りつこの読書と落語メモ

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雷門小助六・三笑亭夢丸 リレー落語会 ベートーベン篇

8/11(土)、日暮里サニーホールで行われた「雷門小助六・三笑亭夢丸 リレー落語会 ベートーベン篇」に行ってきた。


・駒六「辰巳の辻占」
・夢丸「荒茶」
・小助六はてなの茶碗
~仲入~
・小助六「馬の田楽」
・夢丸「浜野矩随」

 

駒六さん「辰巳の辻占」
本当は住吉踊りがあったのにそちらを断ってこの仕事をとったという駒六さん。
リレー落語に参加ということで「辰巳の辻占」。この噺のどこがベートーベンだったんだろう?ロマン?幽霊?運命?

駒六さんって結構達者な前座さんだと思うんだけど、「辰巳の辻占」はまだちょっと…って感じだったかな。
でもすごいチャレンジ精神。これからが楽しみ。


夢丸師匠「荒茶」
昨日は音助さんの清瀬の会のゲストに行ってきたという夢丸師匠。
そちらの会は、音助さんが何回かに渡って子どもたちに落語を教えるという会で、音助さんの子どもたちからの人気は凄いもので。「音助先生!」とキラキラした目で音助さんを見つめるまなざしがきれい。
それにひきかえ自分のことは「夢丸!」って夢丸呼ばわり。
まぁ、しょうがないですね。子どもたちにしてみれば落語を教えてくれる優しい先生なんですから。子どもに取ったら「英雄」みたいなものですよね…「英雄」で、ベートーベン(笑)。
これからする噺も、日本の英雄と言えば信長、秀吉、家康…。他に本多佐渡守正信なんかも英雄と言えるのでは、というちょっと無理めがまくらから「荒茶」。

こういう明るくてバカバカしい噺、夢丸師匠にぴったりで楽しい楽しい。
顔の長さが50センチ、髭の長さも50センチって、絶対嘘だけどすごいおかしい。
首をきゅっと曲げるところからして、ぶりっこしてる女の子みたいでなんかちょっとかわいいというばかばかしさ。

最初から最後までおかしくて楽しかった!


助六師匠「はてなの茶碗
師匠宅の掃除にかりだされて、久しぶりに師匠宅に続けて通った、という小助六師匠。
あれぐらいの年の方っていうのは、物を捨てませんね。なんのかんの言って取っておこうとしますから。
師匠の奥様の自宅の掃除にも伺ったんですが、そこでなんか縄みたいなものが出て来たんですね。「師匠これは?」と聞くと「ああ、それは俺が編んだものだ」って。
えええ?こんなものを編めちゃうの?「愛宕山」の一八みたいだなぁって驚いたんですけど「どうします?」と聞くと「取っておく」。
…こんなものがいつか何かの役に立つとは到底思えないのに…。
で、押入れを掃除してたら竹の物差しが出てきてこれに永六輔とか内海桂子・好江のサインが入ってる。多分奥様のお父様が昔ボーイズをやっていたことがあるから、その時に作ったものなんでしょう。「師匠これは?」と聞くと「ああ、いらない。捨てちゃって」。「じゃいただいてもいいですか」「いいよいいよ。持ってって」。
人によって物の価値って違うんですねぇ。

…そんなまくらから「はてなの茶碗」。
テンポがよくて軽くて楽しい。
油屋さんがお金を前にして江戸っ子らしくいきがるんだけどしばらくすると「それじゃいただきます!」と崩れ落ちるのがなんともいえずおかしい。楽しい~。

これのどこがベートーベンなんだろう?と思っていると、最後の方になんと天皇の物まねが入り…「皇帝」。
ぶわはははは。しかもその物まねがいつもよりうまくいかなかった…と二席目で小助六師匠が本気で悔しがってたのがおかしくておかしくて。
楽しかった~。


助六師匠「馬の田楽」
助六師匠が「馬の田楽」ってなんか意外~。
しかし私にとっては「馬の田楽」というとどうしても小三治師匠の印象が強いのだよな。ぐふふ。
これは「田園」かな?


夢丸師匠「浜野矩随」
最後は私が「悲壮」です。もっとも悲壮から遠い男ですよね、私は、すみません。
悲しい時でもついこう…笑っちゃうんですね、愛想笑いなんですけどね。これ、悲しい時でもそうなんです。
この間の歌丸師匠のお葬式の時も…テレビが来てたんですけど、お客さんに気づいて私が「あっ、どうも」ってこう笑ってる私が映り込んでいて…なんだこいつ、刺客か?みたいな…。

…ぶわはははは。夢丸師匠のまくらってほんとに楽しい~。そしてどんなことを言っても人柄がいいからもう楽しさしかないわー。

そんなまくらから「浜野矩随」。
これもまたとても意外な…。
甘さを見せる矩随と、一瞬で沸点に達して暴言を吐いてしまう若狭屋の主人の姿がリアル。言うほどに言葉が激しくなること、あるよなぁ…。
夢丸師匠はきっとお母さんが死なないバージョンかと思っていたら…。

辛いけど夢丸師匠らしくからっとしてるから後味は決して悪くなかった。

 

ディス・イズ・ザ・デイ

 

ディス・イズ・ザ・デイ

ディス・イズ・ザ・デイ

 

 ★★★★★

「こういう話をしてるとさ、どんな気持ちでも生きていけるんじゃないかって思うよね」
22チームの22人のファンたちは、それぞれの思いを抱いて2部リーグ最後の試合の「その日」に向かう。職場の人間関係に悩む会社員、別々のチームを応援することになった家族、憧れの先輩に近づきたい男子高生、十数年ぶりに再会した祖母と孫など、ごく普通の人たちのかけがえのない喜びを、サッカーを通してエモーショナルに描き出す連作短編集。

