りつこの読書と落語メモ

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柳家小三治一門会

10/18(水)、板橋区立文化会館で行われた柳家小三治一門会に行ってきた。

・小はぜ「転失気」
・燕路「佐々木政談」
~仲入り~
・けいこ&ミコ マジック
小三治「宗論」


小はぜさん「転失気」
小はぜさんの「転失気」、初めて聞いたかもしれない。
ちんねんさんが和尚に言われて花屋さんに行ってお医者様のところに行って…まではきちんと用事をこなそうとしているんだけど、「転失気」の訳が分かってから、茶目っ気を出すところがとてもかわいい。
小はぜさんは永遠のちんねんさんだなぁ…。かわいかった。

小三治師匠「宗論」
手術で京都に行った時の話。
手術した次の日から京都の町を歩きなさいと言われたので、いろいろなところを歩いた、という小三治師匠。
京都はお寺が多いから、ああいうところを訪ねると、不信心な自分が少し恥ずかしくなる。
でも日本というのは宗教にとても寛容な国で、こういう国はほかにないんじゃないか。
生まれた時は神社に行ってお祓いしてもらった神様に頭を下げて…そのまま神社で行くのかなぁと思っていると、結婚式は教会であげて「アーメン」なんか言ってる。そのまま教会か?と思っていると亡くなった後はお坊さん呼んで「南無阿弥陀仏」。
こんな国はほかにはない。

そんなまくらから「何にも陰と陽がある」と始まったので「小言念仏」だねと思っていたらなんと「宗論」。
小三治師匠の「宗論」って、若旦那のイントネーションがかなりおかしなことになってる(笑)。
かといって小三治師匠なのでそれがこう殊更笑わせてやろうっていう感じではないんだけど、でもかなりすごい。
しぐさも相当激しいので、これはもしかすると腕を自由に動かせるようになった証としてされたのかもしれない(勝手な妄想)。

噺自体は正直微妙だなぁと思うが、いいものを見た(笑)。楽しかった。

桂宮治vs柳家小はぜ「負けてたまるか!?

10/17(火)、道楽亭で行われた「桂宮治vs柳家小はぜ「負けてたまるか!?」に行ってきた。


・小はぜ「浮世根問」
・宮治「江島屋騒動」
~仲入り~
・宮治「強情灸」
・小はぜ「提灯屋」

小はぜさん「浮世根問」
道楽亭に来るのは二回目、という小はぜさん。
一応スマホも持っているけどあんまりスマホの地図に頼りたくないので、電信柱に書いている住所を頼りに歩いて行って気が付いたら新宿6丁目まで行ってしまっていた。

今日は宮治兄さんとの会ということで…兄さんとは若手研精会で自分は前座として出させてもらっていてその時はいつも…どんなに厳しいお客さんでも兄さんが出ると必ずウケていたので、眩しいなぁ…という気持ちで見ていた。
舞台袖で出ていく兄さんを見ながら「やったれ!」と思っていた。
そんな兄さんとの二人会…。光栄です。
ですけど、私だってあの…例えばこの界隈(新宿2丁目)で、兄さんとあたしとどちらが好みかとアンケートをとったらあたしの方がもしかすると勝つかもしれないし…。
いや、負けるかもしれませんけど。

…ぶわはははは。
いつも以上に伏し目がちに逡巡している小はぜさん。緊張してますね?

私もこの会のことを知った時、「なぜその組み合わせ?!」と思ったし小はぜファンとしても「アウェイだろうなぁ」と思ったから、きっと小はぜさんもそういう気持ちがあったんだろうな。
でもなんかこう…勝負する気持ちが出ていて…でもそれがこう変な気負いとかそういうんじゃなく、実に小はぜさんらしくて、なんかいいなぁ、と思ったのだった。

そんなまくらから「浮世根問」。
くーーー、またそういう渋い噺を(笑)。

なんで?どうして?としつこい八つぁんにご隠居が徐々にめんどくさがっていくのが面白い。
なんかこの噺の中の八つぁんって本当に楽しそう。
そして前に赤坂で聞いた時と同じ、サゲ。これが言いたくてこの噺をしてるんだろうな、小はぜさん。楽しい。


宮治さん「江島屋騒動」
テレビの収録の合間に落語会に出てまた収録に戻りその足で道楽亭にやってきたという宮治さん。
今日だけ限定で「売れてます」と言っていたけど、今日だけというわけじゃないのだろう。
この方の落語は正直かなり苦手な部類なのだが、電気を落としての「江島屋騒動」。
初めて聴く噺でかーなーり怖い怪談なんだけど面白かった。
この狭い空間で宮治さんの爆笑噺を聴くのはきつそうだなぁと思っていたのだけれど、一席がこの噺でよかった!

2席目のまくらで「雪が降って凍えてる…って言いながら(自分が)こんなに汗だくで…だめでしょ!」とおっしゃっていたけど、汗だくの熱演だった。


小はぜさん「提灯屋」
そしてトリの小はぜさんのネタが「提灯屋」。くー!渋い(笑)。
でもご本人「自分で自分のことを地味だとか渋いとは思ってますけど、人から言われるのはまた別で…」とおっしゃっていたから、あんまり渋い渋い言っちゃいけないけど。
でも宮治さんとの二人会でのネタがこの二席って、いかにも小はぜさんらしくていいなぁと思ったのだった。

字が読めない若い衆が広告をもらってああでもないこうでもないと話している場面から、「書けない紋があったら提灯をただでもらえる」と聞いて、ヘンテコな紋の説明をしては提灯をもらって帰ってくるところ、次々若い衆が来てただで提灯を持って帰ってしまうので、すっかりひねくれちゃった提灯屋が隠居の言うありふれた紋を深読みしてムキーー!となるところ。
ことさらギャグを連発するわけじゃなく、でもなんかふふふっとおかしい。
楽しかった。

どうして僕はこんなところに

 

どうして僕はこんなところに (角川文庫)

どうして僕はこんなところに (角川文庫)

 

 ★★★★

旅を愛し、特異な眼差しで世界を凝視しつづけたチャトウィン。研ぎ澄まされた言葉で記される旅の記憶は、彼が見出した“奇跡的な何か”を感じさせてやまない。偶然が引き起こす様々な出逢い―人間であり、場所であり、時に歴史的な事件でもあった―が彼にとって旅のすべてであり、本書はまさに彼の旅そのものとも言える。類まれなる紀行作家だった夭逝の天才が、旅の果てにくずおれる前に遺した、最初で最後の自選作品集。 

旅をしているときに出会った人や出来事や歴史について書かれているのだが、静かに思索しているような文章で、読みやすいけれど共感しづらく結果的に読むのに時間がかかり、そしてなにより感想が書きにくい…!
もう少しエモーショナルに書いてあれば、ハートで読んでしまうんだけど、淡々とした感情を排した文章で書かれているので、きちんと頭で理解しないと先に進めない部分も多く、私には少し難しかったな。

