りつこの読書と落語メモ

読んだ本と行った落語のメモ

わたしのいるところ

 

わたしのいるところ (新潮クレスト・ブックス)

わたしのいるところ (新潮クレスト・ブックス)

  • 作者: ジュンパラヒリ,Jhumpa Lahiri,中嶋浩郎
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2019/08/23
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
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歩道で、仕事場で、トラットリアで、広場で、クリニックで、本屋で、美術館で、スーパーで、海で、レジで、文房具店で、バールで、母の家で、駅で…。生まれ育ったローマと思しき町に暮らす45歳の「わたし」。5年暮らした恋人ともとうに別れ、一人住まいの老母を気にかけながら、大学の講師をしている。誰といても、なじみのどんな場所にいても、親しい道連れのようについてくる孤独。けれどもある日、その孤独が、彼女の背中を押す―。エッセイ『べつの言葉で』につづいて、ジュンパ・ラヒリが自ら選んだイタリア語で書きあげた、初めての長篇小説。 

大きなストーリーが展開するわけではなく日常の断片を綴った物語が集まったものという感じ。

どこにいても自分一人だけがなじめていないという感覚。それは両親がカルカッタ出身のベンガル人で自分はロンドンで移民として生まれ育ったという出自のせいでもあるのだろうが、誰にでも覚えのあるものでもある
寂しさというのは自分にとって忌むべきものではなく、ある意味ほっとするような感じがするという一面もある。

そうはいってもいつも独りぼっちなわけじゃなくて、職場の同僚、何年も会っていない幼なじみ、お互いになんとなく淡い想いを抱いている相手など、自分の周りには「人」がいて多かれ少なかれ関りを持って暮らしている。
その慣れ親しんだ環境から飛び出すところで物語は終わる。

なんかとりとめがなかったなーとも思うけど、何かの折にふと思い出して心強く感じられるような物語でもあった。