英子の森
- 作者: 松田青子
- 出版社/メーカー: 河出書房新社
- 発売日: 2014/02/10
- メディア: 単行本
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彼女たちを「違う世界」へ連れて行ってくれる魔法、それは――
『スタッキング可能』でわたしたちが〈洗脳〉されている「社会」の「不確定さ・不安定さ」と
「個人」の「代替可能性」をシニカルに描いた松田青子が贈る、待望の第2作品集。
スタッキング可能が衝撃的だったのでそれよりは落ちるのではと勝手に思っていたのだがそんなことはなく前作以上に面白かった。
小花の壁紙に小花のエプロンに小花の皿。そして野の花が咲き乱れる母娘の「森」。
そんな森を出て英子が向かうのは派遣先の高層ビル。
専門学校に通いTOEICの点数を競い合っているのも、英語を使った仕事をしたいと望んでいるから。
だけど実際しているのは、英語を使うといってもお決まりのフレーズを5つぐらいで、あとは立っているだけの受付の仕事。
こんな仕事に意味があるのか、ここから抜け出すことはできるのか。そんな不安や迷いも、娘に期待し自分の夢を押し付ける母の前に出ると言えなくなってしまう。
狭い家にふさわしくないシャンデリア。
会うたびに「グローバル化」を説くグローバルくん。
日常の描き方がとても丁寧でリアルだからこそそこに紛れてくる異常がきらきらと輝く。うまいなぁ!
一番好きだったのは「※写真はイメージです」。これたまらない。この作者、きっと音楽好きだよね?