 Jリーグ2部サポーター小説。架空のチームのありそでなさそなチーム名とエンブレムが秀逸で楽しい。

それぞれの地方でそのチームの最終節のゲームに向かう人たち。
サッカーやチームに対する思いもそれぞれだし、人となりや抱えてる問題や心情もさまざま。

なんとなく行っているうちに徐々にのめり込んでいったり、好きすぎて応援に行くことすらできなくなったり、憧れの人のことを知りたい一心で行くようになったり…それでもやっぱりサッカーがあってよかった、サポーターっていいなと思える、じんわりとした温かさが好き。

「若松家ダービー」のお母さんが好きだ。自分の息子より泉大津ディアブロのフナ選手の事を常に心配しているお母さん。家族でディアブロの試合を応援に行くのが当たり前だったのに最近行かなくなった長男の圭太を気にしながらも「ま、なにか事情があるんだろう。見守ろうよ」という夫の言葉に「それもそうか」とそれ以上の詮索をしない。
長年応援しているチームに対するゆるっとした応援の仕方が息子に対する態度にも共通していて面白い。でもこういう親がもしかすると一番なのかもしれない、と思ったり。

「篠村兄弟の恩寵」に出てくる窓井選手。惚れる…。こういう選手がどれだけの人に力を与えているかわからないよなぁ。簡単に「勇気を与える」なんていうけど、こういう選手は本当にいろんな人たちに勇気を与えてるんだよなぁ…とじーん…。

会場にいる見知らぬ人たちの会話の描写もとてもリアルで、ほんのり優しくておかしくて癒された。

楽しかった。

桃月庵白酒 志ん生に挑む

8/10(金)、大和田伝承ホールで行われた「桃月庵白酒 志ん生に挑む」に行ってきた。


・ひしもち「平林」
・白酒「犬の災難」
高田漣 歌
・白酒、高田漣 トーク
~仲入り~
・白酒「お化け長屋」


白酒師匠「犬の災難」
きっと白酒師匠はおもしろがってるだろうな、と思っていたらやっぱり…ボクシング協会の元会長のことを「日本語が全く通じない」「テニオハめちゃくちゃ」「いいキャラクター」と。
「ああいう風だともう周りが”どうせ何言っても通じねぇし、何言ってるかさっぱりわからねぇしうるせぇから放っておこう”となって、組織的には都合がいいんでしょうね。」と言っていたけど、今の日本の政治家もその手を使っているようだし、笑いごとじゃないような気もする。

そんなまくらから「犬の災難」。
前にも一度聞いたことがあって、なにこれ?白酒師匠の改作?そのわりに「犬」に変えたことによる爆笑エピソードがあるわけでもないし?と思っていたんだけど、そうか、これは志ん生師匠の作った噺だったのか。

酔っぱらってどんどん気が大きくなって自分に甘くなる男がおかしい。
もうべろんべろんなのが本当に酔ってるようにしか見えないのがすごいな。
でもやっぱり「猫の災難」の方が好きかな、サゲが。


高田漣さん 歌
うおーー、かっこいい~。ギターと歌だけでこんなに血沸き肉躍らせられるってすごい。
知らない歌ばかりだったけどかっこよかった。楽しかった。
トークコーナーでは素の白酒師匠が見えるようでちょっとドキドキ。やっぱり頭のいい人だなぁ…としみじみ。


白酒「お化け長屋」
通しで聞いたのは初めでだった。
木兵衛さんが怪談になるとおかしな声を発するのがやたらとおかしい。
それがまったく2番目の男には通じないおかしさ。
でも実はその続きに入ると、少し気にしていてびくびくしているっていうのも新鮮。

最近こういう企画モノのホールの会って行かないから新鮮だった。

らく兵落語おろし

8/9(木)、宮益坂10間スタジオで行われた「らく兵落語おろし」に行ってきた。

・かしめ「ん廻し」
・らく兵「狸札」
・らく兵「人情八百屋」
~仲入り~
・らく兵「金明竹

 

かしめさん「ん廻し」
今日はこのビルの地下でライブがあるみたいですね、とかしめさん。
会場がわかりにくいので毎回入口のところに立ってご案内するんですけど…落語会のお客様は見ればわかるんです。これ悪口じゃなくて…私を見て「あ!」ってわかってくださったり、雰囲気でも…(もごもご)。
それで今日は立っていると明らかに落語じゃないなっていうお客さんがすでに6人ぐらい溜まってまして。なんていうかEXILEみたいな感じの人たちで、そこにやっぱりライブを見に来た友だちがやってくる「ウェーイ」「ウェイ!」みたいなこう…テレビでしか見たことなかった挨拶をしあってて、「こわいこわいこわい」と思って気づかれないように立ってたんです。
そうしたらまた仲間が来た時にもともといた人たちの方を指さして「あれ、マイメン!」って言った男がいたんです。
マイメン…おれのダチってことですかね?初めて聞きましたけど。
そう言った男が、私に気づいたんですね、あ、なんか見た、こっち…ひぃーと思っていると、その人私を指して言いました。「あれ、マイ着物メン!」

…ぶわはははは!!おかしい~!!
案内に立ってただけでこれだけおいしいまくらを仕込めるかしめさん、すごい。さすがこしら師匠のお弟子さん。

そして「ん廻し」もちゃんと面白い。フツウにやったところもフツウじゃないところも。
後半になって「北風小僧のかんたろう」歌ったりするのは教わったまんまなのか、かしめさんオリジナルなのかわからないけど、なんともいえないおかしさがあって笑った笑った。
かしめさん、初めて見たのは「こしらの集い」で、その時はもうほんとにめっちゃたどたどしくて落語の間になってなくて、こここれを毎回こしらの集いに来るたびに見なければならないのか、しんどい…と失礼なことを思ったものだが、見るたびに面白くなって…しかもなんか明るくてのびのびした人柄も透けて見えて素敵!

