りつこの読書と落語メモ

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葵落語会

2/16(金)、葵寿司で行われた「葵落語会」に行ってきた。


・幸太「道灌」
・雲水「持参金」
~仲入り~
・談幸「ねずみ穴」


幸太さん「道灌」
声の出し方や調子が談幸師匠にそっくりで思わず微笑んでしまった。
ゆったりと伸びやかなとても素直な落語。先が楽しみだなー。
打ち上げの時に伺ったら、幸七さんとは入門が一日ちがいなんだとか。しかも自分が師匠の出番を間違えてお会いできなかったのでお会いできたのが次の日になった、と。もし間違えてなかったらほんとに同じ日に入門、だったんだ。すごい。


雲水師匠「持参金」
冬季オリンピックのまくら。
スキーのジャンプ、ヨーロッパでは日本なんかに負けたくないから、日本人が勝つとそのたびに日本人に不利なルール改正をしている。これは悔しい。
で、ジャンプっていうのは結局のところ長く落ちてこないことがポイントなのだから、そこに着眼すると「モモンガスーツ」がいいだろう、と。でもこれももちろんそういうウエアを着たりするとルール違反といちゃもんをつけてくるだろう。
そこで考えたのが、ものすごーく太った人がものすごーく頑張ってダイエットすると皮膚が伸びてびろーんとなる。それを利用して、すごく太った人をスカウトしてくるか、あるいは選手をものすごく太らせたのち、ダイエットさせると脇の下の皮膚がびろーんとなる。皮膚なのだから違反もなにもない。それを使って飛べば間違いなく金メダル。

…ってばかばかしい~。なんだこの「おれすっげーこと考えた」って大真面目にバカバカしいことを発表する中学生男子感は。わははははは。

そんなまくらから「持参金」。
関西弁だとおなべさんのぶさいくぶりの表現もなんかユーモラスに感じられる。
そして持参金目当てで結婚したけど、次の日番頭さんが来ると「二言三言しゃべったけど、気立てがいいし気に入ったわ。嫁さんもお腹の中の子も一生だいじにするわ」とフォローの言葉。これがあるとないとではこの噺の後味が違ってくるからなー。

楽しかった。


談幸師匠「ねずみ穴」
冬季オリンピック興味ないと言いながらもついつい羽生くんが見たくてテレビの前でがんばっちゃった。
そんなまくらから「ねずみ穴」。
一番辛い部分をわりと駆け足であっさりとされたのでいやな気持ちにならずにすんだ。
お兄さんがほんとにいい人間なのか悪い人間なのか…この噺を聞くといつも考えてしまうんだけど、どちらにも転びそうな危うさが魅力でもあり怖さでもあるなぁ。

落語の後はおいしいお刺身や寄せ鍋や太巻きが出る打ち上げ。楽しかった~。

百栄の赤いシリーズ第18回 赤い家計簿

2/15(木)、らくごカフェで行われた「百栄の赤いシリーズ第18回 赤い家計簿」に行ってきた。

・百栄「強情灸」
・百栄「誘拐家族」
・こはる「反対俥」
~仲入り~
・百栄・こはる トーク
・百栄「猫の皿」
・百栄「ホームランの約束」

 

百栄師匠「強情灸」
わーー、百栄師匠の「強情灸」初めて聞いたー。
新作の噺家さんだと私の場合はたいてい新作の方が好きということが多いんだけど、百栄師匠の古典は大好き。
新作の噺家さんだとどうしても改変を期待してしまって、「あれ?ここも変えないんだ」「ここもそのままなんだ」って、そういう目で見てしまうから楽しめないってことがあるんだけど、百栄師匠は古典の改変はしなくて、でもなんか独特の風味があってそこがとっても面白い。

「強情灸」も面白かったー。
話し終わったあとに師匠が「この間お客さんにこのサゲの意味を聞かれまして…。私が思うにこのサゲは…」と言いかけて、みんなが固唾を飲んで真剣に聞いていることに気付いたのか、「あ…なんか言おうとするとどんどん自信がなくなっていくんですが」と言って、つまりはこういうことだろう、という解釈を。
どうっていことはないんですけど、なんかそれ以来この噺が気になるようになって、それで最近やってます、と。
私は結構サゲをちゃんと理解してないことも多くて、サゲを案外気にしないっていうか、なんとなくふわっとわかったようなわからないような気でいて、それでも楽しめちゃうんだけど、改めてこうやってきちんと説明されるとなんかすごく貴重なことを教えてもらったような気分。

百栄師匠「誘拐家族」
この会は勉強会っていうわけじゃないんだけど、そういえばこの噺最近あんまりやってないなと思ってネタ帳見たらここでもやってなかったので、と言って「誘拐家族」。
おお、私これ、テイトの会で見たことがある!

身代金要求の電話をかけて、「いくら用意すればいいんだ」と聞かれて「50万」と言う誘拐犯。
「ちょっと安いわよ!」誘拐された中学生が「せめて500万」と言うと「500万って…天文学的な数字じゃないか」。
さんざん二人でもめてもう一度電話口に出て「先ほどお電話した〇〇ですが」って名乗っちゃうのもばかばかしい。
おかしかったー。


こはるさん「反対俥」
わーー。こはるさん久しぶりー。うれしいー。
らくごカフェは前座時代に「立川流前座の会」でお世話になり、百栄師匠とはやはり前座時代ラジオ番組でお会いして以来。DVD買っちゃうぐらいのファンなのでとてもうれしくてドキドキしてる。
そんな言葉通り、確かにこはるさん珍しく緊張気味?

