りつこの読書と落語メモ

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悲嘆の門

悲嘆の門(上)

悲嘆の門(上)

悲嘆の門(下)

悲嘆の門(下)

★★★★

ネットに溢れる殺人者の噂を追う大学一年生・孝太郎。“動くガーゴイル像”の謎に憑かれる元刑事・都築。人の心に渇望が満ちる時、姿を現すものは?宮部みゆきの物語世界、さらなる高みへ!

宮部作品の魅力は細部にこだわりリアルに徹するところだと思っている。
悪をリアルに描く一方で、苦しみながらも悪と戦う魅力的な人物を描いているので、読者は陰惨な事件もどうにか楽しみながら読むことができる。

でもこの頃は、悪が悪すぎて救いが無さすぎて読むのが辛くなってきて、おそらく作者自身も書くのもしんどくなったのではないか。
ファンタジーの力を借りることで、人間の力を超越した存在から見たときの悪と、戦うには頼りないけれどそれでも存在する善を描くことができる。だからこういう作品を書いたのではないかなぁ、なんて勝手に想像。

愛する人を奪われたり、殺した側に十分な罰が与えられてないと感じる時、復讐してやりたい、ひどい目に遭わせてやりたいと思うことはある。
しかしそれを実行してしまうと人は人でいられなくなる。
物足りなく感じても割り切れないものを感じても、司法で裁くのがベスト…ということなのかなぁ…。

善悪の判断を行わない、感情のない、ガラが一番魅力を放っていたのが面白い。