りつこの読書と落語メモ

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末廣亭8月中席昼の部

8/19(土)、末廣亭8月中席昼の部に行ってきた。


・コウシ(漢字がわからない)「道灌」
・双葉「たがや」&かっぽれ
・よし乃 太神楽
・希光「犬の目」
・夢花「あくび指南」
チャーリーカンパニー コント
・昇之進「幽霊タクシー」
・遊吉「安兵衛狐」
・真理 漫談
・圓輔「船徳
・伸治「初天神
・今丸 紙切り
・笑遊「祇園祭
~仲入り~
・鯉栄「赤穂義士銘々伝 赤垣源蔵徳利の別れ」
・伸 マジック
・歌春「鮑熨斗」
・遊三「親子酒」
青年団 コント
・圓馬「お化け長屋」


コウシさん「道灌」
「私、立川談幸の弟子で立川コウシと申します。今日が初高座です」の言葉にきゃーー!!
談幸師匠のところに新しくお弟子さんが数名入ったことは知っていたけれど、そのお弟子さんの初高座に遭遇できるとは。感動!
すごく口調がよくてとても初高座とは思えない。テンポがよくてパキっとしていて上手だわ~と思って聞いていたら、途中でちょっとあれ?口ごもって思い出すしぐさ。思わず「がんばれー」と声援。
これからうまくなりそうだなー。楽しみ。


双葉さん「たがや」&かっぽれ
前にあがったコウシさんのことを「すごくうまいし落ち着いててとても初高座とは思えない。口ごもってくれてよかった。そうじゃなかったらうますぎてにくたらしくなっちゃう」。

まくらでお客さんの心をぐっとつかみそうになるんだけどなんとなく強引で中途半端。
噺もこの位置で「たがや」。ええ?ここでやっちゃったらもうあとの師匠できなくなるじゃん…。しかも覚えたてなのかはっきりしないし、そもそも時間的に中途半端。そしてさすがにこれだけじゃ終われないと思ったのか、かっぽれ。これも微妙。うーん…。
うるさいことは言いたくないけど、出る位置とかそこで求められている仕事っていうのがあるのではないかしらん。


希光さん「犬の目」
面白いなぁ、希光さん。「犬の目」も前に見た「うどんや」ほどこなれてない感じはあったけど、この日のお客さんにぴったり合っててすごい盛り上がった。

夢花師匠「あくび指南」
ドビーのまくらに来ていたお子さんたちが大喜び。
落語に入ってからも子どもの笑い声が聞こえてきて、夢花師匠も「すごく小さいお子さんだけが笑ってくれてる…よしあの子のためだけにやろう」とつぶやくほど(笑)。
そのあと「…吉原につーっと行くってぇとなじみの女が」でまた子どもの笑い声。
「おかしいなぁ。吉原がわかるわけないのになぁ…」とつぶやいて「吉原…ディズニーランドに行って」と中途半端に言い換えたのがまたすごくおかしくて。

楽しいなぁ。夢花師匠。最高だ。


遊吉師匠「安兵衛狐」
大好きな師匠。いつものまくらでお辞儀をするしぐさがたまらなくおかしい。
しかも噺に入ってからもこのしぐさを何回もするからおかしくておかしくて。
幽霊の女房も狐の女房も両方ともとってもかわいかった。


圓輔師匠「船徳
不愉快な漫談に毛羽立った心を園輔師匠に静められる。どうどう…。
お詣りに来た二人が船宿を訪れるところから。
この位置でやるから結構あちこち刈り込んであるコンパクト版だったんだけど、楽しかった~。
いろいろ面白いところはたくさんあったんだけど、なにがってもうほんとに船に乗っているようにしか見えない揺れ具合がすごかったな…。素敵な師匠。


伸治師匠「初天神
まくらで自分の家を表現するのに、くねっと女座りするのが色っぽくてたまらなくおかしい。
客席にお子さんが多かったから「初天神」だったのかな。かわいい笑い声があちこちから聞こえて微笑ましかった~。


笑遊師匠「祇園祭
アグレッシブな「祇園祭」。この師匠が出てくるといろんな意味でどきどきしちゃうな。
楽しかった。京都の人のにくたらしいこと(笑)。


鯉栄先生「赤穂義士銘々伝 赤垣源蔵徳利の別れ」
短い時間でざわざわした客席をぐっとひきつけて物語の世界へ引っ張り込んで風のように去って行く。
かっこいい…。鯉栄先生、もっと見たい。

歌春師匠「鮑熨斗」
最近、いつもの漫談だけじゃなくて、落語を聞かせてくれるからうれしい。
ふわふわした歌春師匠のキャラクターと甚兵衛さんが合っていて楽しかった。


圓馬師匠「お化け長屋」
待ってました!の圓馬師匠。
最初の怪談が本当に怖くて、それだけに次に来た江戸っ子にその怪談がまったく通じないのがすごくおかしい。

そして何を言っても「なんだおめぇ、はっきりしねぇやろうだな」「後家だから一人暮らしに決まってるだろう!」と文句ばっかり言ってた男が、泥棒が後家さんの胸元に手を入れたというところで急に食いついてきて「なに?え?胸元に手をって、おっぱい?おっぱいにか?」とにかにかするのがたまらなくおかしい。

楽しかったなぁ、圓馬師匠のトリの芝居。

大江戸悪人物語2017-18 episode 3

8/17(木)、日本橋社会教育会館で行われた「大江戸悪人物語2017-18 episode 3」に行ってきた。

 

・ひしもち「二人旅」
・松之丞「慶安太平記−丸橋忠弥登場〜忠弥正雪と立ち会い神田」
~仲入り~
・龍玉「真景累ヶ淵−豊志賀」

ひしもちさん「二人旅」
アナウンスの声で「あ、ひしもちさんだ」と分かる友だちに大笑い。確かにそう言われて聞いてみるとひしもちさんなんだけど、声だけで分かるって相当すごい。
出てきたらやっぱりひしもちさんで笑った。
「二人旅」ってほんとに難しい噺だよね。ベテランの真打の師匠がやってもくすりとも笑いが起こられないことが多い。でも前に市馬師匠が末廣亭で「二人旅」をやったとき、ずっとくすくす笑ってた小学生の男の子がいて、この噺のなんかこう…くすくす笑っちゃう面白さが、こんな小さい子にもわかるんだって驚いた。

ひしもちさんの「二人旅」も、田舎ののんびりした風景が浮かんできて、よかった。もちろん見る人が見たら全然まだまだ、なんだろうけど。
やなぎ屋のおばあさんの孫を呼ぶこえがばかにおかしかったなぁ。
最初に出てきた頃は滑舌も悪いし大丈夫か?と思っていたけど、言葉もとても聞きやすくなったしじんわりとした面白さがでてきてるし楽しみだな、ひしもちさん。


松之丞さん「慶安太平記−丸橋忠弥登場〜忠弥正雪と立ち会い神田」
前座のひしもちさんを龍玉師匠がずっと袖から見ていた、と松之丞さん。
ほら、龍玉師匠って…絶対他人に興味ないじゃないですか。
それなのにひしもちさんは一門だからやっぱり気になるんだなって…きっと高座を見てもアドバイスとかしないんだろうけど、でも最初から最後までじっと見ている龍玉師匠の姿を見ていて、なんかじーんときちゃいました。

で、私がこんな話を長々しているのはなぜかというと…これからするお話がそんなに山場がないというか…正直面白くないんですね。その分龍玉師匠のされる「豊志賀」が文句なく面白いですから。まぁそうやってバランスとってるんですね。

…そんなまくらから「慶安太平記−丸橋忠弥登場〜忠弥正雪と立ち会い神田」。
丸橋忠弥という槍の名人が、自分の道場のそばに道場を作り自らを「名人」と名乗る正雪が気に入らない!と自分の義兄弟を訪ねて「一緒に倒そう」と持ちかけるところから。
義兄弟に「あんなのは山師に決まってるから相手にすることはない」「万が一こちらが負けるようなことがあれば損をするばかり」と相手にされなかった丸橋。
血の気の多い人なので「兄弟の縁なんかきってやる!」と言って家を飛び出すのだが、少し弱気なところもあるのでそのまま一人で正雪の道場を訪ねることはしなかった。
自らが正雪の道場に道場破りを仕掛けると、その門弟とも勝負しなければならないし損だと考え、正雪が足繁く通う絵師のもとを訪ねそこで正雪に勝負を挑むことを企む。

企み通り正雪一人のところに勝負を仕掛けることに成功した丸橋だったのだが、正雪に勝負は自分の道場でしようと言われ、しぶしぶ従うことに。
いざ道場へ行くと、さんざん待たされたあげく、門弟とも戦わなければならなくなってしまう。
しかし丸橋の槍の腕前は素晴らしく、門弟ではまったく相手にならず、正雪も槍では叶わないのだが、最後追い詰められた時に槍を投げ捨て白扇一本を手に気迫だけで丸橋を「参った」と言わせる。
このことで丸橋は正雪がただの山師でないことを悟り、また正雪も丸橋の槍の腕前を認め、自分の道場に1日おきに槍を教えに来てもらうように乞う。

