りつこの読書と落語メモ

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三体

 

三体

三体

 

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物理学者の父を文化大革命で惨殺され、人類に絶望した中国人エリート科学者・葉文潔(イエ・ウェンジエ)。失意の日々を過ごす彼女は、ある日、巨大パラボラアンテナを備える謎めいた軍事基地にスカウトされる。そこでは、人類の運命を左右するかもしれないプロジェクトが、極秘裏に進行していた。数十年後。ナノテク素材の研究者・汪森(ワン・ミャオ)は、ある会議に招集され、世界的な科学者が次々に自殺している事実を告げられる。その陰に見え隠れする学術団体“科学フロンティア”への潜入を引き受けた彼を、科学的にありえない怪現象“ゴースト・カウントダウン”が襲う。そして汪森が入り込む、三つの太陽を持つ異星を舞台にしたVRゲーム『三体』の驚くべき真実とは?本書に始まる“三体”三部作は、本国版が合計2100万部、英訳版が100万部以上の売上を記録。翻訳書として、またアジア圏の作品として初のヒューゴー賞長篇部門に輝いた、現代中国最大のヒット作。 

 文化大革命から始まったのにも驚いたけど、ゲームから現実へのいきなりの飛躍、物理学や天文学のこれでもかという記述に「ひぃーー。私には理解できないかもー」と腰が引けるも、後半になってからの展開にはワクワクドキドキしてページをめくる手が止まらず、結果的には楽しく読んだ。
正統派SFにエンタメ要素をぎっしり盛り込んだ作品、という印象。

それにしてもこれがベストセラー、アメリカ、日本でも話題!ってすごい。
やっぱり本を読む人というのは一定数いて、力のある物語には吸引力があるんだなぁ。

これが第一部ということで二部三部もあるというので楽しみ!

露新軽口噺

10/11(金)、らくごカフェで行われた「露新軽口噺」に行ってきた。

・新治&新幸 ご挨拶
・新幸「東の旅」(発端)
・新幸「手紙無筆」
・新治「仔猫」
~仲入り~
・新治「野ざらし
・新幸「狼講釈」

新治師匠&新幸師匠 ご挨拶
平日の昼にもかかわらず満員御礼。かくいう私も有休をとっての参加。
「今日は開場の前にこちらに来たんですが、階段の方に何名かの方がすでに来ていらして私の姿に気が付いたら、”師匠、お写真を撮らせていただいてもいいですか?”と声をかけてくださいました」と新治師匠。
東京のお客様は関西とは違いますなぁ。我々芸人を「噺家さん」と呼んで持ち上げてくださってリスペクトしてくださる。写真を撮らせていただいていいですか?なんて。
大阪ではこうは行きません。
「ちょっとあんた、写真撮って」。自分たちを撮らせますから。


…わはははは。
新治師匠をこんな小さい箱でこんな目の前で見られるなんてうれしい~。
と思っているのは私だけじゃないみたいで、前の方の席から埋まって行って、みんな師匠が登場するとニコニコ笑顔。
そんな客席を本当に嬉しそうに笑顔で見つめる新治師匠と新幸さん。とってもいい雰囲気。

それから新治師匠が新幸さんに「お前、関西の若手落語家の代表として、今若手の間でこれが熱い!ちゅう話をせぇや」。
うおおお、無茶ぶり?!と思ったんだけど、新幸さん、繫昌亭がリニューアルオープンした話やしくじりの多い前座さんが「また」師匠から破門になりかけた、という話。
この前座さん、天然というか大物というか…ある時師匠から「魚を買うてきて、あとこのハガキをポストに入れてきて」と頼まれたら、魚をポストに投函しハガキを持って帰って来たらしい。
そんな具合なので今回もとんでもないしくじりの結果破門を言い渡されたらしいのだが、楽屋の師匠方が「あいつを破門?やめてくれ。あいつがいるから楽屋に来るのが楽しみなんだから」とかベテランの三味線の師匠が「あの子がやめるなら私も…」とまで言い出して、破門されずに済んだらしい。

…そういえば落語協会でもネタ帳の誤字やネタの書き間違えがすさまじい前座さんがいて師匠方に大人気で市馬師匠が「お前はそのまんま大きくなれよ」と頭をなでなでした、なんていう話も聞くけど、愛されキャラっているんだね。

師匠の無茶ぶりにもちゃんと答えた新幸さん、なんと今回は新幸さんがトリとのこと。
5年目のお弟子さんが師匠の後に上がる?!とびっくりしたのだが、なんでもこの会、もとは新幸さんの働きで行われることになった会らしい。

新幸さん「東の旅」(発端)
これは以前、深川の会でも新治師匠が「上方ではこれを前座がお客さんが入り始める時間帯からやり始め、もうそろそろ開演にしてもええやろ、という時間までやります」とおっしゃって「その雰囲気を味わってもらいたい」と新幸さんにやらせたことがあったけれど、今回も。
結構わかりにくいというか難しい噺だけど、これを前座が一番最初にやるというの、面白いな。


新幸さん「手紙無筆」
自分はまだ5年目なのでこんな風にトリをつとめる…まして師匠の前に上がるなんていうのは初めて、と新幸さん。
普段師匠の会のお手伝いで東京に来る時は前座なのでまくらをふることはできないんですが、まくらをふれる機会があったら是非お話ししたいと思っていたことがあるんです、と。

夏の鈴本演芸場のさん喬・権太楼の会にいつもゲストで呼ばれている新治師匠。
10日のうち1日ぐらいはさん喬師匠を接待したい、と新治師匠がさん喬師匠をお誘いすると「ああ、今日はお客様と打ち上げに行くことになっているんです」とさん喬師匠。
それならそのお客様も一緒にいかがですか?と言うと、それならば…ということになった。
新幸さんがお店を予約して一人先に店に行って先に料理などを注文したんだけど、その時に「柳家といえば大食い」と本で読んだ知識を頼りにかなりの量の料理を注文しておいた。
ところがいざやってきてみると、師匠が連れてきたお客様はすでに夕飯を済ませたあとで、それを差し引いても料理の頼みすぎ。これはとんだしくじりだーーと青ざめているとさん喬師匠が大きな声で「おい!新幸!」。血の気がさーーっと引いた時にさん喬師匠が「いいね。私の師匠の小さんはテーブルいっぱい料理が並んでいるのが好きだったんだよ」。…もう涙が出るくらい嬉しかった。
それでも頼みすぎなのは明らかだったのでとにかく自分がなんとかしなくちゃと食べていると、同じ柳家の真打が「新幸さん、そんなに無理しなくてもいいよ。」と言った後に「俺たち柳家はこの後にラーメンが普通だぜ」。
…もうしびれました。かっこよすぎます。最高じゃないですか。「この後にラーメンが普通だぜ」って。

…この話を聞いたらなんかちょっと涙が出てしまった。うるうる。

そんなまくらから「手紙無筆」。
内容は一緒だけど関西弁だとまた印象が違う。より笑い成分が多くなる感じ。
新幸さん、間の取り方が絶妙なので、わかっていても爆笑してしまう。楽しかった~。