草を求めて移動する遊牧民のようにチャトウィンも旅をしないではいられなかったのだろうか。旅でかかった病がもとで早世してしまったことを思うと、彼の旅に逼迫した使命感のようなものを感じてしまう。

前半におさめられた市井の人たちの物語がとても好きだったけれど、後半は移民や戦争など避けては通れない問題を突き付けられたように感じた。
特に移民の問題は以前だったら遠い世界の話だったけれど今はそうは言っていられない状況もあって読んでいて不安な気持ちに…。

今の世界をチャトウィンだったらどう見たのだろう。

柳家小はぜ勉強会 其の五~勉強会ですが負けませんっ!~

10/14(土)、和光大学ポプリホール鶴川で行われた「柳家小はぜ勉強会 其の五~勉強会ですが負けませんっ!~」に行ってきた。


・小はぜ「真田小僧
・小はぜ「猫の皿」
~仲入り~
・小はぜ「妾馬」


小はぜさん「真田小僧
「お足元の悪い中、こんなに大勢いらしてくださってありがとうございます」と小はぜさん。
この会を始めた時は、まさかこんな風に毎回満員になるなんて思ってもいなかった。
予約で満員になると主催の方がメールで教えてくださるんだけど、そうやってメールで知らせてもらえるとわかっていると、いつその知らせが来るだろうと気が気でない。
それでも予約してから日にちが経っていて当日になって面倒になったり、体調が悪くてどうしよう…と思う人もいるでしょう。その場合は無理しないでください。いらっしゃらなかったからって私がどうこうなるわけじゃありません。
今日こうしていらしてくれた人の中にも具合の悪い人がいるかもしれません。そういう方には…あの…お客様の中でお医者様はいらっしゃいませんか?
…すみません。一度やってみたかったんです。

あとまだやってみたいことがありまして。
ホームの下に人が落ちてしまった時に助けてあげたいんです。ホームに落ちてる人を颯爽と…助けてあげたい。
あとひったくりにあって「泥棒ー」と声がした時に追いかけて行って泥棒をつかまえたい。
そういうことをすると地元の警察から表彰されて新聞の地方蘭に小さく出たりしますけど、そういうのはうけないんです。「自分はしがない噺家ですから」と言って断ります。出ないんです、そういうのは。だめです。
謝礼はいただいて。表彰状はもらいません。取材も断ります。

…ぶわははは。もうほんとに小はぜさんのこの逡巡するまくらが大好き。まじめで心配性で気持が優しくて…でも情熱家で頑固でめんどくさくて…。
温かいお客さんがみんな微笑ましく見守っているのがわかる。

そんなまくらから「真田小僧」。
ほおー。小はぜさんが「真田小僧」とは意外。でもきっと小はぜさんのことだから、通しでやるな、絶対。
そう思っていたらやっぱり…。

金坊がこまっしゃくれているんだけど、憎らしいだけじゃなくどこか憎めない。
そんな金坊にやられっぱなしのお父さんが子供っぽくておかしい。
あまりやられない後半部分は確かにちょっと笑いどころが少ないし、講釈を二回通すからそこがだれちゃうんだよな。小はぜさんはでもちゃんとそこをスピーディーに流してあまりだれないようにしていた。
ちょっと危ないところもあった?けど面白かった。

小はぜさん「猫の皿」
蜀山人狂歌のエピソード(船に酔った蜀山人が請われて仕方なく詠んだ狂歌や、騙されて持ち帰った山吹についてうたった狂歌)が楽しい!こういうの大好き。いつまでも聴いていたくなる。話してる小はぜさんも実に楽しそう。

そんなまくらから「猫の皿」。
確か前に聞いたのは二ツ目になりたてのころ。あの時は暑かった。だから道具屋が茶店で休んだ時、しきりに暑い暑いと言っていたんだ。
今回は秋になりたての風景。
ああ、こうやって季節を噺に盛り込んでいくのか。素敵~。

そして噺も前に聞いた時よりずっとずっとよくなっていた。なにより小はぜさんがこの噺が大好きなんだろうなぁというのが伝わってくる。
お皿のやりとりのところも前より刈り込んであっさり。茶店の主人の遊び心がちらり。
落語らしくていいなぁ。楽しかった!


小はぜさん「妾馬」
今回のネタ卸しがこちら。
黒紋付の羽織で登場した小はぜさん。とても素敵で前の方に座った奥様達からも「まぁ素敵」というため息が。

「これはニツ目に決まった時にこしらえたもので。前座の頃自分はウールかポリの着物を着ていて…それはもうあくまでも作業着という感じだったんですけど。前座で働きながら、先輩が紋付羽織で出て行くのを見ると、いつもかっこいいなぁと思ってました。なんか、今日はやってやるぞ!という気迫を感じるんですね、黒紋付きには。」
そんなまくらから「妾馬」。

いやぁこれがもうびっくりするぐらいよかった!
小はぜさんは口調がいいから八五郎の江戸っ子らしい威勢の良さがよく出ていて、だけど品があるからどんなに口が悪くても清潔感があってとてもチャーミング。
前半がスピードがあって笑いが多かったぶん、酔っぱらった八五郎が妹の姿に気が付いて語りかけるところでは、会場がしーんとしてすごい緊張感。
都々逸の歌声もとてもよくて…やるなぁ小はぜさん!

「妾馬」だ!と気づいた時は、ちょっと背伸びしたね?と思ったけど、とてもよかった。びっくりした。

 

柳家小三治一門会  麻生文化センター

10/13(金)、麻生文化センターで行われた「柳家小三治一門会」に行ってきた。

・小はぜ「たらちね」
・はん治「粗忽長屋
~仲入り~
・そのじ 寄席囃子
小三治「馬の田楽」

小はぜさん「たらちね」
わーい、小はぜさんだ。うれしい!
すっきりとした「たらちね」だけど、前座の時とは明らかに違う。お嫁さんが来ることを喜ぶかわいらしいキャラクターが出てきている。


はん治師匠「粗忽長屋
何度聞いても面白いはん治師匠の「粗忽長屋」。
行き倒れの本人を連れてくる!と走って行く男をおじさんが「おいおい」と声をかけるその言い方が大好き。


小三治「馬の田楽」
一部の方にはご心配をおかけしました、と小三治師匠。
頸椎の手術に至った経緯を。

5月に浅草でトリをつとめていたとき、少し肩や腕が動きにくくなっていたので鍛えようと思って向かいのドンキでダンベル…それも500gとかいう軽いヤツを買った。
それを家で振り回してみたり散歩で歩いている時に振り回してみたり…凝り性なので結構がんばった。
そうしたら何日目かに腕や肩が動かなくなってしまった。
一番困ったのが扇子を使っての仕草…そばを食べたり煙草を吸ったりができないこと。

