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りつこの読書と落語メモ

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夢のなかの魚屋の地図

 

夢のなかの魚屋の地図 (集英社文庫)

夢のなかの魚屋の地図 (集英社文庫)

 

 ★★★★

書けないときに思い出す、小説家だった父の「とにかく二時間、机の前に座ってみろ」という言葉。「誰よりも美しい妻」だった母。古本屋である夫との、驚きと嘆息に満ちた結婚生活。友人たち、食べることへの情熱、家事をしながら聞く音楽、ストーリーを考えながらする家事、仕事部屋に忍び込んでくる愛する猫。そして、書きつづけることへの決意…。直木賞作家・井上荒野の軌跡を知る、初のエッセイ集。  

面白かった。井上光晴のドキュメンタリーを見たことがあったので、余計に面白かった。
あんな強烈な人が父親だったら家族はどんなに大変だっただろうと思っていたが、案外冷静に?作家としての「父」と家庭におさまりきらなかった「父」を受け入れてるように見えた。きっとそれはお母様に依る所が大きいように感じた。
あのドキュメンタリーで、井上氏の文学教室に通う元文学少女の頭いいけれどあまり色気がないような(失礼!)女性たちが、井上氏に「女性」として認められてみな夢中になっているように見えたが、奥様もまさにそういう方だったんだな。貪るように本を読み献身的に尽くした奥様は、井上氏の才能に惚れ込んで彼の欠損も全て受け入れていたような印象を持った。実際はきっとそんな生易しいものではなかったかもしれないが。

お母様の影響なのだろう、荒野さんの食べることへの意欲が凄くて、その食い意地の張りように何度か吹きだした。読んでいていろんなものを飲み食いしたくなった。