 

らく兵さん「狸札」
東京でも私の住んでる練馬なんかでは狸出ますね、今も、とらく兵さん。(ほほほんと?)
夜道を歩いていて時々見ますよ。あれ?なんか犬にしたら毛がもこもこしすぎてるな、鼻のところもにゅっと長くて…ああ、狸かーっていうことがあります。
実家は宮崎の田舎の方なんで狸は出てましたね。
私が実家を出て行ったあと、1か月に何回か母親からはがきが来てましたけどそこにいつも書いてありました。
「狸が庭に来るようになりました」って。
そのうち「ポンタは…」って名前も付いてました。ポンタとの触れ合いを通して、息子が家を出たことなんかもうどうでもよくなったみたいです。

…ぶわははは。おかしい。リアル狸の思い出。

「狸札」は素人の時に師匠に教えてもらいました。うちの師匠、素人の落語教室の講師をやったりしていたので。
入門してから「あれは素人向きのやつだから」って言われて、もう一度習いました。

そんなまくらから「狸札」。
ロングバージョンで動きもたくさん入ってなんかめちゃくちゃ面白い「狸札」。
フツウのところとフツウじゃないところのバランスが絶妙なのは立川流の若い噺家さんによくある感じなんだけど、らく兵さんの場合フツウのところがすごくしゅっとしていてきれいっていうかキビキビしてるっていうか気持ちいい。
それがいいリズムになっていてとても楽しい。

はばかりに行きたくなった狸との攻防が激しくて大笑い。
楽しかった~。

 

らく兵さん「人情八百屋」
1席目の「狸札」について。
自分が初めて聞いた落語は先代小さん師匠の「狸賽」。
父親が落語を好きで、父と兄と自分の3人で川の字で寝るときに、父の持っていた落語のテープを聞きながら寝ていた。
そこできいたのが「狸賽」で、サイコロの1の目がお尻の穴というところで転げまわった覚えが。
女性のお客さんもいるのにすみません。なにせ小学生ですからうん〇やち〇ち〇という単語だけで大爆笑する、そういうレベルだったので。

…わはははは。なんか素敵エピソード。
そしてらく兵さんってなんかコワモテなイメージを勝手に持ってたけど、決してそんなことなくて、素朴な心優しい青年なのですね…。

「人情八百屋」は初めて聴く噺。
「唐茄子屋政談」の若旦那要素を全部省いたような噺。
八百屋の平助が貧乏そうな長屋のおかみさんに呼ばれて茄子を売ろうとすると、子どもが出てきて生のままかじってしまう。
驚いていると、亭主がこの2年ほど病で床に就き米を買うこともできず子どもたちに3日何も食べさせてない、とおかみさん。
それを聞いて平助が気の毒に思い、六百文と自分の弁当と茄子をおかみさんにあげて帰ってくる。
帰ってその話を平助が自分の女房にすると「心配だから様子を見ておいで」と女房。
行ってみると、亭主もおかみさんも自殺し、子ども二人が残されて火消しの親分の家に預けられている。
平助が置いていったお金をすべて大家に奪われた夫婦は絶望して死んでしまったのだという。
自分が余計なことをしたばっかりにかえってあだとなってしまったと落ち込む平助に親分は「そんなことはない。これからは自分の兄弟分になってくれ」と頼み…。

うーん…なんかこってりした噺…と思ったら談志師匠がやられていた噺みたい。
途中結構ギャグも入れていたけど、ちょっと私には噺自体がうーん…でしたわ。


らく兵さん「金明竹
松鶴師匠が飼っていたオウムと訪ねてきた御用聞きとの小噺。何回か聞いたことがあるけどすごくおかしかった。
私以外のお客さんも大爆笑で、「こういう小噺を作られるってほんとに…」と真顔になって感心しているらく兵さんがおかしい。
そんなまくらから「金明竹」。
これがものすごく面白かった。

上方からの刺客の早口がものすごく速いんだけど、すごい説得力がある。
確かにこの部分を聞き取れないぐらい速く言う噺家さんはいるけど、説得力があるっていう部分がすごい。
そして聞き間違いの内容がとても独自でばかばかしい。それが与太郎だけじゃなくおかみさんもっていうおかしさ。

金明竹」でこんなに笑ったの初めてかも。そして
今回のテーマが「嘘の大阪弁の改善と逆の創造」だったから、見事にクリアーしてる!すごい。

いやぁ楽しかった。
なんか自分がらく兵さんを見に行くようになるとは思わなかった。なんとなく勝手に苦手と思い込んでたから。
お客さんの要望で撮影タイムもあったりしてサービス精神も満点。ぶっちゃけトークもあったりして楽しかった。
また行こう。
それにしても自分の好みの噺家さんを見つけ出す嗅覚の鋭さよ(笑)。しかもまたニッチなところに行くよねぇ、我ながら。

 

選んだ孤独はよい孤独

 

選んだ孤独はよい孤独

選んだ孤独はよい孤独

 

 ★★

地元から出ないアラサー、女子が怖い高校生、仕事が出来ないあの先輩…誰もが逃れられない「生きづらさ」に寄り添う、人生の切なさとおかしみと共感に満ちた19編。情けなくも愛すべき男たちの「孤独」でつながる物語。「女のリアル」の最高の描き手・山内マリコが「男のリアル」をすくいあげた新たなる傑作!

