りつこの読書と落語メモ

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不浄の血 ---アイザック・バシェヴィス・シンガー傑作選

不浄の血 ---アイザック・バシェヴィス・シンガー傑作選

不浄の血 ---アイザック・バシェヴィス・シンガー傑作選

★★★★

愛と血と欲望と悪魔うごめく世界。ノーベル賞作家の傑作短篇からさらに精選。「永遠の法則」を追いつづけた人生の終盤で、思いがけない恩寵にめぐまれる初老の男(「スピノザ学者」)、実直で少し抜けていて、みんながからかうギンプルが出会う、信じがたい試練の数々(「ギンプルのてんねん」)、ポーランドの僻村に暮らす靴屋の一族の波乱万丈な流離譚(「ちびの靴屋」)、年老いた夫の目を盗み、牛を切り裂きながら愛人との肉欲に耽る女の物語(「不浄の血」)…。エロスとタナトス渦巻く濃密な世界を、滅びゆく言語(イディッシュ語)でドラマチックに描いた、天性の物語作家の傑作集。

うーむ、難しい。 私は無神論者なので正直「宗教」はよくわからない。が、何か絶対的なものを信じたいという気持ちは深いところにあるからそれはわからないではないし、もし自分が生まれながらにして「そういうもの」を信じる環境にあれば、それを受け入れていたかもしれない、という想像力を働かせることはできるから、たいていの小説は「それ」でもやもやっとわかった気になっている。
しかしこの作品はそういう私の浅いもやっと理解を超えたところにある。

私が「宗教」を生理的に嫌悪してしまう理由の一つにその排他性がある。
この小説を読んでいてもどうしてもその部分が受け入れがたいのだ。いわゆる「ふつうの人々」に、宗教は救いではなくむしろ苦しみを与えているのではないかと思ってしまうのだ。

宗教心の強い人が屑殺人をやらざるを得なくなり気が狂ってしまったり、悪魔に目をつけられて孫の代まで呪われたり…。
結局のところ作者は何をつたえたかったのだろうか。私にはよく理解できなかった。
「ものがたり」としては十分楽しくてそういう意味では楽しめたのだがはたしてそれでよかったのか。

これらの短編を読んで私がかんじたのは、神に近づこうとすればするほど悪魔に付け入られやすくなり、そもそも人間は悪魔に魅せられやすくそうなったときどこまでも残酷になり、しかしその先に待ってるのは破滅のみ、ということ。