時々着物のままタクシーで移動することがある。
そうするとよく運転手さんに「若いのに(着物を)きれいに着ててえらいねぇ」と言われる。
この「若いのに」が明らか「中学生の男の子なのに」ぐらいな感じで言われてるのがわかるので「いやいや、そんなに若くないっすから」と答える。
その後聞かれるのは決まっていて「着物はお仕事で?」。
とにかく「落語家です」とは答えたくないので…というのは、落語家って言うと「じゃ、ここで小噺やって」とか言われかねないから絶対言いたくない。
なので「ええと…移動です」と答える。
しばらくそれでお茶を濁していてもまたしばらくすると「お稽古かなにか?」。
そう聞かれても「いやまあ…移動です」。
目的地に着いてお金を払っていると「いやでもあなた…声がいいよ。いい声してる。落語家になったらいいんじゃない?」

…ぶわははは。おかしい。
まくらでお客さんをつかみきれてないようなことを言いながら「反対俥」へ。
テンポもいいし声もいいし楽しい。んだけど、なんとなく少し乗り切れてない感じ?
って余計なお世話か。ぷぷぷ。
とにかく早い俥屋の威勢のよさ、そして高座の上で軽々と飛び跳ねるところ、かっこよかった~。


百栄師匠&こはるさん トークコーナー
主催者の方が仕事の都合で来られなかったのもあって気を使った?百栄師匠。
こはるさんに仕切らせるのは気の毒だからと、「今日は私が立川流のことを聞きたい」と。
今でも立川流として全員が揃うことはあるのか、そういう時だれが連絡してくるのか、だれがそういう会を仕切るのか、から始まって、Cコースは今もあるのか?とかそんな話。
面白かったー。

百栄師匠「猫の皿」
猫好きの百栄師匠が猫好きじゃない男の噺、っていうのが面白い。
茶屋の主人が「そんな汚い猫を」と言いながら、値段を3両までつり上げていくのがおかしい。
茶屋のおやじにしてやられたなーな感じがする「猫の皿」だった。


百栄師匠「ホームランの約束」
この噺、前に聞いた時はダークさに目が行ってしまってそれほど楽しめなかったんだけど、今回はなんかずっと楽しかった。
本音をボロボロいう野球選手と、最初はいかにも無邪気な感じに受け答えしていた子どもの立場が逆転していく面白さ。

4席も聞けて幸せ~。楽しかった。

 

れふかだ落語会 鯉橋・小助六二人会

2/14(水)、新宿LEFKADAで行われた「れふかだ落語会 鯉橋・小助六二人会」に行ってきた。

 

・小助六「春雨宿」
・鯉橋「時そば
~仲入り~
・鯉橋「蔵前駕籠」
・小助六井戸の茶碗


助六師匠「春雨宿」
大師匠の助六師匠はシャレのきいてる師匠で…少しシャレがきつすぎるところもあったみたいです。
楽屋にはそんな大師匠の伝説が残ってます。
そう言って語られた伝説がもう…楽しい!
きっと噺家さんもそういう師匠伝説が大好きで繰り返し繰り返し楽屋で語られているんだろうと思うけど、素人の私でもそういう話はほんとに楽しい~。
道徳的に見たら「あちゃー」な内容でも、それをみんなが受け入れて面白がるっていう、そういうの、いいなぁ。

一門には大事にしている噺というのがあって…というまくらから「春雨宿」。
うわーーー、小助六師匠が「春雨宿」って!
以前、音助さんとの会で音助さんが「春雨宿」をかけたんだけど、その時小助六師匠が「お前…よくこの噺かけようと思ったね」みたいなことを言っていて、確かにこれ…小助六師匠がやるイメージがわかないわーと思っていたのだった。
それをあえて…!うひゃーーー(嬉)。

助六師匠から「ケメ子」「ケメ?どんな字を書くの?」「ケメの名はのケメ子だよ」なんてセリフがでてくるのがもうおかしくておかしくて。
突拍子もない歌を振りきれたテンション(でもどこか恥ずかしそうでもある)で歌う師匠が楽しすぎる!
何度も「ぶわはっ!」と吹き出して、あーーー幸せ。
楽しかった~!最高。


鯉橋師匠「時そば
弟弟子が多いので最近は師匠と仕事で旅に行く機会はめったにないですが、この間久しぶりに行きました、と鯉橋師匠。
師匠と電車で隣り合わせに座ったりすると、昔の話を聞けてとても楽しい。
そういって鯉橋師匠も大師匠の話。
これがまためちゃくちゃおかしいーーー。歯が丈夫な鯉昇師匠と髪の毛が豊富な(笑)先代の柳好師匠(だったかな)の楽屋での会話…。笑った笑った。

一門で大事にしている噺…春風亭だったらやっぱり「時そば」ですかねぇ。私も師匠に教わりましたが…うちの師匠はみなさんもご存知の通り、噺をどんどんアレンジしていくので、今では全くの「別物」になりましたが。
そう言って「時そば」。

なんかテンション高めの弾けるような「時そば」で、鯉橋師匠のイメージがガラガラと…(笑)。
二番目のそば屋さんがお客に「塀を背にお食べなさい」とアドバイスし、汁を飲んだ客があまりのまずさにくらくらっとなって後ろの塀に寄り掛かるしぐさをするところは、間違いなく鯉昇師匠だ!
あと、勘定を払う時に客が「二杯といきたいところだけど、わきでまずいの食べちゃった」と言ったら、そば屋が「え?うちよりまずい店があるんですか?」。
…ぶわははは!自分のところのそばがまずいのを自覚してる?!

