職業としての小説家
- 作者: 村上春樹
- 出版社/メーカー: スイッチパブリッシング
- 発売日: 2015/09/10
- メディア: 単行本
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いま、世界が渇望する稀有な作家──
村上春樹が考える、すべてのテーマが、ここにある。
自伝的なエピソードも豊かに、待望の長編エッセイが、遂に発刊
面白かった。とても正直な人だなぁというのが一番の感想。
私は作家ではないけれど、本を読むことでたくさん救われてきたし私の中身の何パーセントかは間違いなく本で作られていると思っているので、作家がどのように小説を書き上げているのか、どんなきっかけで初めての小説を書いたのかなど興味深いハナシが満載でワクワクしながら読んだ。
ここで語られていることは小説家だけではなくどんな職業にも通じることだし、仕事だけじゃなく生き方とか自分のあり方についてもヒントになると思う。
これを読んでも反感を感じる人がいるのだと思うと、ほんとに万人に愛されることなんか絶対にないのだから、反対意見や批判を気にして自分を曲げる必要なんかないんだよなぁ、と思う。
自分のやりたいように、自分が大事にしていることや大事にしている人のことを考えて、進んでいけばいいのだ。
職業的作家になったことで読者のことを意識せざるをえなくなったと言いながらも、最終的には自分が書きたいように自分が書きたいことを書いていると語る村上さん。
それって小三治師匠が「お客さんに喜んでもらいたいという気持ちはあるけど、お客さんのためにやってるんじゃない。自分のためにやってる」と言うのと通じるものがある。
そんなことを言えるのは売れてるからだよというやっかみの声も聞こえてきそうだけれど、でもこのエッセイを読むと村上春樹の作品がものすごく読まれていること、世界中にファンがいることは決して偶然や幸運なだけじゃなかったのだ、と思う。
分かるなぁ…!と腑に落ちるエピソードも多かったし、いいなぁ!となんか励まされる話も多かった。
私は名もなき読者として村上春樹さんと深いところで繋がっているのかもしれない!と思って少し嬉しい。