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りつこの読書と落語メモ

はてなダイアリーからブログに移行しました。

週刊キッショウ #37

落語 立川吉笑

9/21(水)、連雀亭で行われた「週刊キッショウ#37」に行ってきた。

・語楼「つる」
・吉笑「一人相撲」
~仲入り~
・吉笑「粗粗茶」
・吉笑「井戸の茶碗

語楼さん「つる」
初めて見る前座さん。談四楼師匠のお弟子さんらしい。ちょっと大泉洋さんに雰囲気が似てる。
明るくてきびきびした高座。「つる」をこれだけ面白くできるってすごいわ。面白かった!

吉笑さん「一人相撲」
前にあがった語楼さんの落語を「ちゃんとしてますね。立川流の前座にしたら珍しく」。
最近前座さんを集めて「落研」を作り、落語家としての基本的なスペックの底上げをはかろうとしている吉笑さん。
ほんとにえらいなぁと思う。前向きなんだよなぁ。
もしかするとまわりの人から煙たがられたりすることもあるかもしれないけど気にしないで頑張ってほしいなぁ、と思う。

語楼さんについて「落語を聞くまでは”イタイヤツ”だと思ってたけど、落語を聞いてみる目が変わった」と言う吉笑さん。
なぜ”イタイ”と思っていたかというのを詳しく話していたけれど、確かにメールの返信ってどこの世界でも大事なポイントだよな、と感じる。
いやしかしいろいろ気を使わないといけなくて大変だね、落語家さんって。ほんと。

でも私はこの人のこういう率直なところ、好きなんだよなぁ。
バランス感覚があるから無駄に体当たりして疲弊せずに泳いでいけるところがあるように感じる。
いやもちろん疲れることもあるだろうけど。
優等生のできすぎくんじゃないところも好きだな。

長いまくらから「一人相撲」。初めて聴く噺。
相撲が好きな旦那が奉公人の手前今回は江戸に相撲見物に行くのを我慢したんだけどどうにも気になって気もそぞろ。そんな旦那に番頭が、実はそんなこともあろうかと思って、奉公人たちを江戸へ派遣している、という。
飲まず食わずで走って江戸へ相撲見物してきた奉公人が旦那に自分が見てきた相撲を物語る、という内容。

行司の立ち位置が真ん中じゃなかったというのを戻ってきた奉公人が全員言う、っていうのがすごく面白い。
こういう独自の細かいこだわりがすごくツボでおかしくてしょうがない。

20日後に帰ってきてまくらもうまい奉公人が、行司のことしか見てなかった、というのもおかしくて、笑いっぱなしだった。


吉笑さん「粗粗茶」
これも初めてきく噺。私の好きな「舌打たず」にも似た、わけのわからない「こだわり」が「常識」であるとして押し通す噺。
好きだわー。このわけがわからないけど理屈が通っているような変な世界観。ツボだわー。もうおかしくておかしくて。大好き。


吉笑さん「井戸の茶碗
三席目でまさかの「井戸の茶碗」!
いやここまでで結構時間も押してたし、吉笑三=新作というイメージもあるのでかなりびっくり。
そして古典なのに、そしてそんなに大きく変えているわけじゃなのに、全然古典らしくない。
時間が押していたこともあったんだけど吉笑さんが頭をフル回転させてこの噺をどうにか刈り込もうとしていたのが見ていてすごく面白かったー。

鈴本演芸場9月中席夜の部

落語 柳家さん助 桃月庵白酒

9/20(火)、鈴本演芸場9月中席夜の部に行ってきた。

・さん助「だくだく」
・龍玉「たらちね」
・正楽 紙切り
・燕路「辰巳の辻占
・さん喬「抜け雀」
~仲入り~・ホンキートンク 漫才
・玉の輔「マキシム・ド・のん兵衛」
・小菊 粋曲
・白酒「笠碁」

 

さん助師匠「だくだく」
わーい、「だくだく」!
タンスばかり描いてもらいたがったり、金庫に気品を求めたり、石灯籠を描いてもらったり…独自なこだわりがなんともいえない楽しさ。
惜しむらくは泥棒と「つもり」でやりあうところがあっさりしすぎていて物足りない。そこは志の輔師匠ぐらいくどくくさくやってほしいなぁ。って、また両方にたいして失礼な物言いになってしまってる?


龍玉師匠「たらちね」
「強情灸」じゃない!ひゃほー!ってこれも失礼か。
いやでもやっぱり何度も通う身からすると、寄席だといつもこの噺っていうのはなんかつまらないんだよなぁ。毎回噺を変えてくれる、それだけでポイントアップ。
龍玉師匠の「たらちね」は、他の人とちょっと違う形なのでそこも好きだな。


さん喬師匠「抜け雀」
仲入りで「抜け雀」をやってくれるさん喬師匠が好きだー。さらに、これぐらいの出番だとあっさりやられるのでそこもうれしい。

白酒師匠「笠碁」
この日は台風直撃だったんだけど、そんな中来てくれてありがとう、というのをまくらで言っていた白酒師匠。
噺の中でもそんなくすぐりもあって、来てよかったなぁとじんわりうれしくなる。
笠をかぶってくるおじいさんがぷよぷよしていて笠からはみ出てる、っていうのがなんかじわじわ面白い。
どんな噺も無理なく自分に寄せる白酒師匠ってほんとにすごいな。

レモンケーキの独特なさびしさ

エイミー・ベンダー 海外ア

 

★★★★★

9歳の誕生日、母がはりきって作ってくれたレモンケーキをひと口食べた瞬間、ローズは説明のつかない奇妙な味を感じた。不在、飢え、渦、空しさ。それは認 めたくない母の感情、母の内側にあるもの。以来、食べるとそれを作った人の感情がたちまちわかる能力を得たローズ。魔法のような、けれど恐ろしくもあるそ の才能を誰にも言うことなく―中学生の兄ジョゼフとそのただ一人の友人、ジョージを除いて―ローズは成長してゆく。母の秘密に気づき、父の無関心さを知 り、兄が世界から遠ざかってゆくような危うさを感じながら。やがて兄の失踪をきっかけに、ローズは自分の忌々しい才能の秘密を知ることになる。家族を結び つける、予想外の、世界が揺らいでしまうような秘密を。生のひりつくような痛みと美しさを描く、愛と喪失と希望の物語。

 

どこからどこまでも好みだった。

食べたもので作ってる人の感情がわかってしまうローズ。
9歳の時に母の作ったレモンケーキを食べて母の心の中の空虚を知ってしまう。

誰に相談しても病院に行ってもどうにもならないということを身をもって知ったローズは、その能力とどうにか折り合いをつけて生きていく。
しかしこの能力ゆえに、母の不倫に気づいてしまったローズはその秘密を自分一人の胸に秘め、危うい家族の絆をどうにかして保とうとする。

