りつこの読書と落語メモ

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シスターズ・ブラザーズ

シスターズ・ブラザーズ

シスターズ・ブラザーズ

★★★★★

粗野で狡賢い、冷血漢の兄・チャーリー。ふだんは心優しいけれど、切れると大変なことになる弟・イーライ。悪名轟く凄腕の殺し屋シスターズ兄弟は、雇い主の“提督”に命じられ、ある山師を消しにサンフランシスコへと旅立つ―理由はよくわからぬまま。兄弟は何に出遭い、何を得て、そして何か失うのか?ゴールドラッシュに沸くアメリカ西海岸、名高き殺し屋シスターズ兄弟の、目も当てられないダメな旅路。総督文学賞など4冠制覇、ブッカー賞最終候補作。

ずるがしこくて冷酷な兄と、心優しいけれどキレる手がつけられないほど暴力的になる弟、シスターズ兄弟。
「提督」に依頼されてとある「山師」を殺すためにサンフランシスコに向かう旅を弟のイーライが語る。

残酷なのにユーモラスで心温まる。でも油断してるといきなり銃口を突きつけられるような狂気も孕んでいる。なんだろうこれは。
確かにコーエン兄弟の映画にも似たブラックユーモアと狂気を感じる。

明らかにポンコツの馬に愛着を覚え心を通わせ看病するのに、その馬が死んだ時にはそれほど悲しがりもせずけろっとしている。
手にした金を一目ぼれした女に気前よく渡しながらも、会いに行って彼女がいなくなっていると、「なんだ。愛してたわけじゃなかったんだな」とがっかりもしない。
何人もの人間を殺しながらも実家に戻り母に甘えてほっとする。
考えてみると、イーライはかなり身勝手で危険な男だ。

フィクションだからこそ許されるのだと思うのだが、こういう理屈が現実の犯罪者にも共通するものなのだと考えると、ちょっとぞっとするのだった。