弾ける鯉橋師匠、おもしろかった。


鯉橋師匠「蔵前駕籠」
テンポが良くてメリハリがあって最初から最後までとっても楽しい。
駕籠に乗る江戸っ子が、覚悟を決めてふんどし一丁になるところがおかしいんだけど勢いがあってちょっとかっこいいんだなー。
よかったー。

助六師匠「井戸の茶碗
先ほどの「春雨宿」は師匠に稽古をつけてもらったんですけど…あれを目の前で見て笑っちゃいけないっていうのが結構きつかったです、と小助六師匠。
そして稽古をつけてもらいながら、「今度はこれを師匠の前でやらないといけないのか…それもきっついなぁ」と思っていると、師匠が「もういいだろ。お前、覚えてるだろ」と。
多分師匠もこれを私が自分の前でやるところを見たくなかったんでしょう。

…ぶわははは。小助六師匠と師匠との関係がなんか面白い~。もちろん師匠は「絶対」なんだろうけど、でもちょっとシニカルな感じがにじみ出ているところが面白いな、と思う。

そんなまくらから「井戸の茶碗」。おおお、小助六師匠が「井戸茶」とな!
この噺を人情でござい!と暑苦しくやる噺家さんもいるけど、小助六師匠のは軽めで私はそっちのほうが好き。
千代田氏が若干若い感じがするのは、小助六師匠が若いからかな。
本当に貧乏で苦しいからこそお金を受け取らない、という苦さは少な目だったようにも感じた。

好きな師匠を二席ずつたっぷり見られるこの会。
初めて行ったけどよかった~。

 

 

 

書店主フィクリーのものがたり

 

書店主フィクリーのものがたり (ハヤカワepi文庫)

書店主フィクリーのものがたり (ハヤカワepi文庫)

 

 島に一軒だけある小さな書店。偏屈な店主フィクリーは妻を亡くして以来、ずっとひとりで店を営んでいた。ある夜、所蔵していた稀覯本が盗まれてしまい、フィクリーは打ちひしがれる。傷心の日々を過ごすなか、彼は書店にちいさな子どもが捨てられているのを発見する。自分もこの子もひとりぼっち―フィクリーはその子を、ひとりで育てる決意をする。本屋大賞に輝いた、本を愛するすべての人に贈る物語。

 ★★

書店を舞台にして、各章に印象的な本(好みの作品が多い!)とそれに対する主人公のコメント(娘へのメッセージ)が載せられるという構成は本好きにはたまらない。…んだけど、なんかとても安っぽくて(すまない!)何も残らなかったというのが正直なところ。

すべて都合よく進んでめでたしめでたし、ではなく、苦い部分もあるんだけど、それでもなんか「安い」感じが拭いきれない。本屋大賞…。なるほど。うーん。

柳家小はぜ勉強会 ~勉強会ですが負けませんっ!~

2/10(土)、和光大学ポプリホール鶴川で行われた柳家小はぜ勉強会 ~勉強会ですが負けませんっ!~」に行ってきた。


・小はぜ「狸」
・小はぜ「やかん泥」
~仲入り~
・小はぜ「高砂や」


小はぜさん「狸」
冬季オリンピックの思い出。一番覚えているのは長野オリンピック。あの時私は中学生でした、の言葉にひぃーーー。若いわー(笑)。私なんか…むごごご…。
背の低い子をみんなで高く持ち上げてスキージャンプごっことか、磨き上げた廊下にやかんを滑らせてボブスレーごっことか…か、かわいいな、おい。
長めのまくらから、「キツネは七化け狸は八化け」…。あ、これは「狸鯉」だなと思っていると、なんと「狸札」。
おお、小はぜさんで「狸札」は初めてだー。と喜んでいると、サゲのあとに「もう一つ頼まれてくれねぇか」と兄貴のところに赤ん坊が生まれたお祝いをしたい、と「狸鯉」。
終わってから小はぜさんが、「狸札」と「狸鯉」を通しでやって「狸」というタイトルになる、と。なかなか寄席で通しでかかることはなかったのでいつかやってみたいと思っていた、と小はぜさん。
狸が化けた鯉を早速調理しようと兄貴が言うと「え?かわいそうじゃねぇか」「世話になってるんだよ」に笑う。確かに借金も返してくれたんだもんね。

「狸鯉」前にやっていた時より、狸に対して情がわいている描写が増えていて、楽しかった。


小はぜさん「やかん泥」
天真爛漫な新米泥棒。
ぱーぱーうるさいけど、暴力を絶対許さない姿勢には感銘(笑)。
ぽかっとやった兄貴を本気で怒っていたのに、釜を渡されてけろっと機嫌が直るのがいつ見てもかわいい。


小はぜさん「高砂や」
寄席でも流行りすたりがあるようで、最近になってこの噺を何回か見るようになったんだけどあんまり笑いが起きなくて案外難しい噺だなーという印象。
小はぜさんの「高砂や」はちゃんと面白くてさすが。繰り返しの加減とか間とか、私には難しいことはわからないけど、小はぜさんこの噺が好きなんだろうな、という感じがした。
うたいの調子も、浪花節もよかった!
皆勤賞で見に行っていたこの会、次回は用事があって行けず。残念!