一方母の愛を一心に受けて育った兄ジョセフは、神童と呼ばれるほど頭が良かったのだが、成長するほどに内にこもるようになり、一人暮らしを始めてからはさらにこもるようになっていく。
実は兄にも誰にも言えない能力があったのである…。

繊細でありすぎることは時に生きることを苦しみに変える。
人に言えないような能力を持ってしまったらなおさらのこと。
その能力とともにそれを生かして生きていこうとするローズ、消えることを選んだ、あるいは選ばざるを得なかったジョセフ、そして逃げることを選んだ父。
その差は大きいようにも思えるけれど、たいしたちがいはないと考えることもできる。

ローズがジョージと電話で話すシーン、兄とのシーンには涙が溢れた。
寂しいけれど優しい物語。いままで読んだエイミーベンダー作品のなかで一番好き。

 

こしらの集い

立川こしら 落語

9/17(土)、お江戸日本橋亭で行われた「こしらの集い」に行ってきた。
この会に行くのは久しぶり。前は平日だったので結構行きやすかったんだけど、土日になってなかなか行くのが難しくなってしまって。
でも大好きなんだ、この会。こしら師匠がまくらでぶっちゃけまくってくれるのが楽しくて楽しくて。


・仮面女子「山号寺号」
・こしら「御神酒徳利」
~仲入り(質問、撮影コーナー)~
・こしら「お江戸ヒーローズ」

 

こしら師匠「御神酒徳利」
いつものように作った手拭いの紹介から。
いやぁ相変わらずいろんな手拭いを作っていておかしすぎる!どんな手拭いかは書けないけど、もうほんとにね…好きだよ(笑)。その節操のなさとばかばかしさが。

そして最近は結構地方に行って落語会をやってるという話。これがまたおかしい~!
広島に行って二日連続で落語会。一日目はお客さんも大勢入って盛り上がったんだけど問題が二日目。集客が心配だからということで「カープ落語」というテーマでカープ女子を集めることに。

いやいやいや、カープ落語言われても自分はヤクルトファンだし最近は野球も全然見てないから新しい選手も知らないし。
それでも何かやらなければいけないと思い、自分が知ってる選手(古い選手ばかり)を盛り込んだ新作を用意。

いっしょに出るアコさんはまったくの野球音痴で「野球といったら?」と聞くと「昔じぶんちの近くに屋敷選手の家があった」って、野球に全然関係ないエピソード。
そんなアコさん。少しは野球もネタにしなければとベイスターズ戦を見に行ったんだけどたまたま相手が広島カープで、たまたまその時の先発が玄人受けする選手。この時のラインアップをメモして帰ってきてそれを順番に歌ったんだけど、最後にそのピッチャーの名前が出ると、来ていたお客さん(全員カープファン)が「わかってるぅ!!」と大盛り上がり。
あいつーーーまったくの野球音痴のくせにーーー全部いいとこ持って行きやがった!

そんな話や書けないような話がたくさんでもう笑った笑った。
ほんとにこしら師匠のまくらは最高に面白いっ!

この会は夜の部でネタ卸しをして、昼の部で前回ネタ卸しした噺をやるという流れ。
前回この噺をしたときは8月だったので、旅行に行けなかった人のために少しでも旅気分を味わってもらおうとやったんですけど、ちょっと季節外れになっちゃいましたね、と言いながら「御神酒徳利」。

「お店で大変なことがあった」と番頭の善六が家に帰ってきて女房に話そうとすると、「待って。あたし今日は調子がいいから水晶玉で当てる」という女房。
あれこれ言うもののまったく当たらないと、次は亀の甲羅で占うと言いだす。「どうやって?」と聞くと、亀を火であぶって…というので「生き物にそんなかわいそうなことをしちゃだめだ」と諭す。
旦那が大事にしている御神酒徳利が無くなったと大騒ぎで一日中探していたのに見つからなかったのだが、帰り道に実は自分がこれを水瓶に隠しておいたことをすっかり忘れていたという番頭に「だったら占いで当てればいい」と女房。

基本的にはフツウの「御神酒徳利」と一緒なんだけど、占いで「水瓶」を当てさせようと番頭が言うのに、主人が「食べ物に関係があってためておく…肥溜だ!」と間違えたり、細かいところがいちいちばかばかしくておかしい。

最後はサゲが最初に出てきた「亀」とつながって、おおお!と。


小しら師匠「お江戸ヒーローズ」
新作だけど笑いどころがほとんどありません、と「お江戸ヒーローズ」。
小しら師匠ってこういう新作も作るんだ!そうか、ゲーム好きだから、ヒーロー物というよりはロールプレイングに近い感覚なのか。

わらいどころはないと言いながら、鬼が島に鬼退治に行くのが、魚勝だったり仲買の弥一だったり飯炊きの権助だったり…。落語ファンを喜ばせる「技」が楽しい。

いやぁ面白かった。土日はなかなかキビシイけど、また行きたい、この集い。

柳家小三治独演会 サンパール荒川

柳家小三治 柳家小はぜ 落語

9/16(金)、サンパール荒川で行われた「柳家小三治独演会」に行ってきた。

・小はぜ「狸鯉」
小三治「出来心」
~仲入り~
小三治粗忽長屋


小はぜさん「狸鯉」 
わーい、小はぜさん。
二ツ目昇進が決まってから落語がどんどん面白くなってきてる小はぜさん。「狸鯉」 は最近よくかけられているけど、恩返しする狸はかわいいし、恩返しされる男がいい加減だけど優しくて見ていて楽しい。
おや?と思うようなクスグリも入って、二ツ目になってから小はぜさんがどんな落語をやるようになるのか、とっても楽しみ!


