りつこの読書と落語メモ

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大いなる不満

大いなる不満 (新潮クレスト・ブックス)

大いなる不満 (新潮クレスト・ブックス)

★★★★

古代人のミイラに出会った科学者たちの悲喜劇。なぜか毎年繰り返される死者続出のピクニック。数多の美女と一人の醜男が王に仕える奇妙なハーレム。平均寿命1億分の4秒の微小生物に見る叡智―。現代アメリカ文学の新潮流をリードする若き鬼才による、プッシュカート賞受賞作2篇を含む11篇。

取り込まれていく恐怖や身動きできない閉塞感を描くのがとてもうまいなぁと思った。

特に虐殺が行われていて毎年莫大な数の死亡者が出ているのに誰も行くことをやめない「フロスト・マウンテン・ピクニックの虐殺」は、反対する人たちをパラノイアのように言ったり、そのつもりはないのに加担する側に置かれていたり、やめない理由が子どもが苛められるからだったりするところが妙にリアルで怖い。
ここに描かれている異常な世界とリアルな世界とがあまり変わりがないという恐怖。

笑い事ではない世界に私たちは生きている。最近そういう風に感じることが多くなったせいか、今まで大好きだったこういう不穏な物語を以前ほど楽しめなくなってきた気がする。