 

新治師匠「仔猫」
こちらの会の主催者さんから「東京であまりやったことのない噺を」というリクエストがありましたので、こちらを…と。

あるお店に口入やさんから紹介されたとやってきたおなべという女。これがかなりの不細工だったので番頭はなんのかんの言って帰そうとしたのだが、お店の主のおかみさんが「あたしが預かりましょう」と言っておなべと話をし、お給金が安くてもかまいませんと言うので雇うことになる。
言葉はぞんざいだが力持ちで働き者で気のいいおなべは奉公人の人気者。
あるとき、店の若い者が集まってバカ話をしている時に、おなべの噂になり「おれは〇〇(他の店で美人と評判の女中)よりおなべの方を嫁にしたい」と言い出す男もいて、みんなでやいやいやっていると、一人の奉公人が「お前…おなべにバカにご執心だけどおなべの本当の姿を知らないだろ」と言い出す。
本当の姿?と聞くと、ある晩外のはばかりに行った時、おなべが部屋を抜け出していくのが見えたのだが戻ってきたおなべがものすごい形相で帰ってくるのを見た、と。口は耳まで裂け、口のまわりは血だらけ、明らかに正気を失った目をしていた。

まさかそんなことが…と言うと、実は私もその姿を見たことがあると割って入って来たのが番頭。
その話を耳にした店の主人はおなべに暇を出した方がいいだろうと、おなべの留守中におなべの荷物を改めることに…。


…おお、これは前に一度だけ聞いたことがある!と思ったら、藤兵衛師匠だった

おなべの不細工ぶりをやいやい言いつのったり、おなべに悪癖があると聞いてだったらおなべの留守中に荷物を改めて何か証拠をつかもうとしたり、ちょっと嫌なところもある噺なんだけど、新治師匠に品があって軽いトーンなので嫌な感じはしない。
ひまを出されそうになったおなべが番頭に身の上話をするところでは音曲が入って(テープだと思うけど)怪談調で少し怖い。
でもサゲはあくまでも落語らしく、がははは!と笑っておしまい。

楽しい~!!こういう噺を聞けるのはほんとに嬉しいなぁ。


新治師匠「野ざらし
この噺は可朝師匠に教わりました、と新治師匠。
上方では「骨釣り」という噺ですが、可朝師匠は談志師匠から教わっているので、私がやるのは江戸版です、と。
それから可朝師匠の思い出話。いやぁこれが豪気というかスケールが大きくてすごい!びっくり。いまだったら×××というエピソードも多くて、おおらかな時代だったんだなと思ったり。

そんなまくらから「野ざらし」。
江戸版だけどやっぱり関西弁で(当たり前か(笑))、川は淀川。サゲも違うんだね!
釈台を前にしないで落語をする新治師匠も新鮮。
浮かれて歌うところもばかばかしくて楽しかった!

 

新幸さん「狼講釈」
初めて聴く噺。
無一文の旅の男が何か食べさせてもらおうと床屋を訪ねるのだが、そういうことは禁じられているとにべもなく断られる。
お坊さんや芸人なら食事を出して泊めてやれるのだが…と言われ、思わず「私は講釈師です」とうそをつく。
講釈師だったら庄屋さんが大の講釈好きだから紹介しましょうと連れていかれると、下へも置かないもてなしぶり。
この男、ごちそうを食べて風呂にも入りご祝儀ももらって講釈もしないで屋敷を逃げ出す。
あーー面白かった、懐もあったかくなったし、どこか宿へでも泊まろうと独り言ちていると、何者かが追ってくる。
何かと思ったらこれが狼の群れ。お前よくも庄屋さんを騙してくれたな!と狼にすごまれ、狼の前で講釈を披露することに…。


…狼を前にやる講釈がもうめちゃくちゃでとても面白い。
那須与一が出てきたと思えば赤穂浪士になったかとおもえば水戸黄門
やぶれかぶれの講釈が楽しくて大笑いだった。

あー楽しかった。
また第二弾もありますように。

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小んぶにだっこ

10/9(水)、落語協会で行われた「小んぶにだっこ」に行ってきた。


・小んぶ「夢の酒」
~仲入り~
・小んぶ「抜け雀」

 

小んぶさん「夢の酒」
今年も敬老会に呼んでいただいて行ってきました、と小んぶさん。
昨年も痛い目にあったのにどうしてまた行っちゃうんでしょう。というか呼んでいただければ何度もでも行くんですが、でも私が昨年痛い目にあっているのを目の当たりにしたはずなのになんでまた呼んでくださったんだろう。そう思うと、もしかして痛い目にあったわけじゃないんじゃねぇ?とか思っちゃって、またのこのこ行っちゃうわけです。

で、敬老会に呼ばれたものの、いろいろあって落語どころではなかったという話。
「元気な100歳より元気のない70歳の方が絶対元気」という名言も飛び出しておかしかった。

それから小志ん師匠の披露興行の話。
さん喬一門、次々と兄弟子が真打になっていくのでもう珍しくもなんともない。
そして毎回手伝いで披露興行に通ううちに、師匠の口上が誰の時も同じだということに気づいた。
それなのに師匠が第一声を発した瞬間、必ず号泣する小志ん師匠。
楽屋ではそれが評判になっていて「そろそろ(泣くタイミング)だぞ」と袖には噺家が集まってきて、「お、泣いた!」「やっぱりここで!」とみんながハイタッチ(笑)。

近況報告の長めのまくらから「夢の酒」。
若旦那が夢で見た女が本当に美しくてどの角度から見てもきれいだから目が離せないんだよと言うと、お花が若旦那の前で角度をあれこれ変えていくのが面白い。
最初は余裕を見せていたお花だったんだけど(小んぶさんのお花さんはなかなかの自信家(笑))、最後まで聞くと怒り爆発!過呼吸

騒ぎを聞いて駆け付けた大旦那に若旦那がこういういきさつで女の家に上がり込んで…と話しだすと大旦那が「で、その女の器量は?」それにお花が「そこそこだったそうです」。

…ぶわはははは。
小んぶさんらしいちょっと斜め上を行く「夢の酒」だったけど、サゲの一言には実感がこもっていてよかった。

 

小んぶさん「抜け雀」
宿屋の主にちょっと与太郎が入ってる(笑)。
甚五郎にあれこれ言いつけられた主人が「あいつ…なんでおれが大声に弱いって知ってるんだろう」とつぶやいたのがおかしかった。
あと、「目ん玉くりぬいて銀紙」のセリフを籠を描いた老人に言われた主人が「やろうと思ったんですけどこわくてできなかった」と言ったのも笑った。

 

第六回 柳家さん助の楽屋半帖

 10/7(月)、駒込落語会で行われた「第六回 柳家さん助の楽屋半帖」に行ってきた。


・さん助「金明竹
~仲入り~
・さん助「十徳」~「或るロシア人伯爵の手記」(「「黄瀬戸」「吸血鬼」「東京タワー」の三題噺)
・さん助「妾馬(通し)」

 