第2回 小里ん 小燕枝 龍志 三人の会

2/9(金)、東洋館で行われた「第2回 小里ん 小燕枝 龍志 三人の会」に行ってきた。

・小多け「道具屋」
・小里ん「三人兄弟」
・龍志「小言幸兵衛」
~仲入り~
・小燕枝「二番煎じ」


小多けさん「道具屋」
儲かった銭で天ぷら食べてもいいなとつぶやきながら天ぷら屋を見ていた与太郎さんが「天ぷらやーーー」と大声を出したのが妙におかしかった。


小里ん師匠「三人兄弟」
楽しい!
道楽者の三兄弟が二階で軟禁状態になっている。
どうにか親父の目を盗んで遊びに行こうと長男が出かけようとするところを見咎められて仕方なく「庭にある奉公人用の手水に行くところ」とごまかす。
用を足していると知り合いの善公が通りかかったので声をかけて、夜中に二階に梯子をかけさせることを約束。
夜になってこっそり出ようとするのを次男が見つけ、自分もそそくさと下に降りる。
兄貴二人が出て行ったこともしらない三男は自分の遊びを一人で語る。

こういう一人で妄想を語る噺、好き。
三男の語る吉原の遊びの噺は意外に淡白というか、のろけてはいるんだけどさっぱりしていて(え?そんなんで「たまんねぇ」なの?)それも面白い。
小里ん師匠、この噺はあまり普段されてないのかな感があったけど、楽しかった!


龍志師匠「小言幸兵衛」
前座のころの思い出。
あの圓生師匠のめくりをめくり忘れて「サンキュー照代」のままにしてしまったことがある。
客席がざわついてそれに気づいた圓生師匠が「あたくしがサンキュー照代です」と言って大盛り上がりだったんだけど、戻ってきて前座全員集められて「この無礼者!」と怒られた。
面と向かって「無礼者」と言われたのは後にも先にもあれっきり…。

あとやはり前座の頃に先代のさん助師匠が高座に上がっていて、さん助師匠は落語のサゲを言った後に「…というお噺でした」と言うのが決まり文句だったんだけど、楽屋にもどってきたらそこにいた先代の小さん師匠が「てめぇ…サゲを言った後にとやかく言うもんじゃねぇんだ」と小言。
60過ぎても立派な真打になっていてもまだ小言を言われるんだな、と思った、と。

そんなまくらから「小言幸兵衛」。
いやこれがもう最初から最後までほんとに面白くて笑い通し。
この噺好きじゃないんだけど、こんなに楽しいってなに?!
幸兵衛さんが楽しんで小言を言っているのが伝わってくるし、なんといってもおばあさん!こんな小言好きな亭主を持ちながら、小言を言われてふくれっつらをしてブツブツ文句を言ったり、「布団をだせ」と言われてお布団を出してきたり、それを「俺とこの人が二人で寝るわけじゃねぇんだ。…飲んでないときはやらねぇんだ」って…もう最高。

口調がよくてテンポがよくて顔がいいから(!)全然意地悪な感じがなくてほんとに楽しかった~。かっこよかった~。


小燕枝師匠「二番煎じ」
この噺、好き~。
大旦那が集まっての火の用心の見回り。
寒いからと鳴り物を着物の中にしまっちゃってたり、奉公人は今頃あったかい布団にくるまってるというのにと愚痴を言ったり…。
吉原にいたころののろけを番小屋についてもまだしているのがおかしくて大笑い。

帰ってきてからの酒盛りも、お酒おいしそう~しし鍋おいしそう~。
見回りに来た役人の酒を飲むペースのはやいこと。たしかにあれじゃ全部飲まれちゃう。

この3人で面白くないわけがないと思ったけど、ほんとに全部面白くて大満足。よかった!

 

ゴースト

 

ゴースト

ゴースト

 

 ★★★★

目をこらすと今も見える鬱蒼とした原宿の館に出没する女の子、二〇世紀を生き抜いたミシン、おじいちゃんの繰り返す謎の言葉、廃墟と化した台湾人留学生寮。温かいユーモアに包まれ、思わず涙があふれる7つの幽霊連作集。 

ゴースト譚を集めた短編集。こういうことってあるかもなぁと感じる作品が多かったけど、これはいったいどういう状況?と最初から最後まで「?」な作品も。

結局自分に見えていることなんてごく一部なのだろう。見えてないけど存在する世界があって…それは自分も死んでからじゃないとわからない。いやもしかすると私なんかは死んでもよくわからないのかも。

死んだおじいちゃんのリョウユウのことを思っていたら幼稚園児が軍歌を歌いながら通り過ぎて行ったり若者が軍服を着てスピーチをしている光景がとてもリアルでぞっとする。ある意味幽霊よりこっちのほうが怖い。
 

肺都(アイアマンガー三部作3)

 

肺都(アイアマンガー三部作3) (アイアマンガー三部作 3)

肺都(アイアマンガー三部作3) (アイアマンガー三部作 3)

 

