カソウスキの行方
- 作者: 津村記久子
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2008/02/02
- メディア: 単行本
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「ミュージック・ブレス・ユー!」がとっても好みだったのでまた読んでみた津村紀久子。
いやぁもうほんとにほんとに大好きだ、この人。
登場人物がみんな「わかるわかる!」で「あーーー友達になりたい」なんだなぁ。そして津村紀久子さん!あなたと友だちになりたい。コアな部分でわかり合える気がするんだわ…。
「カソウスキの行方」のイリエ。もうたまらないなぁ、これ。
後輩が上司からセクハラされていると聞いて黙っていられなくて直訴したら、実はその後輩と上司は不倫関係で、後輩からも「勘違いしてます」と突き放されて、仕事を干されて本社から辺境の倉庫に異動させられてしまう。
陸の孤島のような職場でなんとか腐らずにやっていくしかない!と、消去法で残ってしまった森川君を好きになったということに仮定してみて、好きごっこをしてみるイリエ。
この身勝手さと独りよがりさが、他人事とは思えないわぁ。
ねっちりしているようで妙にさばさばしていて、さばさばしているようでちょこっとだけウエット。この加減がたまらない。
「Everyday I Write A Book」も良かった。
こういうこと、あるよね。
なんか安っぽく思える女の人のことを、妙に羨んだりねたんだりしている自分がいてそれがもういやでいやで。でもそれも自分で。というよりそれこそが自分で。
だからどうしたいのか、自分がなにを望んでいるのかわからなくて。
ここにでてくる2人、すごくいい。
「花婿のハムラビ法典」は、男の視点から描かれた作品なんだけど、この「目には目を」で気持ちの折り合いをつけようとするところ、よくわかるなぁ…。でも本末転倒なんだよね、こういうのって。
でもそこがもやっとしたまま進んでいっちゃうところがなんとも独自で面白い。
あまりにも好みだったので、なんか他の作家の小説は当分読まなくていいや、って気分…。