りつこの読書と落語メモ

読んだ本と行った落語のメモ

柳家小のぶ独演会

12/14(木)、お江戸日本橋亭で行われた「柳家小のぶ独演会」に行ってきた。

・市朗「狸札」
・市楽「野ざらし
・小のぶ「宮戸川(上)」
~仲入り~
・小のぶ「芝浜」


小のぶ師匠「宮戸川(上)」
隅田川は場所によって呼び方がいろいろ違っていた、と。
宮戸川も隅田川のことだとは知らなかった。
噺をする前に小のぶ師匠からいろいろ普段は聞くことができない蘊蓄を聞かせてもらえるのがとてもうれしい。
また長い噺は寄席で全部をかけることができないので途中で切ることが多く、これからするお話も後半はあまり面白くないのでめったにやられることはありません。今回もそうです、と。

そんなまくらから「宮戸川(上)」。
正直この噺好きじゃなくて寄席でもこれがかかると「あーあ」と思うくらい聞き飽きちゃってるんだけど、これがもうひっくりかえるほど面白くてびっくり。
もしかして今寄席でかかってるかたちって小のぶ師匠からなのかな。
基本的にはよく聞くかたちなんだけど、いやらしさがぜんぜんなくてカラっと明るくて、でもめちゃくちゃ面白い。

はんちゃんを追いかけるお花ちゃんのしぐさはないんだけど、はんちゃんが袖をひっぱられて後ろを振り向く、っていうその繰り返しがたまらなくおかしい。
元遊び人というおじさんがはんちゃんに扉を叩かれておばあさんを起こそうとして寝顔を見て「しわだらけになったもんだな…。顔にしわができたんじゃないな。しわの間に顔が入ってる」とつぶやくおかしさ。
おじさんとおばさんの会話もなんともいえず楽しい。

はんちゃんとお花ちゃんのシーンもごくあっさりしていていやらしさがなくて楽しかった!


小のぶ師匠「芝浜」
この噺は昔は「馬入」とタイトルがついていた。
「馬入」というのはぼてふりの魚屋さんがお金を入れていた袋のこと。
ぼてふりも少なくなって馬入もわからなくなってきたため「芝浜」とタイトルが変わった。
そんなまくらから「芝浜」。

おかみさんがくまさんを起こすところから。
「くまさん、くまさん、起きておくれよ。くまさん、くまさーん」とおかみさんが激しく揺り起こすのがすごくおかしい。
もうこの始まり方だけで、好き!と思う。

約束したじゃない。だから夕べお酒を飲ませたのに。あれは嘘だったのかい?
おかみさんに言われ、用意もしてあって、仕方なくいやいや河岸に行くくまさん。
おかみさんが時間を間違えたことがわかり仕方なく芝浜で煙草を一服。財布の紐が目に留まり財布を手繰り寄せて…。
そこからもうびっくりするぐらい激しく(笑)家に走って帰る。
だけど扉を叩くのはあくまでも静かに、ひそひそ声で「おい、開けてくれ」。

財布の中が50両あると分かった時、くまさんは嬉しそうになり、おかみさんは不安そうな表情を見せる。
お酒をすすめるときの顔で、おかみさんがどうにかこのお金をなかったことにしようと決めていることがわかる。

 3年経って、くまさんが借金なしで年末を迎え、新しい畳に心底嬉しそうなのが、見ているこちらも清々しい。
あれは嘘だったと告げるおかみさんがめそめそしてなくて素敵だ。

最後のセリフも人のいいくまさんのおっちょこちょいがにじみ出るようで、とてもよかった。
いやぁいいもの見たー。幸せー。