小三治師匠「出来心」
はす向かいの奥さんが訪ねてきた、というまくら。
回覧板かなにかかと思ったら「おめでとうございます」という。おめでとう言われても最近新しくかみさんをもらったわけでもないしなんだろう。
なんでも77歳になったもんだから新宿区からお祝いでお赤飯を持ってきたのだという。

お赤飯っていえば…私は昔から大好物。そういえば池袋演芸場で8月はトリをとるんだけど、その時にお席亭がいつもお赤飯のおにぎりを用意してくれる。それが文京区にある和菓子屋で…最近は世の中がいろいろ複雑になってきてるから…その店ももう表向きはたたんじゃってるんだけど、頼めば作ってくれるっていう…あるでしょ、そういうの、なんか複雑な事情が。で、そこで頼んで楽屋に用意してくれるんだけど、私にはお席亭が10個とか用意してくれるの。他の人には1つずつ。でも私には10個。これはね、正直嬉しいですよ。いやいくら好きでも10個もいっぺんには食べられませんよ。でも私が好きだからっていうんで用意してくれて私にだけ10個くれるっていうのはね。私を贔屓にしてくれてるってことだからね。

で、新宿区からもらったお赤飯ですけどね。これははっきりいって…あんまりうまくなかった。
文京区のそれはね。私は普通のご飯にしてもそうなんだけど柔らかめが好きなんです。で、文京区のは柔らかいの。でも新宿区のくれたやつは固かった。あずき…じゃなくてささげですね、あれも固くてね。

と、ここまで喋って「私は何を言いたかったんでしょう。あらかじめ言っておきます。今日の私はダメです」

ぶわははは。「今日の私はダメです」って、アサダ先生の「今日はちゃんとやりますよ」みたいで面白い。
「いや笑いごとじゃないですよ。ほんとにそうなんですから。これね。あがってみないとわからないんだよ、自分でもね。でもだめだ。今日は。」

そんなまくらから「出来心」。
小三治師匠の「出来心」は何回も聴いていて大好きなんだけど、確かに最初の言葉通り…ちょっともやもやっとして…最近の小三治師匠はそうなると一生懸命丁寧にやられるからくどくなってしまうこともあって…ムムムなのだが。

でもそれでもひょいっと面白いのだ。なんかこのひょいっというのが、ほんとに面白くやろうとしていて面白いんじゃなく、ひょいっと出てくる面白さっていうかな。
今の小三治師匠より危なげなく話せる噺家さんはたくさんいると思うけど、こんな風にひょいっと面白いのはなかなか見ることができないんだよなぁ。だからやめられないんだよなぁ。小三治師匠の落語って。


小三治師匠「粗忽長屋
そそっかしいのまくらから「粗忽長屋」。
いやぁこれがもう神がかったように面白かったのだ。一席目の「出来心」のもやもやが嘘のようにキレがあってスピーディでとぼけていてもう最高に面白い。
一席目がもやもやだったからこそ余計にこの行き倒れを見て「隣のくまのやろうだ」と思い込む男のおっちょこちょいがすごくリアル。「浅草」を「どさくさ」、「観音様」を「水天宮様」というのも、もしかして小三治師匠がほんとに言い間違ってるの?とこの噺を知らない人だったら思ってしまうんじゃないかというぐらい、落語の中の粗忽者と小三治師匠が一体化してる。

うひゃー。
前にも同じような展開を見たことがある。一席目がもやっとしてて二席目の「粗忽長屋」がキレッキレ。
やっぱり小三治師匠には落語の神様がついてるんだなぁ…。すごいや。

鈴本演芸場9月中席夜の部

ストレート松浦 柳亭燕路 落語

9/15(木)、鈴本演芸場9月中席夜の部に行ってきた。

・小駒「金明竹
・わん丈「強情灸」
・ストレート松浦 ジャグリング
・さん助「真田小僧
・馬石「王子の狐」
・正楽 紙切り
・燕路「だくだく」
・雲助「辰巳の辻占」
~仲入り~
・ニックス 漫才
・圓太郎「化け物使い」
・小菊 粋曲
・白酒「死神」


わん丈さん「強情灸」
円丈師匠譲りの「強情灸」。師匠より面白く感じるのはわん丈さんが明るくて堂々としてるからだろうな。
ってそれじゃまるで円丈師匠が堂々としてないみたいだけど…。でも暗いなぁと感じることがあるのは確か。
前座の頃からやってた得意な噺を堂々とやってのけた、って感じ。


ストレート松浦さん ジャグリング
(ストレート松浦先生と書くべき?)
「きょうはいろいろ雑談をしたい気分なんです」という松浦さん。
いつもの中国独楽をやりながらいつものフレーズじゃなく最近あったことをしゃべっているのがなんだかシュール。
いつもの「橋」をやりながらしゃべっていた松浦さんが「全然関係ない話をしながら同じ物(橋)をやって…伝わらないですよね」と笑うのがまたおかしかった。
この間見て「あの不思議な道具はなんだ」と思ったものは「ポイ」というらしい。
すごいことをしているのにさりげなさすぎてすごく見えないところがすごい(笑)。
玉の曲芸もいつの間にか種類が増えてて楽しい~!


さん助師匠「真田小僧
ああ、やっぱり今席は「真田小僧」をやり倒すつもりなのか…?
小三治師匠も納得するまで毎日同じ噺をかけたことがあると言っていたし、噺家さんの方にはいろんな考えがあるんだとは思うけど、白酒師匠のファンで毎日通ってる人もいるかもしれないし、まだ若手なんだから、噺を変えればいいのになぁ…。毎日同じ噺をされると「毎日通ってくるんじゃねぇ」と言われているような気がしちゃうんだよなぁ。
お前の気持ちなんかしらねぇよ!と怒られそうだけど…。しゅん。

さん助師匠の「真田小僧」嫌いじゃないけど、金坊がエキセントリックすぎる。
反応の薄い鈴本のお客さんを前にムキになる気持ちもわからないではないけど、青筋立てて叫ぶ必要はないのにと思う。
でも前回見た時より金坊が達者な講釈をきかせるところは生き生きしてたような気がする。
ってえらそうだな、おい。


馬石師匠「王子の狐」
だます方の男も何度も眉に唾してびくびくしているので、ひどい感じが全然しない。
そして狐のしなをつくって斜めから見上げる顔のかわいらしさよ。

燕路師匠「だくだく」
わーい、大好きな噺!
「だくだく」がかかるともうそれだけで幸せ度がアップする単純なあたし。
300万ほど入れておいてもらった金庫。
入ってきたどろぼうが「800万盗ったーつもり」と言うのを聞いて「余計にとってるじゃねぇか、冗談じゃねぇや」と思うばかばかしさよ。
楽しかった。でも私にはさん助師匠の「だくだく」の方が面白いんだなぁ。危なっかしいけど。ってこれじゃどちらにも失礼になっちゃうか。どきどき。


圓太郎師匠「化け物使い」
苦手な噺家さんだけど、この噺はほんとに合ってて最高に面白かった!
一つ目小僧が出てきたのにまるで動じずに用事を次々言いつける主
やりなれない一つ目小僧を大声で怒鳴りつけたのが師匠にぴったりすぎて大爆笑!
めちゃくちゃ面白かったー。