タイトルがいいし、センスもいいと思うけど、あまり心に響くものはなかったなぁ。

男性の生きづらさが描かれてるとあって期待して読んだけど、うーん…。男として生きていく中で学校や職場で期待される振る舞いとか空気の読み方とかそういうのは書かれていたと思うけど、それだけじゃないよね、とも思う。

全体に流れるやさぐれ感や放りっぱなし感があんまり好みではなかった。軽いのは好きだけどそれともちょっと違う。
そういえば同じ作者の「パリ行ったことないの」も「へー」「それで?」という感想しか持てなかったから、この作者の最近の作品は私にはあまり引っかかるところがないということなのかもしれない。

贋作

 

贋作

贋作

 

 ★★★★★

画学生エリーは画商に騙され、ある資産家秘蔵の17世紀オランダ女流画家の作品の複製画を描く。それは真作とすり替えられ、彼女は贋作製作者となってしまう。真作を盗まれた資産家は探偵を雇い彼女の存在を突き止め、近づいたが……。40年後、過去を封印して美術史家として名をなした彼女が関わる展覧会に、あの時の「贋作」と盗まれた真作の二点が届き、彼女はすべてを告白する覚悟を決める。17世紀の女流画家の人生と、自らの罪を隠して生きてきたエリーの人生が、哀しく美しい絵と織りなす見事な人間ドラマ。 

面白かった!
ミステリーなのかと思ってよんでいたけどミステリーではなかった。

17世紀オランダの女性画家サラの生涯を語るパート、サラの絵の贋作を描いた女子大生エリーと自宅の絵を贋作と置き変えられた資産家のパート、それから彼らの現在のパート。彼らの物語が混じり合うラストが素晴らしく、この物語を読んでよかったとしみじみ。

きく麿独演会

8/6(月)ミュージックテイトで行われた「きく麿独演会」に行ってきた。

・きく麿「子ほめ」
・きく麿「だし昆布」
~仲入り~
・きく麿「蛇含草」
・きく麿「陳宝軒」


きく麿師匠「子ほめ」
1席目まさかの「子ほめ」でびっくり。しかもちゃんとした「子ほめ」(失礼!)。
なにゆえ?と思ったら、師匠のところに入った見習いくんに「子ほめ」を教えて、その上げの稽古をしたらしいんだけど、それがえええ?という出来だったらしく…。
「え?おれ、そんな風に教えたっけ」な気持ちでいっぱいになり、自分でやって確認したくなったのだと。

再放送しているドラマの中で「臨場」が大好き、というきく麿師匠。
その中で主役の倉石検視官が部下に現場で「お前…これ、どう思う?」と聞くと部下が自分の推理を話すのだが、その時倉石検視官が必ず言うセリフがあってそれが「俺のとは、違うなあ」。
もうこの決め台詞が好きすぎてこれを聞くために見続けていると言っても過言ではない。
この言い方を毎回少し変えていて、そのたびに「そうきたか!くぅーー!」と興奮する。
今日の見習いくんの「子ほめ」を聞いて思わず「俺のとは、違うなぁ」と言いたくなったが、ぐっとこらえた…。

…ぶわははは。おかしい~。

 

きく麿師匠「だし昆布」
このところ二回続けて「だし昆布」を聞いたけど、なんかすっきりした印象。どこが削られたのか、とかよくわからないんだけど、わかりやすくなった気がする。
ちょっとわかりにくいところや冗長に思えるところもまた好きなんだけどね。
でも確実に進化してるのがすごい。

 

きく麿師匠「蛇含草」
この噺を持っているけどなかなかかけられないのには理由があって…ときく麿師匠。
この噺のまくらでこういうのがある。

ある夫婦がバスに乗ったんだけど喉が渇いてしょうがない。
奥さんと旦那さんが「だから乗る前に水を買えばよかったのに」とぶつくさ言い合っていると、近くに座っていた乗客が「氷持ってるんですけど食べますか?」と話しかけてくる。
ありがたい!と氷を食べると喉の渇きが癒える。
しばらくしてまた喉が渇いてきて「氷をお願いする?」「いやでも」と話し合っていると「氷いりますか?ありますよ」と乗客。
「ただ…差し上げるのはいいんですが…」

その後に続く衝撃的な言葉。これがもうきく麿師匠はダメなのだそう。
このまくら、他の師匠で聞いたことある!
うげっとなるけど、「あははは」と笑っちゃうかな、私は。
「黄金の大黒」の中に出てくる、大家さんの猫の一件も、あそこがどうしても許せないっていう人もいるよね。
私はまぁまぁ…って聞き流せるかな。昔は動物は愛玩するものじゃなかったから。今も田舎のじじばばとかって「犬畜生」みたいに言うしね。
あと落語の中で亭主が「大黒柱だぞ」ってえばってるのも私は別になんとも思わず聞ける。
でも女房を殴る蹴る、家のものを全部質に入れて女郎につぎこむ、っていうのはなんかムキーーーっとなる。
人によって許せる、許せないのポイントはさまざま、なんだな。

そんなまくらから「蛇含草」。
この主人公の男、独特だよなー。
手拭いに穴開けて?着てえばってたり、餅を食べたくて催促したり、こんなの朝飯前だって大口叩いたり。
隠居がムキになるのも無理はないなー。
きく麿師匠の餅の食べ方のおいしそうなこと。ほんとにモグモグしていて笑っちゃう。
お腹いっぱいになってのどのあたりまで来てるのもリアル~。
楽しかった!

 

きく麿師匠「陳宝軒」
ああ、うれしい!「陳宝軒」大好き!
この訪ねてくる人もタケイさんなんだね(笑)!きく麿師匠の落語で必ず出てくるタケイさん。クセがあってクセになる。
角煮まんじゅう。それも普通の角煮まんじゅうじゃない、陳宝軒の特別な(奥さんの誕生日につくる?)角煮まんじゅう
でもほしいもの言っての角煮まんじゅうは陳宝軒のじゃない角煮まんじゅう
このあたりのセンスがたまらない。
これ、ほんとに落語好きの人にはたまらない新作。こういう改作をもっと作ってくれないかなぁ…きく麿師匠。

私が初めてきく麿師匠を浅草演芸ホールで見た時、周りのお客さんからじろじろみられるぐらいひっくり返って笑い転げた「陳宝軒」。久しぶりに聞けて嬉しかった~!