 ★★★★★

穢れの町は炎に包まれ、堆塵館は崩壊した。生き延びたアイアマンガー一族は館の地下から汽車に乗り、命からがらロンドンに逃れる。だが、そのロンドンは闇に侵食され、人々のあいだには奇怪な感染症が蔓延していた。この町にいったいなにが起きているのか?そしてアイアマンガー一族のおそるべき野望とは?一族に反発するクロッド、瓦礫のなかから脱出したルーシー…。物語はいかなる想像をも凌駕する驚天動地の結末を迎える。アイアマンガー三部作堂々完結。 

怒涛の展開にページをめくる手が止められず。と言いながら前作のラストを忘れていて一時中断し「穢れの町」に戻ったりしながら、ケアリーの作り出すフィクションの世界を堪能した。

自分たちの一族を守るために町の人々を踏みつけにするアイアマンガーの人たちに怒りを覚えた前半。
でも彼らの「病」を恐れて町ごと焼きはらおうとする政府のやり方に、自分の暮らしを守るために異物を排除しようとすることに変わりはないのだなぁと感じた。
アイアマンガーは排除されてきた一族だったからこそ、ああいう風にして自分たちの一族を守ろうとしていたんだろうなぁ…。

エンタメ性が高く物語の吸引力も高いこの作品。ケアリーがこんな作品を書くのか!という驚きがあった。
でも私はやっぱりもう少し偏屈度の高い作品がなつかしい。
新作がまた日本でも出版されますように!

ひとりはん治 第六夜

2/6(火)、道楽亭で行われた「ひとりはん治 第六夜」に行ってきた。

・小はだ「道灌」
・はん治「転失気」
~仲入り~
・はん治「百川」

小はださん「道灌」
余計なものは何も入れてない「道灌」なのにちゃんと面白い。そういうところは兄弟子の小はぜさんと一緒。
でも何かこの方は天然というか不思議ちゃんな空気も感じるなー。
楽しみな前座さんだな。


はん治師匠「転失気」
なじみのお客さんに「はん治さん、寄席でやってるのと違うネタも聞かせてよ」と言われたことや、小三治師匠からも「お前はもっと古典をちゃんとやれ。今年は馬の田楽と芝浜をやれ」と言われた、と。
師匠命令ですから今年はこの二席は覚えてやりますよ、と言うと、お客さんみんなが拍手。
「あーいやいや…今日はやりませんよ」。
この間の会でもおっしゃっていた白内障の手術を受けてその後飲みすぎて脱水症状を起こした話をされて「ですから今日は…」と言った後に「なんか言い訳がましいですね」。
…ぶわはははは。かわいい~。

そんなまくらから「転失気」。
いやぁこれがもうめちゃくちゃ面白くて。やっぱり間が絶妙にいいんだなぁ。だからゆっくり笑える。こんなに聞き飽きてる噺をこんなにひっくり返るほど笑えるってすごい。
会の後の打ち上げの時に、この噺を師匠から習ったという小はださんがなんか打ちひしがれていたのも面白かった。すごいね、師匠って。


はん治師匠「百川」
のんびりしていて悪気のない百兵衛さんがはん治師匠にぴったり。
なまってて何言ってるかわからないのは江戸っ子も百兵衛さんも一緒。
サゲまで聞いて、きっと百兵衛さん、百川で江戸っ子たちにかわいがられるようになるよ、と思ったのだった。

ろびぃ寄席

2/6(火)、シアターXで行われた「ろびぃ寄席」に行って来た。
こちらのろびぃ寄席、以前一度だけ来たことがあり、その時は南なん師匠と味千代さんが出演して、南なん師匠が落語を二席と味千代さんの太神楽という構成だったんだけど、今回は「寄席」とはいうものの南なん師匠が落語をやったあとに阿部壽美子さんが山月記』を語るという構成で、どちらかというと語りの方がメインという感じ。
南なん師匠の落語たっぷり!を期待して有休を取って行った身としてはちょっぴり残念…でも『山月記』の語りが素晴らしかったのでそれはそれで満足、という会だった。
 
・南なん「猫の災難」
・阿部壽美子 語り『山月記』(作・中島敦)
・アフターミーティング(阿部壽美子)
 
南なん師匠「猫の災難」
ニコニコ登場した南なん師匠。
この会、普段は劇場のロビーで行われているらしいのだが今回は申し込み人数が多かったので急きょロビーではなく劇場での開催に。
といっても実は前回来た時も劇場だったので、私はまだロビーで落語を見たことはないのだった。
話を始めて、あれ?なんか鼻声で声も少しかすれていて…風邪?
 
南なん師匠のくまさん…かわいい…。
猫のおあまりの鯛に兄貴分が大喜びして酒を買いに行くと「あんなに喜ばれたら言えなくなっちゃうよなぁ…」。
うん、そうだねそうだね、と思わずうなづいてしまう。
 
そしてひとりで飲むお酒のおいしそうなこと。
だんだんご機嫌になってだんだん気が大きくなっていくのが自然なので、あれ?この人いつこんなに酔っぱらっちゃった?っていうのがすごくおかしい。
お酒をこぼすところも、明らかに酒の瓶から目を離してニコニコしていて、おいおいあぶないよ!!と声をかけたくなる。
「あれ?こんなに減っちゃった。どうしようどうしよう」って瓶を振って「あ、増えた!…なんだ、泡だ」。
うんうん、振るよね。とりあえず。でもだめだよね、むしろ。
 