白酒師匠「死神」
下席から始まる文左衛門師匠の文蔵襲名披露興行について、「人間更生できるんだな」「でもまた多分やらかしますからそれを見に来てください」。
いろいろ毒を吐き散らかしながら「死神」。
白酒師匠の「死神」は前に見たことがあったんだけど、まるまる太っていてとってもポジティブ。
さすが自分をよくわかってらっしゃる…。
でも白酒師匠の落語って、突飛さを期待してしまうと「なんだここは普通なんだ」とちょっと肩透かしを食うんだな。
ちゃんとした古典のつもりで聞いていて「そこがそうなるか!」と驚く姿勢の方が楽しめる気がした。

上野広小路亭9月中席

桂南なん 落語

9/15(木)、上野広小路亭9月中席に行ってきた。

 南なん師匠「笠碁」
出てくると「私で最後です。あと一席。一緒にがんばりましょ。私のあとはもう誰も出ません。あとは掃除だけです。一緒に掃除したいよーという方は言ってください。先着3名様に高級…ほうきをお貸しします」。

最近は旅の仕事といっても日帰りが多くなった、というまくら。
若い時分は、旅の仕事についていくと落語会は夕方でそのあと打ち上げ。昼間は何もない、っていうことがよくあった。
昼間やることがなくてぶらぶらしてると先輩が「おい、お前将棋できるか?」
「はい、できます」と言うと「じゃやろう」。
そんなに強くもないけど先輩に勝っちゃった。
「お前強いな。じゃ○○と○○はなしでやろう」
どんどんハンデをつけられて最後は「お前王様だけでやれ」。
王様だけで勝負になるわけなくて、あっちに動かしたりこっちに戻したり。でもそれにも勝っちゃった。
それ以来その先輩は口をきてくれなくなった。

そんなまくらから「笠碁」。
「待ったなしでやろう」と言い出した方が調子よく打ってる。
「待ったなしはいいねぇ」「こうトントントンってね」
どんどんうっていって突然「あっ!」。
「これはまずいよ。これは…」としばし黙った後に相手に向かって「ちょっとこの石を持ち上げて」
「え?なに?」
「この石をあげておくれ」
「あげてどうする?」
「待った」
「だめですよ」

最初は「友達じゃないか」とか「この一回きり」とか言って甘えていたのに、「じゃあ言わせてもらいますけど」とおととしの暮れの話を持ち出して大喧嘩。
もう表情を見ているだけでおかしい。たまんないなぁー。

仲たがいして碁を打たなくなって何日か目。
待ってあげなかったほうがお茶を飲みながら「あー退屈だ」「あーー嫌な雨だねぇ」とぶつぶつ言ってる。
「まとめてわーーーっと降っておしまいにならないかねぇ」に笑ってしまう。
笠をかぶってあいつの家の前を通ってみよう、と言いながら「でもあいつが店先に座ってなかったらどうしよう。そうだ。ちらちらっと見てみればいい」と言って、首をちらちらっとやるのがなんともいえずおかしい。

一方待ってほしかった方のおじいさんは店で家の者に小言を言ってる。
ぞうきんの筋が入ってる、火が多すぎる、ここで煮炊きをしようっていうんじゃない、子供をあっちにやれ、いやな嫁だよおっぱいが大きいと思ってえばっちゃって。
番頭に、なぜあの喧嘩の時に止めてくれなかったと文句を言っているときにポストの陰に立っている友達を見つけてからの喜んだり怒ったりまた喜んだりがもう見ているだけで幸せな気持ちになってくる。
「へぼ!」「ざる!」言い合いながら部屋に入ってきて碁石をがらがらやりながら「ああ、よかった!」と言うのがほんとにかわいいなぁ。

大好きな噺を大好きな師匠で聴ける幸せ。
結局この芝居、5日中4日来てしまった。
毎日いろんな噺をしてくれていろんな表情を見せてくれる南なん師匠。やっぱりトリだとやるネタがまた違うからいいなぁ。最高だったー。

鈴本演芸場9月中席夜の部

落語 柳家圭花 隅田川馬石 柳家さん助 柳家はん治

9/13(火)、鈴本演芸場9月中席夜の部に行ってきた。

・小多け「道具屋」
・圭花「二人旅」
・ストレート松浦 ジャグリング
・馬石「狸札」
・さん助「真田小僧
・正楽 紙切り
・燕路「あくび指南」
・はん治「粗忽長屋」「妻の旅行」
~仲入り~
・ニックス 漫才
・玉の輔「宗論」
・馬玉「締め込み」

小多けさん「道具屋」
ものすごーくちゃんとした落語をやる前座さんだけど、見るたびに面白くなってきてる。
客の言ってる符丁がまるで分らない与太郎が「なに?日本人じゃねぇの?ココハードウグヤデース」と言って「全部日本語じゃねぇか」と突っ込まれたり、値段を決めるときに「天ぷらが食いたいな。あと久しぶりにお銚子もつけて…お刺身も…」と値を釣り上げて行ったりするのが面白い。


圭花さん「二人旅」
二ツ目になったばかりでこんな渋い噺をじたばたせずにちゃんとやってのけるのはすごい。
語りが明るいから陰気にならなくていいなー。
この噺、真打がやっても暗くなっちゃうことが多いから。
たいしたもんだな。


ストレート松浦さん ジャグリング
わーい!久しぶりのストレート松浦さんだー!
しかも今回はお客が少なかったせいか「実は僕今度披露宴に行くんですけどジャグリングじゃなくて7名でperfumeを踊るんです。僕にダンスのセンスがあるかどうか見てもらえますか」と言って、なんか見たことがないようなヒラヒラした道具を両手に持って、ダンス?のようなそのヒラヒラがジャグリング?
よくわからなかったけど、ダンスはちょっとムムムかなぁと思って見ていたら、ムーンウォーク!!うおおーすげーーー。
いつもの踊る棒も、踏切みたいな長い棒でやったり、ちょっとずつ変えているのがまたうれしい。


馬石師匠「狸札」
動物ってかわいいって言いますけどかわいいだけじゃないです。
たぬきとかリスとかだって野生だとかわいいだけじゃ生きていけないから結構すごいんです。生きていくために人に言えないようなこともしてるんです。
野生って大変なんですから。
そんなことを訴えた?あとに「狸札」。
いやこれがもうかわいいかわいい。
あのクリっとした目と斜めにかまえたポーズがかわいすぎる!

