大吸血時代
- 作者: デイヴィッドソズノウスキ,金原瑞人,大谷真弓,David Sosnowski
- 出版社/メーカー: 求龍堂
- 発売日: 2006/03
- メディア: 単行本
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ウツ気味の中年ヴァンパイアが拾った少女は、本物の「人間」。血をいただくのは後にして奇妙な同居を始めたが、ガキを育てることの面倒と、そして楽しさときたら! スリルでクール、滑稽でホロリとする吸血鬼モノ、日本上陸。
実はこの出版社が出している翻訳本が苦手…。「十二番目の天使」は「けっ!!なんじゃこりゃ!!」と壁に投げつけた本だし、「石を積む人」も読みながら「はぁ?」と鼻の穴が意地悪く膨らんできて、「ああ、十二番目の天使の出版社か…けっ!」と放り出した経験があり…。
この本は新刊情報で見て「読んでみたい!」と思って図書館で予約していたんだけど、手元に届いてみて「うえっ。あの出版社か」と嫌な予感。しかも私の苦手な金原さんの翻訳だし…。
いやでもこれは面白かった。バリバリのエンタメ小説で、ちょっとお手軽すぎるような感じがしないでもないけれど、でも憂鬱症のヴァンパイアが子育てに夢中になっていくというストーリーがとてもキュート。特に少女との出会いや、遠い昔の人間時代を急に思い出して赤い涙を流すところなんて、うぉーーいいなぁーーと。なんか私こういうダメ男(これはヴァンパイアだけど)が父性にめざめる、というようなストーリーに弱いんだよね。
後半からちょっと子育てもつらい時期に入ってきて、それをどうにか物語の中におさめようとして?都合のいいような展開になってしまったのがちょっと残念ではあったけれど、全体的にはおおいに楽しんで読めた。