第七回ミニヨン寄席

8/4(土)、喫茶ミニヨンで行われた「第七回ミニヨン寄席」に行ってきた。


・ふくびき「無学者は論に負けず」
・南なん「応挙の幽霊」
~仲入り~
・南なん「短命」
・南なん「水屋の富」


すばらしかった。三席ともすばらしくて胸がいっぱい。

 

ミランダ殺し

 

ミランダ殺し (創元推理文庫)

ミランダ殺し (創元推理文庫)

 

★★★★★

匿名の中傷文の執筆にいそしむ偏屈な老人、マフィアにコネがあると称する9歳の悪ガキ、寄る年波に必死の抵抗を試みる美貌の未亡人―。こうした登場人物の入り乱れるなか、ある日2人の男女が失踪する。駆け出し弁護士アラゴンをも巻きこんで、物語は予想外の方向へ…。カリフォルニアのとあるビーチ・クラブに展開する恐ろしくもユーモラスな悲劇の顛末。鬼才の異色サスペンス。 

問題のある人たちが大勢出てきて、誰もかれもが自分のことしか考えてなくてぎゃあぎゃあうるさくてでもこんな中で殺人事件なんて起こるのかしら?と思っていると、いやいやいや…。まさかこんな展開、こんな結末が待っているとは。それがこのタイトルにつながるとは。

「そしてミランダを殺す」を読む前に読んでおいた方がいいような気がして読んだんだけど、面白かった!

すごいな、マーガレット・ミラー。 今まで2作ぐらいしか読んでいなかったと思うんだけど、少しずつ読んでいってみよう。

白酒・甚語楼ふたり会

8/4(土)、お江戸日本橋亭で行われた「白酒・甚語楼ふたり会」に行ってきた。


・あおば「金明竹
・甚語楼「胴斬り」
・白酒「木乃伊とり」
~仲入り~
・白酒「うなぎや」
・甚語楼「不動坊」


甚語楼師匠「胴斬り」と我々落語家にとって師匠っていうのは本当に絶対的な存在で、と甚語楼師匠。
前座の頃は毎日師匠のお宅に伺います。もうこれは毎日なので何も考えなくていい。
二ツ目になると難しい。毎日行くことはないけど、必要なときは行かないといけない。でもその必要なときっていうのが難しい。寄席の初日は行くとして、でもそれで油断してると大事な時に行ってなくてしくじりになるなんてことはざら。私もしょっちゅうしくじりました。
そして真打。真打になると「来なくていい」と言われる。でもだからってずっと行かないのもよくない。でも行っても何かやろうとすると「(真打なんだから)やらなくていい」って言われちゃう。だから行くタイミングとかそういうのが難しい。
私、何日か前にふと師匠宅に伺ったんですけどね、師匠もおかみさんもすごく機嫌がよくて、おかみさんにコーヒーいれていただいたり、「このあと仕事ないの?じゃわかめ持って帰りなさいよ」とわかめをいただいて、「そうめんもあるのよ」と言われて「じゃいただきます」と手に取って「何分ぐらい茹でるんですかね」と説明書きを読もうとして「最近細かい字が見えづらくなって」と言ったら師匠に「じゃこれ持ってきな」と老眼鏡までいただいちゃって。…いったい自分は何をしに行ったんだろう、っていう…。

…ほんと大変そうだなぁ…。そういうタイミングとかそういうの、電話して聞けばいいのでは?と思うけど、そういう問題じゃないんだろうなぁ。きっと師匠にもよるんだろうけど、でも行きすぎればうるさいし、全く行かないと不義理だし…程の良さが求められるんだろうなぁ。

そんなまくらから「胴斬り」。

辻斬りに遭った男。なんだ、あの侍だな。このやろ、待ちやがれ!このやろ!とじたばたするおかしさ。」
「脚がなくなっちゃった。どこに行っちゃったんだおれの脚。おーーい、脚ーー。脚ーー。あ、いたいた!こっちこっち!こっちだよ」。
また通りかかった兄貴分がその姿を見てすごい驚くんだけど「家に帰りたい」と言われると「おれが連れて帰ってやる」と言う優しさ。
また家に着いておかみさんに「驚くなよ。驚くなっていうのが無理だと思うけど驚くなよ」と言って上半身だけになった亭主を見せるとたいして驚かないのがすごいおかしい。それを見て兄貴分が「え?動じないね?」。ぶわはははは。

さらに次の朝訪ねてみると「あら。どうしたの?」って平然としているおかみさん。
本人も「あれ?なんか用?」

奉公先のこんにゃく屋を訪ねた時の下半身との会話のシーン。指で足を表すんじゃなくて腕を使って、というのは初めて見た。

テンポの良さときゅっと引いたおかしさがたまらない。大好きな噺を大好きな甚語楼師匠で聴けたの、嬉しかった!


白酒師匠「木乃伊とり」
飲んでお世辞を言われてどんどん嬉しくなっちゃう飯炊きの清蔵のはしゃぎぶりが最高におかしい。
芸者の手を握れと言われてからの恥ずかしがり方の激しさに大笑いだった。


白酒師匠「うなぎや」
これぐらいの短い噺の白酒師匠の面白さはほんとにすごいなぁ。
うなぎやの主人が捕まえろと言われたうなぎについて「あれには女房子がいる」とか「今仕事が伸び盛りで有望株」とか言うのがおかしい。楽しかった。


甚語楼師匠「不動坊」
また「不動坊」。私には間違いなく不動坊の幽霊が憑いてるね。
なにせ南なん師匠の不動坊を死ぬほど見てるのでどうしてもそれと比べてしまうんだけど、甚語楼師匠の吉さんは若くて勢いがある。おたきさんと聞いての食いつきの激しさに大笑い。
そしてマッチを擦るところ。甚語楼師匠の指が一本一本とじていって丸まっていくところがとてもきれいでうっとり。