南なん師匠の具合が悪そうで徐々に声が小さくなっていったのが少し心配だったけど、チャーミングな「猫の災難」だった。
やっぱりいいな、南なん師匠の落語は。
 
阿部壽美子さん 語り『山月記』(作・中島敦)
山月記」、私は読んだことがなかったのだが、詩人になることを夢見ていた男(かなり優秀でプライドも高い)が気が狂い最後には虎になってしまうという変身譚。
朗読ではなく「語り」ということだったが、確かに「読む」ではなく、限りなく一人芝居に近い。
淡々と語る部分と非常にエモーショナルになる部分があり、その緩急にどんどん引き込まれていく。
語りだけでこんなふうに世界を作り上げ見ている人たちを自分の世界に引き込むって凄いなぁ…。

またこの物語が身につまされる…。
自分のプライドや羞恥心、自尊心を自分の中で育てすぎてしまったために虎になってしまったと語る主人公の悲しみは、決して他人事ではなく自分自身もすでになにかに変身しかけているかもしれない…と足元がぞわぞわする感覚。
 アフタートークで阿部さんが若い時に読んだのと今とでは全く印象が違う、とおっしゃっていたけど、確かに年とともに解釈がかわりそうな作品。これが文学の力、なんだろうな。

とにもかくにもすごかったー。迫力があったー。
こういうのに比べられちゃうと落語は弱い芸なのかなぁ。って比べること自体がおかしいのだが。
でも演劇が迫力なら落語は脱力。何度も聞くなら私はやっぱり落語だな。
 
アフタートークの時に手を挙げたお客さんがみな自分語りなのにもびっくり。
え?えええ?それより阿部さんに質問して話を聞きたくない?
と思うも、こういうのも演劇に特有なものなのかもしれないな。
 

 

第29回・TWO 夏丸・萬橘二人会

2/5(月)らくごカフェで行われた「第29回・TWO 夏丸・萬橘二人会」に行ってきた。


・萬橘「日和違い」
・夏丸「小言幸兵衛」
~仲入り~
・夏丸「洗濯物」
・萬橘「お見立て」

萬橘師匠「日和違い」
前座さんも入ってきてるから尊敬されたいけど全然尊敬されない、というまくら。
萬橘師匠って、なんかちょっと人と感覚が違っているところがあるんだけど、でもしごく真っ当で、そこがなんともいえずおかしい。
長めのまくらから「日和違い」。珍しい噺。

雨が降るかどうか教えてくれと言いに来る男のめんどくささと素直さが萬橘師匠に重なって見える。
雨が降ってきて米屋の軒先で雨宿りしていてでもとてもやみそうにないからと傘を貸してくれと頼むのだが「あなたのことを知らないので返してくれるかわからないから貸せない」と言われると「ま、そりゃそうだな。おれも返さないつもりだったしな」って、ひねくれてるんだけど素直。
なんてことない噺だけど、楽しかった。


夏丸さん「小言幸兵衛」
春に真打ち昇進が決まっている夏丸さん。ほんとに忙しそうだ。
協会が作ってくれたポスター、いろんな人から「夫婦みたい」と言われるらしい。
確かに男女二人着物姿で寄り添うようなかたちで「披露」の文字が見えると、誰でも披露宴?と思うのかもしれない。
でもみなさんよく考えて下さい。誰が自分の結婚披露宴のポスターを作ってあちこちに貼るんですすか。
…ぶわはははは。確かに。

いやでも芸協の場合、披露興行は毎日出るわけで、しかも今回二人。ほんとに大変そう~。
お披露目のチケット、新宿、池袋、浅草と共通で使えるということで、便利!
とりあえず4枚買ったけど、会社の人誘ってまずは末廣亭、だな!

今日は宣伝できればもういいんです、などと言いながら「小言幸兵衛」。
おおっ、すでに真打披露目を意識したかのような演目。

夏丸さんって不思議な噺家さんで、若いのに妙な落ち着きがあってちょっとふてぶてしい感じもあるんだけど、でもこうそこはかとなく繊細な感じも漂ってる。
「小言幸兵衛」って若い噺家さんがやるとちょっと背伸びしている感がしちゃうんだけど、夏丸さんはそういう感じが全然ない。

笑っちゃったのが、仕立て屋の若旦那の名前が「桂南なん」。それを聞いた幸兵衛さんが「桂南なん?なんなんだその名前?」。
…ぶわははは。最高。


夏丸さん「洗濯物」
おお、芸協噺。こういう昭和風味の落語、ほんとに夏丸さんに似合ってる。
帰ってきた旦那に「あなた聞いて、大変なの。大変よ」と言う奥さん。それを旦那が「お前はすぐに大変だ大変だと言う」とぶつくさ言うと「もう。言う気がしなくなったわ」と奥さんが拗ねるんだけど、そのむっとしかたがすごくリアルでドキっとする。
軽くてばかばかしくて楽しかったー。


萬橘師匠「お見立て」
若い衆が花魁から「融通がきかないんだから」「変にまじめなんだから」と言われるのが面白い。それがスパイスのように効いていて、ああ、たしかにこの若い衆は嘘が苦手なんだな、だからどんどんおかしなことになってしまうんだな、という流れになっている。
もくべえが喜瀬川を好きな理由が「自分にどことなく似てるから」というのがおかしくて、「それは花魁には口が裂けても言えない」とつぶやく若い衆が面白い。

