鈴本演芸場7月下席夜の部
初めて聴く噺。だけどストーリー、知ってたんだよな。なんでだろう。講談で聞いたことがあったのかな。
シリアスだけどちょっと笑えるところもあって、なにより治三郎のキャラクターが明るくて呑気で鷹揚で…そこに救われた。
大仰じゃなくて淡々としているんだけどでも話の吸引力もあって引き込まれた。
すごくよかった。びっくりした。
末廣亭7月下席昼の部
7/26(水)、末廣亭7月下席昼の部に行ってきた。
普段はそういうの好きじゃないんだけど、夏休みで子どもが来ていてそういう声が聞こえるっていうの、なんか楽しい。
しかも「よかった」という子どもの声をうけて南なん師匠が「よくないよう」と言ったのがもうたまらなくおかしくて。
おそらくお子さんもいたからだと思うけど、いつもよりもコミカルにやられていて、そこも面白かった。
同じ噺でも意識的に感じを変えることができるんだなぁ。よかった~。
圓馬社会人倶楽部
なんでも7月は病気がちで具合が悪かったらしい鯉白さん。入院もしたとかで病み上がりだったらしい。
そんな不安を抱かせるまくらから「何をやりましょうかね」と言って「万病円」。
いやぁこれが面白かった!鯉毛さん時代は滑舌が悪いのがちょっと気になったりもしたんだけど、大きな声でゆっくりめに噺をするようになっていて聞きやすいし、なんかゆったりした安心感のようなものも出てきてる。
陽子先生「応挙の幽霊画」
面白かったー。初めて聴く話で夢中になって聞き入ってしまった。
貞寿先生のお披露目に行ってから講談も好きになってきた。もっと聞きに行きたいけど、落語だけでも好きな噺家さんが多すぎて行ききれないのに、これ以上好きなものを増やしてどうしよう。
圓馬師匠「幇間腹」
どの商売でもこれがやさしいっていうものはない、というまくら。
噺家だってそうです。みなさまから見たら、着物を着て出囃子が鳴るとこう…つかみどころがないような感じで出てきて頭を下げて…。
この「つかみどころがないような感じで出てきて」という言葉がツボにはまっておかしくてしょうがない。圓馬師匠のこういう言葉のセンスがたまらなく好き。
そんなまくらから「幇間腹」。
呼ばれてやってきた一八がおかみや女中、猫にまでヨイショしたあと、自分を呼んだのが若旦那と聞いてがくっと暗くなるのがおかしい。
いやいや上がりながら扉を開ける前に「ファイトだ!」と気合を入れたのにも笑ってしまう。
テンポがよくて楽しかった。
柏枝師匠「胴乱の幸助」
きれいなところと壊れるところのバランスが絶妙。この師匠の面白さをいろんな人に説明するんだけど、いまいち伝えきれないのが歯がゆい。
またこういう上方の噺とか珍しい噺をしてくれるところも好き。
おお、この「ねずみ」は鯉昇師匠の「ねずみ」そして南なん師匠も同じ。
だけど当たり前だけど全然印象が違う。そこが面白い。
末廣亭7月下席昼の部
「昔はその季節でないと食べられないもの、その土地に行かないと食べられないものがほとんどだった」というまくらがきいていて、前の方に座っていたお子さんたちも「うんうん」と聞き入っていてかわいい。
宗殺しで訴えると言われて必死でみかんを探し求める番頭さん。
若旦那がみかんを食べているところを見ながら「皮を捨てちゃうんですか?」「筋をとるんですか?」とお金のことを気にして言うんだけど、それでも若旦那がみかんを食べて元気になると「よろしゅうございました」と心から喜んでいる。
心から喜んでいるだけに、その後わが身を振り返って虚しくなるところに、なんかぐっとくる。
この噺のサゲ、すごく好きだなぁ。すごく落語らしくて楽しい。
鈴本演芸場7月下席夜の部
・さん助「尼寺の怪」
・菊志ん「辰巳の辻占」
その分遊び人の旦那がかっこよかった。
末廣亭7月下席昼の部
7/23(日)、末廣亭7月下席昼の部に行ってきた。
・喜之輔「出張中」
・くま八「味噌豆」
・コント青年団 コント
・桃之助「動物園」
・可風 老人小噺
・一矢 相撲漫談
・鯉橋「寿限無」
・文月「転失気」
・京太・ゆめ子 漫才
・紅「桂昌院」
・圓丸「茶の湯」
・伸 マジック
・幸丸「日野原重明物語(?)」
~仲入り~
・幸之進「狸鯉」
・カントリーズ 漫才
・米福「粗忽長屋」
・小南治「三十石(上)」
・ボンボンブラザーズ 曲芸
・南なん「夢の酒」
可風師匠 老人小噺
可風師匠の老人の小噺、大好き。愛がある。もっと見たいなぁと思いながらなかなか見に行けてない。
鯉橋師匠「寿限無」
時々、前座の頃とか二ツ目になりたてのころにやっていた噺を思い出してやってみるんです、と言いながら「寿限無」。
確かにちょっと思い出しながらやってる感(笑)。お客さんにお子さんが何人かいてかわいらしい笑い声が聞こえてきた。
紅先生「桂昌院」
好きだなぁ、この先生。明るくて華があって惹きつける力があって。
初めて聴く話だったけど面白かった~。
講談に出てくる女性はほぼ100%美人。でも中には美人じゃない女性が主役の話もあるんです、と言って「桂昌院」。楽しかった!