前座の幽霊が登場して名乗っただけで芸がまずいのが伝わってくるのはなぜなんだろう(笑)。
面白かった。

神田愛山・室井琴調 夏の会

8/3(金)、らくごカフェで行われた「神田愛山・室井琴調 夏の会」に行ってきた。
最近講談にも興味が湧いてきたので、前から好きだった琴調先生と貞寿先生の真打披露目で見て「なんか気になる」と思った愛山先生の二人会へ。
おそるおそる行ってみたららくごカフェは満員のお客さん。うわーーすごい。人気あるんだね。

 

琴調「忠治と山形屋
愛山「本多出雲守の討死」
仲入り
愛山「ご近所大戦(露地野裏人作)」
琴調「お岩誕生」


琴調先生「忠治と山形屋
忠治が山道で突然の雨にあって雨宿りをしていると、二人の男がやってきて忠治がいることに気づかず話をしている。
どうやらある爺さんが年貢を納められないので娘を女郎屋に五十両で売ったのだが、そこの主人をしてる男があんな爺に五十両をやるのは癪だから盗賊のふりをして襲って金を奪い返してこいと言われ、それが首尾よく行った帰りらしい。
二人は約束通り五両ずつもらえると言いあいながら出て行ってしまう。
忠治がとどまっているとそこへやってきたのが爺さん。「娘を売った金をとられてしまった。もう生きていることはできない」と首を括ろうとするのを止めに入った忠治。
その爺さんが十手を預かりながら女郎屋を営む山形屋に娘を売ったということを聞き、「話はわかった。私が行って金を取り戻してやろう」と言う。

忠治が最初は田舎者を装って「さっき盗賊のふりをして盗んだ五十両を返してくだせぇ」と言うと、「なにをぬかしてやがるんだ」とすごんだ山形屋藤蔵。
忠治が名乗りをあげると、とたんに腰を抜かして言いなりに…。

すかっとする話だなー。
そして琴調先生、かっこいいなぁ。暑苦しくない講談でなんかこう…想像の余地を残してくれてる感じがする。


愛山先生「本多出雲守の討死」
大阪夏の陣の話。
物語を畳み掛ける部分と、ふっと笑わせる部分のバランスが絶妙で、聴いていて全然疲れない。
大きな声を出したり力んだりするわけじゃないのに、ものすごい迫力がある。
でも「私の講談はリアリティーを追求してるから」と言って、言い換えたりするのが面白いし、緩急があって聴いていてとても楽しい。
な、なんか…癖になるなぁ。もっと聴きたくなる。


愛山先生「ご近所大戦(露地野裏人作)」
人間というのは岸田秀によれば本能が壊れた動物。本能が壊れているから、赤ちゃんは食べてはいけないものでも口に入れるし、狼に育てられたら狼になってしまう。
からしつけ、教育というのが大切になってくる。
親が人間関係を築くのが下手だとそういう親に育てられた子供は人間関係が苦手になる。私自身がそう。どれぐらい苦手かというと、人に道を聞けない。道を聞くぐらいなら一日中迷っていた方がましと思ってしまう。
そんなまくら(といっていいのか?講談の場合)から「ご近所大戦」。

大学で教えている男が住んでいるマンションが手狭になって一戸建てを借りる。
すると引っ越したその日、お隣さんが回覧板を届けに来る。
回覧板?!とショックを受けていると、次の日にはごみ集積所のごみ当番をやれと言われ、何日かすると今度は町内会のバザーに参加せよ、と言われる。
自分は家で勉強をしたいのに、なぜこんなにも町内会が自分の生活を圧迫してくるのか。
耐えられないと思った男は、ご近所付き合いからの独立宣言を行うのだが、これが評判になり、マスコミから取材がきたり講演を頼まれたり議論をたたかわせたい人間が電話をかけてきたり。
これでは仕事にならん!と近所の公園の広場で横になって、今日はもう家に帰らずにここで眠るかと思っていると…。

…うわーー、こういう新作講談もかけられるのね。面白い!

琴調先生「お岩誕生」
怪談だから照明を暗くしますか?と聞かれたけど、私は照明じゃなく芸で怖がらせて見せる。愛山先生は自分の暗さでお客さんを怖がらせる。
とそれまでさんざん愛山先生に言われ放題だったことへの反撃。わははは。

前にも聞いたことがあるけど、これもなんか発端は巻き込まれただけなんだよなぁ。
侍は気に入らないとすぐに相手を殺しちゃって、でもその後始末を飯炊きの男に押し付けるって…それがもとで女房が産み落とした子どもに因縁がって…。不条理だわー。

でもこういう物語は落語で聞くより講談の方がいいかもしれない。

とても楽しかった二人会。また別の会も行ってみようっと。

甘いお菓子は食べません

 

甘いお菓子は食べません (新潮文庫)

甘いお菓子は食べません (新潮文庫)

 

 ★★★★

頼む…僕はもうセックスしたくないんだ。仲の良い夫から突然告げられた妻の動揺。“土下座婚活”が功を奏して知り合った男性に、会って3時間でプロポーズされた女の迷い。念入りに掃除をし、息子に手作りのおやつを欠かさない主婦が抱える秘密。諦めきれない悟れない、けれど若さはもう去った。中途半端な“40代”をもがきながら生きる、私たちの物語。心に深く刻み込まれる6編。第10回R‐18文学賞大賞受賞作。第2回フラウ文芸大賞新人賞受賞。 

面白かった。でも読むタイミングによっては拒絶反応が出たかもしれない。読書メーターの感想を見てもそれが伺える。

それだけ個人的でリアルな作品なのかもしれない。

ベシ子で始まりべしみで終わる。すごく切実。でもすごくふざけてるようにも感じる。40過ぎてからの女の人生はきれいごとでは済まされず、かといって真顔では語れない。笑って話せれば吉、みたいなところがあるかな。

他の作品も読んでみたい作家さんだな。R‐18文学賞って面白い!

