りつこの読書と落語メモ

読んだ本と行った落語のメモ

空飛ぶ馬

空飛ぶ馬 (創元推理文庫―現代日本推理小説叢書)

空飛ぶ馬 (創元推理文庫―現代日本推理小説叢書)

★★★★★
女子大生の「私」と噺家春桜亭円紫師匠とのやりとりを通して、日常にひそむ不可思議な謎を解く短編集。

なんというか読んでいて、とても丁寧な気持ちになる作品。背筋がぴんと伸びてくるというか。

主人公の女子大生の生真面目さ、日常を丁寧に生きている感じが、なんとも爽やか。そして円紫師匠の人を見る目の暖かさが、作品全体をとても優しいものにしている気がする。

人間の明るい面だけでなく、醜悪な部分や暗い部分を含みつつも、最後の「空飛ぶ馬」で、円紫師匠が言うように、「人間というのも捨てたものじゃない」と思わせてくれる。