りつこの読書と落語メモ

読んだ本と行った落語のメモ

末廣亭5月中席夜の部「5代目柳家小さん 17回忌 追善興行」

5/11(金)、末廣亭5月中席夜の部「5代目柳家小さん 17回忌 追善興行」に行ってきた。
13回忌の興行は行っていてとても楽しかったので、初日、午後休をとって行ってきた。
前の時、整理券を配っていたので、今回もあるかなと思って15:20頃行ってみるとかゑるさんが立っていて整理券を配っていて、もらってみると30番代後半。こんなことならお昼を食べる前に来ればよかった…。
でもずっと並んでいなくて済むのはありがたい。

 

・口上(小袁治、小団治)
・さん福「豆や」
・三寿「強情灸」
・にゃん子・金魚 漫才
花緑蜘蛛駕籠
・南喬「壺算」
・さん八 物まね(田中角栄など)
・小さん「のめる」
馬風 いつもの
小満ん「猫の災難」
~仲入り~
・鼎談(小三治馬風
・小袁治「初天神
・小猫 動物物まね
小三治ちはやふる


三寿師匠「強情灸」
この師匠、前の小さんまつりの時に見て、その時は歌を流しながら登場したのですごくびっくりして、変わった噺家さんだなぁと思っていたんだけど、前に見た時より若々しくなっているような?三寿師匠って寿伴さんの師匠だっけ?お弟子さんが入って若々しくなった?
そして江戸っ子の朝湯のまくらからの「強情灸」という、もう寄席で何回見たかわからない流れだったんだけど、これがとても面白かった。特別フツウと違っているわけじゃないんだけど、なんだろう。テンポがよくて間がよくてとても気持ちいい。
わーーびっくり。なんか他の噺も見てみたい!


南喬師匠「壺算」
テッパン。こんなに聴きなれた噺がいつもこんなに面白いってすごい!
満員の客席が一番盛り上がって、私が鼻の穴膨らませて誇るところじゃないんだけど、なんかとってもうれしい。
「この3円にはなんの疑いもないんです」。ほんとに憎めない番頭さん。


小満ん師匠「猫の災難」
一人で飲んで気持ちよくなって都々逸を歌うくまさんの楽しそうなこと。小満ん師匠らしく、ちょっと変わった都々逸なのが素敵。
そしてお酒がおいしそうで思わずごくり…。
いいなぁ、小満ん師匠の「猫の災難」。大好きだ。


鼎談(小三治師匠、馬風師匠)
馬風師匠が露悪的な話をして、小三治師匠がちょっと考えるような顔をして…ちょっと怖い顔になったかと思うとしばらくしてぷっと吹きだすのがなんかすごく面白い。
内弟子馬風師匠は、小さん師匠の旅にもよく付いて行っていてそれが羨ましかったという小三治師匠。
一方馬風師匠の方は、今の小さん師匠が小学生の時におねしょしないように夜中にトイレに連れて行ったり、芸者に送られてきた小さん師匠を鬼の形相のおかみさんが階段を転げるように降りてきて激しい夫婦喧嘩があったり、前座時代から生意気だった小三治師匠をいたぶってやれとご飯を鬼のように食べさせて小三治師匠が1週間休んでそのわけを小さん師匠に話したもんだから後から師匠にこっぴどく怒られたり…。
絶対気が合わない二人だけど、小三治師匠が話の合間に「…おもしろいねぇーー」と笑うのがすごく楽しくて、思った以上に楽しい対談だったなぁ。

 

小三治師匠「ちはやふる
今も師匠に言われた言葉は呪いのように自分にとりついている、と小三治師匠。
私の「粗忽長屋」は若い頃ずいぶんウケてたんです。ある時寄席で師匠と一緒になった時にこの「粗忽長屋」をやってどかんどかんとウケて楽屋に戻った。師匠に呼ばれたので、褒められるのかなと思って行ってみると、師匠が「さっきのはなんだ。ウケすぎた」って言うんです。ウケすぎって小言をくらうとは思ってなかったので、ええ?と思いましたよ。
お前はウケようウケようとしてやってる。落語っていうのはお話なんだ。そのお話の中で登場人物が自由に動き出す。そうしたらそんなにどかんどかんウケるわけないんだ。
そう言われました。

そして落語っていうのは、よく言う小噺「隣の空き地に塀ができたってよ」「へー」っていうのでも、この光景が見えてこないといけない。そのためには間とかちょっとした首の動きとかそういうので距離が見えたり、光景が浮かんでくるから、面白い。
私が一番好きな小噺。
無精者が大勢集まって話をしている。その中の一人が「これだけ無精者が集まってるんだから無精者の会を作ろうじゃねぇか」っていうとそれを聞いた一人が「…よそうよ。…めんどくせぇ」。
これなんかもこの言いだすタイミングとか、言葉と言葉の間の「間」で、なんともいえないバカバカしさが生まれてくる。

…ぶわはははは。確かにこの小噺で大爆笑してしまった。間、なんだなぁ。やっぱり小三治師匠はこの間が絶妙なんだなぁ。くー。

そんなまくらから「ちはやふる」。
在原業平」の名前が出なくて、「あ、ああ、いたな。いい男」という答え方。
業平の歌といわれて「ああ、あるな。うたったな」。
竜田川、なんだと思う?」と聞いた後の先生のいらっとした感じ。
この二人が見えてくるんだよなぁ…。
「いいだろう、豆腐屋になったって」。

もう何度も聴いている小三治師匠の「ちはやふる」だけど、もうなんともいえず楽しくて幸せ。
有休とって行った甲斐があったなー。満足。