こうして丸橋を抱きかかえることに成功した正雪は、この後丸橋の義兄弟も自分の味方に引き入れ、幕府転覆にむけて着々と準備を進めることに…。

今回の話はぱっとしないというわりにやっぱり面白くて夢中になって聞いていた。
松之丞さん、「引き」が以前よりもっとうまくなっていて、緩急が自在なので聞いていて気持ちいい。
決して好きな「芸風」ではないのだけれど、やっぱりさすが面白い。


龍玉師匠「真景累ヶ淵−豊志賀」
まくらなしで。
「豊志賀」はこの間馬治師匠で初めて聞いたのだけれど、面白いなぁ…この噺。
決して好きなタイプの噺じゃないけど、なんかこの…豊志賀の気持ちもすごくよくわかるし、新吉の気持ちもよくわかる。
堅いと言われていた豊志賀が、自分より18歳も下の新吉とふとしたことから深い仲になり夢中になってしまう。
そんな豊志賀のもとから弟子はどんどん去って行き、残ったのがお久という若い娘。それほどの器量よしではないけれど男好きのする愛嬌のある娘で、これに嫉妬した豊志賀が病になり目のところに出来物が出来て容色が落ち、それを気に病んでますます病が酷くなり、嫉妬の炎を抑えることができず奇行に走るように…。

豊志賀がどんどん不気味になっていき、それに新吉が気持ち悪がり…でもそれを隠し看病をし…でも…というこの二人の葛藤がとても真に迫っていて怖い。

笑っちゃったのは豊志賀がこんな風になってしまったことを「でも仕方ないんです。この時豊志賀は39歳。39歳と言えばもうおばあさん…。はっ!今の時代じゃないですよ!今は39歳といえばまだまだ女盛り。60歳といってもまだまだ…!でもこの時代は寿命が50歳という時代ですから。その時代の39歳ですから。今の39歳を言ってるわけじゃないんです」。
こんなに冷酷に噺を進めていた龍玉師匠が急に素に戻っていつまでもくどくど言い訳するのがおかしくておかしくて。

怖くて陰惨だけど面白い!次回がまた楽しみ。

鈴本演芸場8月中席 納涼名選会 鈴本夏まつり 吉例夏夜噺 さん喬・権太楼 特選集

8/14(月)鈴本演芸場8月中席 納涼名選会 鈴本夏まつり 吉例夏夜噺 さん喬・権太楼 特選集に行って来た。
開演17時20分だったので前座さんが上がってさん助師匠は17時30分ぐらいかな、なんて思っていたんだけど、当日鈴本のサイトを見て前座さんが上がらないことに気付く。あぶねー。

・さん助「十徳」
・仙三郎社中 太神楽
・三三「元犬」
・一之輔「代書屋」
・市馬「花筏
・夢葉 マジック
喬太郎「義眼」
・新治「兵庫船」
~仲入り~
・ぺぺ桜井 ギター漫談
・権太楼「花見の仇討」
・正楽 紙切り
・さん喬「中村仲蔵
 
さん助師匠「十徳」
会場に入った時に女性とすれ違い、さん助師匠の顔を見て「はっ」としたので、「あら、面が割れた?」と思ったら、その女性ぱっと目をそらして行ってしまったらしい。
できれば気が付いた時は目をそらしたりしないで「こんにちは」と言ってください…。
 
…ぶわははは!
そういえばこの間も国立演芸場でも同じようなことを言っていたことを思い出した。
 
駅から国立演芸場に向かう途中にあるコンビニに入ったら、すれ違った女性がさん助師匠を見て「はっ」としたので、あれ?気づかれた?帽子をかぶると自分の身体的特徴が80%ぐらいなくなってしまうから気付かれることなんてないのに?と思っていたら、開演してみるとその女性が客席の最前列に座っていた。
もしかして私を目当てに?よーし!がんばっちゃおうかなと思って出て行ったら、その女性、さん助師匠が話し始めたとたんに爆睡。
起こさないようにそっとやりました…。
ぷぷぷっ。
 
そんなまくらから、八つぁんがご隠居の所へ訪ねてきたところ。
浅い出番だから「雑俳」かな?なんて思っていたら、八つぁんが「さっきご隠居が変な服着て歩いてたでしょ?それを若い連中で集まっていて見たんですよ。あれ?なに着てるんだろう?あれは帷子のねんねこかな、とあたしが言ったらみんなにえらい笑われちゃいまして」。
お?なんか聞いたがあるようなないような…なんだっけ、これ?
 
そう言われて隠居が「そりゃ悪いことをしたな。あたしのせいで恥をかかせちゃったね」って言うの、なんかいいな。
仲いいんだね、隠居と八つぁん。
 
「これは十徳と言ってね」
「どういう字ですか?」
「数字の10に徳と書いて十徳」
「どういうわけで?」
「いや別にわけはないんだよ。」
「いやでも何か意味があってそういう名前になったんでしょう。どういうわけで?」
「いやないよ」
「でも何も意味がないなんてことはないでしょう」
「ないよ」
「意味がねぇなんてことないでしょ。そんなこと天が許してもあたしが許さない!」
 
…ぶわはははは。なんだ、この会話。おかしい!
 
それで仕方なくご隠居が「この帷子はこうして立っていると着物のごとく。こうして座ると羽織のごとく。ごとくとごとくで十徳だ」
それからご隠居が両国橋と一石橋の名前の謂れも教えてくれて、「よーし!じゃやってきます。その橋の名前の話をまずはまくらに」と八つぁんが出て行こうとすると「ほかでやるのかい?やめておきな。うまくいかないから。あたしがうけあうから」と隠居。
 
それから若い連中が集まってるところに八つぁんが勇んでいってやってみるんだけど、ご隠居が心配したとおり、ごちゃごちゃになってうまくいかない。
ごくバカバカしい噺だけど楽しかった~。
こういうマニアなお客さんが多いときにこういう珍しい噺をするのはいいよね!
 
一之輔師匠「代書屋」
ひざ隠しが出てきたのでびっくりしたら、なんでも膝を痛めて正座ができないらしい。
病院に行ってみてもらったら、一之輔師匠は膝のお皿が小さくて痛めやすいらしいのだが、おじいさんのお医者さんが言い間違えて「あなたは器が小さいから」。ぷぷぷっ。
金馬師匠の真似してるわけじゃありませんと言いながら「代書屋」。机を前にすると「代書屋」やりやすいのかな。
 
一之輔師匠らしい工夫がいっぱい。
代書屋に来た男の名前が「中村吉右衛門」だったり、「履歴書」も「れーきしょ」とか、座るとふんどしからはみ出しているのが「右」なんだけど直したら両方からはみ出しちゃったり、下駄の「減り止め」売ったら2時間で40個売れたと聞いて代書屋が「才能があるからもっとがんばって!」と言ったり。
 
それでもやっぱり噺自体があんまり面白くないからこの程度かー。なんていったら失礼か。
 
市馬師匠「花筏
まくらで相撲の呼び出しをやったんだけど本当にうまくて声が惚れ惚れするくらい良くてうっとり。
拍手が起きると「最近ね、こっち(呼び出し)の方が拍手が大きくて…ちょっと気にしてるんです」。
わははは。
この位置で「花筏」をさらっとやっちゃう市馬師匠が好き。
トリでたっぷり聞くとそんなに面白くもない噺だなと思ったりするけど、こんなふうにあっさりとされると面白い。
濃い目の落語が続いたのでちょっと一息つけた感じ。
 
新治師匠「兵庫船」
この芝居は、仲入りの新治師匠が楽しみ!
伸びやかで明るくてきれいですごく素敵。きれいだけどきれいすぎないところも好き。
私この師匠が東京にいたら絶対追っかけてるなー。
 
「兵庫船」は初めて聞く噺。
金毘羅詣りを終えた喜六と清八が船に乗り込む。
船に乗り込んだ人たちがどこから来たのか尋ねられて答えたり、謎かけをしたり…。
この謎かけがすごく面白い。
特に早合点してすぐに「やるやる!」と手を挙げて答える喜六のポンコツな答えが面白くて笑ってしまう
 
そのうち船が動いてないことに誰かが気付くと、船頭が「気づいたか。実は鮫が船の下にいてかじりついてるから動かない。だれかにいけにえになってもらわないといけない」と言う。
川に自分の持ち物を落としてそれが流れていけばよし、沈んでいったらその人が生贄になるしかない、ということに。
 
ここまで聞いて、おお?これは「鮫講釈」か?!と思ったのだが、講釈師は出てこない。
大仰な噺じゃなくて軽くてバカバカしい噺だったのも楽しかったなー。
よかった!

