りつこの読書と落語メモ

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スウェーデンの騎士

スウェーデンの騎士

スウェーデンの騎士

★★★★

1701年冬、シレジアの雪原を往く二人の男。軍を脱走し大北方戦争を戦うスウェーデン王の許へ急ぐ青年貴族と、〈鶏攫い〉の異名をもつ逃走中の市場泥坊――全く対照的な二人の人生は不思議な運命によって交錯し、数奇な物語を紡ぎ始める。泥坊が一目で恋におちる美しい女領主、龍騎兵隊を率いる〈悪禍男爵〉、不気味な煉獄帰りの粉屋、〈首曲がり〉〈火付け木〉〈赤毛のリーザ〉をはじめとする盗賊団の面々ら、個性豊かな登場人物が物語を彩り、波瀾万丈の冒険が展開されるピカレスク伝奇ロマン。

いかにもぺルッツらしい。
幻想と宗教的な味付けがされているけど、主軸になるのは泥坊が貴族と入れ替わるというワクワクするストーリー。
知力、体力、経営の才能に恵まれた泥坊が、運を味方につけてのし上がっていくのは、読んでいて痛快。

そして教会涜しというゾッとするような悪行を働いて財を築く主人公だが、その行為自体が天の審判員から罪に問われないというのがなんとも独特。
残虐な行為は許されて、むしろ邪な心を抱いていることで有罪とされる。
ふしぎな宗教感と生命力のかたまりなような登場人物に圧倒された。