りつこの読書と落語メモ

読んだ本と行った落語のメモ

いつまでも、変わらずに

いつまでも、変わらずに

いつまでも、変わらずに

★★★★★

大好きなエリザベス・バーグの新作。そろそろ出ないかなぁ、翻訳されないかなぁとずっと待っていたのだよ。
といっても出たのが2001年だから全然新作じゃないんだけどね‥。読書離れしてた期間が結構あったもんだから、今頃ようやく読みました。

主人公のマイラは独身の訪問看護婦。
容姿に自信のないマイラは、人と打ち解ける方法がわからないまま、親しい友達も恋人もなく、淡々と孤独な毎日を送る51歳。

そんな彼女が学生時代憧れていたのは、全女性生徒の憧れの的だったスター・アスリートのチップ。
彼と交わした会話やちょっとしたジョークを、まるで宝物のように胸の中にしまい、時々取り出しては懐かしむマイラ。
そんな彼女のもとに、チップが現れるのだ。患者として。しかも末期癌で余命幾ばくもないという状態で。

憧れ続けた人との再会、しかも患者と看護婦という立場での再会。彼女は彼と、そして死とどう向き合うのか。

エリザベス・バーグはこういう作品が多いなぁと思っていたら、彼女は看護婦の経験と大病を患った経験があるらしい。
ああ、そうか。それでなのか。彼女の病気や死に対する姿勢が凛としているのはそれでなのか。おおいに納得‥。

こんな過酷な状況であるにもかかわらず、ユーモアやお互いを思いやる気持ちを忘れないチップが実に魅力的だし、自分の殻に閉じこもりながらも患者に対しては誠意を尽くし愛情を注ぐマイラも素敵だ。

もう読んでいて感情移入しまくりの涙流しまくり‥。ああ、ほんとに素敵な小説だった。どうか他の作品も翻訳されますように‥。


それにしてもこの題名。もうちょっとなんとかならなかったんでしょうか。
いや確かにそういうタイトルだけどさ。原文も。
でもこのタイトルだったら私の「タイトル読み」のアンテナには引っかからないだろうな‥。