さん助師匠「金明竹
もしかして久しぶりだったのかな?と思ったら、三題噺の時に「1席目にやった金明竹、久しぶりにやったらひどいことになっちゃった」と言っていたので、そうだったらしい(笑)。

与太郎はすごくチャーミングで面白いんだけど、おかみさんがなんかこう…気がない感じ?おかみさんがもっと存在感が出てきたらすごーく面白くなる気がする。ってえらそーーー。すすすびばせん。

 

さん助師匠「十徳」~「或るロシア人伯爵の手記」(「「黄瀬戸」「吸血鬼」「東京タワー」)
やはり三題噺に入る前に一席やるパターン。
「かたびらのねんねこ」って何度聞いてもかわいいな、はっつぁん。
そして「なんで十徳を十徳っていうかそのわけを聞かせてくれ」と言われたご隠居が「それは知らないよ」とあっさり言うとはっつぁんが「それはだめだよ、ご隠居はそんなことじゃ。おれじゃねぇんですから。だめですよ。わけを言わないと」と食らいつくおかしさ。
ご隠居が「そう言われても、知らない」「わけなどない」とにべもないのもおかしい。あんまりはっつぁんがしつこいんで無理やりこじつけると、それにはっつぁんが異様に感心するのもばかばかしい。楽しい~。

「十徳」のサゲを言って頭を下げて、「よし、終わった」。

神保町の会も終わったから久しぶりに歩いてみるかな。神保町も随分変わっちゃったな。でも好きなんだよ、古本屋。珍しい本や古い本を買うのが俺の趣味だからな。
神保町と言えばこの映画館。いいよね。古い映画やってて。
俺、若尾文子が好きなんだよ。いいんだよ若尾文子は。もう何の役をやってもいい。お前いくつなんだよ?と言われそうだけど…やっぱり若尾文子だよ。なんともいえない色気があって品があって…。最近の女優…わからないからな。米倉涼子も4年前にやっとわかったぐらいだからな。

昼はカレーがいいな。神保町はカレー屋も多いんだよね。ええと…ボンベイで食べるか。ボ、ボンベイ?え?…あ、ボンディか。名前間違えちゃった。嫌いなんだよあの店。
昔行ったとき俺財布忘れちゃってて…あ、お金がないってなって…どうしよう…出世払いってことにしてもらおうかと思ったけど、絶対俺のこと知らないもんなぁと思ってさ。
だから、エチオピアにしよう。エチオピア。あーでも学生の頃はなかなかエチオピアでは食べられなかったよ。あそこで食べるのはセレブだったよ。
よく行ったのは店の名前は忘れたけど300円で天ぷら…これは具を選べるんだ…いもかキスかごぼう…海老は別に300円かかったから海老を頼むことはなかった…それにご飯に味噌汁。ご飯は大盛にもしてもらえて。どの天ぷらにするかがあの頃俺の毎日のメインイベントだった。
あと喫茶店、ブラジル。ブラジルも高いから学生時代は行けなかったけど、噺家になってから行ったな。それでケーキセット。ケーキはサンマルクっていうケーキ。どういうケーキかっていうとこう…そうこういう…層に…だめだ、説明できない。
行ってくれ。今もあるから。ブラジル。サンマルクって言ってもサンマルクカフェじゃないよ。ケーキの名前。

あー大学だよ。明治大学。ここに通ってたんだ。お茶の水から。
お茶の水っていうのがよくないよな。ギター屋!しかも中古の!っていうイメージだもんな。三田にある慶応とは大違いだ。
だいたい明治大学ってここを第一志望にしてきたやつはめったにいなくて、たいてい慶応とか早稲田に落ちて来たやつが多くて、だからなんか屈折してたな。暗かった。校舎も暗かったけど。でも今はもうこんなにきれいになっちゃって…もう昔の面影はまるでなくなっちゃったな。
俺が通ってた頃は木が鬱蒼と茂っててそこにボロボロの木造校舎。雨漏りがするような…。
入学したら「安保反対」とか立て看板だらけでマスクしてサングラスして青いヘルメットしてるやつらがいて…タイムスリップしたのかと思ったよ。
7階はそういう学生に占拠されててバリケードみたいのに覆われてて入れらなかったんだ。それでもって入学した時、みんなはオシャレな…文芸部とかのチラシを渡されてたけど、俺には全然そういうの渡されなくて…唯一渡されたのが社会主義を学ぶ会のチラシで、渡してくれた女の子がちょっとかわいかったから俺入ろうかと一瞬思ったけどやっぱり怖くてやめたんだよな。

あーそんなことはどうでもいいんだ。本屋だよ本屋。本屋に入ろう。あーいいねぇ…。あ、これはなんだ?「黄瀬戸?」…(と本を手にして)「なんだこら。つまらねぇや!!」(ぽいっ)。
あーロシア文学が並んでるな。俺好きなんだよ、ロシア文学。なんたって第二外国語にロシア語取ってたからな。ロシア語とってるの5人しかいなくてそのうち2人が途中で脱落して3人になったんだけど、この二人が明らかに付き合ってていちゃいちゃしててでも付き合ってないよっていうフリをしていて…くやしかったなぁ。2人がいちゃいちゃするのを見るためにいるみたいで。

お、ウラジミール・ナボコフの「ロリータ」がある。いいよ、「ロリータ」は傑作だよ。大好きなんだよ。でもこれを言うと変な目で見られちゃうから言えないんだよ。
でもロシア文学の教授に「ロリータ」が好きなんです、と話したら、教授も「私も好きだ」って言ってたよ。でも教授もそれは表立っては言えないって言ってたからな。
ドストエフスキー…いいよね「罪と罰」「カラマーゾフの兄弟」、トルストイ戦争と平和」…読んだなー中学生の時に。長いんだやたらと。頑張って読んだけどなんにも覚えてない…覚えてるのは戦争と平和が出てきたな、ってことだけだ。
あとええと…ん?これはなんだ?知らない作家だな…ちょっと見てみよう…えらい古い本だな…読みにくい…ええと?なんだ?「私は伯爵である」それで?ああ、この伯爵の独白なのか…この人の名前は…キセト・シュトラビッチ(?だったか?)…ああ、キセト(黄瀬戸)…ん?なんだこれ?

…本に顔を近づけていると、「あーーーーーーー」といきなり激しいアクション。そして、どん!!とどこかへ落ちて、「うわっ、なんだここは!ささささむい!!」
やたらと寒がるさん助。
なんだここは?あ、城?馬車?馬車から降りて来たのは…あれは…ロシアの女の人だ!なんだこう…こういう服を着て…こういう…説明ができないけど…こういうかたいやつ…あーだめだ、説明できない。
それにしても寒い。だって俺、着物でロシアに来ちゃってるんだもん。寒いわけだよ。
え?神保町を歩いてるときは普段着じゃなかった?そんなこたぁどうでもいいんだよ。

さん助がぶつぶつ言ってると「あなたぁーどうしましたかーー」と話しかけてきた男。「あー私日本から来た噺家です」
「はなしかー?それはなんですか?」
「ええと…扇子と手ぬぐいを持って正座してこう…」と言って、お蕎麦を食べるしぐさ。
「…下手すぎるだろ!!」

その男に「私の主人はとても慈悲深い方です。どうぞ屋敷に。その格好じゃお寒いでしょう」と誘われてついていくさん助。
この屋敷の主に会いたいと言うさん助に、主人は病に伏していてあと何日もつかという状態なので会うことはできません、と男。
そこをなんとか…と頼み込むとそれならば…と伯爵のいる部屋に通される。
さん助が伯爵の姿を探すのだがいない…あれ?どちらにいらっしゃいますか?どちらですか?と探していると…後ろから伯爵が「ぐぁーーーーおーーーー」。(出た!)