これは尋常じゃないと思ってすぐに行きつけの病院…東京女子医大に行きました。私、女性好きなもんですから女子医大…。
そうしたら頸椎がやられてるっていうんですね。長年落語をやっていたせいなのかなんなのか…どうも最近頭がもやもやすると思ったらこれも頸椎のせいらしい。
それで手術することになったんですが、女子医大でやるとマスコミが来たりお見舞いがきたり…騒ぎになるのが嫌だったんで、別の場所で…京都のひなびた病院で手術してもらいました。首のところを縦にきってね…どういうことをしたのかはわかりません。見られなかったもんですから。
で、手術の次の日から医者に「京都の町をぶらぶらしてらっしゃい」言われましてね。首にギブスみたいのして…痛いんですよ。だけど歩くのがリハビリだっていうんでね、ずいぶん歩きました。

…こ、これは…私が何かの会に行った時に「ダンベル」をやりすぎて腕が上がらなくなっちゃった、って言ってたあれ。あれが原因だったってこと?師匠~(涙)。だめだよー。
でもわかる。私もだいたいなんでもやりすぎるほうだし、使っちゃいけない時に「鍛えなきゃ」って余計なことしてより痛めるタイプ…。

でも大きな声で「もう大丈夫です」とおっしゃっていたから、よかった…。
なにより、まくらをしゃべっていて「あー今日は調子がいいな」ってにこにこしたのがとてもうれしくて。
師匠が調子がいいならほんとにそれが一番。喋りながら「後で落語もやりますから」と言ったのがおかしかった~。
愚かだと言われようがなんだろうが、好きな人が楽しそうにしているのを見るのが一番幸せだ。

そのあとは選挙の話になり、選挙期間中だからどこかの党を応援したり非難するのは控えますと言いながら…。若い人に任せるべきで我々のような年寄りがどうこう言ったらいけないけれど、でもこれだけは言いたい。私は戦争を体験したし東京が焼け野原になったのもこの目で見ている。とにかく戦争はだめだ。戦争だけはしちゃいけない。そして原発もだめ。もうあれほどの経験をしたじゃないか。それなのにまだ原発をすすめようとする政治家がいる。そういう人を選んじゃいけない。若い人たちが安心して平和に暮らせるように。お願いします。

頭を下げる小三治師匠に大きな拍手。私もほんとに同じ気持ち。だけどネットや何かを見ていると別の考えでいる人がかなりの数いることに驚いてしまう。こうやってまた戦争に向かうんだろうか、と恐ろしくなる。

戦後、車も自転車もリヤカーさえ見ることがほとんどなかった焼け野原になった東京で、馬車を引いてるひとを見たことがある。
栄養が足りないせいか過労のせいか、その馬がばたりと横たわってしまい、馬方が「おい、しっかりしてくれよ。死なないでくれよ」と泣きながら馬に語りかけていた。
子ども心に、あの馬と馬方の間には絆があって一体なんだなぁ…気の毒になぁと思った。

そんなまくらから「馬の田楽」。
小三治師匠の調子が良かったせいなのか、まくらのせいなのか、馬方の馬を想う気持ちが今まで聞いた中で一番胸に響く「馬の田楽」だった。
口の悪い馬方が心底馬のことを心配して申し訳なく思っているのが伝わってくる。
出会う人たちの素朴さや呑気さに笑いながらも、馬が元気で見つかるといいなぁと思う。
そしてこういう平和が続きますように、と思った。
素晴らしかった。

 

ぎやまん寄席 馬治・さん助ふたり会

10/12(木)、湯島天神参集殿で行われた「湯島de落語 ぎやまん寄席 金原亭馬治・柳家さん助ふたり会」に行ってきた。


・たま平「高砂や」
・馬治「茶の湯
・さん助「安兵衛狐」
~仲入り~
・さん助「浮世根問」
・馬治「文七元結


馬治師匠「茶の湯
前方に上がったたま平さんのことを「ご存じだとは思いますが、たま平さんは正蔵師匠の息子さんでお弟子さん。三週間後に二ツ目に上がることが決まっています」。

落語家になってなにが嬉しかって言ったら二ツ目に上がる時。前座の時はとにかく毎日休みがなくあれこれ制限も多い。それが二ツ目になると自由な時間もできるしいろんな噺もできるようになるし、自分はこれからどんな噺をやっていこうか、どんな噺家になろうか、と希望に胸を膨らませる。
…というのは建前で、何が嬉しいって師匠の家にいかなくてよくなるのが一番うれしい。
でもたま平さんの場合は…師匠の家が自分の家ですから…どうなんですかね。そういうのない?
でも本人に伺ったらやはり一人暮らしがしたいそうですよ。そしてなにより「台東区」とは反対の方に住みたいそうです。反対って何かって言うと、何もかも反対なところ。例えば下北沢とか渋谷とかそういう…ワカモノが集うようなところ。
まぁそうでしょうね。まだ若いですから彼も。20代の時にはわからないでしょう、台東区の良さは。あそこが好きになってくるのは40代、50代になってから…。

そんなまくらから「茶の湯」。
ご近所を偵察に行っていた定吉が「若い男の人がなんかお経みたいのをしゃべってました」「ああ、あそこは落語家さんのお宅だ。たま平さんだろう」には大笑い。
噺がウケなくて汗だくになっていたたま平さんへのねぎらい?まくらもそうだったし噺も「根岸の里」つながりで、馬治師匠の優しさを感じるなぁ。

最後にやってくる客が投げる庭もサゲもなんとたま平つながり。
馬治師匠って時々こういう破天荒なことをするのよね。笑った笑った。

さん助師匠「安兵衛狐」
最近自分の記憶力が本当に怪しくなってきまして、とさん助師匠。
自分が普段使っているお箸が3日前ぐらいから見当たらない。太い箸でなくなるようなものじゃないのになぜ?と思っていてふと気が付いた。3日前に焼き鳥を食べたんだけど、その時に串を捨ててもしや…?とゴミ箱を見ると、確かに串と一緒に箸も捨ててあった。
ほんとになんでこんななのか。よくこれで落語が覚えられるな、と言いながら噺に入ろうとして、さすがにちょっと無理がある流れでお客さんから笑いが起きると自分でも、ぷぷぷっと笑ってしまっていて…こんなさん助師匠初めて見た。
「さっきの(茶の湯の)サゲが衝撃的すぎて」と言っていたけど、おかしい~。

狐狸のまくらから噺に入って、さん助師匠が「安兵狐」?!とびっくり。
前半のひねくれ者の源兵衛さんのところはさん助師匠にぴったりでおかしい。女の墓の前で実にうまそうに酒を飲み、女の骨に酒をかけてやるところなんか、なんか見ていて楽しくなってくる。、
でも安兵衛さんが骨を探しに行くあたりからなんとなくぐずぐずになってきて…。
狐が女に化けて話しかけるところでは女が「お里の乳飲み子」と名乗って、安兵衛の家に行ってからいきさつを語るんだけど、その時は普通に話していたのに次の日から語尾に「コーン」が付くという矛盾(笑)。…じゃ「乳飲み子」の部分いらなくね?だから他の噺家さんは入れてないんじゃね?でもそういうところにいちいちこだわるのがさん助師匠らしいといえばらしい気も…。