幸之進さん「狸鯉」
あら、なんか面白くなってる!なんか「らしさ」っていうか個性みたいのが出てきている!とちょっとびっくり。
南なん「夢の酒」
そして待ってました!の南なん師匠。
座布団に座るなり「私はよく師匠に怒られました」。それで「夢の酒」!とわかる南なんフリーク。
大旦那が優しくて私は誰の「夢の酒」より南なん師匠の「夢の酒」が好きだ。
喬太郎師匠の大旦那はさんざん聞かされた話が「夢の話」とわかった瞬間「死ねーー!」と叫ぶんだけど、そしてそこで会場は爆笑の渦に包まれるんだけど、私は「倅や、どうしてそういう手数のかかる夢を見るんだ」とぷっと吹きだす南なん師匠の大旦那が好き。
この日のサゲが本当に実感がこもっていて最高だった。よかったー。
ピンポン
★★★★
原っぱのど真ん中に卓球台があった。どういうわけか、あった。僕は毎日、中学校でいじめられている。あだ名は「釘」。いじめっ子の「チス」に殴られている様子は、まるで釘を打っているみたいに見えるからだ。スプーン曲げができる「モアイ」もいっしょにいじめられている。モアイと僕はほとんど話したことがない。僕らは原っぱの卓球台で卓球をするようになる。空から、ハレー彗星ではなく、巨大なピンポン球が下降してきた。それが原っぱに着床すると激震し、地球が巨大な卓球界になってしまう。そして、スキナー・ボックスで育成された「ネズミ」と「鳥」との試合の勝利者に、人類をインストールしたままにしておくのか、アンインストールするのか、選択権があるという…。
圧倒的に強い相手からいじめられている中学生の「釘」と「モアイ」。ペアでいじめられている彼らの毎日は絶望でしかないのだが、ある日原っぱの卓球台を見つけたことから二人は「卓球で」話をするようになる。
青春小説かと思いきや終盤になると驚きの展開を見せてちょっと付いていけない部分もあったのだが、「ピンポンピンポン…」のリズムがくせになる。
作中作がとても魅力的で、この物語自体も「釘」の創作?と感じられる側面も。
とても面白かった。
末廣亭7月下席昼の部
7/21(金)、末廣亭7月下席昼の部に行ってきた。待望の南なん師匠のトリ!トリの南なん師匠!ふぉー!
夜の部なら毎日通えるのにー。といいながら昼でもとにかくどうにかして見られるようであれば見に行きたいのだ。頼む、この時間に打ち合わせの予定をいれないでー。とは言えない(当たり前)。
とりあえず初日は行けて、ほっ。
・南なん師匠「死神」
貧乏神の祭りをやったら誰も集まらなかったというまくら。誰も来ないので一計を案じ、「この日の祭りに来なかったら、こちらから(貧乏神が)お訪ねいたします」とビラを配ったら、来られちゃたまらない!というのでお客さんが集まってきた、と。
そんなまくらから「死神」。
南なん師匠の「死神」は何回か見ているけどそのたびに印象が違う。
今回はちょっとコミカルな感じ。
サゲも前に聞いた時と違っていて後味が悪くないようにされていて、お客さんの中に元気のいいよく笑う男の子がいたからなのかな。
見ていないようでお客さんの方をちゃんと見てくれている南なん師匠。くーーー。たまらん!