「俺は吸血鬼なんだー。お前が来るのを待っていたーー。珍しい日本の血--血が吸いたいーーー」襲い掛かってくる伯爵。
さん助が「お前はだれだ?」と聞くと「私の名前はキセト・シュトラビッチだ」
え?聞いたことがある名前!あ、神保町で見ていた本の中に出ていた名前!本を開くと「それは俺の本だー」。
「え?そうなの?」「そうだーー」なんていうやりとりをしているうちに本を手にした二人が、あーーーーーーーーーー!

どん!!!と落ちたのが、もといた古本屋。
「暑いーーー暑いーーー」激しく暑がる伯爵。そんな伯爵を見て「よし!鎮痛剤(沈痛したらだめでしょ?!麻酔?)を打ってやろう」ともくろむさん助は「伯爵、これ…どうですか?日本のビールです!」
「おれはーーウォッカしか飲まないんだー」
「いやこれ…プレミアムモルツですから。文蔵の薄いビールじゃなくて神田のプロントで買って来たやつ…ハッピーアワーに…」(なんでハッピーアワー?!)
「そうかーー」と飲み始める伯爵。
最初はジョッキを持つしぐさだったけど「あ、プロントはこれだ」とグラスを持つしぐさに。「こういうところが芸の細かいところ」(わはははは!)「さ、もう一杯」渡されたビールを飲むと酔っ払ってきた伯爵。今だ!と伯爵に麻酔?を打つさん助。とたんに気を失う伯爵。

そして「あれ。あとお題はなんだっけ」と振り向いて「あ、東京タワー…。忘れてた!」(わははは!)。
「そうだ、この伯爵を東京タワーの蝋人形館に売りつけよう。本物の吸血鬼だから高く売れるぞ!」伯爵を背負って東京タワーへ向かうさん助。怪しいやつが来た!とすぐに警備員に囲まれる。「私はこの吸血鬼を蝋人形館に売りに来ました」とさん助が言うと、「蝋人形館は4年前に閉鎖されたよ」。
「えええ?」そしてサゲ…(サゲ忘れた…)。

 

あー面白かった。何がって、さん助師匠の大学時代が垣間見られたのが面白かったなぁ。なかなかそういう話をまくらとかでもしないから、ロシア語を専攻してたとかサークルとか神保町の古本屋巡りとか…。おしゃれなサークルで文芸部っていうのも笑ったなー。普通おしゃれなサークルで例をあげるならテニサーとかじゃないの?それが文芸部。ぶわはは。
黄瀬戸なんていう嫌がらせのようなお題。最初はほんのタイトルで見つけて「つまらないや!」って投げつけて(笑)、次は名前にしちゃったのも秀逸だったなー。

吸血鬼はロシアじゃなくてルーマニアだよね、とか、吸血鬼もパンダも「がーーーおーーー」なんすね?とか、がーおーーーやりながら話考えてますね?とか、ツッコミどころはいろいろあったけど、新作派じゃないさん助師匠がこういう試みをするの、とっても面白いなぁと思う。

 

さん助師匠「妾馬(通し)」
三題噺が終わるとほっとするんだろうけど、「妾馬」を通しでやっちゃうっていうのがすごいわ。
初めて見た時は獣のようだったさん助師匠の「妾馬」だけど、見るたびに変わっていってさん助師匠らしい世界になってきている。

最初は高貴な方だからというので直接お目にかかることなく一人次の間でお膳の支度がされる、というのも自然な気がするし、最初ははっつぁんがカチカチなのも自然。お酒を飲むうちにだんだん普段の地が出てくるのもいいな、と思う。

特に好きなのが三太夫とのやりとり。「大声を発しないように」とはっつぁんに言い続ける三太夫が、はっつぁんが「おふくろが赤ん坊に会いたがってた」「なんで妹とその赤ん坊に会うこともできないんだ」と涙ぐむと「声が小さいですぞ」。

今回はお殿様に気に入られて出世した、の後の部分も。母親と二人お屋敷に住むようになった二人。そろそろ長屋の連中に侍になった自分の姿を見せてきたい、と八五郎。大家さんが口をつぐんでいるものだから長屋では八五郎は夜逃げしたとか、妹を妾に売った、とか噂になってる。そこにはっつぁんがやってきて…というところから、馬に乗る場面まで。
ここまでやってタイトルの意味がわかるのだなー。

久しぶりに通しで聞けてうれしかった!

桜の森の満開の下・白痴 他十二篇

 

桜の森の満開の下・白痴 他十二篇 (岩波文庫)

桜の森の満開の下・白痴 他十二篇 (岩波文庫)

 

 ★★★★★

桜の森の満開の下は怖ろしい。妖しいばかりに美しい残酷な女は掻き消えて花びらとなり、冷たい虚空がはりつめているばかり―。女性とは何者か。肉体と魂。男と女。安吾にとってそれを問い続けることは自分を凝視することに他ならなかった。淫蕩、可憐、遊び、退屈、…。すべてはただ「悲しみ」へと収斂していく。 

初めて読んだ、坂口安吾。名作と名高い「桜の森の満開の下」、想像していたような話ではなかったのだが、とても面白かった。桜の美しさと恐ろしさ、美しい女の果てしない欲望とそれに惑わされる男。グロテスクな場面の中に美しさと哀しさがある。

「白痴」の戦争であっという間にあたりが焼け野原になり死体がごろごろ転がっている中、少しでも安全な場所を求めて行列を作って歩いているシーンが目に焼き付いている。

殺伐とした物語が多い中「アンゴウ」の不意打ちにヤラれる。よかった。

正直、意味とか背景とかをきちんと理解して読めているわけじゃないからこんなふうにぱーぱー感想をアップするのは恥ずかしいよなぁという気持ちもあるのだが、自分の理解できる範囲で読んでも面白かった、ということで。

池袋演芸場10月上席昼の部

10/5(土)、池袋演芸場10月上席昼の部に行ってきた。


・与いち「桃太郎」
・一刀「犬の目」
・柳朝「悋気の独楽
とんぼ・まさみ 漫才
・三朝「あくび指南」
・勢朝「袈裟御前」
・正楽 紙切り
・琴調「お民の度胸」
・正朝「町内の若い衆」
・おしどり 音曲漫才
・志ん輔「七段目」
~仲入り~
・圓十郎「まんじゅうこわい
正蔵「一眼国」
・アサダ二世 マジック
・一朝「妾馬」

 

