りつこの読書と落語メモ

読んだ本と行った落語のメモ

神様 2011

神様 2011

神様 2011

★★★★★

くまにさそわれて散歩に出る。「あのこと」以来、初めて―。1993年に書かれたデビュー作「神様」が、2011年の福島原発事故を受け、新たに生まれ変わった―。「群像」発表時より注目を集める話題の書。

「あのこと」以来日常が微妙に変わる。
小さな変化に見えるけど、でも実はものすごく異常な日常。
これがいま私たちの暮らしている世界なのだと思うとなんだか泣きたくなる。

礼儀正しいくまとのハイキングは以前と同じようなのに…。
デビュー作を「2011年」と題名をつけて改編しただけで、こんなにも悲しくて苦い物語に昇華できるって…。
作家としての凄みを感じる。

それでも日常は続いていくし、生きている限りはきちんと生きていたいし、希望も持って生きたい。最後まで。