りつこの読書と落語メモ

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監禁面接

 

監禁面接

監禁面接

 

 ★★★

重役たちを襲撃、監禁、尋問せよ。どんづまり人生の一発逆転にかける失業者アラン、57歳。企業の人事部長だったアラン、57歳。リストラで職を追われ、失業4年目。再就職のエントリーをくりかえすも年齢がネックとなり、今はアルバイトで糊口をしのいでいた。だが遂に朗報が届いた。一流企業の最終試験に残ったというのだ。だが人材派遣会社の社長じきじきに告げられた最終試験の内容は異様なものだった。―就職先企業の重役会議を襲撃し、重役たちを監禁、尋問せよ。重役たちの危機管理能力と、採用候補者の力量の双方を同時に査定するというのだ。遂にバイトも失ったアランは試験に臨むことを決め、企業人としての経験と、人生どんづまりの仲間たちの協力も得て、就職先企業の徹底調査を開始した。そしてその日がやってきた。テロリストを演じる役者たちと他の就職希望者とともに、アランは重役室を襲撃する!だが、ここまでで物語はまだ3分の1。ぶっとんだアイデア、次々に発生する予想外のイベント。「そのまえ」「そのとき」「そのあと」の三部構成に読者は翻弄される。残酷描写を封印したルメートルが知的たくらみとブラックな世界観で贈るノンストップ再就職サスペンス! 

リストラで職を失い4年目、現在57歳のアラン。
娘二人も巣立ち共働きの妻との関係も今のところ良好だが、家のローンもまだ残っていて改築も途中、なにより男としてのプライドがボロボロでどうにかして再就職をしたいと願っている。

バイト先で直属の上司を殴ってしまったアランはついにバイトもクビになり絶対絶命の大ピンチ。
そんな中、ダメモトで受けた一流企業の最終面接に残ったという通知が届く。
最終面接はテロリストを演じる役者たちと他の就職希望者とともに重役室を襲撃し、その反応を見て、最終的にリストラ対象者を選ぶというえぐい内容。
妻のニコルは最終面接の内容を聞いて不快感をあらわにしてそんな面接を行うような会社は受けないでくれと言うが、アランはどうしてもこの面接に受かって大企業の人事部長の座を勝ち取りたいと思う。

妻に内緒で探偵を雇い就職先の企業の調査を始めるが、家族に嘘を重ね娘の住宅ローンの前金を使い込みそこまでして挑む最終面接は…。

物語はアランが最終面接に挑むまでの「そのまえ」、最終面接まさにその時を描いた「そのとき」、そして面接後の顛末を描いた「そのあと」の三部構成。「そのとき」だけがアランではなく、面接を仕切る警備会社社長のフォンタナの視点から語られる。

「そのまえ」は、アランがどんどん追い詰められて家族にも見放されて孤立していくので、読んでいてしんどくてもうやめようかと思ったけれど「そのとき」「そのあと」は一気読みだった。

「そのとき」を読んで、もしやアランの一発逆転があるのでは?とワクワクしたけど、うーん…。あそこでやめておけばよかったね。というかやっぱりニコルの予感は当たったんだな…。そして最後は欲をかいたせいで一番大切なものを失うのね…うーん。

サスペンスとして割りきって読めばまあまあ楽しめるかな。
それにしてもフランス人も日本人と同じように「会社第一」で「企業戦士」で「会社の言いなり」なんだね…。そこに一番驚いた。