一刀さん「犬の目」
ペットを飼うまくらからの「犬の目」。
なんかとっても面白かった。なんだろうこの人、面白い(笑)。気になる。


柳朝師匠「悋気の独楽
なんで変顔をしたり変なギャグを入れるんだろう。せっかくきれいな噺家さんなのにもったいない気がしてしまう。


三朝師匠「あくび指南」
まくらで噺家のお中元について。
とある師匠のお宅に伺ったら裸にバスタオル巻いて出てきて、お中元を渡すと「じゃ待っててくれ」と言って下がってさんざん何かを探したらしかったんだけど「これ裸で悪いけど」ってお返しにお金をくれて、でも自分はまだバスタオルのままだったっていうのがめちゃくちゃおかしかった。
「あくび指南」も楽しい~。そういえば今年の夏はあんまり「あくび指南」を聞けてなかった。

琴調先生「お民の度胸」
カタカナを普段から使ってると高座でつい出てしまう、のまくらでどっかん。
鈴本でも見た「お民の度胸」、かっこよかった~。胸がすかっとする。


正朝師匠「町内の若い衆」
この噺がこの日の客席にはまさにぴたりとはまって大爆笑だった。すごい。

 

一朝師匠「妾馬」
八五郎が口は悪いけど心優しいからっとした人物で見ていて気持ちがいい。
お鶴に声をかけて怒られて「何を言ってやがるんだ、これは俺の妹だぞ!!お鶴だよな?妹だよな?…あーよかった。違うって言われたらどうしようかと思った」のあっけらかんとした明るさ。
おふくろが赤ちゃんを一目見たいと言ってたから頼むから一度だけ呼んでやってくれ、というところでは思わず涙。
よかったー素敵だったー。

レス

 

レス

レス

 

 ★★★★★

50歳の誕生日目前の売れない作家アーサー・レス。彼のもとに、9年間付き合った元恋人の結婚式への招待状が届く。レスは思う。どうやったら式から逃れられる?出席を断る口実に、レスは世界中の文学イベントを回る旅に出かけることを思いつく。ニューヨーク、ベルリン、パリ、モロッコ、そして京都へ。様々な出会いがありながらも、レスが思い出すのは元恋人のことばかり…。“ニューヨーク・タイムズ”“ワシントン・ポスト”“サンフランシスコ・クロニクル”各紙の年間ベストブックに選出された感動のラブストーリー。ピュリッツァー賞(文学部門)受賞作! 

 ゲイで売れない作家のレスが9年暮らした恋人にフラれて傷心の世界一周旅行に出かける。
最初はイギリスのユーモア小説のようなわざとらしいどたばたコメディなのかと警戒したけれどそんなことはなかった。

心優しく繊細だけど頑固でピュアな主人公のレス、読み進めるにつれ好きにならずにはいられない。
行く先々で恋人と過ごした日々を思い出し自分の作家としての在りようを考え出会った人と心を通わせ自分の孤独を噛みしめる。

中年を過ぎてこの先どう生きていくのかどう死んでいくのかということをユーモアと悲哀を込めて描かれている。
とてもよかった!

朝日名人会ライヴCDシリーズ6ヶ月連続発売記念 柳家小三治の会

10/3(木)、有楽町朝日ホールで行われた「朝日名人会ライヴCDシリーズ6ヶ月連続発売記念 柳家小三治の会」に行ってきた。

・三之助「替り目」
小三治「長短」
~仲入り~
トークショー長岡杏子京須偕充小三治


小三治師匠「長短」
今日はどういう趣旨の会だかわからないで来ました、と小三治師匠。
12年ぶりに私のCDが発売されてその発売記念の会で、後半はトークがあるって…。
だいたい私は録音してCDを出したいと言われてもたいてい断ってきたんです。でも京須さんとは…なんかこういいとも悪いとも言ってないような感じでいるうちに…こう…いつのまにか出てて…。だいたい落語のCDなんか出しても買って聞く人なんかいるんですか?

…などなど、CDについてさんざん出すことないとかこういう場所に聞きに来て忘れて帰るのが一番とか(笑)。

…でも自分で聞くのにはいいですね。
今回出たやつはまだ封も開けてないですけど…若いころの自分のCDは…忘れてた噺を思い出すのにいいね。忘れちゃうんですよ、ほんとに。

…それから同窓会の話や、前方に出た三之助師匠の落語への小言、手伝いに来ている三三師匠に小言を言った話、男はつらいよの記念落語会で山田洋二監督や倍賞千恵子と話をしたこと、倍賞さんと一緒に歌った話などつらつらと…。
そうしているうちにマネージャーから「師匠そろそろ!!」と声がかかる。最近ではこれにも驚かなくなった(笑)。

「え?もうそんな時間?6分ぐらいしかたってないんじゃない?」と師匠。
名残惜しそうに倍賞さんとの話をしたあとに、「今回出たCDの中で…猫の皿と一緒に入ってる…長短という噺をやります」

「友達というのは不思議なもので……って落語っていうのはこんなふうに今からやりますって言ってできるようなもんじゃねぇんだよ!あれこれ思いつくままにまくらを話しているうちにふわっと落語の噺が出てくるもんなんだ!」

…わはははははは。そんなふうにタイトル言ってから噺に入る小三治師匠は初めて見た!と思ったらやっぱりそういうのは嫌だったんだね。おかしい~。

それでも気を取り直して?友達のまくらから「長短」。
気が長くてにこにこしていてご機嫌な長さんに、気が短くていつもやいやい言ってる短さん。
長さんは短さんが大好きだけど、短さんはこいつといるとなんかイライラするんだよなっと思っていて、でもやっぱり長さんのことが好きで。
そんな二人の関係が短い時間の中にぎゅっと詰まってる。
小三治師匠の「長短」は小三治師匠と扇橋師匠が浮かんでくる。いいなぁ…。
素敵な長短。よかった。


トークショー(司会:長岡杏子さん、京須偕充さん、小三治師匠)
小三治師匠、長岡さんに口をはさむ隙を与えない(笑)。
もともとオーディオマニア仲間だった小三治師匠と京須さん。仕事をはさまないそんな関係が10年続いた後、初めて京須さんから小三治師匠のCDを出す話が出たらしい。
落語はCDやDVDで聞いたり見たりするもんじゃない、と全否定の小三治師匠だけど、京須さんが出した圓生全集については「あなたはほんとにいい仕事をなさった」「あの名人のあれだけある作品をまとめようという熱意はすごい」と絶賛。
それから圓生師匠の話になり…小三治師匠は入門する前は圓生が一番の名人だと思っていたとか、自分が入門して考えが変わったとか、あれこれ…。
圓生師匠は「枯れる」ことを極端に恐れている人だったという話から、先代の小さんは枯れた芸だったとか、今の小三治師匠も…とか。

小三治師匠は「あたしはずいぶん枯れましたよ」と言ったかと思うと「私は自分では枯れたとは思ってない」と。
矛盾しているようにも聞こえるけど気持ちはよくわかるなぁと思った。

