地下鉄道
★★★★★
コーラはランドル農園の奴隷だ。身よりはなく、仲間たちからは孤立し、主人は残虐きわまりない。ある日、新入りの奴隷に誘われ、彼女は逃亡しようと決意する。農園を抜け出し、暗い沼地を渡り、地下を疾走する列車に乗って、自由な北部へ…。しかし、そのあとを悪名高い奴隷狩り人リッジウェイが追っていた!歴史的事実を類まれな想像力で再構成し織り上げられた長篇小説。世界を圧倒した奴隷少女の逃亡譚。ピュリッツァー賞、全米図書賞、アーサー・C・クラーク賞、カーネギー・メダル・フォー・フィクション、シカゴ・トリビューン・ハートランド賞、レガシー・フィクション賞、インディーズ・チョイス・ブック・アワード受賞!ニューヨーク・タイムズ・ベストセラーAmazon.comが選ぶ2016年のNo.1。
奴隷として生まれた少女コーラが一緒に逃げないかと声をかけられ、奴隷制度に反対する白人の助けを得て地下鉄道を使って北へと逃げる。この鉄道が走り抜けるシーンの美しさとこの先には自由があるのではないかという希望だけを頼りに読み進めていったが、抱いた希望はすぐに打ち砕かれていく。
こんな地下鉄道がこの時代にあったのかと思ったが、この部分はフィクションなのだった。
フィクションだからこそ読み終えることができた。そうでなかったら無理だった。
奴隷の処刑を見るために公園に集まる白人の群れの描写は、アメリカだけではなくヘイトスピーチに興じる今の日本にも通じるものがあってとても恐ろしい。
これは決して過去の物語ではないのだと思った。