人生の段階
★★★★
誰かが死んだことは、その存在が消えることまでは意味しない――。最愛の妻を亡くした作家の思索と回想。気球乗りは空の高みを目指す。恋人たちは地上で愛しあう。そして、ひとつに結ばれた二人が一人になったとき、遺された者はもう生の深さを感じられない。―― 有能な著作権エージェントにして最愛の
一部は気球にとりつかれた人たちの史実、二部は一部に出てきた人たちのロマンス(フィクション)、そして三部では最愛の妻を失った作者の想いが綴られる。
三部まで読んで一部、二部はこの物語のための序章だったのだなとわかる。
最愛の人を失うこと、その日は自分にも訪れることはわかってはいるのだが、まるで想像できない。想像することを拒絶してるのかもしれないが。
悲しみにパターンはなく、なんの準備もできないこと。あまりにも喪失感が強いと怒りにも似た感情にとらえられること。淡々とした文章で書かれているけれど、作者の悲しみや喪失感は痛いぐらいで、その言葉は胸を打つ。