ。今楽屋ですごい落ち込んでるよ」に大笑い。
今日やるのはある会でリクエストがあった噺で最近やってないのでここで稽古させてください!と男らしく宣言して「黄昏のライバル」。
落語家の久蔵の師匠である白酒は名人と呼ばれ協会の会長を務め人間国宝にまでなった男。
その白酒師匠、最近すっかり元気がなくなり、もう落語をやりたくないと言って寝込んでいる。
心配したおかみさんが久蔵を呼んで相談。
いろいろ話をするうちに、白酒には昔ライバルがいて今ではもう廃業してしまったが、その人に負けたくないというので頑張って来たところがあるので、そのライバルに励ましてもらったらやる気になるのではないかという結論に。
そのライバルというのが、白酒と同期で同じぐらい落語が上手でしのぎを削っていた白鳥。
しかし白鳥は今では廃業し、場末のおでん屋の店長になりさがっていた。
久蔵が白鳥を訪ねて…。

もう落語好きにはたまらない内容。
笑いどころ満載で、白鳥師匠がこの噺を最近やってないらしくぼろぼろなのもまたおかしくて、笑った笑った。


喬太郎師匠「宮戸川(下)」
喬之助師匠の「宮戸川(上)」をうけて、なんと「宮戸川(下)」。
この陰惨な噺を、この喬太郎ファンでいっぱいの熱気ムンムンの池袋演芸場で…って。
この噺全然好きじゃないんだけど、でもこのライブ感に興奮。

雨の両国橋、お花に何があったかは全く語らずに、ただ定吉が傘を持って両国橋に戻るとそこにお花の姿はなく、どんなに探しても見つからなかったので諦めて通夜を行い、3年後…という展開。
法事のあと一人船に乗る半七。そこへ無理やり乗り込んできた酔っ払った船頭。
半七は迷惑がるどころか、一人で気が沈んでいたので一緒に飲みましょうと船頭に酒をすすめる。
今日は妻の三回忌でしたと言う半七に、その酔っ払った船頭が「では私が面白い話を懺悔代わりに…」と語り始める。

この船頭の卑屈さと悪人ぶりがもう…。
とりつかれたような狂気も垣間見せて、気持ち悪いやら腹が立つやらぞくぞくするやら…。
いやだーいやな噺だーでもすごいーすごいもの見たー。

あの熱狂的な雰囲気は正直苦手だが、しかしすごいものを見た、という満足感はハンパなかった。