りつこの読書と落語メモ

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すべての見えない光

 

すべての見えない光 (新潮クレスト・ブックス)

すべての見えない光 (新潮クレスト・ブックス)

 

 ★★★★★

孤児院で幼い日を過ごし、ナチスドイツの技術兵となった少年。パリの博物館に勤める父のもとで育った、目の見えない少女。戦時下のフランス、サン・マロでの、二人の短い邂逅。そして彼らの運命を動かす伝説のダイヤモンド―。時代に翻弄される人々の苦闘を、彼らを包む自然の荘厳さとともに、温かな筆致で繊細に描き出す。ピュリツァー賞受賞の感動巨篇。ピュリツァー賞受賞(小説部門)、カーネギー・メダル・フォー・エクセレンス受賞(小説部門)、オーストラリア国際書籍賞受賞、全米図書賞最終候補作。  

素晴らしかった。

フランス人の盲目の少女マリーとドイツ人の孤児ヴェルナー。
マリーに盲目でも生きていく力を与えた父は密告によって捕らえられ、事情もわからないままマリーは、疎開先のパリで怯えきった叔父と戦火を耐えなければならない。
一方ヴェルナーは並外れた頭脳のおかげでナチスドイツの技術兵として軍隊入りする。

何の接点もない二人がラジオで繋がる。
ささやかな幸せが夢が未来が希望が戦争によって壊されていく。彼らのひたむきさが戦争の残酷さをより際立たせている。

暴力が支配し密告や裏切りが多発しなんの罪もない尊い命が奪われていくのを目の当たりにしながらも、自分の身を守るために何もできなかったとしても…自然や音楽や物語に慰められ、何もかもを奪い取られることは決してない。

真っ暗な世界を生きるマリーの強さに打たれた。