りつこの読書と落語メモ

読んだ本と行った落語のメモ

さん助ドッポ

6/28(水)、お江戸両国亭で行われたさん助ドッポに行ってきた。

・さん助 初代談洲楼燕枝の述「西海屋騒動」第九回「舞扇のお静(後編)」
~仲入り~
・さん助「胴斬り」
・さん助「化け物使い」

さん助師匠 初代談洲楼燕枝の述「西海屋騒動」第九回「舞扇のお静(後編)」
いつものように立ち話から。

「私、ついに火鉢デビューしました」とさん助師匠。
なんでも末廣亭の楽屋というのはとても狭く、火鉢を囲む一畳ぐらいのところに真打が座っているらしいのだが、そこは昭和の名人と言われる師匠たちも座っていた場所でそこに座れるようになるには30年かかる、などと言われている。
さん助師匠ももちろんまだそんなところに座る気などなく、若手と一緒に立っていたらしいのだが、正蔵師匠が「さん助さんもこっちに座りなさい。あなたももう真打なんだから」と声をかけてきてくださった。
そう言われて固辞するのもおかしいかと座らせていただいたのだが座っているのが喬太郎師匠、正蔵師匠、小ゑん師匠という錚々たるメンバー。もう肩身が狭いのなんの…。

…ぶわははは。所在無く座るさん助師匠の姿が目に浮かぶけど、寄席で出番をもらってそんな経験をしているって…すごいなぁ。よかったねぇ…と目を細める私たち。

そんなまくらから「西海屋騒動」第九回「舞扇のお静(後編)」。
腰元となって京極壱岐守の屋敷に入ったお静はほどなく小畑左一郎といい仲になる。
人目を忍んで逢瀬を重ねる二人。お静は左一郎に自分を連れて逃げてくれと言う。
ある月の美しい夜、左一郎はお静を連れて品川の奥番場で髪結いをしているお米のもとを訪ねる。左一郎とお米は同じ乳母の元育った身の上で、お米は左一郎を歓迎する。
しかしお米の夫、三吉は、美しいお静の姿に悪だくみをする。

次の日から突然具合が悪くなった左一郎はそのまま寝付いてしまう。
どんな医者に見せても具合が良くならない左一郎を心配したお静が願掛けに行くと、そこにやってきた三吉。
左一郎を治すには高麗人参を買うしかないのだがそれは非常に高額。お前、左一郎のために1年だけ女郎になる気はないかと持ちかける。
愛する左一郎のためにならなんだってやります、とお静。
では自分に付いて来いと、三吉はお静を八王子の遊郭に売り渡してしまう。
一方、何も知らない左一郎はお静が三吉と駆け落ちしたと思い、ますます病が酷くなり、お米から「これこれこういうわけで」と聞いたものの、そのまま死んでしまう。

ある年、江戸を地震が襲い焼け野原になったと聞いたお静は左一郎が心配で足抜けして一人江戸へ逃げてくる。
そこらじゅうの人に左一郎の消息を尋ねるがわからず、特に左一郎がいるはずの品川はひどい被害。一人呆然と空を見上げるお静。空には二人で屋敷を出た時と同じ、美しい月の姿があった…。

…って、おい!
また二人で家出したとたん患いついちゃったよ!左一郎は三吉に毒を盛られたのか?
そしてお米は自分のん旦那のことを「うちの旦那は人情にあつい人だから」と言っていたけど、どこがやねん!大悪人やんけ!

それにしてもきれいだとすぐに遊女に売られちゃうから大変やね。
そしてこんな目にあったお静は人間不信になって誰もかれも騙して不幸にしてやるぅーと大悪女になるのだろうか。

まぁとにかくちょっと気を抜くと次々悪人が出てくる「西海屋騒動」なのであった。


さん助師匠「胴斬り」
わーい、また「胴斬り」が見られたー!
落語らしいシュールな噺でほんとに大好き。私の好きな噺No.1は「だくだく」なんだけど、それに続くのが「胴斬り」「ぞろぞろ」なんだよー。
斬られて身体が真っ二つになってるのに「だからお前がふらふらしてるから…まじめに働けよ」と言う友だちに、変わり果てた姿に「ぎゃーーー」と驚きながらも「そうやって飲んでふらふらしてるから」と文句を言う奥さん。
それまでふらふらしてたくせに、身体を斬られてからは、上半身と下半身でそれぞれまじめに働く、っていう状況のシュールさよ。

あの指で下半身を表現するところのばかばかしさがたまらくおかしくて最高だった。

噺をし終わった後にさん助師匠が「私、この噺が大好きでして。芸協の師匠に教わりたくて、真打になるのを待って教わりに行った」と言っていて、わーーさん助さんもこの噺好きなのね!とうれしくなっちゃった。


さん助師匠「化け物使い」
今まで聞いたことがあるのと違う「化け物使い」で、帰る時にお客さんが「あれは誰に教わったの?」とさん助師匠に聞いていて、「扇橋師匠です(聞き間違いでなければ)」と答えていた!うわーーー!

権助は旦那の人使いの悪さに「もうこれ以上辛抱なんねぇ」とお暇をくれと申し出る。
旦那は働き者の権助をとても重宝に思っていて「給金はお前が欲しいだけやるから残ってくれ」「お前がいなかったらわしはどうやって暮らせばいいのか」と言う。
そう言われて権助は「わしもあんたを一人にして故郷に帰るつもりはない。実はいい屋敷を見つけた」と言って化物屋敷を紹介する。

夜な夜な化け物が出てきて用事をしてくれる屋敷があると聞いて「そいつはいい」と喜んだ旦那。権助に手伝ってもらって引っ越し。その晩から、毎日いろんな化け物が出てきて…。

旦那は人使いは荒いけれどとてもいい人で、権助のことも「ありがとう」と言って送り出す。
もともと化物に用事をしてもらうつもりでいた旦那は、化物が出てくると待ってました!と用事を言いつける。

旦那に意地悪なところが全然ないから見ていて嫌な気持ちにならなくていいなぁ。
楽しかった~。