といろいろ矛盾を感じつつも、でも前半が面白かったから、この後面白くなるかも。
なにせ初めて見て「うーん」と思った噺が何回目かでものすごく面白くなっていることがままあるからなーさん助師匠の場合。次回に期待。


さん助師匠「浮世根問」
この間池袋で見て大笑いした「浮世根問」。

「わしに知らないことはない」と知ったかぶりをする隠居に、八つぁんが「どういう意味?どういう意味?」って食らいつく、っていうだけの噺だけど、これがめちゃくちゃ面白い。
耳に「なんで?」を流し込むばかばかしさよ…。
笑ったわー。


馬治師匠「文七元結
おお、文七!馬治師匠ってさん助師匠と違って正統派のしっかりした噺を結構やられるよなぁ。
真っ当だけど笑いどころが多い軽めの「文七」で、そういうところが好きだなー。くさくないの。
親方が女物の着物を着ていてずっと脇を気にしているのが、なんかこう…普段はきっと剛毅な人なんだろうにと思う。
娘の申し出を受けざるをえないほど逼迫しているのに博打がやめられないのは、もう博打で勝つ以外に手はないっていうことなんだろうなぁ。
そんなだいじな金を見知らぬ若者に名前を名乗らず渡してしまう親方…。そこがどうにも腑に落ちないんだけど、馬治師匠の親方は渡したくなくて一度は去りかけたり「やるなら俺が角を曲がってからにしてくれ」などと言ったり。蝠丸師匠の親方もねぎってたもんな(笑)。

後で親方の家を訪ねてきた大旦那が「お金より命の方が大事ということを私はわすれていました」という言葉をいうんだけど、なるほど…。
なんとなくいつも腑に落ちなかったこの噺、少しだけわかったような気がした。

カラーが違うけどとても噺家さんらしい二人のこの会。どちらがトリでもいつも満足。
楽しかった。

池袋演芸場10月中席夜の部

10/11(水)池袋演芸場10月中席夜の部

・小夢「壺算」
・南なん「不動坊」
雷蔵「寝床(半ばまで)」
小遊三「天災」
~仲入り~
・襲名披露口上(金太郎、南なん、小南、夢太朗、小遊三
・金太郎「時そば
・夢太朗「お見立て」
・二楽 紙切り
・小南「菜刀息子」


南なん師匠「不動坊」
おお、また「不動坊」。どうも私が行くと「不動坊」をやりたくなってしまう?わけじゃないだろうけど、不動坊を呼ぶ女だな、あたしは。(嵐を呼ぶ男風に)


小遊三師匠「天災」
好きだなぁ、小遊三師匠。
母親を蹴飛ばす八五郎。乱暴だけどご機嫌だから嫌な感じがしない。
喧嘩はお好きか?と聞かれて「でぇすきだ!」と答える八とこの噺を本当に楽しそうにされている小遊三師匠が重なって見える。
楽しかった~。


襲名披露口上(金太郎師匠:司会、南なん師匠、小南師匠、夢太朗師匠、小遊三師匠)
金太郎師匠が司会?!とびっくり。あとで、楽屋に入るなり「今日はお前が司会」と言われて出てきた、とおっしゃっていた。

南なん師匠。いつも通りの口上だったんだけど、一番手だったからか、「皆様のお引き立て」のお願いも。おおお。(←そんなところも喜ぶマニア)

夢太朗師匠。自分は小南師匠が前座修行の終わるときに噺家になるか紙切りになるか悩んで噺家を選んだところをこの目で見た、と夢太朗師匠。
そして、先代が亡くなった後、師匠の着物をみんなで形見分けしていただくことになったんだけど、着物にはサイズというのものがあるから、結局それが着られたのは今回襲名する小南治だけだった。南なんも金太郎も着られなかった。そしてこうやって着物だけじゃなく名前も継ぐことになって…という話にはなんかちょっとこう…複雑な想いが…。ううう。
それにしても先代の小南師匠って本当に人望のある人だったんだなぁ、と思う。そしてとっても弟子に厳しかったんだね。


夢太朗師匠「お見立て」
夢太朗師匠の「お見立て」を見ながら、南なん師匠のお大臣の「ほーほーほー」が聞きたくてたまらなくなる。見たいよー。


小南師匠「菜刀息子」
前座さんもいろいろ気を使って時間配分をやってくれたんだけどね…今こうして見るとね、あたしの持ち時間がとっても長いのよ、と小南師匠。
ほんとはこの噺をするつもりじゃなかったんだけどね…。
この噺、うちの師匠はよくやっていて、寄席でトリをとると10日のうち1回は必ずやってた。でも今はこの噺をする人はほとんどいないのよ。
なぜなら、いろいろ仕込みがあるわりに…ほとんど笑いが起きない噺だから。
そんなまくらから「菜刀息子」。

二回目だから今度は噺の展開がわかってじっくり見られた。
最初からストーリーがわかっていて見ていると、この大旦那もおかみさんも年を取ってからできた息子をとてもかわいがっていることがわかる。
特におかみさんは、気が弱い息子をいつもかばって甘やかしていたんだろうなぁ。
この息子の年が幾つなのか分からないけど…同じぐらいの年頃の他のお子さんは吉原に遊びに行ってる、というところをみると、17,8歳なんだろうか。

心配することはないと言っていた旦那が「これはおかしいな」と出入りの職人の頭を呼ぶところ。
ほうぼう探し回った頭が帰る時、見送りながら玄関をしめることができず、おかみさんが心配そうにまわりをうかがうところ。
とても細やかに表現されている。

売り声で1年が過ぎることを表現するのも…大変だよね(笑)。やっぱり宮田先生に教わりに行ったんだろうか。
あの売り声のところで「かーーん」っていうの、あれは何の音なんだろう。わからなくてとっても気になる。

1年たって、おかみさんがにこやかにしているのがとても印象的。
どれだけ息子を探してどれだけ悲しんだか…なのに訪ねてきた頭に笑顔を向け、大旦那に従うおかみさん。
そういう人だからお参りに行った先で乞食が大勢いるから施しをやりに行ってきます、とわざわざ行くのだろう。

息子の姿を認めた旦那が「甘やかして育ててきたけれど、親の方が先に死ぬのだ。その時あの子がどうなるか。もう少し苦労をさせよう」という言葉が胸に迫る。
今どきの親は(私も含め)子どもを褒めて育ててできることはしてやろうとつい手を差し伸べてしまうけれど…。

深刻な内容に反してサゲがとってもばかばかしいのもなんかいいな。落語らしくて。
よかったー。

鈴本演芸場10月上席夜の部

10/10(火)鈴本演芸場10月上席夜の部に行ってきた。

・のだゆき 音楽パフォーマンス
・志ん好「居酒屋」
~仲入り~
ホンキートンク 漫才
・百栄「露出さん」
・楽一 紙切り
・馬治「豊志賀」

 

