りつこの読書と落語メモ

読んだ本と行った落語のメモ

みんなの図書室

みんなの図書室 (PHP文芸文庫)

みんなの図書室 (PHP文芸文庫)

★★★★

次の世代にも残したい文学作品―いわば“文学遺産”と呼ぶに相応しい50作品への思いと読みどころを、読書家として知られる小説家・小川洋子が綴った一冊。森鴎外舞姫』、角田光代対岸の彼女』、チェーホフ桜の園』、ジュンパ・ラヒリ『停電の夜に』といった小説だけでなく、児童文学やノンフィクション、詩集にいたるまで、バラエティに富んだ古今東西の名作を取り上げている。

選ばれているのが自分が若い頃に読んだ本が多かったのだが、小川さんにその魅力を語られると、「ああ、そうだったのか…」と驚きがある。
「あんまり好みじゃないわー」と切り捨てていた本も、小川さんの文章を読むと自分の浅い読み方が恥ずかしくなり、もう一度きちんと読み返してみたくなる。
独自の視点で物語の魅力を深く見つめながら、語る言葉は作家の文章そのものなので、素晴らしくないはずがない。
手元において何度も読み返したい本。

ただ、選出されている本がわりとオーソドックスな本が多かったので、もう少し直球勝負じゃない本も紹介してほしかった気がする。