りつこの読書と落語メモ

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夜が来ると

夜が来ると

夜が来ると

★★★★

海辺にひとり暮らすルースは、ある朝目覚めて、家にトラがいると思った。荒々しく大きなトラが、確かにそこにいたのだ……。同じ日にフリーダという女性が訪ねてくる。ルースのためのヘルパーだった。ルースはフリーダに頼るようになるが、フリーダもトラも、はじめ思ったのとはちがっていて――
愛や絆、記憶、人の心の不確かさを新人離れした筆力で描き上げ、世界から絶賛された長篇小説。

こういう物語だとはまるで予想していなかったので、後半のサスペンスな展開には驚いた。
うう、そうだったのか。そうと知っていれば読まなかったな。

とはいえ、真夜中ジャングルとともに現れるトラの気配とか、明らかに胡散臭いフリーダと心が触れあう瞬間とか、美しい描写があって、確かにそれは本当のことだったのだ、と感じる。
だからこそこんなにも怖い物語だけど読み終わって残るのはルースが少女時代を過ごしたフィジーの美しい風景だったり儚い初恋だったり穏やかな夫と過ごした日々だったりするのだろう。

結局ルースはなにも失ってはいないし何も奪われていない。そう思いたい。
しかし老いるというのは本当にしんどいことであるなぁ。