志ん好師匠「居酒屋」
志ん橋譲りなのかな。めちゃくちゃ面白かった!
店の小僧をあれこれからかう客がめんどくさいけど意地悪じゃなくて楽しい。
そっけなく対応する小僧も、志ん橋師匠がやるみたいにかわいらしくはないんだけど、でもなんかいかにも子供っていう感じがしてとってもチャーミング。
「文字の濁り」の説明をした小僧さんに「お前えれぇなぁ。なまやさしい学問じゃねぇ」と褒めた客が「じゃ、いに濁りをつけると?」と聞くと、小僧が顔を真っ赤にして「い”っ!!」って叫ぶのがめちゃくちゃおかしくて大笑い。
楽しかった~。


百栄師匠「露出さん」
おおお、久しぶりの「露出さん」!
この日、前の方に女性のお客さんがグループで来て座っていたんだけど、だからか?だからなのか?まさにそれこそ露出さん心理!いやー。
と言いながら、私大好きなんだ、この噺。
気持ち悪さと面白さの絶妙なバランスで、これはもうあともう少し何したらもう嫌悪を感じるだろうし、気持ち悪いという感想しかないかもしれない。

「町内の時計になれや露出狂」。
どうしたらこういうフレーズを思いつけるのか。
笑った笑った。


馬治師匠「豊志賀」
馬治師匠の「豊志賀」は二回目。
初めて聞いたのは「金原亭夏夜噺」の時で、あれが私の初「豊志賀」だった。
調子がいいけどちょっと頼りなくてふらっとどこかへ行ってしまいそうな新吉がなんとも…。こんなふうに振る舞ったら嫌われるに決まってるのに…そうか、豊志賀はそれまで堅い人だったからこんな風になったのは初めてだったのだよな…。そう思うとより哀れに感じられる。

初めて馬治師匠を見たお友だちにはあまり評判よくなかったけど(涙)、馬治師匠の「豊志賀」は、笑うところもちょこっと作ってあって、私は好きだな。

池袋演芸場10月上席

10/7(土)、池袋演芸場上席昼の部~夜の部(途中まで)に行ってきた。


昼の部
・市坊「たらちね」
・わさび「茗荷宿」
・やまと「近日息子」
マギー隆司 マジック
・文雀「猿後家」
・扇生「看板の一」
・おしどり 音曲漫才
・春輔「権兵衛狸」&かっぽれ
・たけ平「目黒のさんま」
・ストレート松浦 ジャグリング
・喬之助「締め込み」
~仲入り~
・志ん陽「疝気の虫」
・小さん「長短」
笑組 漫才
・馬石「井戸の茶碗

 

夜の部
・小ごと「道灌」
・朝之助「壺算」
・さん助「だくだく」


わさびさん「茗荷宿」
前座さんでクスリとも笑わなかったお客さんをちゃんとのせていったのはさすが。
いやぁ。市坊さんの「たらちね」も良かったんだよー。なのにお客さんがしーん。笑いづらいわ!
わさびさんって見た目いかにも弱そうだけど、そのふわっとした見た目を利用してお客さんを警戒させずに懐に入り込むのがうまいというか、無理に笑わそうとしないけど自分の側にお客さんを引きいれるのがうまいんだよなぁ。まくらに「技」を感じる。素敵。
「茗荷宿」という噺の選択もよかったなぁ。

茗荷尽くしの夕飯に「シェフの気まぐれ茗荷…。言えてねぇじゃねぇか!」っていうの、おかしかった~。


やまと師匠「近日息子」
この間は、ための多い落語で苦手かもと思ったんだけど、「近日息子」面白かった。ちょっと与太郎が作りすぎてる感があったけど、この位置でこの噺っていうだけでぐっときちゃうな。


マギー隆司先生 マジック
もう大好きなんだ、マギー隆司先生。最初から最後までおかしくておかしくて。ツボにはまっていつまでも笑いが止まらない。ラブ。


文雀師匠「猿後家」
龍玉師匠の代演。
「代演というと、何かあったのかしら。病気?事故?と心配されるお客さんがいらっしゃいますが、心配無用です。噺家はこういう場合は99%、他にもっといい仕事があってそっちに行ってますから。むしろ心配されなきゃいけないのは出てる私の方です」には笑った。

「猿後家」、あんまり好きな噺じゃないけど、楽しかった。初めて見る師匠!と思ったけど自分のブログを検索したら前に2回見てた。


扇生師匠「看板の一」
うーん、いいなぁこの師匠。動きがすごくシャープで表情も豊かで、でもこざっぱりしててとても噺家らしくて素敵。かっこよかった。


春輔師匠「権兵衛狸」&かっぽれ
この師匠のゆったりした語り口、すごく好き。またこの語りと「権兵衛狸」が合ってる!
サゲのセリフが男っぽかったのが意外性があってよかった。
踊りの前の前座さんとのやりとりも楽しいし(市坊さんがニコニコしててかわいかった~)踊りも楽しい!


たけ平師匠「目黒のさんま」
「目黒のさんま」を地噺でするのって初めて見たけど、いやぁ…嫌い(笑)。
私、この噺大好きなんだけど、地の部分がうるさくて噺の面白さが全く伝わってこない。台無し感が…。
あとこの師匠の攻撃的な話し方が苦手。
なんかのギャグをいれた時にあんまり笑いが起きなかったら「浅草ならうけるのに」と言っていたけど、ほんとにこの師匠は浅草向きなんだな、と思ってしまった。

 

ストレート松浦先生 ジャグリング
途中で何かスイッチが入ったらしく、3つの箱を投げながらくっつけるやつで大技にチャレンジ。
汗だくになりながら「たけ平師匠の落語を見ていて、代演なのに好き放題やってやがるなぁ!と思ったんですけど、私もですね!」。
すごかった!


喬之助師匠「締め込み」
代バネの馬石師匠のことを「憧れの雲助一門」「馬石兄さんとは同期なんです。一か月だけ自分の方が後輩」と喬之助師匠。
自分の師匠の代演をつとめるなんてすごい。憧れです!と言いながら「なんで弟子をとらないの?弟子にしてくださいって来るでしょう?」って本人に聞いたら「ぼくは70歳になるまではとらないの。」…って、馬石師匠の物まねがうますぎて大爆笑!