笑った笑った。

池袋演芸場2月上席昼の部 夜の部

2/3(土)、池袋演芸場に行ってきた。
小三治師匠のトリじゃないから大丈夫だろうと11時前ぐらいに行くと、大行列。
ひぃーー。なんだこれは。もういやだなぁ寄席ブーム。なんて思っていたらこの日は節分で豆まきがあるのだった。
うひー。毎年節分の日に気づかず寄席に行って激しい豆の奪い合いに心が折れて「もう節分の日には来ない」と誓うのだが、また今年も気づかず来てしまった(あほ)。


昼の部
・一花「転失気」
・一左「子ほめ」
・さん生「松山鏡」
・夢葉 マジック
・蔵之助「まんじゅうこわい
・文雀「写真の仇討」
ロケット団 漫才
・燕路「やかんなめ」
・三語楼「ふぐ鍋」
・小猫 ものまね
・さん喬「真田小僧
・豆まき
~仲入り~
・柳朝「お菊の皿
・権太楼「町内の若い衆」
・正楽 紙切り
・一朝「明烏

夢葉先生 マジック
通っている芝居の時に夢葉先生が顔付けされていると最初から最後まで流れるように全く同じ展開なのでむしろ気持ちがいいくらいに感じるのだが、久しぶりに見ると内容が変わっていて、それにも「おお」と思う。
好き嫌いがあるだろうけど、私は好き、この先生。楽しい。胡散臭さとうまさのバランスが絶妙で。


蔵之助師匠「まんじゅうこわい
なんとなく遊雀師匠に似ている印象。
ギャグも盛りだくさんでくだらなくて楽しい「まんじゅうこわい」。好き。


燕路師匠「やかんなめ」
おそらく初めて聞くお客さんが多く、お侍が女中に「やかん頭をなめさせてくれ」と言って激怒すると、しーん…と次の展開をドキドキ待つ感じに。そこでちらっと後ろを見て「べくない、笑うな」と言うので、みんなほっとしてどっと笑いが。
うわーー、こういうのいいなー。
私はもうこんな風には驚けないのがちょっとさみしい。


小猫先生 ものまね
トークが上手でぎゅっと客席を惹きつけるのがほんとに見事だといつも思う。
すばらしいなぁ。


さん喬師匠「真田小僧
さん喬師匠が「真田小僧」って珍しい気が。
父親が息子に振り回される様子が、ちょっとした表情や間で伝わってきて、すごいなぁ。これが落語のうまさっていうやつなんだろうなぁ。


柳朝師匠「お菊の皿
ちょっと季節外れなのではと思わなくもなかったけど、たしかにこの日のお客さんにはぴったりの噺で盛り上がった~。


権太楼師匠「町内の若い衆」
「代書屋」じゃない!(嬉)
おかみさんのどーんとした迫力に笑った笑った。


一朝師匠「明烏
一朝師匠が何かの会で「明烏」を(ほぼ)ネタ卸しされたというのを聞いて、見たい~!と思っていたのだ。
紙切りの時に「明烏」をリクエストしたお客さんがいたんだけど、あれはそういうことだったのかな。
この噺、私は全然面白いと思えなくて、誰がやってもあんまり変わりがないなぁと、失礼なことを思っていたんだけど、一朝師匠の「明烏」楽しかった!

源兵衛と多助のおかしさは想像していた通りだったんだけど、若旦那がほんとに堅くて大きな声を出して怒るのがなんかすごくばかばかしくておかしくて。
それだけに花魁と一夜をともにしてすっかりおとなしくなっちゃってるのがおかしくて、源兵衛と多助が怒る気持ちもわかるわー。

陽気で楽しい「明烏」だった。

 

夜の部
・寿伴「雑俳」
・志ん吉「大隈家に生まれて」
・志ん丸「古着買い」
ホンキートンク 漫才
・小せん「野ざらし
・左橋「親子酒」
・アサダ二世 マジック
・志ん橋「出来心」
・雲助「身投げ屋」
・豆まき
志ん五「トイレの死神」
・小袁治「紀州
・小菊 俗曲
・志ん陽「粗忽の釘」&かっぽれ

 
寿伴さん「雑俳」
ご隠居と八つぁんの会話から始まったので「道灌」かなと聞いていたら、ご隠居に娘がいると聞いて八つぁんが「え?娘?」と食いつき、その娘が46歳と聞いて「40過ぎたら娘じゃなくばばあ」に、お?こここれはもしや、さん助師匠の「雑俳」なのでは?!
八つぁんが聞いてご隠居が答えるをやって3回目に「これは前座は2回までと決まっている。3回やると間違えるおそれがある」でどっとウケて、おおお!

最後はあの顔を真っ赤にして「ねこのこのーーーーー」。
寿伴さん…。そういう芸風?を目指してる…わけじゃないだろうけど、すごくウケていたので病み付きになっちゃうかも?
いやぁ驚いた。笑った。


志ん吉さん「大隈家に生まれて」
「なんですかね、寿伴さんは。あのこなれ感…。私より年下のはずなんですが」。
ぶわはははは。いじられる寿伴さんを初めて見た。これもさん助雑俳効果か?