そして恩返しに来た子狸がやたらと「恩返しします。細々としたことをいろいろ。」と何度も言うのがなんともいえずおかしい。
小僧に化けておまんまを炊いた狸に「はがきで札を作ってくれ」「それが無理なら札に化けてくれ!」という男。
「さっそくそっちにいっちゃいますか」「せっかくおまんまたいたのに」「細々したことをしたいのに」
…もうなに、そのこだわり(笑)!
かわいかったー。


さん助師匠「真田小僧
前に見た時より激しくなっていた。
何がって金坊の金をくれ攻撃がもう歯を剥いて青筋立ててすさまじい。
何もそんなにまで激しくやることはなかろうに…。どうしたんだ。

正直「やれやれ…」と思いながら見ていたんだけど、金坊がだんだんやくざ口調になっていくのには思わず爆笑してしまった。
それでもこういうところを激しくやりすぎると、せっかくのオヤジのモゴモゴ講釈のあとに金坊の立て板に水の講釈、の面白さが半減してしまうんだよなぁ。
なんかやっぱりちょっともったいない。


燕路師匠「あくび指南」
寄席っていうのはこうやって芸人が代わる代わる出てきますけど、同じ板の上に上がるのでどうしてもウケたい!という気持ちになる。あんな変な「真田小僧」には負けたくない!
には笑ったー。燕路師匠って優しいよなぁ。

女目当てに稽古をする江戸っ子のまくらから「あくび指南」。
こちらのくまさんは看板(あくび指南の師匠の奥さん)に惹かれて稽古に行くパターン。
あくびの師匠のあくびの所作がすごくきれいでうっとり。やっぱりここが「風流」に見えないとこの噺の面白さが半減するよなぁ。
テンポがよくて楽しかった。


はん治師匠「粗忽長屋」「妻の旅行」
粗忽長屋」の途中(死体を見て「くまだ!」と言うあたり)でわりと大きめの地震が。
はっとなったはん治師匠。
こういう時は噺を止めちゃダメなんですけど止まっちゃいましたね
「わたし、こういうの弱いんです。人一倍弱い。多分ここに出てくる噺家の中で一ニを争うぐらい」
袖で人がそうなってるのを見てたことはあるんですけどまさか自分の時に」
などいいながら、おさまったので始めようとしたんだけど、「落語を息で覚えているので途中で止まったりするとダメです」ということで「得意な噺のダイジェスト版で」と「妻の旅行」へ。

はんちゃんがんばってーーーと心の中で何度も叫んだよー。
でもこれはこれでライブの面白さ。いいのよ、はんちゃん!気にしないで!(←何様)


玉の輔師匠「宗論」
初めて聴いたかな。
たいてい「マキシム」か医者のやつだから。
すごくばかばかしい。面白いけど「フーミン」って古すぎやしませんか?


馬玉師匠「締め込み」
みんながやってるかたちとちょっと違う「締め込み」。
明るくて軽くていいなー。楽しかった!

上野広小路亭9月中席

桂南なん 落語

9/13(火)、上野広小路亭9月中席に行ってきた。
この日は鈴本演芸場も行こうと思って早退。やればできる!(なにがだ)

・南なん師匠「水屋の富」
亡くなった柳昇師匠は富士山を信仰していて、よく芸人やお客様を誘っては富士登山に行った。私も一緒に行ったことがあるんだけど、その時行った噺家は自分と米福師匠(当時は二ツ目)。

弟子は一緒に行きたがらない。師匠が疲れてくると荷物を持てとかおんぶしろとかわがままを言い出すかもしれないことを恐れて。
富士吉田に向かう4人掛けの電車でふと向かいに座っている米福さんを見るとTシャツに短パンというえらいラフなスタイル。
「その恰好で富士山に登るの?」
「ええ。動きやすいようにラフな格好がいいかと思いまして」
「…ラフすぎるよ。荷物は?」
「手ぶらです」
「ええ?水筒とか持ってないの?」

すると隣に座っていた紳士が「水筒いりますかね?」と聞いてきた
「え?あなたも富士登山?」
「ええ。柳昇師匠に誘われて」

見ればその人は背広にネクタイに革靴。えらいきちっとした格好をしている。
「その恰好で登るんですか?」
「ええ。失礼がないようにと思いまして」
「…失礼がなさすぎですよ…。」
二人とも水筒ぐらいは持っていきたいということで駅前の荒物屋で水筒を買ったんだけど、安いからというので子供用の小さいやつ。
それに水を入れて出発した。
5合目まではバスで行きそこから歩き始めて最初の山小屋。
500mlのペットボトルの水が売っていたのだがなんと300円
これ、20年前の話ですから、相当高いですよ!
「高いねぇ」
「水筒買ってよかったねぇ」
なんて話をしていてまた登り始め2軒目の山小屋に行くと、今度は水が400円!
「うわーー登るほどに値段が上がるね」
「でもぼく心配になってきました。なんといっても子供用の水筒ですから。400円だけど買っておきます」
一人が買うと我も我もとみんな買いはじめ、自分もつられて買っちゃった。
それからまた登り始めて3軒目の山小屋に行ったら水が300円。その後頂上まで行っても水は300円だった。
つまり、2軒目の山小屋が商売上手だったんですね。
 
…もうこの話がツボで笑いが止まらない。
富士登山、きっともっと大変なこととか事件とかがあっただろうけど、その中でこの話!っていうのもおかしくておかしくて。
淡々と語る南なん師匠がおかしくてたまらなかった。
 
そんなまくらから「水屋の富」。
やったーーー!!!
南なん師匠の「水屋の富」がとにかく素晴らしいというのは聞いていて、聞きたくてたまらなかったのだ。うれしいーーー。
会社早退して来た甲斐があったなぁ!
 
江戸時代も水不足というのはあって結構深刻な問題だった。
そのため天秤棒に水の入った桶をぶら下げて水を売り歩く水屋という商売があった。
水を汲んできて担いで歩く。水が売り切れるとまた水を汲みに行って売り歩く。
とても大変な商売。
そんな水屋の清兵衛さん。年もとってきたしそろそろ商売はほかの人に譲って商売替えをしたいと思っている。
湯島で富くじを買って仲間にその日は商売を代わってもらって発表を聞きに行く。
湯島天神はいっぱいの人だかり。
当たったら質屋をやろうと思う(借りに行くのに自分ちなら手間が少なくて済むから)とか、1等は当たらないけど2等は俺が当たるとか、みんな好きなことを言い合っている。
江戸っ子が集まってワーワーやってるのがほんとに楽しくて、ずっとそれを見ていたぐらい。
やっぱり当たらなかったなぁと集まった人たちが帰っていく中、1等が当たって「あわあわあわ」と腰を抜かしている清兵衛さん。
みんなが担いで連れて行ってくれて金貨を受け取る。
 