最愛の子ども
★★★★
日夏(ひなつ)と真汐(ましお)と空穂(うつほ)。
夫婦同然の仲のふたりに、こどものような空穂が加わった。
私立玉藻(たまも)学園高等部2年4組の中で、
仲睦まじい3人は〈わたしたちのファミリー〉だ。
甘い雰囲気で人を受け入れる日夏。
意固地でプライドの高い真汐。
内気で人見知りな空穂。
3人の輪の中で繰り広げられるドラマを、
同級生たちがそっと見守る。
ロマンスと、その均衡が崩れるとき。
巧みな語りで女子高生3人の姿を描き出した傑作長編。
おそろしく繊細で、だけど少し皮肉なユーモアもあって、なんとも感想の書きづらい作品。
例えば女子高などで女子同士が疑似恋愛をする、などという話も聞くけれど、そういう経験がないのでその「空気」というのが私にはよくわからない。
この物語に出てくる少女たちの独特の空気、刺さる人には刺さるのかなぁと思いつつ、正直ちょっと引き気味に読んだ。
学生時代のグループには必ず力関係があって押したり引いたりするものだけど、ここに出てくる少女たちは「集団」に関心はなく、あくまでも「個人」、そこにある「恋愛の空気」や「物語」に惹かれている、というところには共感を感じる。
誰もが誰かの物語を見る側でもあるし見られる側でもある。
物語の中心にいる少女3人による「家族」だけでなく、彼らを見つめ見守る少女たち、そしてその親たちの語られなかった物語の方も気になった。
コードネーム・ヴェリティ
★★★★
第二次世界大戦中、イギリス特殊作戦執行部員の女性がスパイとしてナチスの捕虜になった。彼女は親衛隊大尉に、尋問をやめる代わりに、イギリスに関する情報を手記にするよう強制される。その手記には、親友である女性飛行士マディの戦場での日々が、まるで小説のように綴られていた。彼女はなぜ手記を物語風に書いたのか?さまざまな謎が最後まで読者を翻弄する傑作ミステリ。
第二次世界大戦時、飛行機の操縦士とスパイになった女性二人。生まれも育ちも性格も全く異なる二人が出会い友情を育む。
前半はスパイだった女性がナチスに捕らえられ尋問を受けながら書いた手記。女性飛行士マディとの出会いから軍での活動などが語られる。
ナチスの将校はなぜこのような小説風の手記を書くことを許したのか、この手記に書かれていることはどこまでが真実なのか…。
後半はマディの側の手記。こちらを読んで「そういうことだったのか」とわかることもあって、ミステリーとしての面白さも。
面白かったけれど後味は苦かった。
第40回 夏丸・伸三だしぬけ二人衆
7/18(火)、お江戸両国亭で行われた「第40回 夏丸・伸三だしぬけ二人衆」に行ってきた。
会社をぎりぎりに出たら総武線が止まっていることに気が付いてあわてて別のルートで両国へ。どうにかこうにか間に合って汗だくだく。ぜいぜい。
それにしても素敵な二人会。二人会ってたいてい二席ずつだから、一人が好きでももう一人が苦手だと行きづらいんだよね。この組み合わせはほんとに俺得。ブラボー。
・夏丸「猫と僕/猫と金魚」
・伸三「盃の殿様」
~お仲入り~
・伸三「千早ふる〜深川」
・夏丸「代書屋」
夏丸さん「猫と僕/猫と金魚」
真打になることが決まった夏丸さん。一緒になるのが講談の蘭さんということで二人だけの真打。たくさんトリがとれていいなぁ…でも大変そうだなぁ…チケットとか打ち上げとかパーティとか…。
「これからお披露目のチケットも届くので、この後私の会は”落語を聞いていただく会”じゃなくて”チケットを買ってもらう会”に変わります」と言っていたけど、確かに…前に夢丸師匠も「凶器になるぐらいの厚みで来た」と言っていたからなぁ…。
でも自分が応援していた二ツ目さんが真打になるってすごく嬉しい。私なんかはただの客だけどそれでもちょっとこう…感無量。
なんていうと、それを形で示せと言われそうだな…。どきどき。
それから猫好きで有名な夏丸さんが今まで実家で飼っていたペットについての話。
夏丸少年の命を救ったチビの話とか…そのまま新作になりそう。
そして頭がよくてすばしっこかった一代目のタマ、今も生きている頭のよろしくない二代目のマルの話が楽しい~。夏丸さんって淡々と語るんだけどそれがなんともこう味わいがあって楽しいんだよね。このまくらにも「猫と僕」という名前が付いていたぐらいだから…完成度が高い。
そんななが~いまくらから「猫と金魚」。
この番頭さん…黒い…そしてくまさん、最初から弱そう(笑)。
猫好きの夏丸さんが猫を怖がる噺って…シュール。
伸三さん「盃の殿様」