権太楼師匠「花見の仇討」
権太楼師匠はクスグリで「森友学園」をよく使っていて、一部すごく喜ぶお客さんがいるけど私は何が面白いのか全然わからない。おっさんは政治ネタが面白いのかなぁ…。
と冷ややかに聞き始めていたんだけど、やっぱり面白い、本気出したときの権太楼師匠。
芝居の稽古の場面もおかしかったし、耳の通いおじさんに六部の恰好をしていた六さんが掴まって一生懸命言い訳するのに何も聞こえなくて「ああ、だめだ。おじさんつんぼだから」と言うと「誰がつんぼだって?」とそこだけ聞こえるのがすごくおかしい。
でも私が一番笑ったのが、巡礼兄弟役が浪人役に仇討をする場面。
物見高い江戸っ子たちが集まっているところにさっき会った侍が「助太刀をいたす」と現れた時に、浪人役の熊さんが「…誰?」って言ったのがもう死ぬほどおかしかった。間といい声の大きさといい表情といい…完璧だったなぁ。
今でもあの「誰?」を思い出すと笑ってしまう。最高だった。

さん喬師匠「中村仲蔵
私は人情噺より滑稽噺の方が好きなんだけど、この噺は大好き。
さん喬師匠の「中村仲蔵」は前にも聞いたことがあったんだけど、その時とまた違っていた。
細かいところは覚えてないんだけど、後半部分が芝居がかりになって三味線が入ってたりしたの…前に見た時はなかったような記憶が(もやもや)。
とても丁寧な「中村仲蔵」。
改名する前の仲蔵が台詞を忘れて團十郎のもとへ駆け寄り小声で「台詞を忘れました」と言ったのを逆に團十郎に褒められたエピソードは初めて聞いた。
そして定九郎に役が決まってがっかりした仲蔵だったが、毎日稽古をしながらお稲荷様をお参りする場面も…前を歩く村人が稽古と思わず本当に盗賊が出てきたのかと思って腰を抜かしたりして楽しい。
一心に役作りのことを考えていた仲蔵が、蕎麦屋で会った浪人の姿に「これだ!」とひらめいて浪人に食らいつくようにして細かいところを確認しようとするところ、舞台では見事に演じきっているのに客の反応が薄いことを気にして「ああ、しくじった…」と気にするところ、せめて楽屋仲間からは何か言ってもらえるかと思ったのに何も声をかけてもらえずがっかりして家に帰るところ。芸人としての強さと人間的なところ、両方が垣間見れていい。
二人の師匠に呼ばれて「お前を弟子にして本当によかった」と褒められるところは、見ている側も思わず涙。

とても満足度の高い会。前売り買わないといけないけど、来年も忘れずに買えますように。

柳家小はぜ勉強会 其の三

8/12、和光大学ポプリホール鶴川で行われた「柳家小はぜ勉強会 其の三」に行ってきた。


・小はぜ「道灌」
・小はぜ「宿屋の富」
~仲入り~
・小はぜ「百川」


小はぜさん「道灌」
この日は朝太郎さんが勉強に来ていて始まる前の挨拶と諸注意をしたんだけど、実は当日になるまで全く知らなかった、という小はぜさん。
たまたま後ろから会場をのぞいたら朝太郎さんが挨拶をしているところで…自分以外の人間が緊張しているのを見るのはいいものですね。なんかこう…励まされます。
でも勉強させてくれと言われても彼とは1年しか違わなくて、私も二ツ目になってやっと半年なので、なにもないんですけどね。
そしてこういうところを見られるのは恥ずかしいなという気持ちがあります。でもそれと同時に、こんな会場でこんなに大勢のお客様がいらしてくれてるんだよ!と、そこは見てもらって嬉しい気持ちもあります。

今日はお盆のさなかにこんなに大勢来ていただいてありがとうございます。他にしなくちゃいけないこともあるでしょうに…。
こういう時にせっかく来ていただいたので、なにかこう「場所」を感じられる噺を続けて申し上げようと思います。

…小はぜさんの人柄がにじみ出るようなまくらが大好き。
ご本人はきっとまくらは苦手なんだろうけど、聞いていてほんとに微笑ましくて応援したくなっちゃうんだな。

そんなまくらから「道灌」。
小はぜさんで一番聞いているのがこの「道灌」だけど、二ツ目になってから聞くと印象が少し変わってる。
前座の頃はとにかく素直に…何も入れずに淡々とやっていたけど、今も余計なものは何一つ入ってはいないんだけど、でもなんだろう、茶目っ気があるっていうか…それが小はぜさんの味なのかな、そういうものがにじみ出ている気がする。
小はぜさんの目指す落語がほんの少し垣間見れる気がして、好きだな。小はぜさんの「道灌」。


小はぜさん「宿屋の富」
馬喰町を舞台にした噺とは知らなかった。
宿屋の主人に奥さんが「二階の客が怪しい」「もう二十日いるのにほとんどでかけないしお金も一銭も入れない」と言うところから。
奥さんに言われて主人が仕方なく客のもとを訪れて前金をもらおうとすると、客が自分はこんななりをしているけどとんでもなく金持ちなのだ、と話しだす。

次々繰り出すありえない金持ちエピソードを全て信じて感心する宿屋の主人がなんともいえずチャーミング。
感心しきりの主人が、自分は悪い癖があって(おそらく博打?)前はちゃんとした宿屋をやっていたのだがだめにしてしまって今はこんな汚い貧乏宿屋をやっている。それだけじゃ生活できないので富くじを売ってる。というような打ち明け話をして、「そんなにお金があるんだったら売れ残ってるくじを買ってくれないか」と頼む。
「そんなのがあたって金がますます増えたら困る」と客が言うと、「当たらないんです!」と主人。それでもそういう無欲な人ほど当てたりするから、もし当たってしまったら私に半分くれませんか?

主人がいなくなってから「こんなもんは当たらないだよ」「おら知ってるだ」と言いながら、でもまぁ見に行ってみるか、と出かけていき、結果を見て真っ青になって帰ってくる。
そのすぐあとに主人も真っ青になって帰ってくる。

ほんとに客の言うことを100%信じ切ってる主人が、客が当たった半分を分けてもらえる!と心底喜んでいて、その姿をみて「良かったね…」と思えたのも初めてだったなー。
面白いな、同じ噺でも、こんなふうに印象が違うのって。


小はぜさん「百川」
さきほどの「宿屋の富」はネタ卸しでした、と小はぜさん。
田舎者が出てくる噺というのが落語にはありますけど、この噺は田舎者が出ずっぱりなのでやってみるとそこがとても大変で。
そもそも自分にないもので、稽古をしていても、なんか違う…これはちょっと無理がある…と悶々と。
自分は今実家暮らしをしているので、そうやってちょっと煮詰まってイライラしている時に母親が部屋に入ってきてなんだかんだと言われると、「あんだと?!」と思わず口答えしていたりして、母親も「あんたどうしたの?ついにおかしくなった?」と。

あ、あと思い出したんですけど…、私、家で汚い作務衣を着てまして。作務衣っていうのはあの…お寺の人が落ち葉を掃くときに着ているような服で…って別に落ち葉掃くときだけじゃないですけど、着るのは…。
かなり年季の入った作務衣なんですけど、この間家で一人でいたらピンポンが鳴りまして、開けてみるとこれが…きれいな女性が日がそんなにさしているわけでもないのに日傘をさして…いわゆるこの…宗教の勧誘の方たちだったんです。
それが私が出て行ったら、坊主頭で作務衣を着ているものですから、「あ、間違ったところに来ちゃった」とすぐに察していただけたようで…。

…ぶわははは!!そのエピソード、最高!

そんなまくらから「百川」。
これは日本橋が舞台。
「宿屋の富」と少しテイストが似ているのでは?と思ったのだが、この「百川」がとてもよかった。

なにがいいって、小はぜさんの江戸っ子がとても威勢がよくて、そしてなんかこう持って回った言い方をするのが、百兵衛さんのなまりと同じぐらい何言ってるかわからない感があって、だからただ田舎者を笑うっていうんじゃなく、お互いに何言ってるかわからないんだな、っていう楽しさ。
この噺ってただ田舎者を笑うっていうふうになる人もいてそうするとなんかあんまり好きじゃないな、この噺、って思うんだけど、この両者の対比がとても楽しくてよかった~。

ちゃんと目指すものを持っていてひたむきに頑張る小はぜさん。
こちらの会はそんな小はぜさんを温かく見守るお客さんが大勢で、とてもいい雰囲気だった。

末廣亭8月中席昼の部・夜の部

8/11(金)、末廣亭8月中席昼の部・夜の部に行ってきた。
お目当ては昼の部のトリ圓馬師匠。
夜の部の昇太師匠はずいぶん久しぶりだけど、楽しいに決まってるので朝から入って最後まで居続けようと伊勢丹でお昼用のお弁当と夜用のおにぎりを買いこんで。


