りつこの読書と落語メモ

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無限

無限 (新潮クレスト・ブックス)

無限 (新潮クレスト・ブックス)

★★★★

ある真夏の一日、アイルランドの片田舎に建つ屋敷。生死の境をさまよう老数学者アダムを、家族たちが取り囲む。若き妻アーシュラ、父と同じ名を持つ息子アダム、傷つきやすく閉じこもりがちな妹ピートラ、息子アダムの妻で女優のヘレン。そして、それを密かに見守る、いたずら好きの「神」たち。神々は気まぐれに人間に入り込んでは美人を追いかけまわし、時間を止めてしまったりもする。不完全な、限りある命の人間たちを淡々と観察しながら、ときに「神」は、愛することや死ぬことに憧れを抱く―。慈愛と思索とユーモアが響き合う傑作長篇。

読みづらくって苦戦した〜。
と言っても、面白くなかったわけでは決してなくて。
面白くてページをめくる手がとまらない!というよりは、何ページか読んでしばらくぼ〜っと余韻に浸りたい。そんな感じの小説だった。

一家の主が脳卒中の発作を起こし昏睡状態になり、彼の臨終に立ち会うために集まってきた人たち。
彼の息子のアダムとその妻ヘレン。彼の娘で自傷癖のあるピートラと、その父親目当てで近づいてきたボーイフレンドのロディ。
年若い妻のアーシュラはアル中。料理番の老女アイヴィは元貴族。アイヴィといい仲になる牛飼いのダフィ。
そして正体不明のいかにも怪しげで悪の匂いのするベニー。

主の死を待っているような不穏な雰囲気だが、誰も何もしない。動かない。
動くのはむしろ、いたずら好きの神様。
この物語は神様が語る物語なのだ。

うつろな人間と欲望が一見シンプルな神様の対比がとても面白い。
死を描きながら、生と性が妙に生々しい。
なんか独特のムードのある小説だ。

なんとなく最後神様の手できれいにまとめられた感じがじんわり良い。なんか物語の神様にも見守られている気分だ。