久しぶりの伸三さん。うれしい。
視力をよくしたいと思い続けているので「これをやれば目が良くなる」という本を見かけるとついつい買ってしまう。
この間もそういう本を買って読んだら、近眼というのは目の筋肉の衰えなので、毎日これさえやればよくなるという体操?が書いてあった。簡単だからこれならできると思い、やっているんだけど。
それが、目をつぶって明るいものを見る。それから目をぐるぐる激しく動かす。
これだけでいいっていうんで、自分は信号待ちをしているときとかよくやっている。目をつぶってお日様を見上げて、それから目をぐるぐるっと回して…。
これってまるで「かぼちゃ屋」の与太郎さん…。
…うーん。当たり前のように「目をよくしたい」って…「みんなもそうでしょ」ぐらいの勢いで言うんだけど、仮性近視になったばかりの小学生ならまだしも…この年になってそれに全力で取りかかっている人ってそんなにいないような…。やっぱり伸三さんって面白い。
そんなまくらから「盃の殿様」。前に聞いたことがあったっけと自分のブログを検索したら、喜多八師匠で聞いていたんだった…ああ…。
仮病を使っていろいろなことを断って家にこもっているうちにほんとに具合が悪くなってきてしまった殿様。どうにか殿様に元気を出してもらおうと花魁の絵が描いている札を見せてみると、「こういう女が実際に存在するのか」と一気にノリノリに。
吉原などは悪所だから殿が行くようなところではないとお目付け役に禁じられるとすねてしまって始末に負えない。
仕方ないので「見るだけ」の約束で吉原へ行って花魁道中を見ると、今度は話してみたい。話してみると今度は泊まって行きたい。お気に入りの花魁もできていい仲になるのだが、参勤交代で国元へ帰ることに…。
駄々をこねる殿様が「きもちわるい」の一歩手前ぐらいな感じで、でもなんかかわいらしいようなかわいそうな感じもあって、それが伸三さんとも重なってなんともいえない繊細な面白さ。
うひょー。伸三さん、いいなぁ。前からいいなと思っていたけどとてもいいなぁ。しかもこういうレアな噺をするところがいい!
伸三さん「千早ふる〜深川」
前半がたっぷりめだったので後半はわりとあっさりと。
きょとんとしている伸三さんと「先生」の嘘話に「え?なんかおかしくない?」と言いながらも「あーなるほどね」と丸め込まれてしまう男が重なって面白い。
この会はトリじゃない方が何かしないといけないのでと「深川」を。所作がきれい!
夏丸さん「代書屋」
この間浅草で見たのと同じ、途中に五木ひろしショーが入る「代書屋」。楽しい!
夏丸さんってすごくまじめそうで繊細そうなんだけど、ちょっと何を考えてるかわからないようなつかみどころのなさがあって、それが落語に底知れない魅力を与えていて、なんかもっと見たい、もっと知りたい、という気持ちにさせる。
真打になったらもっとすごいことになる気がするなぁ。
真打披露目、楽しみだ~!
池袋演芸場7月中席昼の部
・やなぎ「まんじゅうこわい」
・さん助「胴斬り」
・世津子 曲独楽
・うん平「浮世床(将棋、本)」
・歌笑「親子酒」
・ホンキートンク 漫才
・小里ん「へっつい幽霊」
・小はん「馬のす」
・仙三郎社中 太神楽
・権太楼「蜘蛛駕籠」
~仲入り~
・菊之丞「町内の若い衆」
・左龍「長短」
・アサダ二世 マジック
こういうヘンテコな世界、好きなんだよー。
70歳になりました、と権太楼師匠。
鈴本なんかに出ると…いや鈴本だけじゃない他の寄席でもそうだけど、顔付けを見て「げ。俺がこの中で一番年上だ」ってことが多くなってきた。
なのに今日のこの顔付けはなんですか!あれ、俺、お茶入れないといけない?って思っちゃった。
歌笑師匠の「親子酒」、袖で見てたけどね、もういいよね、あれをずっとやってて今もやってるんだから。あと「馬のす」、あれね。もうなんなのあれは。凄いでしょ、今日は。見ておいた方がいいよ、ほんと、今のうちに!そうすりゃ後で自慢できるから。「おれ、生で見たよ」って。
このしぶーいメンツの中にあってすごく若々しさを感じた。
ごくごくあっさりとしていて素敵な「青菜」。植木屋さんが江戸っ子らしくさっぱりしていて素直にお屋敷の雰囲気に憧れているのが伝わってくる。おかみさんも口が悪くてえばってるけど、亭主の遊びにつきあってあげる気の良さがあってすてき。
池袋演芸場7月中席昼の部
7/15(土)、池袋演芸場7月中席昼の部に行ってきた。
小のぶ師匠がトリで小里ん師匠、小はん師匠、小燕枝師匠、小満ん師匠って素敵すぎるラインナップ!毎日でも行きたいよ!