落語を体系立てて整理して分析する京須さんと、落語は人生そのもの、落語家の生き方がそのまま落語に出るという小三治師匠、そもそも噛み合ってないと思うのだけれど、お互いの仕事へのリスペクトと信頼があるせいだろうか、反発しあうこともなく、話が進んでいくのが面白い。

小三治師匠が「今の俺の落語はひでぇよ」と言いながら、それでも自分の落語がこの後どうなっていくのかが自分は楽しみでならないし、百歳まで生きて百歳まで落語をやりたいと言っていたのがとても印象的だった。

トークショーなんて…俺に話させてなにがおもしれぇんだ」と言っていた小三治師匠だったけど、とても面白かった。

あ、あと笑ったのがオーディオマニアの二人がJBLのスピーカーについてあれこれ語った後に「今はあれだろ、なんか耳の穴に吸い殻みてぇのを突っ込んで」。
…ぶわははは。それはワイヤレスイヤホンのことですね?!
妹があんな情けねぇもんを耳に入れてるからなんだ?!って言ったら「これ音がいいのよ」って言われて聞いてみたら確かに音がいい!でも悔しいからまだ買ってない!

「吸い殻みてぇの」って…やっぱり小三治師匠の観察眼と表現力は素晴らしい。

赤坂雲助の会

10/1(火)、赤坂会館で行われた「赤坂雲助の会」に行ってきた。

・市朗「のめる」
・馬久「猫怪談」
・雲助「鹿政談」
~仲入り~
・雲助「五人廻し」


馬久さん「猫怪談」
めったに聞けない噺を聞かせてもらえるともうそれだけで嬉しくなっちゃうんだけど、しかもとても面白かった。

バカだけど自分を育ててくれた血のつながらないおとっつぁんを慕ってる与太郎。息をしていないことに気づきながらも死んだということを認めずに「めんどくさがってる」と言い張る。
棺桶を担ぐことになった月番さんがものすごい怖がりでびくびくしているのがおかしい。

死骸がぴくぴくしたり動きだしたり…のところは不気味さもあるけど、「おとっつぁん!」と喜ぶ与太郎との対比が楽しい。
与太郎がじんわりかわいくて楽しかった~。


雲助師匠「鹿政談」
雲助師匠の「鹿政談」は初めて聞いたかもしれない。
犬と間違って鹿を殺してしまったことに気づいた店の者たちがどうにかして生き返らそうと水をやったり薬をやったり…心臓マッサージにさらに思わぬ単語が飛び出して大笑い!雲助師匠って時々そういう茶目っ気を見せてくれてたまらない~。

お奉行様が穏やかに話しているのに威厳があって厳格さがにじみ出ている。
それだけに与平をどうにかして無罪にしてやろうとまるで表には出さないのにあれこれ言い募ってくれることが凄いことなんだな、と感じる。

鹿守役が「犬を鹿に見間違うはずがない」と言った時のお奉行様の迫力にスカっとする。かっこいい~!
沢山笑って優しさにじわーっときてよかったー。


雲助師匠「五人廻し」
実際に出てくる男たちは6人。喜瀬川花魁は最後まで出てこず。
男たちがそれぞれキャラが立っていて楽しい楽しい。
特に「〇〇でげしょ」というなよなよした男の色っぽさと気持ち悪さがたまらなくおかしくて笑いっぱなし。
田舎者がめちゃくちゃなまりながら「おらぁ神田の生まれだ」 にも笑うし、固い言葉を駆使して買った女が来ない悲哀を言い募るのもおかしい。

めちゃくちゃ楽しい五人廻しだった。笑った笑った。

掃除婦のための手引き書 ルシア・ベルリン作品集

 

掃除婦のための手引き書 ルシア・ベルリン作品集

掃除婦のための手引き書 ルシア・ベルリン作品集

 

 ★★★★★

毎日バスに揺られて他人の家に通いながら、ひたすら死ぬことを思う掃除婦(「掃除婦のための手引き書」)。夜明けにふるえる足で酒を買いに行くアルコール依存症のシングルマザー(「どうにもならない」)。刑務所で囚人たちに創作を教える女性教師(「さあ土曜日だ」)。自身の人生に根ざして紡ぎ出された奇跡の文学。死後十年を経て「再発見」された作家のはじめての邦訳作品集。 

出版された時から評判が良かったからきっといいんだろうなぁと思ってはいたけど想像以上に良かった。
ちょっと今までに読んだことのない味。といって奇抜だとかエキセントリックだとかいうわけではなくて、直に心臓に触れてくるような…ここに書いてあるのは私のことだ!と言いたくなるような…独特の切実さ。
大事な人に守ってほしかった、辛い時にぎゅっと抱きしめてほしかった、いつも味方でいてほしかった。そんな気持ちが芯にあって、読んでいると泣きたくなる。

アル中の時期があったり破滅的な面もあるにはあるけど、優しさとユーモアに満ちているところが好きだ。

いつもいつも寂しかったわけじゃない。分かり合えたこと、愛し合えたこと、理解し合えたこともある。最後は一人なのだとしてもそれだけじゃない。そう思える物語たち。
「エンジェル・コインランドリー店」「星と星人」「ファントム・ペイン」「いいと悪い」「エルパソの電気自動車」「マカダム」「喪の仕事」「沈黙」「さあ土曜日だ」が好き。
特に好きだったのが「沈黙」。

 

青山ブックセンタートークショーで翻訳者の岸本佐知子さんからサインいただいた!しかも「あ、りつこさんって…twitterにいらっしゃる?」の言葉も!きゃっほー!

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さん助燕弥ふたり會

9/30(月)、お江戸日本橋亭で行われた「さん助燕弥ふたり會」に行ってきた。

・こごと「道具屋」
・さん助「黄金の大黒」
・燕弥「転宅」
~仲入り~
・燕弥「目薬」
・さん助「居残り佐平次


さん助師匠「黄金の大黒」
ライブなんかでミュージシャンの人って歌う前に熱い想いを語ったりしますよね、とさん助師匠。こういうことがあってその気持ちを歌にしましたとかだれだれに捧げますとか…そういうの…やる前にくどくど言うのいやですね。
その点落語はそういうのなしで話し始めますから…。

今日私がネタ出ししている「居残り」ですけど、これは小はん師匠に教わりました。
私前座の頃、小はん師匠にかわいがっていただいていて…会のお手伝いに呼んでいただいたりしていたんですが、その時に師匠から「お前、今噺を幾つ持ってる?」って聞かれまして…「7つです」と答えたら「少ないな…なんか覚えたい噺があったら教えてやるよ」と言われて。「じゃ、居残り佐平次を教えていただきたいです!」って答えたんです。
ご存知の通り「居残り」はなりたての前座が覚えるような噺じゃないです…。でもたまたま前の日に師匠が会で居残りをかけているのを聞いていて、いいなぁ!!って思ったんです。それでついそう言っちゃったんです。
他の師匠だったら「ばかやろう!」って怒られるところだったんですが小はん師匠は「うーん…」って言ってしばらく考えて「いいよ。じゃ教えよう」って。