昼の部
・馬ん長「つる」
・柳若「猫の皿」
・よし乃 太神楽
・希光「時うどん」
・夢花「魚根問」
チャーリーカンパニー コント
・昇乃進「善光寺由来」
・遊吉「粗忽の釘
東京ボーイズ
・圓輔「短命」
・笑遊「蝦蟇の油」
・今丸 紙切り
小遊三金明竹
~仲入り~
・鯉栄「宮本武蔵伝 退治」
北見伸 マジック
・歌春「たらちね」
・遊三「ぱぴぷ」
青年団 コント
・圓馬「井戸の茶碗

夜の部
・昇咲「寿限無
・昇吾「牛ほめ」
・マグナム小林 バイオリン漫談
・可龍「狂言マック」
・柳太郎「万引き息子」
・南玉 曲独楽
・米福「大安売り」
柳橋「替り目」
・D51 コント
・文治「鈴ヶ森」
・桃太郎「裕次郎物語
~仲入り~
・昇也「短命」
・Wモアモア 漫才
遊雀「熊の皮」
・柳好「たがや」
ボンボンブラザーズ 曲芸
・昇太「壺算」

 

希光さん「時うどん」
二ツ目昇進の初日に遭遇することができてラッキー。
いやそれにしても堂々としてる。文句なく面白いし、すごいな、この人。


夢花師匠「魚根問」
これほんとにサイコーに面白い。ただただバカバカしくてこの日のお客さんにばっちり合ってて、どかんどかんウケてものすごい一体感。
芸協祭りの松鯉先生の見世物小屋でひたすらバカバカしい見世物を披露する夢花師匠とこの噺と見事にマッチしてるなー。大好きだ。


遊吉師匠「粗忽の釘
この師匠も大好き。まくらはいつも同じだけど(笑)でもいつも笑っちゃう。学生の考えた(あるいはぱくった?)小噺。
粗忽の釘」もこの師匠にぴったり。軽くてばかばかしい。


圓輔師匠「短命」
好きだー。圓輔師匠。
「短命」も楽しかった~。帰ってからおかみさん相手にご飯をよそってもらおうとしたときの、おかみさんの抵抗がすごく激しくて大笑い。


笑遊師匠「蝦蟇の油」
アグレッシブな「蝦蟇の油」。客席に喧嘩を売りつつ(ドキドキ…)オーバーアクションで楽しい。


小遊三師匠「金明竹
「透き通ったバカだな」のフレーズが大好き。
小遊三師匠の落語もいつも楽しくて好き。


鯉栄先生「宮本武蔵伝 退治」
メリハリがあってかっこいい~。みんな松之丞さんばかり褒めてないで鯉栄先生だってすっごくいいんだから~!
客席を巻き込むのもうまい。この日は初めてのお客様が多かったけど、客席がぐいっと惹きつけられるのを感じた。すばらしい。


圓馬師匠「井戸の茶碗
しゅっとしていて素敵なんだけど時々え?!と驚くようなギャグが混じるところがたまらない。
千代田氏、高木氏、そして清兵衛さん、3人のキャラクターがそれぞれ違うのでメリハリがあって楽しい。
よかった~。


可龍師匠「狂言マック」
この日のお客さんにはぴったりマッチしていてすごいウケてた。
狂言の部分がすごくきれいだから余計にばかばかしくておかしい。


文治師匠「鈴ヶ森」
見るほどに苦手になっていく~。
人は決して嫌いじゃないんだけど、落語がとても苦手。コテコテすぎて。
「あたしだってまんざらバカじゃないんですから」にかぶせるように「ばかだよ!」。これがちーっとも面白く感じられないからほとんどまったく笑えないんだな。


桃太郎師匠「裕次郎物語
この師匠も大の苦手で普段はできるだけ当たらないように気を付けているんだけど、この日はもう満員のお客さんだったし端っこじゃなく真ん中の席だったので席を外すわけにもいかずひさしぶりに…。
久しぶりに聞いて、なにもそんなに嫌がらなくてもええやんけ俺…と思ったりもしながらも、やっぱり苦手。好みばかりはしかたない。


昇也さん「短命」
まくらでどっかん!とウケてたんだけど「短命」に入ったのでびっくり。
昼の部で圓輔師匠が「短命」かけてたから!
昼夜通しのお客さんが多かったし、初めての人が多いだろうと何人かの噺家さんが「我々はネタ帳というのを見て、同じ噺がかからないようにしている」と話していたので、「え?同じ?」と驚く人もいて、ちょっと微妙な空気に。
前座さんが止めにくるかなと思っていたけど、それもなかった。こういうこともあるのかー。


柳好師匠「たがや」
まくらは声が小さくて自信なさげなのに噺に入ると堂々として口調も良くなるのが面白いな、この師匠。
啖呵を言い終わった後に「二日酔いで啖呵を二か所間違えた」と言うので大笑い。
楽しかった!


昇太師匠「壺算」
まくらではNHKの大河に出た話や紅白歌合戦の審査員をしたときの話。
もうとにかく楽しい。これだけ売れてて、それでも全然嫌味がなくて、いつ見ても明るくて楽しそうでサービス精神旺盛で。すばらしいな。
まくらたっぷりで「壺算」やって、終わった後そのまま終わりじゃなくて「なにやろうか考えて自分の得意な噺にしちゃえ!って逃げちゃいました」に大笑い。
この噺、二ツ目の時に南なん師匠に教わった、と。きゃーーー!!「不思議な顔をした師匠です」にまた大笑い。
なんかうまくやれなくてずーっとやってなかったんだけど、ある時、弟分が「買ってくれーー」って激しく言って相手の首筋を舐めるっていうのを思いついてやるようになったら自分の中でしっくりきて、それ以来やってる、っていうのも面白かった。

末廣亭8月上席夜の部


8/10(木)、末廣亭8月上席夜の部に行ってきた。
この日は有休をとっていて昼は国立演芸場に行き、夜は末廣亭に行くか池袋に行くか悩んだんだけど、菊之丞師匠のトリも久しぶりに見てみたいと思って、末廣亭へ。
昼の国立とだぶってる方(東京ガールズ、カンジヤママイム、玉の輔師匠)もいて、なんか追っかけみたいになっちゃった。


・市花「やかん」
・八ゑ馬「?」(新作)
・玉の輔「紙入れ」
・東京ガールズ
・歌奴「新聞記事」
笑組 漫才
・さん福「壺算」
・馬の助「味噌豆」
・カンジヤマ・マイム パントマイム
・一朝「たがや」
小満ん「夢の酒」
~仲入り~
・菊志ん「粗忽長屋
・勝丸 太神楽
・歌之介 漫談
・圓太郎「つる」
・正楽 紙切り
・菊之丞「大山詣り

 

市花さん「やかん」
二ツ目前らしくなってきたなぁ。かわいいしうまいし嫌味がないし、落語好きのじじばばからも愛されてる印象(私も含む)。
途中で「なんでそんな大きな声を出すんだ?」「これぐらいやらないと前座の熱意が伝わらない」というのが入って大笑い。


一朝師匠「たがや」
この位置で「たがや」をけろっとかけてしまう一朝師匠のかっこよさよ…。
威勢がよくて明るくて軽いからただただバカバカしくて楽しい。
ほんとに花火を見たような清々しさ。ってほんとに上がるのは花火じゃないけど。わははは。


小満ん師匠「夢の酒」
マイベスト「夢の酒」は南なん師匠なんだけど、それとはまた全然違う味の「夢の酒」。これはまたこれでかっこいい~。
南なん師匠の「夢の酒」は大旦那の優しさがじんわりと伝わってくるんだけど、小満ん師匠の「夢の酒」は洒脱というかおしゃれというかかっこいいというか。
大旦那が夢の中でご新造の家を訪ねた時に、その家の様子とか出てきたじゅんさいなんかに目をやって「ここで酒を飲んだら楽しかろう」とキラッと思うのがなんともいえず洒落ていて楽しい。
仲入りで小満ん師匠を見られる幸せ。


菊之丞師匠「大山詣り
楽しい~。
菊之丞師匠は女の人がとっても色っぽくて女らしいから、くまさんがおかみさん連中を集めて嘘話をした時のおかみさんの反応がめちゃくちゃ楽しい。
やりようによっては少し後味の悪いこの噺、坊主になったおかみさんたちのきゃーきゃーいう声が聞こえてくるようで楽しかった。

国立演芸場8月上席

8/10(木)、国立演芸場8月上席に行ってきた。


・市坊「子ほめ」
・市楽「芝居の喧嘩」
・さん助「二十四孝」
・東京ガールズ 三味線
・玉の輔「マキシムド呑兵衛」
・小のぶ「厩火事
~仲入り~
・カンジヤマ・マイム パントマイム
・菊太楼「家見舞」
・ダーク広和 マジック
・市馬「寝床」

 

市楽さん「芝居の喧嘩」
明るくて自信もあって元気で客席をぐっとひきつける。
うしろの席に座っていた笑点至上主義おばちゃんたちもようやく口を閉じて噺に聞き入っていた。さすが。


さん助師匠「二十四孝」
うひょー。こういう噺をしちゃうところがさん助師匠ってたまらない。
さん助師匠の「二十四孝」は前にも聞いたことがあったけど、その時よりもっと面白くなっていた。
自分の親を「ちょうちんばばあ」と呼び蹴っ飛ばしてしまうくまさん。
しょうもないけどからっとしていてなんか憎めない。
「唐のばばあは何かと食いたがるな」っていうのもおかしい。

自分が蚊に食われてやろうと酒を注ぐものの、口に含むとついつい飲んじゃうのがおかしい。
ごちゃっとしていたけど楽しかった!

