らくご街道雲助五十三次ー鉄板2ー
3/4(水)、日本橋劇場で行われた「らくご街道雲助五十三次ー鉄板2ー」に行ってきた。
WEBアンケートと当日会場でのアンケート結果を集計して、お客さんのリクエストの多かった噺をやるというこの企画。
前回は仕事と重なって行けず、今回こそはと思っていたらスペースゼロ寄席と重なってしまった。
というかこのチケットを買っていたのにスペースゼロのチケットも後から買ってしまったのだった。ああ…。
仕方なくスペースゼロの方は会社の後輩に譲ったんだけど、悔しいなぁ…。こういうとき身体が二つあればと思うなぁ。
・雲助「子ほめ(ヴァイオレンス)」
・雲助「火焔太鼓(通常版)」
〜仲入り〜
・雲助「粟餅」
・雲助「夜鷹そば屋」
会場のアンケート結果を集計する間の場つなぎで登場した雲助師匠。
「あたしはこういう漫談が苦手で」とおっしゃるけど、気取りのない喋りがとっても楽しい。
「鉄板2ってことですけど、前もお話しましたけど、鉄板=必ずウケるっていうわけじゃないんです。お客さんの体調や雰囲気もありますし、こちら側の体調やコンディションもあるし。話していて別のことが頭に浮かんで集中力が途切れるなんてこともあります。あ、そうだ、確定申告行かなくちゃとか、あそこに美人がいるけど誰目当てで来てるんだろうとか。」
「今日は国立でトリをやってきてすでに喉がお疲れ気味。昔は鉄の喉を自慢にしてたけど年のせいか衰えてきた。義太夫でもやって鍛え直そうかしら」に拍手喝采。「え?そうしたらあたしの義太夫を聞かなきゃいけなくなりますよ」に大笑い。
そして集計結果が出て発表になったんだけど、なんと全部私がアンケートで入れた噺!ひゃっほい!
雲助師匠で聞いたことのない噺、聞きたいと思っていた噺を入れたんだけど、うれしいなぁ。
「子ほめ(ヴァイオレンス)」
これが選ばれたのはきっと「(ヴァイオレンス)」が効いたんでしょうね、と雲助師匠。
ちょっとしたくすぐりが入ってるっていうだけなんですけど、どなたが言い出したかいつからか「(ヴァイオレンス)」と言われるようになった。
でもたいしたことはないんですよ。そう言いながら「子ほめ」。
前座噺も雲助師匠がやったらこんなに面白いのか!
八っつぁんの口の悪さが今まで聞いた中で一番悪くてそれがもうおかしいのなんの。
肝心の「ヴァイオレンス」の部分、子どもを褒めようとして町行く子どもを褒めかけて「あ、親がいなくちゃ意味がない」って気づいて子どもをポカンと叩くのが先代の馬生師匠の入れたくすぐりで、逃げてく子どもに石を投げるのが雲助師匠が足したくすぐりなのだとか。
そう言われてみると馬生師匠の顔がほわんと浮かんできて、ますます楽しい。いいなぁ。
「火焔太鼓(通常版)」
人情版もあるのでこちらは通常版とついている。
陽気で楽しい「火焔太鼓」。
300両と聞いて驚く旦那とおかみさんのリアクションがめちゃくちゃ笑える。
「粟餅」
これは「鉄板」じゃなく「珍品」です、と雲助師匠。たしかに他で聞いたことがない。
いやこれがまたおかしいのなんの。
下ネタで笑うって小学生か!と思うけど、ほんとに笑った。この日一番笑ったのがこれ。最高。
「夜鷹そば屋」
前回のらくご街道で他の会の主催者をされている方の隣の席になり、その方に「雲さまの夜鷹そば屋聞いたことある?すっごいいいのよー」と言われ、ぜひ聞きたいと思っていたらこうして聞けるとは。
いやもう本当によかった…。
年をとった夫婦の会話がなんともいえずいい。別にことさら人情〜って感じではなく、二人でああだこうだと話しているだけなんだけど、ユーモアがあって思いやりがあってそこにちょっとさみしさもあって。
そばを食べにやってきた若い男のドキっとするような危うさとそれを包み込む夫婦の優しさが伝わってきて、じーん…。
こういう噺は若い人には難しいだろうなぁ。
本当に素晴らしかった。よかったー。