「70?そしたら弟子が真打になるころには85歳だよ。その時に口上に上がれるかわからないじゃない」と言ったら「大丈夫。僕は104歳まで生きるから」。
「104?なにその半端な4歳は?」
「うん。ロスタイム」
「4年のロスタイムってどんなだよ!」

…ぶわははは。最高だなぁ、その会話。

喬之助師匠の「締め込み」はテッパン。
のこのこ出てきて夫婦喧嘩を止めに入る泥棒とそれにお礼申し上げる夫婦がおかしい。

 

志ん陽師匠「疝気の虫」
思っているより暗めに始めるんだけど、内から湧き出てくる明るさがあるからそれもまた楽しい。
疝気の虫のはしゃぎっぷりがすごくおかしい。
いやぁ、もうこういう噺を寄席で聞けるとすごくうれしくなっちゃうなぁ。
好きだなぁ、志ん陽師匠。


馬石師匠「井戸の茶碗
普段聞く「井戸の茶碗」とちょこちょこ違ってる。
屑屋さんがすでに千代田先生を知っていたり、仏像も100文で買ったのを600文で売ったり…これは馬石師匠の工夫なのか違う型なのか。

陽気で軽めの「井戸の茶碗」、とっても楽しかった。


さん助師匠「だくだく」
ちょっと異様な雰囲気の客席(しーん!としたり、思わぬところでどっとウケたり…)に戸惑い気味?

ちょっとハラハラしたけど、粋などろぼうとの「つもり」ごっこ。楽しかった!

三遊亭遊吉の会

10/6(金)、上野広小路亭で行われた「三遊亭遊吉の会」に行ってきた。
寄席で見て好きになった遊吉師匠。もっとたっぷり見たいなぁと思っていたら、独演会があったので行ってみた。

・金かん「狸札」
・遊吉「質屋庫」
~仲入り~
・ポロン マジック
・遊吉「御神酒徳利」


金かんさん「狸札」
いいなぁ、金かんさん。今の前座さんの中で一番好き。まくらなしで名前も名乗らず何も入れずに落語やるんだけど、テンポがいいし語りもいいし噺だけで笑わせてくれる。
二ツ目になったらどんな落語をやるんだろう。


遊吉師匠「質屋庫」
遊吉師匠の落語の魅力は、ふわっとした軽さとスピードとキレのある動きかな。クレバーだけど全然嫌味がない。
遊吉師匠の「質屋庫」は前にも一度聞いたことがあるけど、テンポがよくて軽くていいなぁ。
旦那が怒っていると聞いて、次々悪事を告白するくまさん。
旦那が「あれもお前さんだったのかい。うちならいいけど他でやったらお縄になるよ」と言うと「大丈夫です。ここでしかやらないんです」には笑った。

サゲがわかりにくいのがこの噺の難点かなぁ。私は大好きなんだけどね。

 

遊吉師匠「御神酒徳利」
ネタ出しされていたこの噺。何年かぶりにやってみたら教わった直後にやった時より時間がかなり短い。どこか抜けちゃってるのかなぁ。でもまぁ噺のつじつまがあえばいいか。
そんなまくらから「御神酒徳利」。

おっちょこちょいの二番番頭。自分が水瓶の中に徳利を隠したことを忘れて家に帰ってきて水を飲もうとして水瓶をあけて初めて思い出す。
女房に「お前が一緒に行って謝ってくれ」と言うのが、普段女房に頼ってる姿が垣間見られておかしい。
おかみさんが「だったら占いをやればいいよ」「お前は父親が易者だからそう簡単に言うけど、占いなんて簡単にはできないよ」「簡単だよ。適当に言えばいいんだから!」。この軽さがなんとも楽しい。

この噺って通しでやると、最初はただの嘘だったのが、二回目は偶然に助けられて、三回目は神様が出てくる、っていう、なんともいえず不思議な流れ。

番頭も二回目の時は「逃げよう」だったのが、三回目になると「どうか助けて下さい」と本気で信心するのが面白いなぁ。その信心が「御神酒徳利」というタイトルにつながっている気がする。

楽しかった~。

それにしても「質屋庫」と「御神酒徳利」、両方ともさん助師匠がやっていた噺で、しかも両方とも同じような形だったのが面白い。おそらくなんの接点もないのに。

そしてサゲを言って頭を下げて追い出しがかかった時にそれを遊吉師匠が止めて、ご挨拶。
手拭いを5枚プレゼントってあったんだけど、手を挙げればよかった…しくしく…。あたしってどうしてこう中途半端にかっこつけちゃうんだろう。後悔。

池袋演芸場10月上席昼の部・夜の部

10/5(木)池袋演芸場10月上席昼の部、夜の部に行ってきた。

昼の部
・寿伴「寄合酒」
・わさび「釜泥」
・やまと「子ほめ」
・美智・美登 マジック
・龍玉「強情灸」
・扇生「巌流島」
・おしどり 音曲漫才
・春輔「ぞろぞろ」&かっぽれ
木久蔵「看板の一」
・ストレート松浦 ジャグリング
・馬石「元犬」
~仲入り~
・志ん陽「代書屋」
・小さん「長短」
・小菊 粋曲
・雲助「禁酒番屋

わさびさん「釜泥」
とっても面白かった。噺自体もあんまり寄席でかからないのでポイント高いな~。


やまと師匠「子ほめ」
あれ?こんなに間合いをとる師匠だったっけ。なんかちょっともっさりした感じがしていらいら…。私はもっとテンポがいい軽い落語の方が好き。


龍玉師匠「強情灸」
なんかとってもくさくなっていて、どうした?やりすぎてこうなってしまった?
ある意味面白いけどなんかくどい。人情噺風「強情灸」(笑)。

扇生師匠「巌流島」
この噺が大好きっていうのもあるけど、最初から最後まで楽しかった~。
好きだな、この師匠。身のこなしがよくてテンポがよくて軽くて。もっと見てみたい。


春輔師匠「ぞろぞろ」&かっぽれ
ゆったりした語り口で演芸場が一気に民話の世界に。
楽しい~!こういう噺をこういうゆったりした淡々とした語りでされるとたまらないなぁ。今まで聞いた誰の「ぞろぞろ」とも違う。すごい魅力的。
落語の後のかっぽれもとても楽しかった!


木久蔵師匠「看板の一」
木久蔵師匠、前は嫌いだったけど最近だんだん好きになってきた。
「最近ほめられることがないじゃないですか。みなさんもそうじゃないですか。子どもの頃は何をやってもほめてもらえたのに大人になってからは全然ほめられない。それで私なんか精神的にバランスを崩してきちゃって。そうしたらこの間、歌丸師匠とお仕事を一緒にさせていただいたんですけど、師匠が私の高座を袖で聞いていて下さったんです。それで降りて行ったら師匠に呼ばれたんです。ドキドキするじゃないですか。その時の歌丸師匠の言葉。”最後まで噺を覚えてえらい!”久しぶりにほめられちゃいました。それも歌丸師匠に。すごくないですか?」

…わはははは。
この甘ったれちゃん爆発のまくらもたどたどしい落語もなんか嫌いじゃないんだよなぁ。なんだろな、〇平師匠や花〇師匠は嫌いなのに。

「看板の一」、親分さえもふにゃふにゃしてたけど、なんか面白かった。楽しい。


馬石師匠「元犬」
シロがかわいい…。物言わずに腰をひねってポーズをするだけでおかしい。もうこの師匠の動物は反則っていうぐらいかわいいな。


雲助師匠「禁酒番屋
こういう噺をするときの雲助師匠が本当に楽しそうで、見ているこっちもほんとに楽しくなる。
最初から最後までおかしくて笑い通しだった。

 

