りつこの読書と落語メモ

読んだ本と行った落語のメモ

きみはポラリス

きみはポラリス

きみはポラリス

★★★★

最近の新しい作家さんのことはほんとに知らないんだけど、この作者はBL好きであるということをどこかで目にしていたので、それだったらあんまり興味ないなぁと思っていたのだった。いやべつにBLを否定するわけではないのだけれど(否定したり嫌悪したりするほどその内容を知らないし)、何か限定された世界とか「お約束」のある世界というものに全く惹かれないのだ。ジャンルがなんだかわからないけど、ものすごく変とか、ものすごくよくわかるとか、そういうものが好きなのだ。
そして作家だったら、例えばBLが好きだとかこのアニメが好きだとか、そういうことは言ってほしくないなぁという気持ちがある。なんだ、じゃこれもそれだけのものってこと?って思ってしまうから。「とにかく面白ければいい」とか「泣かせたい」とかそういうことも言ってほしくない。そんな風に簡単に言葉にできる程度のものなのであれば、ドラマで見るからいいよ、と思う。作家としての志っていうかなぁ…そういうのを持ってる作家の作品を読みたいのよ、どうせなら。

などとぶつぶつ言いながら読んだわけだ。で、意外にもと言ったら失礼だけど、思っていたより全然面白くて好きだった。あらやだ面白い。あらやだ結構好きだ。そんな感じ。

ちょっと気味が悪いようなそれでいて恥ずかしいぐらい青いような「裏切らないこと」。これ、結構好き。
自分が密かに憧れを抱いていた大学の先生の遺骨を大事に隠し持っている女性を描いた「骨片」。これも面白かった。女の怖さとか不気味さが書かれているけど、まだ青さみたいなものがあって、それが救いになっているような感じ。
「森を歩く」も良かったなぁ。こういう青さは好きだな。気持ちいい。なんか私はこの作者のちょっと青いところに惹かれるようだ。
一番好きだったのは「冬の一等星」。この感じ、なんかすごくよくわかる。

色めがねで見ていたんだけれど、読んでみたら結構「気が合う」感じがしたので、他の作品も読んでみようと思った。