りつこの読書と落語メモ

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日曜日の空は

日曜日の空は (ハヤカワepiブック・プラネット)

日曜日の空は (ハヤカワepiブック・プラネット)

★★★★
大好きな古屋美登里さんの訳だったので読んでみた。

アビーは故郷の南アフリカ―差別と呪術の国―を離れ、アメリカ人の男性と結婚し、常夏のハワイへ移住した。雨漏りする車庫や不親切な隣人たちに悩まされながらも、夫と甘えん坊の愛娘とともに平穏な暮らしを営んでいた。しかしそれは、束の間の幸せに過ぎなかった。友人に預けていた娘が、空飛ぶ凧を追いかけ路上に飛び出すまでの。アビーは娘を失い絶望の底をさまよった。救いはどこにもないように感じていた。だが、生まれ育ったケープタウンへの旅が、神秘的なアフリカの大地の鼓動が、彼女の人生を甦らせる。感動のデビュー長篇。

自分が親になってみて思うのは、子どもに先に死なれることほどつらいことはないなぁ、ということだ。
子どもに何かあって、そのあと自分がちゃんと生きていく自信がない。
だからこの物語の主人公アビーの姿は、「そうなったときの」自分を見ているようで、ものすごく痛々しくて辛かった。

こんなことがあったあとも神への信頼を失わず加害者のことも赦した夫のことを、私もきっとアビーと同じように激しく罵ってしまうだろう。
生きる希望を失い、全身に悪意をみなぎらせ、近づいてくる人たちを傷つけまくるだろう。
自分の娘の死を悼む会をお祭りのようにとらえる人を激しく憎悪するだろう。

こんな状態になった主人公に救いは訪れるのか。どうやって絶望から立ち直り、生きていくことができるのか。

前半はどこまでも内省的で、心の中をこれでもかこれでもかとリアルに描いていくのだが、後半になって物語は激しく動く。
この展開には驚いた。
これが小説としていいか悪いかは別として、でもありそうだな、と思った。
生きたいという衝動は、暴力的なものでもあると思うから。

自分に似ていてリアルに思えた分、主人公にそれほど魅力を感じなかったのが、皮肉といえば皮肉であった。