りつこの読書と落語メモ

読んだ本と行った落語のメモ

第十八回柳家小満ん在庫棚卸し

6/8(日)、橘家で行われた第十八回柳家小満ん在庫棚卸しに行ってきた。
前回会場に行くのに迷いに迷ったこの会。あれだけ迷ってたどり着いたのに位置関係がまるで分かっていなかったのでまたたどり着ける自信がゼロ。
曙橋の改札でナビを起動したら会場まで徒歩65分と出て一瞬青ざめたのだが、どうやら現在位置を正しく認識していなかったらしく「曙橋駅」と入力したら徒歩6分と出てきて、ほっ…。ナビが「歩道橋を渡れ」と言うので歩道橋の入口を探してウロウロしてものの、そこからはスムーズにいくことができたので良かった。もう今度は迷わずに行けるぞう!

・「看板のピン」「竃幽霊」
・「泣き塩」
〜仲入り〜
・「湯屋番」

「看板のピン」「竃幽霊」
親分のカッコよさとそれをすぐに真似してやろうと息巻く男の能天気さがいい。
スピーディーな展開と思っていたら、「こういうこともあるんだなぁ」と博打つながりで「竃幽霊」へ。さっき看板のピンでとりそこねた男が今度は大当たり。普段は当たったお金も次の博打に使ってしまうけど今日はちゃんと形のものに残しておこうじゃないかと竃を買いに道具屋へ。貧乏で家には何も置いてないくせにちゃんといいものを見る目はあってオツな竃を欲しがるところがいいなぁ。
金を払うと言ったのに、これは訳ありものだからとただで竃を手に入れる。今日はほんとに付いてるなぁ。これならタンスを買ったらいくらか付いてくるかもしれねぇとつぶやくのがおかしい。
幽霊が出てきてからもこの男驚くでもなければ凄むでもなく淡々としている。それに対して幽霊の方が気弱で説教くさいのがなんともいえずおかしい。
竃に隠していたお金を半分取られてそれじゃ面白くないから二人で丁半をやりましょうと言い出す幽霊に「お前博打はきっぱりやめたんじゃなかったのかよ」と突っ込む男が面白い。
博打はやめようと思ってもやめられないんだろうなとにやりとしてしまう後味が最高だ。

「泣き塩」
初めて聴いた噺。
無筆の女中が自分に来た手紙を読んでくれと侍に声をかける。自分の母が病気なので具合が悪くなったか心配でいてもたってもいられないのだ、という。
声をかけられた侍はわかった…と手紙を受け取るのだが読み始めたとたん「ああ…残念だ。無念だ。手遅れだ。」と泣き始める。
そこに通りかかった塩屋が泣いてる二人を見て「分かります。何も言わなくても私には分かります」と言って泣き出す。
それを見た男たちが「あれはなんだ」と勝手に妄想をして話を作り始める。この勝手な妄想がなんともいえずおかしい。落語に出てくる人たちはお節介で機嫌がよくていいなぁ…。

そこへ字の読める大家がやってきて真相が明らかになるんだけど、真相やオチよりも、会話が楽しいんだよなぁ。
小満ん師匠の噺はどちらかといえば淡々としているんだけどリズムの良さと口調がかっこよくていつまででも心地よく聞いていられる感じ。

「湯屋番」
出入りの職人の家に居候している若旦那。いい加減追い出してくれと女房にせっつかれて、職人と若旦那が話をするところがたっぷりあって、いったいこれはなんの噺だろう?最初は「船徳」と思いそれから「湯屋番」?「紙屑屋」?
商売を始めようと思うと言って、雀にみりんがかかったコメを食べさせて一気に捕まえる、珊瑚を一気にとる、鳩をじゅずつなぎにして一気に捕まえる、という案を語るのが、いかにもダメダメでおかしい。
湯屋へ奉公に行くにあたっても、湯屋の旦那がすぐにも死にそうだからその後あそこの女房といい仲になって後釜に収まるという妄想を語ったり、この若旦那が妄想家であることがわかるエピソードの数々。
番台に上がってからも妄想は止まらず、その様子がなんとも能天気で見ていて楽しい楽しい。
また時折挟まれる妙にハイカラなくすぐり(「石鹸はラックス」とか)がたまらない。
こんなに長い「湯屋番」は初めて見たけど、能天気で楽しくていいなぁ。

今回は出入り口のところでお見送りに立っている小満ん師匠に「ありがとうございました」と目を合わせて言えたからうれしかった…。
椅子じゃないしお客さんも玄人っぽい人ばかりだし場所はわかりにくいしとハードルの高い会なんだけど、主催の方が本当に感じがいいし、小満ん師匠は素敵だし、珍しい噺がたっぷり聞けて大満足。
来月も行くぞー。