りつこの読書と落語メモ

読んだ本と行った落語のメモ

マチルダの小さな宇宙

マチルダの小さな宇宙

マチルダの小さな宇宙

★★★★

ぐれたい。悪いことを片っ端からやりたい。毎日がだるくて、つまんなくて、うんざりなんだもん。マチルダの姉は一年前に死んだ。線路に突き落とされて、列車に轢かれたのだ。それからずっと、両親はふさぎこんでいるだけで、家のなかは重苦しい空気で満ちている。そういう日々に苛立つマチルダは、決意した。姉を死に追いやった犯人を探し出して、両親の目を覚まそう。気が強く辛辣で繊細な少女マチルダの旅はどこへ向かうのか。そしてその旅が終わったとき、どんな風景が目の前に広がっているのか―。話題の若手劇作家で詩人の著者が鮮烈な筆致で描きだす、思春期の切ない冒険譚。2010ペンUSA文学賞受賞。

一年前に姉が死んで以来、母は酒に溺れ父はそんな母しか目に映ってないようで、マチルダのことを気にかけてくれない。

頭も良くて抜群の行動力を持つマチルダ。
でも彼女の言動はいつも周りの人たちを傷つけ最悪の結果を招いてしまう。
これが思春期ってやつなのかもしれないけど、実は彼女には誰にも話せない大きな秘密があって、それが彼女を苦しめ続けている。
彼女が抱える苦しみはあまりにも大きくて一人で抱えきれるものではない。 お願いだから誰か気づいてあげて!と思いながら読んでいたけど、結局めちゃくちゃなやり方ではあるけれど、自分で乗り越えてしまったのかな。

自分の悲しみでいっぱいいっぱいで何もしてくれなかった母親に、「なんで気付いてくれないの!」とマチルダの気持ちでイライラしていたんだけど、自分もこういう状況だったら同じようになるかもしれず、なんだか痛かった…。
本当の悲しみは自分1人で乗り越えていかないといけないのかもしれない。
マチルダの姉にはその強さがなかったけれど、マチルダには想像力も行動力もあるから、きっと大丈夫なのだろう。