夏草の記憶
- 作者: トマス・H.クック,Thomas H. Cook,芹澤恵
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 1999/09
- メディア: 文庫
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以前読みかけて挫折した本。
ミステリーのつもりで読んでいると、なんだかとてもまどろっこしく感じてしまう>記憶3部作。でも、自分が主人公になった気持ちで、彼の感情の動きによりそいながら読むと、これが非常に面白くてドキドキするのだ。
まじめでぱっとしない少年ベンは、転校してきた美しく聡明で陰のある少女ケリーに恋心を抱く。
彼女に対して思いを募らせながら、表面上はあくまでも友達としてふるまうベン。
相手にされるわけがないという諦めと、もしかして彼女も自分のことを、という期待。
そんな彼の恋が、こなごなに打ち砕かれた時、彼の中に悪意がめばえる‥。
心にふと宿る悪意。それが人の人生も自分の人生も壊していく。
ベンの気持ちが非常によくわかるだけに、自分も同じようなことをしてしまうかもしれないという思いにかられ、ぞっとする。
最後まで読むと、ああこれはやっぱりミステリーだったんだ!と驚く仕掛けもあって、面白かったー。
でも、あーなんだこりゃ、つまんねー。そう思う人もきっといるだろうな、とも思う。