りつこの読書と落語メモ

読んだ本と行った落語のメモ

開かせていただき光栄です―DILATED TO MEET YOU―

★★★★

18世紀ロンドン。外科医ダニエルの解剖教室から、あるはずのない屍体が発見された。四肢を切断された少年と顔を潰された男性。増える屍体に戸惑うダニエルと弟子たちに、治安判事は捜査協力を要請する。だが背後には、詩人志望の少年の辿った稀覯本をめぐる恐るべき運命が…解剖学が先端科学であると同時に偏見にも晒された時代。そんな時代の落とし子たちがときに可笑しくも哀しい不可能犯罪に挑む。

皆川さんの小説って、なんか日本人が書いた感じがしない。
計算され尽くされた言葉で細部が描かれているからだと思うけど、その時代の雰囲気や空気が匂い立つ。ものすごく濃厚な世界観があるので、入り込むまでしんどいんだけど、入れてしまうと癖になるというか抜け出せなくなるというか…。

これもイギリスの一昔前の本格推理小説のよう。
解剖教室に集まる弟子たちのユーモラスな会話、増える死体、盲目の治安判事、田舎から出てきた詩人志望の少年…。
ほんとすごいわ。人間味と非人間味、残酷さとユーモアのバランスが絶妙。

いやぁ、面白かった。シリーズ化してほしいけど、このシリーズ化もあり!と思わせる終わりかたも計算?と思ったら、このミスのわたしの隠し玉に皆川さんが続編を書いてると書いてあった!やったー。