りつこの読書と落語メモ

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エミリーに薔薇を

エミリーに薔薇を (福武文庫―海外文学シリーズ)

エミリーに薔薇を (福武文庫―海外文学シリーズ)

★★★

心を病んだ一人の女の愛する男への妄執を、ゴシック小説仕立ての怪奇・スリル・サスペンスで描き出した表題作「エミリーに薔薇を」他7篇を収録。「アザサロム、アブサロム!」「響きと怒り」など、難解をもって鳴る17の長篇が築く険阻な大連峰を踏破する第一歩として、必読の短篇集。

いや分かりにくい。翻訳も古いのかなぁ。昔はこれくらい硬さの目立つ文章でも違和感なく読めたけれど、今はなかなか理解できない。昨今の新訳に甘やかされた結果か、はたまた老化か…(とほほ)。
高校、大学の頃、自分でばかすか本を買うようなお金もないので、親戚のおじさんから大量に譲り受けた世界文学全集を読みあさっていて、その頃にフォークナーも読んでいて、その時は面白いと思ったんだけど。今読むと読みづらいし難しい。当時の私は本当に理解できていたんだろうか。謎。

まだ奴隷制も残るアメリカ南部の物語。
人種差別に反対する姿勢を表すでもなく事実としてただありのままに描く姿勢に戸惑う。
黒人を下に見ている…とは一概には言えないのだが、何か自分たちには見えないものが見えているのではないかというような畏れのようなものがあって、自分たちとはそもそも別の人種であるという強い意識を感じる。

「エミリーに薔薇を」は昔読んで強烈な印象が残っていたのだが今読んでも十分面白い。
人間の感情は時代が変わっても不変だからこそ人間の内面を描いた小説は古びないのだと思った。