家に帰ってきて金の隠し場所をあれこれ考える清兵衛さん。
押し入れ、神棚、水がめ。入れてみてはどろぼうをシミュレーションするのがなんともいえずおかしい。
棒で軒下のお金を確認するところも他の噺家さんみたいに大仰じゃなくて、ちょっと触ってカツンといわせてほっとする。
悪夢のシーンも、入ってきたどろぼうに痛めつけられるパターンが漫画チックでおかしい。(楔帷子を首に巻き付けられて首がすぽーん!、とか)
こういう細かいところとかあっさり具合が、すごく効いていて、見ていてつらい気持ちにならないのだ。

商売に行こうと家を出てからもいろんな人が怪しく見えるんだけど、「見慣れねぇ犬だ」「あの猫、目つきが悪い」って、なんかどこかばかばかしい。
感情の吐露は決してあっさりしてないのに、師匠の軽い語り口やテンポの良さ、そういう細かいところで、普段だったら聞いていて「かわいそう」「ああ、つらい」という感情しか沸かない噺なのに、なんともいえずおかし悲しい。
ああああって絶望した後に顔をあげていう最後のセリフがほんとにたまらないんだ。実感がこもってて、かわいそうなんだけどほっともしていて見ている方もふっと笑ってしまう。
 
素晴らしかったー。素晴らしいんだけど「どうや!」感が全然なくて何気ない。
ほんとだほんとだ。南なん師匠の水屋の富ってほんとに最高!
鯉八さんが言ってた通りだ!
南なん師匠の人情噺をもっともっと聞いてみたくなったなぁ。嫌いな噺でも南なん師匠がすると嫌いじゃなくなりそう。

上野広小路亭9月中席

桂南なん 落語

9/12(月)、上野広小路亭9月中席に行ってきた。
南なん師匠がトリをつとめる5日間。昼席で南なん師匠が上がるのが16:00過ぎ。仕事抜けて行って帰ってくれば1時間半ぐらいの空白で済む…と悪いことを思いつき…。

・南なん師匠「鰻の幇間
幇間のまくらから「鰻の幇間」。
お得意様のご機嫌をうかがおうと羊羹を持って贔屓にしてくれてる奥様を尋ねる一八。肝心の奥様は旅行に出かけてしまっていて、羊羹をとられ損だよと嘆く。
二軒目の家では用心して羊羹を懐に隠しているのだが、女中が「そこに入ってるのはなんだい?」と目ざとい。
どうにかとられまいとして「べんとうですよ」。「うそだよ、芸人が弁当なんか持ち歩くはずがない」「いや弁当なんですよ。ここんところ体の調子が悪いもんですから」
どうにか家を出て「魚の方から食いついてきやがった」と嘆くのがおかしい。

顔はなんとなく覚えているけど名前を思い出せない男に声をかけたものの、どうしても思い出せない。
どうにか手がかりをつかもうと相手の家を聞くも「せんのところ」とかわされて、「ああ、そう。せんのところね」と身体をひょいっと引くのがなんともいえずおかしい。
こういう動作で面白みっていうのがうまれてくるんだなぁ…。

鰻屋に上がってからも、障子が汚い、畳が毛羽立ってる、おしめが干してある…と冴えないのだが、客を前にすると調子が良くなって「おいしいですねぇ」「えらいっ!」ともちあげるもちあげる。

それだけにひどい鰻が出てきてそれが噛みきれなくて必死に噛んでいるようすがおかしい。
そしてだまされたとわかってからのぶちきれようが気の毒なんだけどなんともいえず面白い。

好きな噺じゃないんだけど、南なん師匠がやると楽しいなぁ。
ゲラゲラ笑って終わると同時に寄席を飛び出して会社へまっしぐら。うひゃー。面白かった!

上野広小路亭9月中席

落語 桂南なん

9/11(日)、上野広小路亭9月中席に行ってきた。

・遊七「狸札」
・晴太「道灌」
・鯉丸「寄合酒」
・柳若「お菊の皿
・花 紙切り
・圓満「子ほめ」
・笑好「動物園」
・扇鶴 音曲
・小文治「宮戸川(上)」
~仲入り~
・紅「春日局
・Wモアモア 漫才
・とん馬「替り目」
・金遊「大工調べ」
・喜楽・喜乃 太神楽
・南なん「ねずみ」

 

遊七さん「狸札」
きれいな女性の前座さん。あがっているのかちょっと危なっかしい感じのところもあったけれど大きな声でのびのびした高座。


晴太さん「道灌」
今回で3回目だけど寄席の高座を見るのは初めて。
声が大きくて堂々としているから安心して見ていられる。難しい噺の方が実は得意?道灌はちょっとやりにくそうな印象が。

柳若さん「お菊の皿
広小路亭では一人の持ち時間が20分と長いのだけれど、ことのほか長く感じたのはなんでだろう。
お菊の皿」って改変するとこの噺じたいの面白さが薄れるような気がするんだけどなぁ。


花さん 紙切り
いろいろ尋ねるけどお客さんの返事が全然聞こえてなくてなんかちょっと失礼な感じに。そんなつもりはないんだろうけど。紙切りって耳も良くないとだめなんだな。


圓満師匠「子ほめ」
数え年についてのまくらのあと「子ほめ」。真打になったばかりとは思えないような余裕の高座だけれど、この師匠はどうも暗くて苦手…。


笑好師匠「動物園」
間が悪すぎて笑う隙を与えない。しーんとした客席を「小康(笑好)状態」と言っていたけれど、客をいたたまれない気持ちにさせないでほしい…。

扇鶴先生 音曲
いかにもやる気がなさそう~なのに色気があって見るたびに好きになる。三味線も音数少なくて声も小さくて消え入りそうな語りなんだけど目が離せない。ラブ。


小文治師匠「宮戸川(上)」
まくらで女っぽく見える所作をレクチャー。女性は形が「く」の字になるようにすると色気が出るらしい。右の物を取るのに右手を使わずに左手で「く」の字になるように肩を曲げてとると色っぽい、と。なるほど。そんなまくらから「宮戸川(上)」。正直聞き飽きた噺だけれど、お花ちゃんが色っぽくて思わず見とれる。


紅先生「春日局
せっかく張扇を5回叩いたら「拍手」をするようにとまくらで講義したのに、「春日局」の中で5回張扇を叩くシーンがなかった…。残念。


とん馬師匠「替り目」
前に見て他の噺も聴いてみたいと思っていた師匠だったけどまた「替り目」だった。残念。


金遊師匠「大工調べ」初めて見る師匠。く、暗い…。「大工調べ」自体があんまり好きな噺じゃないっていうのもあるんだけど、最後に与太郎が啖呵を切るところまで一切笑いどころがなくて聞いていてちょっと辛かった…。


