りつこの読書と落語メモ

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軋む心

軋む心 (エクス・リブリス)

軋む心 (エクス・リブリス)

★★★★★

不況にあえぐアイルランドの田舎町で、ある男の他殺体が見つかり、ひとりの幼児が何者かに連れ去られる…。殺人と誘拐という不穏な旋律に、21人の語り手の声がポリフォニックに絡み合う、遅咲きの新鋭による傑作長篇!アイルランド最優秀図書賞、ガーディアン処女作賞受賞作品。

21人それぞれが自らの境遇と心情を語る。
雇い主に騙され失業して落ち込むボビーは、自己評価が低いがゆえに読んでる側から見るとどうしようない人間なのか?と思うが、その後他の人から見たボビー像を読むと、決してそんなことはないのだとわかる。
失業したり悲運に見舞われて絶望する人たちは攻撃的になったり他人の不幸を喜んだり自暴自棄になったり。
その不穏な空気がリアルでヒリヒリするが、人を見る目がある人もちゃんといてその確かさがこの暗い物語に少しだけ光を与えてくれている。

とてもよかった。これがデビュー作とは恐るべし。