りつこの読書と落語メモ

読んだ本と行った落語のメモ

第32回はなし三人会

4/24(金)、池袋演芸場で行われた「第32回はなし三人会」に行ってきた。

・百んが「道具屋」
・菊丸「片棒」
・吉窓「里帰り」
〜仲入り〜
・はん治「らくだ」

百んがさん「道具屋」
この人が百んがさんだったのか!
最近よく高座返しなどで見かけていて独特の風貌なので気にはなっていたのだが、これが百栄師匠の弟子の百んがさんだったとは。
時々ちょこっと入れるくすぐりが妙におかしい。
やはりいずれは新作をやるのかな。

菊丸師匠「片棒」
菊丸師匠は寄席の浅い出番でしか見たことがなかったんだけど、べらぼうに面白かった!
長男はいかにもお金をパーパー使いそうな能天気、次男は柄の悪い遊び人、三男は陰気、と3人の息子がキャラクターがはっきりしていて、わかりやすい。
とくに次男のパーパーしたところがすごく楽しくて、お囃子や神輿、おやじの人形とどれも見事で明るくて楽しい。 噺の途中で盛大に携帯が鳴ったが(お客の大半がじじばばだったからしょうがない?)、それも上手に噺に取り入れて笑いに変えていた。

吉窓師匠「里帰り」
「かんしゃく」によく似た雰囲気の噺。
姑と仲の良くない嫁が実家に帰ってきてどれだけ姑に苛められているかを愚痴る。
一生懸命諭す父親なのだが、娘が「姑を殺してやりたい」と言うと態度を変え、それなら自分が持っているこの毒薬を使うがいいと娘に渡す。
ただし今すぐに使うと近所でも仲が悪いのが評判の嫁姑、お前に疑いがかかるかもしれない。
だから半年はとにかく姑に献身的に仕えろ、あの嫁姑はうまくいってると近所で評判になってから、この毒薬を使って殺せば完全犯罪になる、と言う。
なんとも昭和風味の噺で「まーわかるけどさーふーん」という感じ。

はん治師匠「らくだ」
この会に行ったのははん治師匠目当てだったのだが、渡されたプログラムを見て「うわーーー!」。
なんとはん治師匠がトリで「らくだ」。
期待してなかっただけにうれしい。うれしすぎる。

怖がり屋のはん治師匠だからこそ、らくだの兄貴分のドスの効いた怖さと、たまたま通りかかったために災難に見舞われた屑やさんのとほほぶりがとてもリアルに伝わってくる。
逃げよう逃げようとする屑やさんが兄貴に脅されて「えええ?私が行くんですか?わ、わかりましたよ。行きますよ」と言って仕事を引き受けて、一人になったときに「なんで俺がこんなことを」「弱っちゃったなぁ」と困っているのがなんともかわいらしくて、がんばれーがんばれーと応援してしまう。
そんな屑やさんの姿を見て長屋の月番が「しょうがないなぁ。じゃお前さんに免じて香典を集めて持っていくよ」と言ってくれるのもすごくよくわかるし、恐れていた通り大家にどやされて戻ってくる屑やさんの気の毒さも伝わってくる。

逃げたい、商売に出たい屑やさんが好きな酒を飲まされて、いやだいやだと思いながらも「これはうまい酒だね」と思わず味わってしまうのもなんともいえず良くて、いよいよ屑やさんが酔っぱらって形勢が逆転するところは、「やったーー!」とガッツポーズをとりたくなるほどの気持ちよさ。

屑やさんが兄貴に脅されるところが、誰のやっているのを見てもなんかかわいそうであまり好きじゃなかったんだけど、はん治師匠のはなんか独特の味わいがあって、そこがすごくいい。
形勢が逆転するところで終わっちゃったけど、この先、二人で樽を運ぶところから火葬場まで…も全部見たい。
ファンとはわがままなものなのである