さん助師匠が下がって行くとき、隣に座っていたおばあ様が「面白かったわね」と話しかけてきて、うれしかった!


小のぶ師匠「厩火事
おさきさんがかわいい。このおさきさんがかわいいかどうかが私にとったらポイントで、おさきさんがかわいいなぁと思えるとこの噺が楽しめるし、うるせぇ女だなぁと思うとなんか聞いていてめんどくさくなってくる。

小のぶ師匠にしたら少し弾け足りなかった?気がしないでもないけれど、楽しかった。


市馬師匠「寝床」
大旦那が市馬師匠にぴったり。優しくておおらかで人間ができていて。
だけどせっかくの自分の義太夫の会を長屋の連中や店の者が聞きたがっていないと気付くと徐々に不機嫌になっていって怒り出す。
だけど番頭がうまい具合にくすぐるとまた機嫌を直して「みっちりやろう」と言いだす。

とても楽しい「寝床」だった。
唯一の傷は、どんなに下手そうにやっても、上手なんだ、旦那の義太夫(笑)。

柳家小のぶ独演会

8/8(火)、お江戸日本橋亭で行われた「柳家小のぶ独演会」に行ってきた。 


・市朗「たらちね」
・市楽「湯屋番」
・小のぶ「鮑のし」
~仲入り~
・小のぶ「へっつい幽霊」

市朗さん「たらちね」
「ってことは大家さん、あっしにかみさんを紹介してくれるんですか?」と始まったので、「そんなたらちねもあるんですね…」と驚いたのだが、後から出てきた市楽さんが「普段は15分なのを10分と言われて縮めなきゃっと思った努力は買ってやってください」と言っていた。ぶわははは。

市楽さん「湯屋番」
「幻の落語家」と呼ばれている小のぶ師匠ですけど、この間は「浅草演芸寄席」というテレビに出たんですよ!すごくないですか、幻の落語家をテレビで見られるなんて!
この間は池袋の昼席でトリをとられて…お休みもされてましたけど…(そこで笑いが起こると)、いいじゃないですか!人間国宝だって休むんです!

…ぶわははは。
しぶーーーい小のぶ師匠の前方にこのまったく屈託のない市楽さんって意外性があるけど、いいね。なんか。
そういえばこの会の前方はいつも市楽さんなんだな。市楽さんの小のぶ師匠に対するリスペクトと屈託なくなついてくるところが師匠にとっては心地いいのかもしれないな、と思ったり。

実は私今日は国立に出てから来たんですけど、お客様の中にも国立見てからこの会にいらした方がいらっしゃって、「市楽さん、同じ噺はしないでくださいね」って釘を刺されちゃいまして。
ほんとはここでやるつもりで国立で稽古してきたんですけど…。今日の国立のお客さんには合わない噺だったんですけど、ここでやりたいがためにやったんですけど…そう言われちゃったので違う噺にします。

そう言って「湯屋番」。
とにかくハイテンションでギャグ満載の楽しい「湯屋番」。
「逆光で時計が見えなくてあと何分あるのかわからない」とまくらの後に言ったら、お客さんが「あと12分だよ!」。
それを聞いてから噺にはいったんだけど、終わったのがほんとにピッタリ12分後だったのには驚いた。すごい。


小のぶ師匠「鮑のし」
もともと日本では生魚をお祝いごとに贈る風習があったのだが、仏教が入ってきてから生臭物はNGになった。
それで鮑を蒸して伸ばして祝いに贈るようになったのだが、これは味はよくて酒にも合うのだがかなり固くて食べづらい。
それから紙の間にその蒸して伸ばした鮑をほんのちょっぴり挟むようになり、やがてはそれもなくなって記号だけ残り、形どって「のし」になるようになった。

…なるほどーーー。そうだったのかー。
この噺を聴いていてなんとなく「鮑ってのしの始まりだったのか」とぼんやり理解していたけど、こうしてちゃんと聞いて今までのもやもや理解がクリアーになる。
小のぶ師匠のまくらってほんとにためになる。それもとってもわかりやすいし面白いんだよね。

そんなまくらから「鮑のし」。
甚べえさんが無邪気で不思議で面白い。
仕事を行くのをやめて鳳凰を捕まえようと思ってお寺で頑張ってたけど出てこなくてそれをお寺の人に言ったら「今日は(鳳凰は)もう来ないよ」と言われたというのがおかしい。
おかみさんもしっかりしているけどそんなに恐妻っていう感じじゃない。
魚屋に行って鮑を買ってくるところも、おかみさんから口上を教わるところも、ごくあっさり。

面白いなぁ。同じ噺でも他の噺家さんがするのと全然違う。
大家さんのところで「鮑は片貝だから婚礼の祝いには受け取れない」と断られた後、帰り道で会った友だちにそのことを言うと「鮑のし」の謂れを教わる。
こういうの、初めて見たな。
「こう言ってけつまくってやれ!5円寄越せと言え!」とはっぱをかけてくるのも確かに友だちなら納得。

大家さんのところに行ってもう一度友だちから教わった通りに薀蓄を語ると感心した大家さんが「のしの謂れ」を聞くところ。
友だちに教わってないことを聞かれた甚べえさんが「もうだめだよ。3円にまけておくから」と言うのがおかしい。

楽しかった~。


小のぶ師匠「へっつい幽霊」
まくらでへっつい、かまどについての説明。
へっついもなんとなくもやっと理解だったので、助かる~。
そして「寺を建てる」というのが博打を打つことを言う隠語という説明もあって、それがこの噺のサゲに通じるのだった。

そんなまくらから「へっつい幽霊」。
博打に勝った男がへっついを買おうと道具屋に行くところから。
道具屋の主人とのやりとりはごくあっさりで、家にへっついを置いてもらってうとうとしていると、青白い炎が出てきて身体がぞくぞくっとして幽霊が。
「ああ、これか」とあっさり受け入れた男。それに対して幽霊の方がものすごーくびくびくしているのがもうたまらなくおかしい。

なに、この幽霊。わははははは!
そして小のぶ師匠の細くてきれいな手で幽霊の形をひらひらやるのがもうそれだけでおかしくておかしくて。
なんてチャーミングなんだ!

「博打はやめた方がいいです。ろくなもんにはなりません。やめなさい」ってまじめに意見する幽霊がおかしいし、「お前、死なすには惜しいやつだな」と男が幽霊に言うのもおかしい。

百両全部とられた幽霊が次の日も出てくるというのは初めて聞いた。
そしてこのサゲも初めて。
確かにまくらで仕込まなきゃいけないから「足は出しません」の方がわかりやすいけど、こういう一味違った噺を見られるのってほんとに嬉しい。

来て良かった!

小んぶにだっこ

8/7(月)、落語協会で行われた「小んぶにだっこ」に行ってきた。
 
・小んぶ「(かっぱが思春期でひきこもる噺)」
・小んぶ「臆病源兵衛
~仲入り~
・小んぶ「船徳

小んぶさん「(かっぱが思春期でひきこもる噺)」
8/1にさん喬師匠のお誕生日のお祝いで一門がさん喬師匠のお宅に集まった時の話。
2週間ほどアメリカに行っていたさん喬師匠が、弟子のためにアメリカで流行っているアニメキャラクターのTシャツを大量に買ってきてくれて、弟子が香盤順に好きなものを取っていくというのがほほえましい。
あと喬太郎師匠のことを「あにさん」と呼ぶべきか「師匠」と呼ぶべきか…あまりにもビッグな兄弟子だとそんなことを悩んじゃうのか。でもそれを本人にぶつけてしまうっていうのがなんとも…。
 
それからこの会でいつも新作を作ってくる小んぶさん。
だいたい新作をやると微妙な空気になることが多く、そのあと仲入りをはさんで古典をやるんだけど、お客さんが新作と古典とのギャップについていけず、「理解してあげたいけど理解できない」という表情になっているのが見てとれるので、今回は新作を冒頭に申し上げてそれから古典をやろうと思います、と。
 
そして私は来られていないのだが、前回作ったかっぱの新作。
自分的にはできたときガッツポーズをするほどの手ごたえがあったんだけど、お客さんの反応は微妙。
そもそも自分はあんまり本を読んだりもしないし、どうやって新作って作ったらいいかもわかってない。
それで新作を作っているやなぎさんや天歌さんに聞いてみたのだが、やなぎさんからは「まずはプロットを考えて」と言われ「プロットってなんや…。もういい…。」となり、天歌さんからは「SFはやめたほうがいい。SFっていうのは実在しない生き物とかそういうの」と言われ、じゃかっぱはだめ?だめってこと?といきなり否定された気分。
でもですね、私にとってはかっぱっていうのは想像上の生き物というよりは人間…社会性とかそういうのがない人間っていう存在なので、SFじゃないですよ。ね?
 
