りつこの読書と落語メモ

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らくご街道 雲助五拾三次之内 両徳

7/19(金)、日本橋劇場で行われた「らくご街道 雲助五拾三次之内 両徳」に行ってきた。 これで第4回の公演。今までのところ皆勤賞なのだが8月9月は他の予定が入っていて行けない…うーん、残念。と言いながら8月は別の落語会だったりするのだが。
11月からのチケットの予約も始まっていて、さてどうするか…。あんまり焦って先に買うこともないかなぁという気持ちと、先のことなんかわからないんだからまずは買っておけ!という気持ちと。悩ましい。

・市助「道具屋」
・雲助「たがや」
〜お仲入り〜
・雲助「船徳〜お初徳兵衛」

開口一番は市助さんの「道具屋」。市助さんはもう何回も見ているけれど、今日のお客さんはなかなか笑ってくれない。雲助師匠の本寸法を聞きに来たんだかんね!という頑なな態度。 やりづらかろうなぁと思いながら、ガンバレガンバレと心の中で応援。

ふだん寄席ではまくらがとてもあっさりしている雲助師匠が、この会では結構たっぷり聞かせてくれるのが一つの楽しみ。
今回は自分が住んでいるあたりの話から隅田川の花火の話に。
以前は自分の家のベランダから花火が見えたけれど高い建物が増えてきてまるで見えなくなってきた。花火の時は交通規制が入るのだが自分の家もおもいきりその規制エリアに入っている。
なぜかこの時期に浅草演芸ホール夜の部の出番というのが毎年定番で、浅草まで自転車で10分ぐらいで行けるので、昨年も自転車で行って帰ってきたのだが、帰ってきたらちょうど規制の最中で、家の方に向かおうとしたら警備員に止められた。
「いやだってここを曲がればおれの家なんだ」と言っても、だめだと言う。
仕方なくぐる〜っと遠回りして帰った。なんで自分の家に帰るのにこんなに遠回りしないといけないのか。 
今年はこの教訓を生かして、寄席の出番が終わってもすぐには帰らず浅草でいっぱいやってから帰ってこようと思う。

自分が通った両国中学は「両国の学習院」と呼ばれている。校章がゲタに見えることからゲタ中とも言われていて…。
と花火の話と中学時代の思い出から「たがや」。
知らない噺だったのだがめちゃくちゃ面白い。
まずは雲助師匠がたっぷり歌う。こういうことができる噺家さんはなかなかいないだろうなぁ。ものすごく上手いというわけではないのだけれど、声がよくてなんだか色っぽい…。私のような者が言うのもなんなんだが、雲助師匠は本当に「いい男」という言葉がぴったりだなぁ…。

花火見物でごった返す両国橋に馬に乗りお供を連れた侍が通りかかる。
もう動ける余地はないのだが侍と言われれば仕方ない。町人がよけてやったおおいばりで前へ進む。
一方反対方向から道具箱を担いだたが屋が通って行く。人に押されて前へ前へ進むうちに侍の前へおどり出てしまう。
怒った侍が道具箱を投げるとたがが外れて侍の笠を飛ばしてしまう。
無礼者め!とたが屋を手打ちにしようとする侍。たが屋は必至で謝り、見ていた町人たちも許してやれと囃し立てるのだがむきになった侍は許そうとしない。
刀を持って迫ってくる侍に追い詰められたたが屋は「切れるものなら切ってみろ!!」と開き直ってしまう。

一人目二人目と侍を倒してしまったたが屋、いよいよ3人目に橋の欄干のところに追い詰められ、ああおれはここで死ぬのか…と思ったとき、脳裏をよぎるのは両国中学の思い出…。
ここで雲助師匠が実名を出して、あの子もかわいかった、あの子はおれに惚れていたんじゃないか、あの先生はそりゃあもう怖かった、あと同級生の〇〇はなんと噺家になった、同じクラスから二人も噺家が出るなんてあの学校はどうなってるんだ、…。
いわゆる「地噺」というやつなのか。もうこの思い出語りがおかしくておかしくて。どっかんどっかんとうけていた。

噺が終わった雲助師匠、「この噺は十数年ぶりにやりました。さすがにくすぐりが古いね」と。
いやいやとっても面白かった。夏にぴったりな噺で趣向もたっぷりで楽しい!

仲入り後は「船徳」と「お初徳兵衛」を合わせてやります、と。だから「両徳」。
普通は別々にやるので続けてやると雰囲気が違ってたり噺に矛盾も出ちゃうんだけど、そこはたかが落語だから大目に見てやって、と。

小三治師匠のとはまた一味違った「船徳」。
雲助師匠のはもうとにかくおかしい。船で往生してしまう徳さんの動きがもうとにかくやたらと面白い。私のまわりのおじいさんたちももうひーひー言って笑っていた。
で、「船頭を呼んでください」と終わったところから、いきなり何年かたってすっかりちゃんとした船頭になった徳さんが!
えええ?徳さん、ちゃんとした船頭さんになれたんだ!!と驚く間もなく、いきなり徳さんかっこよくなっちゃった。
話し方がもうすっかりちょっと悪げな若旦那。
そして「船徳」の時に橋から見送っていた芸者がなんとここで登場するお初さん。
大爆笑のあとに一息も入れずに今度はこってりとした恋愛噺。確かにちょっと無理がある?けれどそこもぐいっと自分の側に引き寄せてしまうのが凄いなぁ。

今回もたっぷり満足な会だった。素晴らしい。