 夜の部
・一花「金明竹
・朝之助「幇間腹
・さん助「浮世根問」
・にゃん子金魚 漫才
・窓輝「庭蟹」
・天どん「ハーブやっているだろ!」
・正楽 紙切り
・一琴「初天神
・小里ん「碁泥」
~仲入り~
・柳朝「蜘蛛駕籠
・歌武蔵「無精床」
・仙三郎社中 太神楽
・一之輔「粗忽の釘

 

さん助師匠「浮世根問」
なんだかわからないけどべらぼうに面白かった!
八五郎の質問に都々逸づくしで答えるご隠居もおかしかったんだけど、「死ぬとどこへ行きますか」「西だ」「西って言うとどっちですか」から始まって、だんだん隠居がめんどくさくなっていくところのくだりがもう…ほんとにばかばかしくて。
これはさん助師匠、第二の「雑排」になるやもしらん。


窓輝師匠「庭蟹」
「楽屋仲間と飲みに行くのは楽しい」と窓輝師匠。
だいたいが芸論…という名のその場にいない噺家の悪口。どういう話かといったら、こういう場では言えません。でもこの後楽屋に来て飲みに誘ってくれたら…ペラペラしゃべります。
一緒に飲んでるとそのうちシャレの言い合いみたいになることがあって、噺家同士だとシャレを言いあっても絶対に笑わないんだけど(悔しいから)、酔いが進むにつれ、なんかの拍子に笑いが止まらなくなることがあって。
そんなまくらから「庭蟹」。洒落がわからなくて本気で怒り出す旦那がおかしい。この噺、あんまりかからないけど、好きだな。

 

天どん師匠「ハーブやっているだろ!」
池袋演芸場を舞台に、客が2人で全くウケなかった噺家の噺だから、もう大ウケ。
この噺、何回も聴いているけど、確かに池袋で聞くと格別面白い!
客席がどんどん盛り上がって行くの、気持ちよかった。


小里ん師匠「碁泥」
奥さんから物言いが入って碁が打てなくなったと言われ、じゃあこうしたらいいんじゃないかああしたらいいんじゃないかと話すところ。碁を打ち始めて夢中になって行くところ。泥棒がまざってくるところ。すべて楽しい。
サゲがほんとに大好き。このサゲを言って幕が下りて仲入りに入る流れが完璧すぎる。すばらしい!

一之輔師匠「粗忽の釘
一時期一之輔師匠を追っかけて見に行っていた時、よく当たった噺。あの時はこの噺だとちょっとがっかりしてたな。
スピードがあってもう最初から最後まで駆け抜ける感じで楽しい。この噺自体の面白さが…というのはあるけど、もう完璧に一之輔粗忽の釘ができあがっているから、いいよなぁ。
テッパンの楽しさを満喫。

もう生まれたくない

 

もう生まれたくない

もう生まれたくない

 

★★★★★

マンモス大学に勤める、にわかナースの春菜、ゲームオタクのシングルマザー・美里、謎めいた美人清掃員の神子。震災の年の夏、偶然の訃報でつながった彼女たちの運命が動き始める―。誰もが死とともにある日常を通して、生の光を伝える傑作長篇小説。  

間取り小説の後は訃報小説か。長嶋有ってほんとにアプローチの仕方が面白いなぁ。

芸能人の死、1度だけ会った人の死、身近な人の死、そして突然訪れる自分自身の死。
芸能人の死は自分にとってはあくまでもゴシップでしかないけれど、不思議とそれを聞いた時の状況っていうのが忘れられなくて、自分自身の体験したことよりリアルだったりすることがある。その人に対する思い入れもあるけれど、その時の自分の状況や状態によるところも大きい。

芸能人をタイトルにしたゲームの安っぽさやジェンガの一体感と嘘臭さ。震災の後の心細い感じやレンタルビデオ屋のバイトの埃っぽさ。割烹着姿のオボちゃんは確かに得意げだった。

気楽だけど少し不穏な私たちの毎日は忘れているけど死と隣り合わせだということを教えてくれる。
震災の後の世の中の変わり方に何かこうざわっとした不安を感じ続けているのだが、見事に表現されていると思った。

面白かった。と書きながら、面白がっていてほんとに大丈夫なんだろうか、という不安も残る。

鈴本演芸場10月上席夜の部

10/3(火)、鈴本演芸場10月上席夜の部に行ってきた。
しのばず寄席で蝠丸師匠のトリを見てから鈴本演芸場へゴー。ちょうど仲入りで入れた~。
会社帰りのダブルヘッダーは初めて。やればできる!

ホンキートンク 漫才
・百栄「寿司屋水滸伝
・勝丸 太神楽
・馬治「唐茄子屋政談」


百栄師匠「寿司屋水滸伝
百栄師匠のふにゃふにゃした語り口と、この寿司が握れない洋食専門の寿司屋のオーナーがぴったりで楽しい~。
本家より百栄師匠のやつのほうが好きだな、この噺。


馬治師匠「唐茄子屋政談」
ただいま真打披露興行真っ最中の三木男さんのことを「ほんとに純粋でピュアで真っ直ぐ。ただ世の中からはずれている。落語に出てくる若旦那と一緒」と言って「唐茄子屋政談」へ。


ふにゃふにゃした若旦那と口は悪いけど優しいおじさんの両方が馬治師匠にぴったりで、なんかとても不思議な感覚。
なんだろ、ほんとに二人が見えてくるみたいなんだな。

かぼちゃを背負って通りに出た若旦那。坂で転んでしまうと心配して転がったかぼちゃを拾い集めてくれた人が事情を聞いて「俺が売ってやるよ!」と。
残り2つになったかぼちゃを背負って歩き出した若旦那が「ああ…ありがたいなぁ。ほとんど売ってくれた。あとの二つは頑張って自分で売らなくちゃ」と歩き出すのが、純朴でかわいらしい。
売り声を出すのも恥ずかしくて「稽古しよう」と脇道に入って吉原田んぼで花魁のことを思いだしながら歌を口ずさむのが、なんともいえず呑気でいいなぁ。

最後までやらず歌うところで終わってしまったのがちょっと残念だった。

 

しのばず寄席

10/03(火)しのばず寄席に行ってきた。
こちらの会、始まりが早いので会社帰りに行くのはちょっと…なんだけど、上野広小路亭会員になったので、お金がもったいなくない!と思ってトリに間に合うように入場。
 
・左利き 漫才
・蝠丸「文七元結
 
左利き先生 漫才
前にもしのばず寄席で見たことがあるので二回目。
とても運動神経がいいようには見えないダッシュさん、50mを5秒台ってすごすぎ。
マトリックスの芸もすごい。
ちょっと無理やりな「旅行に行ってお金をだいぶ使ってしまった(大仏買った)」のくだりも面白かったし、結構好き。
 