・ひしもち「転失気」
・歌太郎「子ほめ」
・たけ平「金色夜叉」
・世津子 曲独楽
・うん平「替り目」
・栄枝 漫談(ブラジル小噺など)
・ホンキートンク 漫才
・小里ん「碁泥」
・小はん「二人旅」
・仙三郎社中 太神楽
・小燕枝「ちりとてちん」
~仲入り~
・菊太楼「幇間腹」
・小満ん「粗忽長屋」
・アサダ二世 マジック
・小のぶ「風呂敷」
歌太郎さん「子ほめ」
歌太郎さんは好きな二ツ目さんなんだけど、あれ?こんなにこってりしてたっけ?それともこの渋いメンツに満員のお客さんで力が入りすぎちゃった?
ちょっとこってりしすぎな「子ほめ」だった。
たけ平師匠「金色夜叉」
客いじりと攻撃的な高座がちょっと苦手だなと思っていたんだけど、この日は面白さの方が勝った。思わずふきだしてしまうようなくすぐりが満載で楽しかった~。
うん平師匠「替り目」
「ブス」のまくらでどん引き…。いやあのまくら自体はよく聞くからなんてことないんだけど、それをわざわざ説明したのがなんともかんとも…。
「替り目」も酔っぱらいの毒々しさの方が目についてしまって楽しめず。絶対あのまくらのせいだと思うなぁ…。
栄枝師匠 漫談
この日は膝を悪くしてということで釈台を出して落語しないで漫談だけだったんだけど、そして喋り方もちょっとふがふがしてて漫談もこうピリっと面白いとかではないんだけど、なんか好きなんだよねこの師匠。ブラジル小噺、好きだった。
小里ん師匠「碁泥」
楽しいっ!碁を打つ二人の様子が目に浮かんできてたまらない。
謝楽祭で冷たくされたことも忘れるほど(←まだ言ってる。全然忘れてない(笑))。
小はん師匠「二人旅」
大好き!ふがふがしてるところも含めてほんとに全てが「落語」で最高。
この噺に出てくる店のおばあさん。小はん師匠がやると「ホンモノがキターー!」って感じで全然無理がない。対する旅の二人はすごく若々しくていかにも江戸っ子って感じ。
この噺はこういうふうにやるんだよ、というお手本のような…というより、もう小はん師匠が「二人旅」そのものだったな。
小燕枝師匠「ちりとてちん」
最初から最後まで最高に面白かった。
作った感じのところが一つもないんだよなぁ。こう…お世辞のうまい人のお世辞に対する旦那の受け答えとかが。すごく自然なんだ。演じてる感がないの。落語なんだ。そこがたまらなく好き。
いちいちつっかかる男の方のやりとりはごくあっさりしていて、それだけに「ちりとてちん」を食べるところのしぐさに大笑い。
楽しかった~!
