りつこの読書と落語メモ

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容疑者の夜行列車

容疑者の夜行列車

容疑者の夜行列車

★★★★

戦慄と陶酔の夢十三夜。旅人のあなたを待ち受ける奇妙な乗客と残酷な歓待。宙返りする言葉を武器にして、あなたは国境を越えてゆけるか。―稀代の物語作者による傑作長篇小説!半醒半睡の旅物語。

知らない土地へ向かう夜行列車。言葉もわからない、表情も読めないひとたちに囲まれて不安は募る。
昼間はそうは感じないのに夜になると何かが起こりそうで足元がぐらつくような感覚、怖いのに眠くて視界や思考がもやもやしてくる。
乗ろうとしていた列車が遅れたり途中で止まったり不審な人が乗ってきたり。
もう二度と目的地にはたどり着けないのではないかそんな気持ちから徐々に自分がどこに向かおうとしていたのかさえ分からなくなる。

怖がっているくせに主人公は大切な荷物を見知らぬ乗客に預けたり、怪しい人について行ったり、言われるがままに荷物を預かったり…。
それは危ないよ!と引き止めたくなるが、自分もその場にいたら何か見えない力に導かれるように同じような行動をとってしまいそうな気がする。

夢のような現実のような不思議な雰囲気で、この小説自体本当に読んだのか怪しくなるような気がしている。
いかにも多和田さんらしい作品だった。