南なん師匠「ねずみ」
出てきた師匠が「私で最後です。みなさん、一緒にがんばりましょう」と言った時、ほんとにようやくここまでたどりついた…と感無量に。

この間のお江戸日本橋亭でゲストに出た時に話していた、蝠丸師匠と鯉昇師匠に廃墟となった旅館に肝試しに行った時の話。
蝠丸師匠のことを「落語はすごく上手な師匠なんですけど変わり者なんです。だって幽霊にとりつかれたいって言うんですから」と言うので大笑い。

とりつかれたい蝠丸師匠じゃなくて怖がりの南なん師匠に幽霊がとりついたらしく、その後悪いことばかり起きる。
ケガをしたり高座でうけなかったり…。「高座でうけなかったのは単にうけなかっただけかもしれませんが」。
浅草の観音様に行ってお参りをしたらその後ぴったり悪いことがなくなったけど、そのあとどうやら鯉昇師匠にとりついたらしくその後ずーーーっととりつかれっぱなしらしいです。

こんな風に南なん師匠がまくらを話すのは珍しいなぁと思っていると「今ふと思い出したから話したんですけど。あんまり普段こういうのやらないんですけどね。なんか他のこと考えていてつい…。思い出したから話しただけなのでこれとは全然関係ない噺やります。出てきたときに何をやるか決めてなかったもんですから。でも決めました。今からやります」。

ぶわははは。こんな始まり方珍しい~。

そんなまくらから「ねずみ」。南なん師匠の「ねずみ」は初めてなのでうれしい~!
甚五郎が江戸を出て仙台を旅していて子どもに声をかけられるところから。
宿をすすめておいて「うち、汚いですよ?」「障子もびりびりに破れてて」「そのかわり畳もぼろぼろで」という子どもがなんともいえずかわいい。
「おじさんは夜、布団で寝たいですか?」
「ちょいちょい妙なことを言うねぇ。布団で寝たいねぇ」
子どもに対する甚五郎が優しくていいなぁ…。

宿屋に行って主から話を聞いているところで、甚五郎が「ところで、とらやっていうのは何でそういう名前になったんだい?」。
ん?「とらや」の名前の由来を聞くところなんかこの噺にあったっけ?と思っていると「お、お前さん。もしかして聞くことを間違えてやしないかい?」「あ、ああ。間違えた。ええと。ねずみってなんでそういう名前にしたんだい?…あーーーびっくりした。」
南なん師匠が間違えてそんな風に言いなおすことがあるんだーーと大笑い。ファンだからっていうのもあるかもしれないけど、でもこういう時にその人の真の姿が現れるようで、こういうの楽しい!

ねずみを見に村の人たちが来るところも、悪気のない田舎の人たちの姿が見えるようで楽しいし、宿に泊まり客がいっぱいでありえない人数が泊まっているっていうのも、南なん師匠の語りがなんともいえずユーモラスなのでありそうな感じすらして楽しい。

この噺をすごーく人情話っぽくやる人もいるけど、南なん師匠のは軽くてかわいくて落語らしくて聞いていて心地よく楽しかった!

あーー楽しかった。
やっぱり南なん師匠だけでも見に行きたいよう。会社を早退するか中抜けするか…。どうにかして見たい。

これから行きたい落語会

最近は前売り券を買うような大きな落語会は小三治師匠ぐらいであとは電話で予約したり当日でOKみたいな会に行くことが多くなってきた。

これから行こうかなと思っていたり、気になっている落語会。

 

・9/11~9/15 南なん師匠がトリ! お江戸広小路亭9月中席

・9/11~9/20 白酒師匠がトリで、さん助師匠が18時上り、その前にはストレート松浦さん!行きたい~。でも18時はちときびしい。 鈴本演芸場9月中席夜の部

・9/22  一朝会 一朝師匠の独演会。これは予約した方がいいだろうなぁ。ミックス寄席 | ミックス寄席

・9/22 毎月行われている小んぶさんの勉強会。これは行きたい。 小んぶにだっこ。

・9/28 さん助師匠の勉強会。ようやく重い腰を上げて?待ってたよう!楽しみだ~。 さん助ドッポ

・10/1~10/5 遊喜師匠がトリで、南なん師匠が深めの出番で! 

浅草演芸ホール10月上席夜の部(10/1~10/5)

ハリネズミの願い

 

ハリネズミの願い

ハリネズミの願い

 

 ★

と想像すると、とたんに不安に襲われて、手紙を送る勇気が出ない。クマがきたら?ヒキガエルがきたら?ゾウがきたら?フクロウがきたら?―さまざまなどう ぶつたちのオソロシイ訪問が、孤独なハリネズミの頭のなかで繰り広げられる。笑いながら、身につまされながら、やがて祈りながら読んでいくと、とうとうさ いごに…。オランダでもっとも敬愛される作家による、臆病で気むずかしいあなたのための物語。  

 

一人でいる時間が長いとあれこれ考えすぎて他人と会うのが怖くなってきて、ともだちを求めているのかずっと一人っきりでいたいのかわからなくなってくるのだけれど、このハリネズミの気持ちはまさにそれで、わかるだけに歯がゆいようなイライラするような…。

とても楽しむことは出来ず、「あーめんどくせぇ!」と投げ出したくなる気持ちを我慢してどうにか読み終わった。ふう…。疲れた。
私には合わなかった。

池袋演芸場9月上席昼の部

落語 桂南なん 三笑亭夢丸 三笑亭可風 瀧川鯉橋

9/10(土)、池袋演芸場9月上席昼の部(~夜の部最初の方)に行ってきた。


池袋演芸場9月上席昼の部
・伸力「寿限無
・くま八「大安売り」
・章司 江戸売り声
・愛橋「?」(ショーンKにインタビューするという新作)
・米多福「蝦蟇の油」
コントD51 コント
・南なん「蜘蛛駕籠
・鶴光「鼓ヶ滝」
~仲入り~
・ひでや・やすこ 漫才
・夢丸「殿様団子
・寿輔 漫談
東京ボーイズ 歌謡漫談
・金太郎「小間物屋政談」

池袋演芸場9月上席夜の部
・べん橋「たらちね」
・遊里「出来心」
・コント青年団 コント
・可風「ぜんざい公社」
・鯉橋「粗忽の釘


愛橋師匠「?」(ショーンKにインタビューするという新作)
前に上野広小路で一度見たことがある師匠。あの時は相当なもんだったけど違う噺だったらそうじゃないかもという期待を見事に裏切られ同じ噺、そして同じような空気。
う、うーん…。
謝りながら帰るくらいなら違うふうにしてほしいと思ってしまうんだけど、それも芸のうちということなんだろうか…。