…ぶわははは。
面白いなぁ、小んぶさん。ほんとにこのつかみどころのなさがたまらないわー。
そしてこの会を始めたばかりのころはまくらで自分のことを話すのもおっかなびっくりっぽかったけど、ずいぶん心を許してくれるようになったな感があって、うれしい。
 
そんな長いまくらから、思春期のかっぱの噺。
このかっぱ、お皿が小さいことを学校でからかわれいじめにあってひきこもってしまっているらしい。
どうやらこの子どものかっぱが一家の稼ぎ頭らしく、母かっぱがひきこもった子が部屋から出てくるように知恵を絞る…
 
ぷぷぷ。なんですかね、これ。
小んぶさんの新作って、ほんとに新作のセオリーとかそういうの一切なくて、確かにビミョーかもしれないけど、その分変な「新作臭」が全くなくて、私は好きだな。
作った新作はここ以外ではやりません、と言い切っていた小んぶさんだけど、ちょっとほかのところでもやってみたら?
 
小んぶさん「臆病源兵衛
おお、なんかこの間聞いたさん助師匠の「臆病源兵衛と出どころは同じような感じ。
からだの大きな小んぶさんが怖い怖いと身を縮めながら時折奇声を発するのがばかばかしい。
くまさんの策略で台所に酒を探しに行った源兵衛が手探りで酒を探して、とっくりと間違えてこけしをつかむ、っていうの…小んぶさんオリジナル?
なんかその図を想像するとばかばかしくて笑ってしまう。
楽しかった!この噺、あんまり寄席でもかからないけど、結構好きだな。

小んぶさん「船徳
ちょっと時間を気にしつつ?ばたばたしてた感じはあったんだけど、小んぶさんって意外となよっとした若旦那が似合ってる。相当わがままなことを言ってもかわいさがあるから見ていて楽しい。
あとお客が途中からまったく逆らわなくなるのが、小んぶさんらしくて楽しい。
これからもっともっと面白くなりそう。
 
 

 

 

 

国立演芸場8月上席

8/6(日)、国立演芸場8月上席に行ってきた。


・市坊「たらちね」
・市童「武助馬」
・さん助「お菊の皿
・東京ガールズ 三味線演芸
・玉の輔「宮戸川(上)」
・小のぶ「風呂敷」
~仲入り~
・カンジヤマ・マイム パントマイム
・菊太楼「子ほめ」
・ダーク広和
・市馬「船徳


市童さん「武助馬」
おお、「武助馬」とは渋いな、市童さん。
これって鯉昇師匠からだよね、きっと。
兄弟子の名前が「池袋」で、居眠りしている兄弟子を起こすと寝ぼけて「次は大塚~大塚~」には笑った…!
地味な噺だけどちゃんと笑いどころもあって楽しい。


さん助師匠「お菊の皿
おお、さん助師匠の「お菊の皿」は初めてでうれしい!
お菊さんが留守の時に鉄山がお菊の部屋を訪れて皿を一枚抜いて…と言いかけてから、「これには伏線がありまして」。
え?伏線?
家宝の皿をお菊に預けておいたのだが、お菊が留守をした時に「三平に会いに行ったのか!」と嫉妬に狂って鉄山が皿を一枚抜いたのだ、と。
お、もしや、預けておくという部分が抜けたから、あわてて足した?どきどき。

お菊さんが殺されて井戸に落とされて、そのあとすぐに鉄山がはばかりに行こうとするとすぐに「うらめしや~」と現れる、っていうのは初めて聞いた。
井戸じゃなくていろんなところに出てくるお菊さん?

そのあとで若い衆が皿屋敷を見に行くところは同じだけど、次の日から倍、また次の日は倍と増えて、出店が出たり甘味屋ができたりと通りもにぎやかになり、中には「お兄さん、よってらっしゃい」って怪しげな店ができるっていうのも初めて聞いた。

2回目に出てきたお菊さんが、「…ようこそいらっしゃいました」と色っぽくて丁寧なのはなんか好きだなぁ。
ちょっとばたばたしてたけど楽しかった。


小のぶ師匠「風呂敷」
兄貴分が途中で語る本物の薀蓄を丁寧に。これがあるから、噺の中で、兄貴分が偉そうに語る薀蓄が全部でたらめなのがはっきりして二倍おかしい。
そしてそんな偉そうな兄貴がおかみさんには全く尊敬されてなくて邪険に扱われているのがまたおかしい。
そうか。この噺の主役はこの兄貴なんだ。頼られて悪い気はしなくて張り切って出かけて行って…。

とにかく小のぶ師匠のこの兄貴がかわいい。
「おめぇはなにかっていうと俺を頼ってきて」「大変だなんていうのはほんとに大変な時にだけ言う言葉だ。生涯に一度や二度ぐらいだ」と迷惑そうに言いながら、彼女が帰ると「ほんとに弱っちゃうよなぁ。みんな俺を頼りにして」と言う姿がほんとに嬉しそうで誇らしそうで笑ってしまう。

アクションが大きくて表情が豊かで間が良くて。
小のぶ師匠の落語は楽しいなぁ。

ところでこのおかみさん…新さんとできてたのかな、ほんとのところ。
なんとなくまくらを聞いていてそんなことをちょっと思った。


カンジヤマ・マイム パントマイム
今日は一人だったのでこの間とはまたちょっと違っていて、それが嬉しい。
パントマイムは世界共通だからいいですねって言われるけど、実はしぐさって国によって違いがあるから、共通ってわけじゃない、っていうの面白かった。


菊太楼師匠「子ほめ」
聞き飽きたこの噺がこんなに面白いとは!
この師匠のわしゃわしゃしたところがこの噺にぴったりでご機嫌な楽しさ。よかった!


ダーク広和先生 マジック
端が増える紐のマジック、ほんとに間近で見ていたけど、ほんとに不思議。
ほんとにうまいよなぁ。見事としかいいようがない。

 

市馬師匠「船徳
市馬師匠の「船徳」は何回も見ているけど、今日のが一番ノリノリだったような。
なんか聞いたことがないようなギャグも入っていてそれも面白かったけど、まわりの人たちがみな若旦那を心配している様子がたまらなくおかしい。
ガタイのいい市馬師匠だけど、いかにもなよっとした形ばかり気にする若旦那っぽいのが不思議。
楽しかった。

夜の夢見の川 (12の奇妙な物語)

 

★★★★★

その異様な読後感から“奇妙な味”と呼ばれる、ジャンルを越境した不可思議な小説形式。本書には当代随一のアンソロジストが選んだ本邦初訳作5篇を含む12篇を収めた。死んだ母親からの晩餐の誘いに応じた兄妹の葛藤を描くファンタスティックな逸品「終わりの始まり」。美しい二頭の犬につきまとわれる孤独な主婦の不安と恐怖を綴った「銀の猟犬」など、多彩な味をご賞味あれ。

「12の奇妙な物語」と副題にあるように、日常の中に紛れ込む悪夢のような出来事や読み終わってなんかもやもやが残るよな作品を集めたアンソロジー。
スタージョンチェスタトン以外は知らない作家だったのでとっても得した気分。

「麻酔」
恐怖としかいいようがない歯医者体験。
あまりの事態に笑うしかないんだけど、笑いながらもいつの日かこんなことを体験することがあるかもしれない、とうっすら怖い。


「お待ち」
身動きできない恐怖がじわじわくる。
出て行けそうでいて気が付いた時にはもう絶対に身動きがとれなくなっている恐怖。
抵抗すればするほど無理だということに気づき、「もういいや…」と無力化していくのが怖い。

 

「銀の猟犬」
これもこわい。決して離れぬ犬も怖いけれど、家族と…夫とここまで分かり合えないのがこわい。

 

「夜の夢見の川」
これが一番好きだな。
どこまでが現実でどこからが幻想なのか。そもそもその境目に意味があるのか。
結局は自分が「見たもの」が全てなのだから。

 

第4回・夏丸谷中慕情

8/5(土)、Chi_zu2号店で行われた第4回・夏丸谷中慕情に行ってきた。

 

・夏丸「いが栗」
~仲入り~
・夏丸「太閤の猿」


夏丸さん「いが栗」
昔、田舎の家に行くと、天井の隙間や鴨居の上にいが栗を置いてあることがあった。これはいが栗を置くことでねずみが入れないようにするという生活の知恵。
そんなまくらから「いが栗」。

