りつこの読書と落語メモ

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マウントドレイゴ卿/パーティの前に

マウントドレイゴ卿/パーティの前に (光文社古典新訳文庫)

マウントドレイゴ卿/パーティの前に (光文社古典新訳文庫)

★★★★★

家柄と知性、すべてに恵まれた外務大臣は、自分が見た恥ずべき夢を格下のライバルに知られていると悩んだ末に…「マウントドレイゴ卿」。南方駐在員の夫を亡くして帰国した長女が明かした夫の秘密とは…「パーティの前に」。人間の不可解さを浮き彫りにする珠玉の6編。

面白い!
全く古さを感じさせないのは、新訳のせいだけではないだろう。
人間が不可解な存在であることをユーモアたっぷりの目線でとらえ、時に優しく時に意地悪く描く。

野暮ったく見えた女性が輝くような魅力を放ったり、完璧な政治家が悪夢にとりつかれたり、敬虔すぎる牧師が本人さえ知らなかった本性を現したり…。
ここに収められた6編は、解説によれば「ミステリ」をキーワードに選ばれた作品らしい。
なるほど。だからどれも「どうなる?」と思わずページをめくってしまうような作品が多いのだな。

説明のつかないような人間の行動や心情を描きながらもその筆致はユーモアたっぷりで優しい。
「物語」の正しい姿がここにある。と言いたくなる。
モームをもっと読まなくちゃ!(と読むたびに思う)