米多福師匠「蝦蟇の油」
まくらで芸協まつりの話をしながら「蝦蟇の油」につなげていくとはすばらしい。そして冷え切った空気をあたためてくれたのには感謝…。
酔っぱらってからの口上が楽しかった。


コントD51 コント
いつものおれおれ詐欺でなく大衆演芸好きの大家さんのコントだった。好きなんだよなぁこの人たち。何回見ても同じなんだけどいつも笑ってしまう。


南なん師匠「蜘蛛駕籠
旅に行って温泉卵を出してもらったときの話。美味しかったので「おいしいですね」と言ったら「そうですか?もっと召し上がりますか」と言って、バケツいっぱい持ってきてもらっちゃった。
いくらおいしくたって卵なんてものは2,3個も食べれば十分。バケツいっぱいはつらい。いくつかはカバンの中に隠しちゃった。
それから山寺に修業に行った時の話。朝食にしいたけが出たので「うまいですね」と軽い気持ちで褒めたらこれがいけなかった。次の日から毎日しいたけ三昧。焼いたり天ぷらにしたり味噌汁に入ってたり。むやみに褒めちゃいけません。
またそこの寺の住職が無精らしくあまり掃除をしてない。自分は師匠の家をよく掃除させられていたから掃除は得意。庭を掃いていたらうまいっていうのがバレて、今度はあっちをやれ、こっちをやれ、って…。一応「客」だったのに。

そんなまくらから「蜘蛛駕籠」。
駕籠屋の二人。兄貴分は江戸っ子で威勢がよくて、弟分の方はいかにも間が抜けていてかわいらしい。
一人になった弟分が茶店の主人を駕籠に乗せちゃったり、兄貴分が侍に声をかけられてその気になってると実はただの尋ね人だったり…。
酔っぱらいのぐるぐる回る話も、酔っぱらいがほんとにご機嫌で楽しそうで、だけどたちが悪くて大笑い。
そのあと踊りを踊って調子のいい人が来るも駕籠を勧めると、♪乗りたい~けれど金がない。
最後は二人連れが乗ってカゴの中で相撲をとって底が抜ける。その様子を見て驚いて目を白黒させる子どもがおかしい。

南なん師匠は表情が豊かだからこういういろんな人が次々出てくる噺が楽しいなぁ。


鶴光師匠「鼓ヶ滝」
鶴光師匠の「鼓ヶ滝」は前にも聞いたことがあるんだけど楽しい!地噺ってあんまり好きじゃないんだけど、この師匠は「地」の部分のほどがいいところが好きだな。


夢丸師匠「殿様団子」
出てくるだけで嬉しいのにそのたびにいろんな噺、珍しい噺を聴かせてくれるからほんとに素敵。
今日はこの前に末廣亭に行ってそこから地下鉄でやってきたという夢丸師匠。着物で生活しているので着物姿で電車に乗るんだけど、女性が着物を着てると「あら素敵ね」という目で見られるけど男だとそうはいかない。「なにあのひと、きもちわるい」という目で見られる。
今日も女子高生が二人こちらを指さして話してる。
「なに、あれ?」
「え?どこ?」
「ほら、着物着てる。あのひと。なんだろ?なに、あれ?」
「え?…武士じぇねぇ?」

ほんとに武士だったらお前ら一思いに成敗してやるわーーー!!と思った、というのがおかしくてしょうがない。

そんなまくらから「殿様団子」。
いやあこれがまた面白かった。大政奉還で「殿様」でいられなくなった元殿様が何か商売をしなくちゃいけないということで団子屋を始める。
そこに何も知らない男が二人が団子でも食おうと出かけていくのだが、出てきたのが三太夫でえらいえばっている。客なのになんでこんなに威圧的な扱いを受けなきゃいけないんだと思っていると現れたのが殿様。「おい、あれはおれらの殿様じゃないか!」
思わず「へへーーー」と平身低頭。
町人と話していると殿様が泣きだすのだが涙や鼻水を手で拭いながら「それじゃ団子を作ってくるのでな」。

えええ?その手で作るのーー?せめて洗ってーとも言えずにいると、出てきたのはやはり酷い代物。
とにかくバカバカしくて明るくて楽しかったー。

寿輔師匠 漫談
もしかするとタイトルが付いていたのかもしれないんだけどちょっとわからなかった。
基本的に客いじりは好きじゃないんだけどこの師匠は好きなんだよなぁ。なんでだろ。言葉はきついけど優しい感じがするからかなぁ。

小噺の連続技みたいな話だったけど面白かった~。この師匠のトリも見てみたいな。


金太郎師匠「小間物屋政談」
初めて聴く噺。
いやぁ酷い話や…。でも結果的にはめでたしめでたしなのか。
ほんとにもう落語の世界ったら…!
人間の気持ちもこんなに単純だったらいいのにねぇ。


可風師匠「ぜんざい公社」
ほんとは昼の部で出るつもりだったんだけど、真打お披露目で見て「いいな」と思っていた可風師匠が出ていたのでちょっとだけ残ることに。
いやぁ好きだなぁ、この師匠。やわらかくてあたたかい。「ぜんざい公社」そんなに好きな噺じゃないけどのんびりしていて楽しかった。


鯉橋師匠「粗忽の釘
この師匠も大好き。控えめだけどなんかおっちょこちょいな感じが漂っていて楽しい。
ノロケを言ったりしないごくあっさりした「粗忽の釘」だったけど楽しかった!

アカガミ

窪美澄 国内か

 

アカガミ

アカガミ

 

 ★★★

渋谷で出会った謎の女性・ロダに勧められ、ミツキは国が設立したお見合いシステム「アカガミ」に志願した。しかし、これまで異性と話すことすらなかった彼 女にとって、“国”が教える恋愛や家族は異様なもので、パートナーに選ばれたサツキとの団地生活も不安と驚きの連続だった。それでもシステムに手厚く護ら れた二人は、次第に恋愛やセックスを知り、「新しい家族」を得るのだが…。生きることの痛みと選択、そして輝きを見つめる衝撃作!  

 今までも性を描きながら生きることを描いてきた作者だけど、これはなかなかの意欲作というか、今までの作品とは毛色が違うというか。
草食系を突き詰めるとこんなんなっちゃうよってことなのか。

国が出産を奨励する「アカガミ」という制度を異様に思いながら読んでいたのだが、考えてみると誰かを好きになって恋人になって結婚して子どもが生まれて、というのが「定型」というのも異様なことなのかもしれない。

結局じぶんの価値観で見てしまうので、この二人の間に愛が生まれたというところに唯一救いを感じた。