りつこの読書と落語メモ

読んだ本と行った落語のメモ

チア男子!!

チア男子!!

チア男子!!

★★★★

柔道の道場主の長男・晴希は大学1年生。姉や幼馴染の一馬と共に、幼い頃から柔道に打ち込んできた。しかし、無敗の姉と比べて自分の限界を察していた晴希は、怪我をきっかけに柔道部を退部。同じころ、一馬もまた柔道をやめる。一馬はある理由から、大学チアリーディング界初の男子のみのチーム結成を決意したのだ。それぞれに事情を抱える超個性的なメンバーが集まり、チームは学園祭での初舞台、さらには全国選手権を目指すが…。

「桐島、部活」も良かったけど、これも良かった。
「桐島」以上に真正面からの青春物で、若々しさが出ていてとても清清しい。

柔道に挫折した晴希が、幼馴染の一馬に誘われて、男子だけのチアリーディングチームを結成。
一馬が大学の掲示板に貼ったメンバー募集のチラシを見て、チームに入りたいとやってきたのは、黒ぶちメガネをかけてやたらと名言を口にする細身の溝口と、いつも行く食堂で大食いチャンピオンになっていたおデブのトンちゃん。
わけあり男子が次々メンバーに加わり、それぞれの事情や悩みやコンプレックスを抱えながら、チアの楽しさに目覚め、全国大会を目指す。

一人一人を丁寧にデリケートに描いているので、リアルだし感情移入もしやすい。
強いヤツがただ強いだけのヤツとして書かれてないところにも好感が持てる。

「桐島」は、「今時の若者ってこんななんだろうな」と、ちょっと引いてみるようなところがあったけれど、これは逆に「今時も30年前もあんまり変わらないよな」と思わせてくれる。
若さってきっついけど、やっぱりいいよなぁ。
なにより、こういう小説を若者が力いっぱい書くっていうのは、なんて素敵なんだろう!と思った。
次回作も絶対読みます。