十三の物語

 

十三の物語

十三の物語

 

 ★★★★

匠の技巧が存分に発揮された、粒ぞろいの短篇集。アニメ『トムとジェリー』をありえないほど緻密にした「猫と鼠」から、“もう一人のエジソン”が開発した「触覚機」をめぐる実験日記「ウェストオレンジの魔術師」まで、老いてますます冴える短篇の名手による十三篇を収録。 

 影が薄い人間がどんどん薄くなりすぎて消滅したり、細部にこだわるあまりなにも見えない状態にまでいってしまったり。露出の反動で隠蔽に走ったファッションが突き詰めた先にあったのは…。天に届くほど高い塔を作った先に待っていたのは…。

ミルハウザーって絶対変態だわーと思いながらも妙に府に落ちるところがあって、でも分かったつもりでいるとまた遠くに突き放されたり。何冊読んでも一定の距離以上近づけないのがミルハウザーの魅力であり大好きと言い切れないところでもある。

このよそよそしさが面白い。

立川流寄席

8/1(水)、日暮里サニーホールで行われた「立川流寄席」に行ってきた。

・寸志「たがや」
・談吉「青菜」
・談修「がまの油」
・談之助「熱闘!甲子園」
~お仲入り~
・らく兵「二人旅」
・雲水「茶漬間男」
・ぜん馬「死神」


寸志さん「たがや」
前座さんの次の出番できっちり「たがや」。かっこいい~。
びっくりするくらい早口でもちゃんと聞き取れるはっきりした喋り。
おそらくそんなに余裕はなかったんだろうと思うけど、そうは見せないところもすごい。
なにより「庭蟹」以外の演目が聞けてうれしかったな。


談吉さん「青菜」
わーー談吉さん「青菜」やるんだ。ちょっとびっくり。
旦那はそれほど上品な感じではないけど、お屋敷のゆったりとした感じは出てる。
「やなぎかげ」と言われて植木屋さんが「え?柳ユウレイ?」
…ぶわははは。談吉さん、そんなに柳ユウレイが好きなの?

帰ってからのおかみさんとのやりとり。
おかみさんが「なになに?やってみる!面白そう」って面白がり屋っぽくてそこが談吉さんらしくて楽しい。
ただどうしても談吉さんにはひねりを期待してしまうので、そうじゃないと、あ、そこは普通にやるんだ…ってちょっとがっかりしちゃう。白酒師匠の落語を聴くときとちょっと似てる。


談修師匠「がまの油」
今出た談吉が私の預かり弟子になりました、と談修師匠。
談吉が5分多くやったから私は5分短くしなきゃいけない。早速弟子に迷惑をかけられるとは、と言いながら「がまの油」ですもの。うれしくなっちゃう。
よくこういう口上をきっちり覚えていられるなぁ~と単純に感心して見ていたので、酔っ払ったがまの油売りが前にいる子供に聞きながら口上をやるのがすごくおかしい。
あと刀で切るところのからくりを教えてもらったの、うれしかった。
丁寧な高座。好き。


談之助師匠「熱闘!甲子園」
末廣亭で見た時は二階とも「懐かしのヒーロー」だったので、今日こそ落語が聞ける!と期待して行ったのだが、相撲の話(モンゴル出身の力士の話や八百長の話)と高校野球の話。これでもかとたたみかけてくるんだけど、なにせ全く興味がない話題なので、目がうつろに…。
寸志さんのつぶやきみてタイトルがついてる噺ということがわかったけど…次回は落語が聞きたいなぁ。


らく兵さん「二人旅」
仲入りはさんでとはいっても、あのシーンとなってしまったあとに出るのは結構キビシイ状況なのでは、とちょっとはらはらして見たいたんだけど、なんと「二人旅」。
「二人旅」って私の中ではあんまりウケない噺、というイメージなのでびっくり。

これがまた不思議に魅力のある「二人旅」で、なんだろう…二人で「〇〇とかけて」とやるところは何も変えてないし、飯屋の中でのやりとりもそれほど変えてるわけじゃないんだけど、なんか楽しい。テンポがいいのか、間がいいのか。なにより本人がとても楽しんでやってるのが伝わってきた。

不思議な魅力のある噺家さんだなぁ。
真面目でストイックそして精神力が強い、という印象。
寄席でしか見たことがないから、自分の会だとどんななんだろう。興味をそそられる。


雲水師匠「茶漬間男」
ラブホテルのまくらから「茶漬間男」。初めて聴く噺。
自分のおかみさんが二階で男と××…なのに気づかず茶漬けをすすってる旦那っていったい…。
いやぁひどい噺(笑)。でも最高におかしい。笑った笑った。
落語ばかりが続く中、上方落語が1つ入るとちょっと空気が変わってリフレッシュできる。雲水師匠、いいわー。


ぜん馬師匠「死神」
陰陽のまくらだったので、え?「小言念仏」?と思ったら、「死神」だった。
ちゃんとした「死神」なんだけど、時々ドキっとするようなギャグが入ったり、前に出た噺をひょいっと入れ込んできたりするところが、なんかこう…立川流って感じがする(私のイメージ)。
死神のセリフ「お前のせいで二軍に落とされた」には笑った。

すっきりしたかっこいい「死神」だった。満足!

