りつこの読書と落語メモ

読んだ本と行った落語のメモ

柳家小三治独演会

9/12(木)、北とぴあで行われた「柳家小三治独演会」に行ってきた。

・一琴「平林」
小三治「野ざらし
~仲入り~
・一琴 紙切り
小三治厩火事

小三治師匠「野ざらし
今日は少し涼しくなりましたね。涼しくなって少し楽です。ですから今日の私は能弁ですよ、と小三治師匠。

昨日の新聞にこんな記事がありました。78歳の老人が…ああ、78歳は老人ですかね、私78歳ですけど。なんか自分で言って引っかかりました。老人かよ、って。ああ、その78歳がイノシシを見ようと思って…だったかな、山に登ったんですね。そこで蜂に刺されて…78か所刺されて大変だった、という記事でした。
蜂と聞けば黙っちゃいられない。好きですから。私は。スズメバチだったんですかね。あいつらは…こちらが何もしないと思えば何もしないです。でも驚いたり手で払いのけようとしたりしたらだめです。毒液を出すんですよ。ぼわっと。これを付けられると取れない。で、この匂いを頼りに仲間が寄ってきます。で、寄って来た仲間もまたぼわっと出す。それを頼りにまた仲間が…。全力で走っても追いかけてきますから。あいつらと闘っちゃいけない。
蜜蜂は刺さないんですよ。基本的には。もちろんこちらが不用意な動きをしたりすれば自分の身を守るために刺してきます。

…といって、養蜂場に行ってミツバチを手ですくいあげた話やハチミツの話やアフリカのサバンナに動物を見に行った話や歯(インプラント)の話や…。
次々と面白い話が浮かんできては「だめだ、この話をし出すと今日はこれだけで終わっちゃう」「これもよしましょう」「好きなことの話になると我を忘れちゃうから」「なんのためにここに来たかわからなくなっちゃう。ま、それほどの使命感もないんですが」とかいろいろ言いながら途中でやめる師匠。ほんとだ、今日の師匠は能弁だ(笑)。

道楽のまくらから「野ざらし」。
この日の「野ざらし」はとても自由な野ざらしで。
なんだろう。心の赴くままに即興でやってる、みたいな…変拍子っていうかジャズっていうかそんな感じ。
さいさい節が本当に楽しいんだよなぁ。能天気なんだけど、無理してはしゃいでる感じが全くないから、置いてけぼりにならないのだ。
やっぱり「野ざらし」は小三治師匠だなぁ。

普段は鼻に釣り針が引っかかるところで終わりだけど、なんとこの日は太鼓持ちが家に訪ねてくるところまで。そうか、ここまでやろうと思っていたから、長いまくらを封印したのかな。
女が来ると思って待ちわびていた八五郎太鼓持ちが入ってきて「なんだこりゃまた変なのが入って来ちゃったなぁ」というのがおかしいし、なんだかんだ言いながら迎え入れるのもおかしい。楽しかった!


一琴師匠 紙切り
見るたびに切るスピードが上がっているのがすごい。しかも今回は注文を取ったら「野ざらし」。うわーーどうするんだーーと思っていたら、なんと小三治師匠の似顔絵。鼻に釣り針が引っかかっているところ。頓智も効いてないとだめなんだなー紙切りは。すばらしい。


小三治師匠「厩火事
縁のまくらから「厩火事」。
相談されたご隠居が「今日という今日は別れないっていうセリフ、今日が初めてじゃないよ」「お前さん、まだ未練があるんだな」。ご隠居、確信をついてる!
わりと刈り込んでいておさきさんが未練たっぷりな場面はなかったのに、まだまだ旦那に心があることがちゃんと伝わってくるのがすごい。

旦那が茶碗が割れてぎゃあぎゃあ言った後にしばらく黙ってから「怪我でもしちゃいねぇか?」。ここで客席からほっとしたため息が漏れたのに鳥肌。
完敗だ、この旦那には。かなわない。くーー。