小はん師匠の自宅で教わりました。45分ぐらい。師匠の自宅には長火鉢があって…小はん師匠は普段から着物ですから着物を着た師匠と差し向い。
で、教えてもらったあとに「今度はいつ聞いていただけますでしょうか」って聞くのがいつもの流れなんですね。なのに私なにをとちくるったか…「喋ってあげますよ」って言っちゃったんです。大先輩に向かって前座が喋ってあげますよっていったい…。
でもそれも小はん師匠は「ぐわはははは!!」って大笑いで…。

で、その時に言われたのは、居残りは教えるけど前座ができる噺じゃないからこれは真打になったときにやりなさい、と。だから今日の「居残り」はネタ卸しです。落語話す前にくどくど言ってみました…。だめですね、これじゃ。

…ぶわはははは。最高!前座時代のさん助師匠…逸話がたくさん残ってるけど、ほんとにだめだめだったんだろうなぁ。それでも落語が好きだという気持ちを汲んでくれてかわいがってくださる師匠がいたんだねー。なんていい話なんだ。

「黄金の大黒」、今回は前半だけ。おそらく「居残り」に賭けてる?


燕弥師匠「転宅」
前座時代の話、懐かしいですね、と燕弥師匠。
そういえばこの会はニツ目になりたての頃から始めたんですけど…泥棒の噺がたくさんありますけど「出来心」は最初の頃に覚えてやるべき噺だと言われてます。でもあれを面白く聞かせるのって結構腕がいるんです。というのは噺自体ふわっとしてますから。

ニツ目になったばかりの頃、浅草の昼の部に出番をいただいて「出来心」やったんですけど、まぁお客さんがクスリとも笑わない。しーん!とさせて降りて来たんですけど、そうしたら袖のところにさん助兄さんがいて私の噺を聞いてたみたいなんです。
それですごい思い詰めた顔をして私に向かって「今の出来心すごくよかったよ!一緒に勉強会をやろう!!」って。
当時そんなに仲良くもなかったですし…え?なんで、おれと?しかも今の客を凍らせた「出来心」を聞いて?って。
でも目が血走ってたし真剣そのものだったので断るのも怖いと思って「わかりました」と。

…ああーーやっぱりさん助師匠から言い出した会なんだ、これって。そしてさん助師匠ってほんとに燕弥師匠の落語が好きなんだなぁ…。なんかちょっとじーん。

そんなまくらから「転宅」。
間抜けな泥棒が家に入ってからの飲んだり食べたり…お酒はおいしそうだし、まぐろも美味しそう。ぬたは「なんだこりゃ?」と言いながら食べると「…うーまいっ!」。
お菊さんはもうどこをどう見てもいい女。
お菊さんに簡単に手玉にとられる泥棒のかわいらしさ。2人の会話がとても軽妙で楽しい!燕弥師匠にとっても合ってるなぁ。楽しかった!

 

燕弥師匠「目薬」
消費税が明日から10%になることについてのあれこれ。とある会での木戸銭の話になって、小傳次師匠の真似をしたんだけどこれがそっくりで大爆笑。うまいっ!

そんなまくらから「目薬」。
これがまたとっても楽しかった。
大真面目におかみさんのお尻に粉薬を入れる旦那のおかしいこと。「助さん角さん」に大笑い。
途中で「袴にわざわざ着替えて目薬かよ…」とぼそっと言ったのがおかしかった~。


さん助師匠「居残り佐平次
意外とちゃんとした「居残り」だった(笑)。
ネタ卸しだから若干かためではあったけれど、佐平次に無理がなくてさん助師匠に合ってる。
パーパーしていて調子がいいけど何を考えてるかわからない感じ。佐平次の怪しさが取ってつけたような感じではなくてとても自然。

どうにか自分が変わり番になる前にお金をもらわなちゃ!と思っていた若い衆がけむに巻かれてしまうところもリアル。
あと、花魁どころか若い衆も来ないとぷんすか怒っていたかっつぁんが、佐平次におだてられてちょっとうれしい、かっこつけてあんまり喜びを表に出さないようにしてるんだけどにやけが止まらないというのも自然でかわいかった。

「居残り」ってそんなに好きな噺じゃなかったけどさん助師匠の居残りは好きになれそう。また見たい。

 

第378回 圓橘の会

9/28(土)、深川東京モダン館で行われた「第378回 圓橘の会」に行ってきた。

・まん坊「ぞろぞろ」
・圓橘 圓朝作 怪談「牡丹燈籠」 仇討編「孝助登場」(前半)
~仲入り~
・圓橘 圓朝作 怪談「牡丹燈籠」 仇討編「孝助登場」(後半)


圓橘 圓朝作 怪談「牡丹燈籠」 仇討編「孝助登場」
前回までが怪談編で今回から仇討編。
平左衛門のもとに中元として奉公に上がったのが孝助という男。仕事ぶりがいいことから平左衛門の目に留まり、声を掛ける。
そこで孝助は自分は両親を亡くしており叔父に育てられたこと、その叔父に頼み込んでようやく武家奉公がかなったことを語り、「お時間がある時に私に剣術の稽古をしてほしい」と言う。
なにゆえ?と聞くと、自分の父親はある侍に斬り殺されたので仇討ちがしたいのだという。詳しく聞いてみると孝助の父親を斬り殺したのは間違いなく自分であることに気づく平左衛門。
孝助を追い払いたくて厳しく剣術の稽古をつけるのだが、孝助は逃げ出すどころか「こんなに一生懸命稽古をつけてくださる」と感謝しみるみる腕を上げる。そんな孝助に平左衛門もいつしか目をかけるようになる。

平左衛門の隣の屋敷に住んでいるのが平左衛門の甥にあたる源次郎。放蕩息子で一時は勘当されていたのを平左衛門が間に入って勘当が解かれたという恩があるにも関わらず、この源次郎と平左衛門の妻のお国は深い仲になっている。

平左衛門の留守にお国が源次郎を自分の寝間に入れ、「平左衛門を殺す計画」を話しているのだが、それを聞いてしまった孝助。
逆に二人から責め立てられ源次郎に棒で殴られる。

泳げない平左衛門を釣りの時に船から落とそうと二人が話していたのを聞いた孝助はそのことを直接平左衛門に告げることもできず、釣りに行くことを留めることもできない。
それならば前の日に自分が源次郎を殺し自害するしかないと思い詰めた孝助は…。


牡丹灯籠は以前龍玉師匠で聞いたことがあったので、筋を追うのに必死ということはなく、細部まで楽しめた。
しかも今回は二席目が終わった後に、お客様の中に当時の法律に詳しい方がいらっしゃるということでその方によるレクチャーもあり。
ほぉーーっと思ったのは孝助の父親は馬廻だったということで身分としては決して高くはないが馬廻というのは決して馬の世話をするだけの仕事をするわけではなく、お殿様の警備をするのが主な仕事だったということ。そんな父親に育てられた孝助なので、自分は今はまだただの下足番にすぎないけれど、殿の命を守るのだという忠義の心は親の姿を見ていて身に着いたものだろう、と。