蝠丸師匠「文七元結
蝠丸師匠が「文七元結」?!ってびっくり。

元はといえば自分の博打通いがもとでこんなことになってしまった親方。
娘が女郎になることでもらった50両を文七に差し出す時に「5両にまからない?じゃ6両じゃだめ?」と言って、その最中に文七がまた身を投げようとすると「おい、やめろよ!今ねぎってる最中なんだから」。

店の旦那もとても穏やかで優しくていい感じ。
お金を返すやりとりもしつこくなくてよかった。

文七元結」って正直あんまり好きな噺じゃない。どうも私は「芝浜」とか「文七」とか「明烏」とか「幾代餅」とか、トリになった師匠が「どうや」とする噺が苦手なのだ。
でも蝠丸師匠の「文七元結」はとてもよかった。
これを「人情でござい~」とやられると、うへぇ…となるんだけど、蝠丸師匠のはごくごくあっさりしているので、なんかこう…昔話を聞かせてもらっているみたいな感じで、素直に「(この結末で)よかったなぁ」と思えたのだった。
 

池袋演芸場10月上席夜の部

10/2(月)、池袋演芸場10月上席夜の部に行ってきた。

・一花「手紙無筆」
・一蔵「猫と金魚」
・さん助「胴斬り」
・にゃん子・金魚 漫才
・文菊「ちはやふる
・天どん「牛の子」
・ダーク広和 マジック
・一琴「真田小僧
・一朝「岸柳島
~仲入り~
・柳朝「鹿政談」
・歌武蔵 いつもの
・仙三郎社中 太神楽
・一之輔「寝床」


一蔵さん「猫と金魚」
なんか久しぶり。前に聞いたのとまったく同じまくら(子供の塾の面接)だったけど、落語二回目の友だちも大爆笑で私も笑った~。
「猫と金魚」も番頭さんが本当にわからなくてやってる感じでおかしかった。


さん助師匠「胴斬り」
まくらなしで入ったかと思ったら「あ、入り方間違えました」。
「前座さんが間違えるとこういうことに…」と言ってから「人のせいにしちゃいけませんね…」。

さん助師匠の「胴斬り」は何回も見てるけど、今日は会話が怪しくなったり相手のセリフを言っちゃったり、なんかちょっとやりづらそうだったなぁ。撮影のカメラが入ってたから(天どん師匠のDVD撮影だったみたい)動揺した?
でも面白かったから許す!(←上から目線)

文菊師匠「ちはやふる
まくらで「噺家っていうのはあんまり目鼻立ちが整ってない方がいいんですな。だから今出たさん助兄さんみたいの顔がいいんです。その点私の場合は、こういうふうに…整って生まれてきちゃったものですから、いろいろ苦労しております」。

…ぶわははは!文菊師匠ってこういうキャラだったっけ。おかしい~。

ちはやふる」、先生がもったいぶって喋るのが、文菊師匠の端正な話し方と相まってすごくおかしかった。


天どん師匠「牛の子」
今日はめったに聞けない噺をしますよ、と天どん師匠。
もったいつけるわけじゃないですけど、あんまり持ってる人のいない噺で、持ってる人でもまず今やらないから、ほんと珍しいですよ。
一応古典ですけど古典っぽくなくて情景が浮かびづらいからみんなやらないんですよ。
だからそのつもりで聞いてくださいよ。
なにえばってんだって話ですけど。

そんなまくらから「牛の子」。
これ、前に浅草演芸ホールで天どん師匠がやるのを見たことがある。

田舎暮らしを始めた与太郎のところに兄が訪ねてくる。
不自由はしてないかと兄が聞くと、田舎はいいよ、ここの家賃は大家さんがただにしてくれるし、魚もただでもらえるし、と与太郎
なんでただでもらえるかっていうと、そこらへんにいる虫を捕まえて、魚を捕ってる人の所に持って行くと「餌になる」と言って喜ばれ、釣った魚をお礼にもらえる。
肉もただでもらえる。これもそこらへんにいる虫を捕まえて持って行くと「餌になる」と喜ばれて、あとで「鶏を一羽しめたからあげる」と持ってきてくれる。
野菜も虫を捕まえてもらえる。
でも唯一もらえないのが、牛乳。牛は虫を食べないからね。
それを聞いて兄が「だったらこういえばいい」と悪知恵をさずける。

それは、死んだ母が牛になって夢に出てきた。母に会わせてくれと牛を飼ってる大家さんにところを訪ねて行って、乳を出しそうな牛を見つけて「おっかさん」と話しかけ、「じっくり話をしたいから二人にしてくれ」と頼んで、二人になったところで好きなだけ乳を搾って飲めばいい、と。

一番の見せ場は牛に顔をなめられるところと乳を搾るシーン。
牛になめられるしぐさをしながら、前の方のお客さんに近づいていく天どん師匠。
「一之輔を見ようと最前列に来るからこういう目にあうんだ」と毒を吐きながら…。
そして乳を搾るしぐさをしながらひっくり返って、これもんでステテコを見せつけて「このステテコ(黒地に牛柄)を見せたくてこの噺をしましたよ!」。

…わはははは。おかしい~。最高。
やっぱり私は天どん師匠はこういうバカバカしい噺が好きだな。


一朝師匠「岸柳島
最初から最後まで気持ちいい。
若侍のえばっている様子、初老の侍の落ち着いている様子、それを見てやいやいやってる若い衆のバカバカしさ。
船頭が若侍にキセルを落としたと言われて見せる反応が大好き。楽しい!

柳朝師匠「鹿政談」
雰囲気とか人は嫌いじゃないんだけど、落語に入るとものすごく「作った感じ」がしちゃうんだよなぁ…。せっかくきれいな噺家さんなのに喋り出すと片岡鶴太郎みたい…。


歌武蔵師匠 いつもの 
笑え笑え面白くなくても笑え2500円ぽっちで笑わせてもらえると思ったら大間違い、楽屋に祝儀を持ってこい包む紙がなかったらトイレットペーパーでもいいから。
これのなにが面白いのかぜんぜんわからないけど一部おやじには大ウケなんだな。狭い池袋演芸場でこれを見なきゃいけないのはかなりしんどい…。


一之輔師匠「寝床」
久しぶりにトリの一之輔師匠を見た。
すごいスピード感があってすすすっと流れるように展開するところと強めのギャグで押してくるところのバランスが絶妙。
思わず笑ってしまうようなギャグがちりばめられているけどそれもやりすぎないから邪魔にならないんだなぁ。

旦那の義太夫のひどさにミケが「シャー!」っていうのがおかしくておかしくて。
さらに番頭がなだめにかかるとそこでもミケが大活躍。
楽しかった~。
なにより安心して見ていられるのね、一之輔師匠の落語は。
だから落語に慣れてない友だちを誘うのにぴったり、なんだなー。