初めて聴く噺。
江戸から来た旅人が山道で迷ってしまった。わらじもほどけてきて途方にくれていると、荒れ果てた辻堂を見つける。ここで一息ついてわらじを結びなおそうと近づいて行くと、そこには異様な風体の坊主がいた。
ぼろぼろの着物をまとい、頭はいが栗頭、顔中髭だらけの坊主がなにやら一心不乱に呪文を唱えている。
道を尋ねるが答えてもらえず、その異様な姿に身の毛がよだち、そのまま辻堂を後にする。
しばらく歩いていると一軒のあばら家を見つけ、そこのばあさまに声をかけて「一晩泊めてくれ」と頼むのだが「助けてやりたいが家には病で寝ている娘がいる。この娘の姿を見て恐ろしいと言いふらされては困るから泊めることはできない」と言う。
そんなことは決して言いふらさないし、泊めてもらえたら私も娘の看病をするからと頼むと「困っているようだからそれなら泊まりなさい」と泊めてもらえることになる。
囲炉裏端に眠っている娘の姿を見るとそれはそれは美しい娘。

ひえの雑炊を食べて合羽を着こんで眠りにつくのだが、夜中娘がうなされている声で目が覚める。
何事かと障子の隙間からのぞいてみると、娘の枕元にあの不気味な坊主がいて耳元で何か唱えたりさすったりしている。
夜が明けると旅人は「娘さんは病気なわけじゃなく、とりつかれているようだ。もしかすると助けてあげられるかもしれない」と言い、辻堂にいる坊主のもとを訪ねていき…。


民話のような不思議な話なんだけど、田舎のばあさまがいいキャラクターで笑えるところもあるし、夏丸さんの淡々としていてでもなんともいえずひょうきんな語り口がこの噺にぴったりで、もう夢中になって聞き入っていた。

いやぁ、おもしろい~。こういう珍しい噺を持ってるってすごい強味だよなぁ。すばらしい。


夏丸さん「太閤の猿」
東雲節の歌を歌って、その謂れを説明したあとに、実はこの原点は秀吉公にある。
落語というのはほとんどがなーんの役にも立たない噺ばかりだけれど、その中にほんのわずかだけだけどためになる噺があって、これはその数少ない噺。メモをしながら聞くように、と言いながら「太閤の猿」。

これも初めて聞いた噺。
猿に似ていると揶揄されることが多かった秀吉は、自分によく似た猿を探させてそれをとてもかわいがっていた。
自分と同じ格好をさせて自分と同じものを食べさせて…。
秀吉を訪ねてくる客があると秀吉は猿に「行け!」と合図をし、すると猿はその客人の首筋のところを突く。
客は「なにをする!」と怒りたいところなのだが、秀吉がかわいがっている猿なので何も言うことができない。
この噂を聞きつけた独眼竜正宗は、自分にはそんな無礼を働かせてなるものかと、猿のもとを訪れて…。


これもまたまじめなような壮大なほら話のようなばかばかしい噺。これがまた夏丸さんにぴったりでおかしいおかしい。
途中で猿が関西弁で話しだしたので「なんじゃ?!」と思ったんだけど、これはもともと上方の噺なんだね。

 

お約束の歌&撮影タイムもあり。
この日は夏丸さんの誕生日をお祝いしよう!ということで打ち上げにも参加させていただき、とても楽しかった。

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池袋演芸場8月上席昼の部

8/5(土)、池袋演芸場8月上席昼の部に行ってきた。
8月上席の小三治師匠のトリの芝居はいつも大変な行列。今週は夏風邪を引いてちょっとダウンしていたので、あのしのぎを削る感じは辛いなぁと思いながらも、せっかく前売りも買っているし、この日を逃すともう行ける日はないし、と2時間並ぶ覚悟で出かける。
10時ちょっとすぎに着くとすでに20人ぐらい並んでいてくらっときたけれど、11時ちょっと前ぐらいに前売りを持ってる人は階段に移動させてもらえたので、ほっ。


・小ごと「道灌」
・小かじ「馬大家」
・三之助「替り目」
・小円歌 三味線漫談
・菊生「シンデレラ伝説」
・燕路「だくだく」
・ジキジキ 音曲漫才
・市馬「高砂や」
・伯楽「宮戸川(上)」
・紋之助 曲独楽
・左龍「お菊の皿
~仲入り~
木久蔵「後生鰻」
・小団治「ぜんざい公社」
・アサダ二世 マジック
小三治「馬の田楽」


小ごとさん「道灌」
一琴師匠のお弟子さん。コワモテで眉毛の間に一本線が入ってるんだけど、口元はとってもにこやかでかわいい。前座さんらしい素直な落語。


小かじさん「馬大家」
小三治師匠トリの芝居に出られる嬉しさがにじみ出てる。
そして前座時代のつまらなそうな感じとはうってかわって…確かに三三師匠のお弟子さんなんだなぁという感じがすごく出てる。なんだろう。はずさない感じ。


小円歌先生 三味線漫談
もう最初から最後まですかっと気持ち良くて明るくて楽しくて華やかで…大勢の立ち見のお客さんにも心を配って、あの場にいたお客さんがみんなほっとして笑顔になったのを感じた。すてき。


菊生師匠「シンデレラ伝説」
うわ、菊生師匠も「シンデレラ伝説」やるんだ?!びっくり!すごいな、白鳥師匠。
面白かった。


燕路師匠「だくだく」
この雰囲気の中で「だくだく」をやる燕路師匠が好きだなー。

市馬師匠「高砂や」
高砂や」珍しい!
市馬師匠のいい声で下手に歌われるのがまた面白い。楽しかった。


木久蔵師匠「後生鰻」
人間国宝トリの芝居でこんなに深い位置で使っていただいて、自分で言うのもなんですが今ではご立派」。
漫談だけじゃなくて「後生鰻」やってくれたのはうれしかったけど、でもこの噺の面白さがあまり伝わってこなかったかなー。


アサダ二世先生
ついにマジックをやらずに漫談だけで下がった。うひょー。(これは許せる落語ファン)


小三治師匠「馬の田楽」
9月の会が小三治師匠の入院で2つ中止になって心配したのだけれど、こうして寄席に出ているということは、急病ではなく何か手術とか検査とかなのかな。
相変わらずお茶を飲むときには手が曲がらないようだったからそっちの方なのか、それとも持病の方なのか。わからないけど、とりあえず元気な姿を見ることができて、ほっとした。
立ち見でぎゅうぎゅうの客席を見まわして「こんなに大勢いらしていただいて…早い時間から並んでいただいたんでしょう?ありがとうございます」と頭を下げる小三治師匠にじーん…。
ちょっとまくらが長くなりそうになりつつ、最初から噺を決めてきたようで「馬の田楽」。

峠を越えてきて疲れた馬と馬方がとっとと荷を渡してほっとしたいのに、呑気な主は呼んでも出てこない。
仕方なく中に入って座るとその木が疲れを吸い込んでいくようで天井が高くて涼しい風が流れてきて思わずちょっとうとうと…。
小三治師匠の「馬の田楽」を聞くと夏の暑い田舎の風景や、ここの家の様子が目に浮かんでくる。
そして口が悪い馬方の親方が馬を想う気持ちが伝わってくる。

私が好きなのは馬を探している時に出会う、言葉がうまく出てこない人。このおかしさは他の人には出せないよなぁ。
小三治師匠の落語の世界にどっぷり浸れて楽しかった。

国立演芸場8月上席夜の部

8/4(金)、国立演芸場8月上席夜の部に行ってきた。


・市江「出来心」
・さん助「夏の医者」
・東京ガールズ 三味線演芸
・玉の輔「お菊の皿
・扇生「酢豆腐
~仲入り~
・カンジヤマ・マイム パントマイム
・菊太楼「あくび指南」
・ダーク広和 マジック
・市馬「らくだ」


さん助師匠「夏の医者」
この芝居で小のぶ師匠という大ベテランが出てらっしゃるんですが、とさん助師匠。
私、二日目でしたか、楽屋で冷たい水を飲んでたんですね。そうしたら小のぶ師匠が「あなた…もしかして…お若いんですか?」
「え、ええ。私、二年前に真打になったばかりです」と答えると「あ…じゃあ入門がかなり遅かった?」
「いえ、大学卒業してすぐに入門しました」。

…ぶわははは!!
小のぶ師匠に、冷たい飲み物を飲まないほどの年寄だと思われていたさん助師匠、最高!

