りつこの読書と落語メモ

読んだ本と行った落語のメモ

ブライヅヘッドふたたび

ブライヅヘッドふたたび (ちくま文庫)

ブライヅヘッドふたたび (ちくま文庫)

★★★

舞台は一九二四年、オックスフォード大学。勉強熱心で真面目なチャールスは美しく奔放な青年貴族セバスチャンと出会い、その魅力にひきつけられていった。二人の間にはすぐに友情が生まれ、チャールスはセバスチャンの家族が住むブライヅヘッドの城を訪ね、その華やかな世界の抗しがたい魔力にとらわれてゆく。一方、セバスチャンは酒浸りの乱れた生活に溺れてゆき、やがて倒錯した愛に溺れはじめる…。

不思議な味の小説だった。
古典を読むときにいつも感じるのが、唐突さだ。感情の振り幅とか出来事とか結論とか、そういうのがなんだかとても唐突に感じる。訳文のせいかとも思うけれどきっとそれだけじゃないのだろう。物語の進めかたとか文体がきっと時代によって微妙に違っているんだ、きっと。
というのを、この小説を読んでいるときにも感じた。古典というほど古くもないし、それほど強く感じたわけでもないのだが、でもちょっとそういう印象を受けた。

そしてこの小説の根底に流れているのはカトリックの問題なのだと思う。恋愛においてもカトリックの信者であるということが大きく影響を与えてて、そういうところは私に言わせれば「それを出されちゃしょうがないなぁ。しょぼしょぼ…」ってところがあって、なんとなく腑に落ちないというか、「ええ?ここまで読ませておいてそれなの?」と思わなくもなかった。

セバスチャンがいったいどうなってしまったのか、なぜあんな風になってしまったのか、ということもちょっと理解できなかったなぁ…。これももしかしたら神の問題なんだろうか。前半でセバスチャンの魅力をたっぷり味わわせてもらっただけに、ちょっと寂しいような気がしなくもない…。