菊太楼師匠「幇間腹」
こんなメンツに挟まれて緊張するだろうなぁと思ったんだけど、すごくまたよくて。
一八の調子のよさととほほ加減が絶妙で、わかりやすく面白くて若さもあって(笑)最高だった。
小満ん師匠「粗忽長屋」
小満ん師匠の落語は小満ん師匠にしかない世界だなぁ…。言いよどみがあるからどうだとかこうだとかいう人もいるけど、そんなのほんとにどうでもいいことだよなぁ、と私は思う。
行き倒れを見つけた男があまりにも自信満々だから、最初は「よせやい」なんて言ってたくまさんが「そうか、俺は死んだのか」と信じてしまうところがすごくおかしい。
死骸を引き取りにいくところでもくまさんが控えめなのがばかばかしくて楽しい。
何度も何度も見ている噺なのに、噺家さんによってまた面白いと思わせてくれる、不思議な噺だなぁ。
小のぶ師匠「風呂敷」
この噺の中に出てくる兄貴分が間違って語る薀蓄をまくらで語る小のぶ師匠。話しているうちにちょっとごっちゃになっちゃって、「あれ?私今間違った方を言っちゃいました?」「ああ、いつもやらないことを急にやるから…ま、いいか、やらなくても」。
ぶわははは。前にお江戸日本橋亭で見た時を思い出すけど、それすらも落語っぽくて楽しいからいいよ~。
仕込みは80%ぐらい(笑)で「風呂敷」。
兄貴分のところに相談に来た女房も、兄貴分も、焼きもちやきの旦那も、みんな激しくて大笑い。
特に兄貴分が相談に来た女にえらそうに間違った薀蓄を語るところ、自分の女房とのやりとりがばかばかしくて最高だ。兄貴分のおかみさん、すごく気が強い(笑)。
わりと若い人で聴くことが多いこの噺だけど、小のぶ師匠の「風呂敷」はどの若手よりも威勢がいい。
いいなぁ、小のぶ師匠。大好きだ。
ふたりらくご
7/14(金)、ユーロライブで行われた「ふたりらくご」に行ってきた。
二回目のしぶらく。
この日、職場で使っているPCのハードディスク増設で17時からPCが使えなくなったのでこれ幸い!と18時始まりのこの会へ。
志ん八さん「粗忽の釘」
師匠である志ん橋師匠の話。
師匠のお宅で一緒に「サウンドオブミュージック」を見ていた時。かわいがってる猫が師匠の膝の上に乗ってきて「だめだよ。いま映画見てるからね」と師匠が言うと、ちゃんと理解したのか膝から降りて行った猫ちゃん。
でもまたしばらくすると甘えたくて乗ってくると、今度は師匠が「ノー!」。
映画が字幕だったので思わず英語になったらしい…。
前にも聞いたことがあるけど、いいなぁ…志ん橋師匠って。そしてそんな風に自分の師匠の事を語る志ん八さんもいいなぁ。ほのぼの。
そんなまくらから「粗忽の釘」。
いいな、志ん八さんの古典。のんびりしてて。
お隣の家に行ってのろけるくまさんがかわいい。
馬石師匠「厩火事」
500円札の思い出。
小学生の頃、仲のいい友だちと3人で隣の町で行われる釣り大会へ行った。そして3人で帰りにこっそり喫茶店でフルーツパフェを食べる約束。
学区外に子どもだけで出ることも喫茶店に入ることとも禁止されていたので、これは彼らにしてみたら大冒険。
釣り大会ではいい場所を陣取ろうと夜明けともに出かけて行って3人でいい場所を探していたのだが、そうしているうちに友だちの一人が突然川に落ちてしまった!
落ちた!と思ったら首までつかってしまって、川ってこわい!と思ったのだが、どうにか引き上げることができた。
でもこれは3人にしたらものすごいショックな出来事でテンション駄々下がり。それでも「大丈夫!乾くよ!」「うん、乾くって!」
その時の自分たちにとって、「乾く」ってことが何よりも重要だった。
釣り大会では一匹も釣ることができず、それでも参加しただけでとても楽しくて、3人でうきうきと喫茶店へ。
フルーツパフェはとてもおいしくて3人でおいしいおいしいと大興奮。
さてお金を払おうとしたら、一人の子が出した500円札が濡れている。
ああそうだ、さっき川に落ちたからだ!みんなそう気づいたけれど、それは言ったらいけないこと、とこども心に理解していたので、誰もそのことには触れなかった…。
…ぶわはははは。なんだ、そのエピソード?!
馬石師匠は嬉しそうにわやわやと喋るんだけど、とんでもないオチがあるわけでもないし、なんか最後まで聞くとすごくささやかな出来事で…それがもうすごくかわいらしい(笑)。いいな、馬石師匠って。
そんなまくらから「厩火事」。
このまくらと噺のつながりもいまいちナゾなのがまたおかしい。
おさきさんがなよっとするところがとても色っぽくてかわいらしい。演者によっては、ほんとにめんどくせぇ女だなぁ…と思うこともあるから、これは強味だよなぁ。
とんとんっとリズムが良くて楽しい「厩火事」だった。