そんなまくらから「夏の医者」。
いいなぁ、この噺。最初から最後まで好きだわー。私、サゲにはそんなにこだわらないんだけど、この噺のサゲはすごく好き。
田舎の風景とさん助師匠って相性がいい気がする。前に見た「馬の田楽」もすっごくよかったもんなぁ。なんかさん助師匠の伸びやかな声と素朴さが生きてる。
よかった。


東京ガールズ 三味線演芸
好き好き。「ぎっちょんちょん」の替え歌とか、ずっと聞いていたい。
振りつけもかわいい。


扇生師匠「酢豆腐
若い衆が集まってぬか漬けを触るのを嫌がって押し付けあうところとか、そういうわいわいしたところも楽しかったんだけど、伊勢家の若旦那の「〇〇でげすね」がもうたまらなくおかしかった!
小のぶ師匠が代演でがっかりしていたんだけど、そんなことを忘れるくらい楽しかった。


カンジヤマ・マイム パントマイム
好き好き。前に末廣亭で一回見たけど、これを寄席で見られるのは幸せだ~。
もっと寄席の出番が増えるといいなぁ。何回見ても楽しいよ、これは。
カンジヤマ・マイム体操、よくできてる。


市馬師匠「らくだ」
市馬師匠の「らくだ」好き。
兄貴分は確かに怖いんだけど、屑屋さんが怖がりながらもそんなにこうおどおどしてないから、前半部分も見ていてそんなにつらい気持ちにならない。
お酒を味わって飲めと言われて3杯目を味わって飲み始めると、急に酒飲みの性が出てくるのが面白い。
立場の逆転も気持ち良く、最初から最後まで楽しく見られた。

さん助ドッポ

7/31(月)、お江戸両国亭で行われた「さん助ドッポ」へ行ってきた。
 
・さん助 初代談州楼燕枝の述「西海屋騒動」第十回「お静の間夫」
~仲入り~
・さん助「三助の遊び」
・さん助「夏の医者」
 
さん助師匠 初代談州楼燕枝の述「西海屋騒動」第十回「お静の間夫」
いつものように立ち話から。
 
地元の水戸で寄席形式の会がありPRのための動画撮影があって同じく茨城県出身の講談の神田真紅さんと二人で行って来た。
簡単な台本を渡されて「この通りじゃなくてもいいので、何か思いついた面白いことをおっしゃってください」と。
 
台本があってもちゃんと話せないのに、何か面白いことをと言われても…不安な気持ちでいると、「じゃまず真紅さんから」と。
真紅さんはニツ目だからと、さん助師匠に気を使ってくれたらしい。
 
が、真紅さんがとてもうまい。
講談師だから口調もいいし、さらに短い時間にまとめるのがとてもうまくて、聞いてみたらなんでもラジオ番組をやっているらしく、慣れているのだった。
担当の人も「すばらしい!一発OKです」。
 
そしてさん助師匠の番になったのだが、案の定、噛むわ間違えるわもやもやするわ…何度もやり直しになり最後は「ま、いいでしょう、これで」。
「一発OK!と、ま、いいでしょう、には心が折れました」。
 
…ぶわはははは。
カミカミのさん助師匠が目に浮かぶわ。最高。
 
そんな立ち話から「西海屋騒動」第十回「お静の間夫」
左一郎を失ったお静は品川の遊郭・土蔵相模で遊女となるが、その美貌からたちまち評判になり、絵草紙に描かれるほどに。
お静を贔屓にする客が多い中、お静がいい仲になったのが、名前も素性も名乗らない男で、お静はその男に夢中になる。
その男が、西海屋の主である宗太郎がお静に夢中になっているという噂を聞きお静に確かめると「身代を倒すぐらいの勢いで通ってきている」と言う。
「あいつから金を巻き上げるだけ巻き上げてその金でこの仕事から足を洗って、お前と女中と猫の4人暮らしをすることが夢だ」と語るお静。
 
そうとは知らない宗太郎は、毎夜のようにお静のもとに通い、金を湯水のように使っている。
ある日海鮮問屋の寄合があり、それには主人が自ら来なければならないというお達しがあった。
清蔵は小僧を船宿に使いにやり、ゲンジという船頭に土蔵相模へ宗太郎を呼びにやってほしい、と頼む。
ゲンジが約束通り土蔵相模を訪れると、ご機嫌の宗太郎は「駆けつけ一杯だ」とゲンジに酒をすすめる。
ゲンジが「こんなうまい酒は飲んだことがない」と言うと宗太郎は酒を畳にわざとこぼし「そんなにうまいなら畳を吸え」と嫌味なことを言う。
お静がゲンジに「ここで飲んでも気づまりだろうから、いつもの店に話をつけてあるからそちらで飲んで時間をつないで」と言うと、「そうさせてもらいます」とゲンジ。
 
時間になってゲンジが土蔵相模へ行くとへべれけによぱらっている宗太郎。
船に敷いておいた蒲団に宗太郎を寝かせて漕ぎ出したゲンジだが、船をとある岸にとめると、用意していた刀で宗太郎を殺してしまう。
ゲンジはある男と100両で宗太郎を殺す約束をしていたのである。
ゲンジが約束の場所へ行くと、そこには頭巾をかぶっている謎の男。
「約束の金を」と言うゲンジに男は「わかった。」と言って懐に手をやるのだが、ゲンジのすきをねらって刀で斬りつける。
この男が誰なのかは次回明らかに…。
 
…ひぃー。
ゲンジっていい感じに出てきたのに、あっという間に人殺しになって、そしてまたすぐに殺されちゃったよー。
もう出てくるの悪いやつばかり…。
唯一、船宿につかいに行く小僧がいい味出してたけど、あれは原作通りなのかあるいはさん助師匠の創作なのか。
船宿のおかみに上がるように言われると「私はそののち番頭になりますからそうした暁には店に上がります」と言ったりして、壮大な野望を語るのがおかしかった。
 
さん助師匠「三助の遊び」
この日、「夏の医者」をネタ出ししていたんだけど、まだ時間があるので、ということで「三助の遊び」をやります、とさん助師匠。
鈴本でさん助師匠が「三助の遊び」という噺をやったというのをtwitterで見て、すごい気になっていたのだ。うれしい~!


三助という職業、もうお分かりの方が少なくなってしまいました。
平成2年ぐらいまで日暮里に現役の三助がいらっしゃったみたいですが、その方もやめてしまって今はもういないですから仕方ないです。
お風呂屋さんで400円払うと三助が背中を流してくれたんですね。
ももともと三助っていうのは背中を流す人のことを言ってたわけではなくて、お湯屋の番頭さんのことを言ってたみたいです。
 
先代のさん助師匠は出てくると「さん助です」と名乗った後に「みなさんの背中を流そうっていうわけじゃありません」と言って、毎回爆笑だったんですけど…今やると…こうなりますね(しーん)。
先代のおかみさんには「あのセリフ使っていいわよ」って許可をいただいているんですが、そういうわけで使ってません…。
 
で、この「三助の遊び」っていう噺。
前に楽屋で雲助師匠に「あんちゃん、三助の遊びはやらないの?」って聞かれたんです。
やりたい気持ちはあったんですけど、志ん生師匠がやられているので古今亭の噺なのかなと思って、それでやるのをためらっていて。
そのことを雲助師匠に言うと「いいよ。何か言われたら俺がいいって言ったっていいな」そう言われまして。
だから勝手にやってるわけじゃないんです。
 
…くぅーー。雲さま、素敵。
 
三助が町を歩いていると幇間の次郎八が「こんな昼間にうろうろしてるなんて珍しいですね」と話しかけてくる。
実は釜が壊れてしまったのだ、と三助。
それで昼寝でもするべーと寝ていると客が入って来ては「今日は休みかい?」と聞いてくるので「いや、釜が壊れて早じまい」と答えるのだが、またうとうとすると客が入って来て…の繰り返し。
おちおち昼寝もできないとこうして出てきたのだ、と三助。
「だったら一緒に吉原に行きましょう」と次郎八が言うと「いやよそう。三助ってわかると花魁が相手にしてくれない」と三助。
「そこは私にお任せを」と次郎八。
大店の若旦那ということにして私がうまくやりますから、と。
 
それならいいだろうと二人で出かけていくのだが、いざ御しけになって女を待っていると、花魁の噂話が聞こえてくる。
花魁の符丁や言い回しが全て「お湯屋」を連想されることばかり耳に入ってくるのでそのたびに「三助ってばれてしまった!」と大騒ぎして次郎八を呼びつける三助。
ようやく花魁が部屋に入ってきたときには…。
 
…すごくばかばかしくて楽しい~。
名前にちなんだ噺だし、寄席でもどんどんやってほしいな。
最近さん助師匠が新しくやる噺がどれも私好みでうれしくなっちゃう。
 
さん助師匠「夏の医者」
前に金馬師匠と里光師匠で聴いたことがある。大好きな噺なのでうれしい!
 
田舎ののんびりした空気の流れが感じられてすごく心地よくて楽しい。
うわばみに飲まれてものんびりしている医者がいいなぁ。
山の頂上で一服する場面が大好き。
この先生、医者の仕事より畑仕事に精を出してるんだよね。かわいい。
 
そしてなにより笑ったのが、腹下しを飲まされて弱り切ったうわばみの様子。
いやもう最高。この間の狐といい、うわばみといい、さん助師匠の動物(化物?)、おかしすぎ!
楽しかった~。