大江戸悪人物語2017-18 episode 7

7/31(火)、社会教育会館で行われた「大江戸悪人物語 episode 7」に行ってきた。


・全太郎「まんじゅう怖い」
・松之丞「丸橋と伊豆守 奥村八郎右衛門の裏切り(慶安太平記より)」
~仲入り~
・龍玉「お累の自害(真景累ケ淵より)」


全太郎さん「まんじゅう怖い」
おもしろい!
ギャグで押しているわけではないけど、思わず笑ってしまう。表情が豊かで調子がよくて間がいい。すごい達者な前座さんだなぁ。


松之丞さん「丸橋と伊豆守 奥村八郎右衛門の裏切り(慶安太平記より)」
家光が亡くなり、いよいよ幕府転覆のチャンス到来。
槍の名人丸橋が何かやらかしそうな予感があって始末してしまいたかった正雪だったが、丸橋の義兄弟二人が優秀で欠かすことができない人物だっただけに、その二人を失うことを惜しんで殺すことができない。このことを正雪はその後ずっと後悔することになる。

正雪が丸橋に混乱に乗じて家綱を連れてくる大役を任せると告げると、張り切った丸橋は城の下見に出かける。
そこで伊豆守に呼び止められた丸橋。伊豆守のただならぬ迫力に気圧される。
駕籠に乗るが、自宅ではなく吉原に連れて行かれて喧嘩になって逃げだしたり、その後つぶれるほど飲んだりして、ようやく家へ帰る。
母親に小言を言われ面白くない丸橋は妻に褒めてもらおうと幕府転覆の計画を話すのだが、武家の出の妻に逆に「そういうことをたとえ妻にであっても口外してはならない」と怒られる始末。

いよいよ本番という前の晩、将棋を打っていた丸橋と八郎右衛門。勝負のことで言い争いとなり、丸橋は八郎右衛門の眉間に傷をつけてしまう。
八郎右衛門は「武士の眉間に傷をつけるということはどういうことかわかっているのか」と刀を抜きかけるのだが、まわりの者に「明日の大事を前にこんなことは小事ではないか」となだめられる。
しかし気持ちがおさまらない八郎右衛門は、兄と父の顔をこっそり見ようと実家に行き、女中に見つかって家にあげられてしまう。
眉間の傷に気づいた父に詰問され、つい「大事の前の小事」と返事をすると、「眉間の傷を小事というということは、恐ろしいことを企んでいるにちがいない」と気づかれてしまう。
奥村家は代々徳川家に仕えているのだ、幕府転覆に加担するなどとんでもないこと、と八郎右衛門は縛られ、その情報はすぐに伊豆守のもとに届けられてしまう。


…前回の乞食坊主を殺すところは熱演すぎて、ちょっと「うへぇ」と思ってしまったのだが今回は抑え目。
私はこれぐらいの引いた調子の方が好きだな。
しかし緻密に練り上げた計画も、1人浮かれポンチがいるとおじゃんになってしまうのねぇ…。(そんな感想…)


龍玉師匠「お累の自害(真景累ケ淵より)」
お累の顔がやけどでただれ、生まれてきた子どもが打ち首になった兄に瓜二つ。
これは豊志賀の祟りに違いないと無縁仏の供養のために毎日墓の掃除をしていた新吉は、そこで江戸にいた頃に見知っていた芸者お賤と再会する。
お賤は名主の妾になっているのだが、羽生村には知り合いがいないから遊びに来てくれと言われ、通ううちに、お賤にのめりこむようになる新吉。
家財道具はすべて質に入れ、家に寄りつかなくなる。
心配したお累の兄の三蔵が家を訪ねてみると、畳もない家で今にも死にそうなお累が寝込んでいる。
坊のためにもせめて蚊帳を…と三蔵が家から蚊帳を取り寄せてつってやり、3両の金を置いていく。
そこへ帰って来た新吉はその金を手にしても満足せず、蚊帳も質屋へもっていこうとするが、お累は「蚊帳だけは坊のために置いて行ってくれ」とすがる。
弱っているお累を殴りつけるだけでなく、赤ん坊に煮え湯を浴びせかける新吉。結局赤ん坊は死んでしまう。
新吉は蚊帳を奪い、お賤の元へ向かう。

お賤の家で床についた新吉だが、なかなか眠ることができない。
そのうち表を叩くものがあるのでお賤を起こして開けさせると、そこには赤ん坊の死骸を抱いたお累がいて「坊の弔いだけはしてくれ。家に帰って来て」と頼む。
お賤も家に帰るように勧めるのだが、新吉は今にも死にそうなお累を足蹴にする。
しばらくするとまたお賤は寝入ってしまい、新吉はなお眠れずにいると、今度は村人が訪ねてきて、「家が大変なことになっているからすぐに帰れ」と言う。
家に帰ってみるとそこには死んだ坊を抱いたまま自害したお累の姿があった。


…うわーーーー。
新吉のお累への仕打ちが酷すぎてもうほんとにいや…。
とにかくもうお累が可哀そうで可哀そうで。
もういっそ、お累はとっとと死んで化けて出てくれ!と思ったよ…。
だいたい新吉は自分のせいでお累がこんな火傷を負ってしまい、申し訳ない、一生大事にする、と誓ったんじゃないのかい。
供養のために墓に日参していて芸者に会ってそこに通うようになってこんな風に豹変するなんて。
ちょっと性格変わりすぎじゃない?それも豊志賀の祟りゆえなわけ?

談洲楼燕枝に比べれば圓朝の方がまだまし、と思っていたけどそんなこともないなぁ。
結局のところ、通しでやるとどうにも我慢できないぐらいおぞましいシーンがあったり、話が破綻してたりするのね…。
だからいいところだけ切り取ってやってるわけだ。
そして切り取り方や演出の仕方なんかも、圓朝物は多くの噺家がやっているうちにどんどんブラッシュアップされて、ようやく聞ける形になっているのかもしれない。

つくづく私は落語はやっぱり軽い笑える噺が好き、と強く思った。
悪人の噺は当分聞きとうない…。(でもまた近いうちに聞く。チケットも買ってるし)