またこの時代不義密通の罪は重く、証拠を差し出せば、殺しても殺人罪に問われることはなかったらしい。つまり仇討と同じ。
孝助が主人への忠義から二人の前に躍り出たことにもそういう背景があったということだった。

いろいろ勉強になる~。

アサイラム・ピース

 

アサイラム・ピース (ちくま文庫)

アサイラム・ピース (ちくま文庫)

 

 ★★★★

城の地下牢に囚われた女、名前も顔も知らないがこの世界のどこかに存在する絶対の敵、いつ終わるとも知れぬ裁判、頭の中の機械、精神療養所のテラスで人形劇じみた場面を演じる人々…。自身の入院体験にもとづく表題作をはじめ、出口なしの閉塞感と絶対の孤独、謎と不条理に満ちた世界を先鋭的なスタイルで描き、作家アンナ・カヴァンの誕生を告げた最初の傑作。 

 名前も顔も理由も知らないがこの世界のどこかにいて常に「私」を監視している敵。繰り返される孤独の叫びと無力感に読んでいる私も、体の力が抜けていくようになる。
閉じ込められたクリニックから抜け出せる日は来ないのか。中に入れられた者が異常で外にいる者は正しいのか。読んでいると分からなくなってくる。

作者はおそらくかなり病んでいる。
でもそういう自分を客観的に見る視点があり、またなによりも描写が美しい。
書くことで自分を追い詰めていた面もあるだろうが、それ以上に救いになっていたような気がする。

ある男

 

ある男

ある男

 

 ★★★★★

愛したはずの夫は、まったくの別人であった。
「マチネの終わりに」から2年。平野啓一郎の新たなる代表作!

弁護士の城戸は、かつての依頼者である里枝から、「ある男」についての奇妙な相談を受ける。
宮崎に住んでいる里枝には、2歳の次男を脳腫瘍で失って、夫と別れた過去があった。長男を引き取って14年ぶりに故郷に戻ったあと、「大祐」と再婚して、新しく生まれた女の子と4人で幸せな家庭を築いていた。ある日突然、「大祐」は、事故で命を落とす。悲しみにうちひしがれた一家に「大祐」が全くの別人だったという衝撃の事実がもたらされる……。
里枝が頼れるのは、弁護士の城戸だけだった。

人はなぜ人を愛するのか。幼少期に深い傷を背負っても、人は愛にたどりつけるのか。
「大祐」の人生を探るうちに、過去を変えて生きる男たちの姿が浮かびあがる。
人間存在の根源と、この世界の真実に触れる文学作品。

 

再婚した夫が亡くなり彼が名乗っていた名前が本当の名前ではなかったことがわかる。戸籍を変えるほどの理由とはなんだったのか、一緒に過ごした時間は嘘で固められたものだったのか。

相談を受けて調査に乗り出す弁護士の城戸も在日3世であることや震災の影響もあり妻との関係がしっくりいかなくなり、徐々に自分を見失っていく。

過去を捨てた人間を愛することができるのか。本当の自分とはなんなのか。
今の日本にいて恐ろしくなることや嫌悪感に苛まれることが少なくないが、そのことがとても丁寧に描かれているように感じた。時代の空気、自分が感じる嫌悪感の正体、なぜ議論したくないのか、など。
著者のメッセージが伝わってきたし、とてもよかった。面白かった。

柳家はん治一門会

9/27(金)、多目的サロンレタスで行われた「柳家はん治一門会」に行ってきた。


・小はだ「寿限無
・はん治「転宅」
~仲入り~
・小はぜ「浮世床(将棋、本、戦争ごっこ)」
・はん治「天災」


小はださん「寿限無
昨日師匠と電話で話してまして「明日の会場ってどこの駅で降りるんだっけ?」と聞かれました。こちらの会、今回で5回目になりますが、我々はまだまだ新鮮な気持ちでやらせていただいています、と小はださん。

…ぶわははは。この日は若干お客様が少なめだったのでこういうことをおっしゃったのだな、きっと。
面白いなぁ。小はぜさんと対照的なんだよなぁ。生真面目で細かいことをいろいろ気にする小はぜさんと泰然としていて天然な小はださん。同じ師匠のお弟子さんでもこんなにもタイプが違う。でも二人とも本当に正直で気持ちのいい人物でいい落語をするんだよなぁ。

寿限無」も前座なりたてとはこんなにも違うというお手本のような大爆笑の「寿限無」で楽しかった。


はん治師匠「転宅」
はん治師匠の「転宅」は前にも聞いたことがあったんだけど、なんともいえず楽しい。
お菊さんに言いくるめられる泥棒のかわいらしさよ…。
それだけに後半の「ひでぇことしやがるじゃねぇか」が本当に実感こもってる。
楽しかった~。


小はぜさん「浮世床(将棋、本、戦争ごっこ)」
小はだはさっきまくらでも言ってたけど音楽が好きで、よく師匠のお宅に来るときも大きなヘッドフォンをしてきます。前座のくせにヘッドフォンかよとちょっとイラっとくるんですが、音楽が趣味っていうのはいいですね。私も時々音楽を聞いたりしますけどそれはあくまでも、「あの時こういうのはやってたな」とか懐かしく聞いてるような感じで…深く追及するっていうほどじゃないです。
ほんとにわたしは無趣味で…お酒も飲めないですし…。打ち上げなんかでもお酒を飲まないもんですから師匠には「飲んでいいんだよ」って言われるんですが、ほとんど飲めないし飲みたくないものですから。それが師匠にはわからないらしくて…あるときそう言ったら「おめぇはつまらねぇやつだなぁ」って言われました。

趣味っていうんじゃないけど私チラシ折るの好きです。今日もチラシを持ってきたんですけど、百枚なら百枚って決めてぴしーっと端を合わせて折ってそれをまとめる…とかすごく楽しいし仕事したっていう充実感があります。別に落語の稽古したわけでもないのに。
あと着物を天日干ししてアイロン掛けるのも好き…。
あ、みなさん…付いてきてます?

…ぶわはははは。客を引かせる小はぜさんのまくらも堂に入ってきた感があるな。
チラシ折るのが好きなら折り紙とか…趣味としていいかもしれない…?

そんなまくらから「浮世床」。
前にネタ卸しを見たことがあったけど、その時に比べるとぐーっとテンポが良くなって面白さが増してる。楽しいなぁ!本だけじゃなくて将棋と戦争ごっこが入るのも楽しい。


はん治師匠「天災」
おおお、はん治師の「天災」が聞けるとは(嬉)!
はん治師匠だとはっつぁんがそんなに獰猛な感じはしない(笑)けど、「こちとら江戸っ子で職人。威勢がいいんだい」って誇って言ってる感じで、かわいい。
なまる先生の話が最初のうちはよくわからなかったけど腹に落ちて「いいこと教えてもらった!」って喜んで帰るところも、人の好さが出ていていいな。

飛び込んできたはっつぁんを見たくまさんが「ああ…嫌な奴が来ちゃった」と心底げっそりしているのもおかしい。

見るたびにほんとにいい一門だなぁと思う。愛が溢れてる。