りつこの読書と落語メモ

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淑やかな悪夢

淑やかな悪夢―英米女流怪談集

淑やかな悪夢―英米女流怪談集

★★★★

怪奇小説の真髄は短篇にあり、醍醐味はその語り口にある―一瞬の怪異も鮮やかなアスキス女史の佳品を筆頭に、狂気と超自然のあわいを描いたギルマンの逸品など、通にして手練の三人が選り抜いた、悠揚迫らざる古典女流の十二篇。趣向を凝らした怪談噺の数々、恐怖の愉しみに舌鼓をうたれんことを―。

ホラーはそんなに好きじゃないけどゴシック小説は大好き。とは言ってもホラーとゴシック小説の明確な定義を持っているわけではなく、あくまでも自分の中の(イメージ)ってやつなんだけど。ここに収められている12編は私の思うところのゴシック小説なので、どれも楽しく読めた。
図書館で借りた本なのだが、紙がいい感じに黄色く変色していてそれがいかにもこの本にふさわしい。だいたい1800年から1900年ぐらいの作品を集めているので少し古めかしさがあって、その感じを壊さないようにと訳されているのか、日本語もとても美しいように思えた。でも刊行年をみたら初版が2000年!!決して古い本ではないのだということに驚く。じゃあこの黄色さはいったい…。

「追われる女」「空地」「告解室にて」などどれもオーソドックスな怪談なんだけど、怖がらせよう〜というやりすぎ感がなく品があって好きだなー。
で、巻末の訳者による対談でも話にあがっているけれど、収められている中で一番怖いのが「黄色い壁紙」だ。これ怖い…。はっきりと書いてないんだけど、主人公の狂気が読み進めるほど明らかになっていくのが怖い。幽霊も怖いけど一番怖いのは生きている人間だな…と思う。こわいよー。でも読んでいると自分がこの主人公に同化してくるようで、読みながらうっすら笑ってたりしてそんな自分も怖かったり…。