しかも志ん吉さんが話し始めたのが新作?えええ?志ん吉さんって新作もやるの?大隅家の子孫である男が早稲田じゃなく慶応を受けたいと言い出して母親が説得する、という噺で、びっくりして聞いていると電車に関するマニアックなセリフがあって「この部分で誰から教わったかがわかるでしょ」と言うのでまた大笑い。駒次さんの新作を志ん吉さんが?
いやぁイメージがガラッと変わった。面白い。

小せん師匠「野ざらし
この噺でお客さんがすーーっと引くのを何回か目撃していて、私はこの噺大好きなんだけど難しい噺なんだなぁと実感。
小せん師匠はさすがお客さんを引かせることなくすごく楽しそうにされていて、さすがだなぁ、と。歌声が伸びやかで素晴らしいのは強味だなぁ。


志ん橋師匠「出来心」
新米泥棒と兄貴分の会話。もう聞き飽きた台詞なのにすごくわくわくして笑ってしまう。とぼけた表情と絶妙の間。
好きだなぁ志ん橋師匠。楽しかった。


志ん五師匠「トイレの死神」
いやなにこればかばかしい(笑)。尿意との戦いの最中に現れるトイレの死神。
笑った。


小袁治師匠「紀州
この間末廣亭で見た時と同じように、談志師匠との思い出の長いまくらからの「紀州」。
あの時はなんか少し刺々しい感じのエピソードで楽しくなかったんだけど、すごく面白かった。エピソードの内容や語り口で印象ががらっと変わるんだな。


小菊先生 俗曲
初めて聴く曲だったんだけど節分にちなんだ曲だったらしく「今日やらないでいつやるんだ」とおっしゃっていた。
それ以外にもちょっと珍しい曲もあって、なんかすごいお得感。素敵だった。


志ん陽師匠「粗忽の釘」&かっぽれ
粗忽な男のすとーんと抜けた明るさに笑い通し。
女房の男らしいキレ方にも大笑い。
最後はかっぽれのサービス。すごい動きがきびきびしていてかっこよかった。


昼の部、夜の部ともに仲入りの前に豆まき。
昼の部ではわりと後ろの方にまで投げてくれて、私は早々に諦めていたんだけど、机の上にぽろっと袋が落ちてきて1つゲット。豆だけかと思ったら袋の中に「手拭い」と書いた紙が入ってて、受付に言ったら一琴師匠の手拭いをいただいてしまった。
夜の部は強肩の噺家さんがいなかったらしく私のいる席より後方には全く届かなかった。
夜の部では前の方にいたお客さんが舞台の下にどーっと押し寄せて手を出して幾つももらったり、ものすごい身体と腕を伸ばして誰かが取れそうになった袋を強奪するおじさんもいて、そ、そんなにまでして?そして一人でそんなにいくつもとって、一つもとれなかった人に分けてあげようとは思わないのかな、となんか悲しい気持に。

もらうもんもらって仲入りで帰ったお客さんも何名か。
まぁこれはこれで寄席の楽しみ方なのかもしれないけど、ちょっともやもや。

昼の部は立ち見の方も大勢いらしたんだけど、一朝師匠の時に貧血で倒れた女性がいて騒然。
またトイレなのか出入りする人もいてそのたびに通路に座っているお客さんが立ったり座ったりしないといけなくて最後の方は「もう無理!」って通ろうとするおばさんに言い放つ人も…。
寄席は命がけで来るものじゃないよね…。もう少し入場制限すればいいのになぁ。

ま、なんのかんの言って私も昼夜通しでいて大いに楽しんだんだけど、でも座れた人(自分含め)と立ち見の人のしんどさは全く違うし、ちょっともやっとくる節分の日の寄席だったなー。

1/31(水)さん助ドッポ

・さん助 初代談州楼燕枝の述「西海屋騒動」第十五回「雪駄と駒下駄」
~仲入り~
・さん助「藪入り」
さん助師匠 初代談州楼燕枝の述「西海屋騒動」第十五回「雪駄と駒下駄」

いつものように立ち話。
エアコンをつけっぱなしにして寝たら、おでこから上のエリア(笑)がカピカピになって皮がめくれたというのには笑った。やっぱり髪の毛っていろいろ保護してくれてるんだな、と。ぶわははは。
…だけど、さん助師匠、なんか目が赤くて顔が腫れぼったくて全体的に元気がないなぁ。

昔巨人に斎藤っていうピッチャーがいたんだけどこの人がいい時と悪い時の差が激しくて、それが出てきたときの顔を見れば一発でわかる。
目が腫れぼったくてむくんでる時はボコボコに打たれる。
目がぴかっと開いているときは打たれない。
今日のさん助師匠は打たれる時の斎藤の顔だなぁ…。
って失礼だな、おい。

好きで追いかけて見すぎているとつい余計なことを考えるようになっちゃうんだよね、客の方も。
この間twitterで流れて来たリツィートに「ファンも過ぎると批評家になりがち」というのがあって、ああそうだ、私もそうなっているかもしれない。ファンはファンなのだから「もっとこうすればいいのに」とか「今日は悪さん助(調子の悪いさん助師匠)だな」とか「この噺は合ってないのでは」とか「そこの部分いらなくね?」とか「なぜ私が行くと不動坊しかやらないのだ?何かの罰なのか?」とか考えずただ楽しめばいいのだよな…。素人なんだから。

「西海屋騒動」第十五回「雪駄と駒下駄」
お静と義松は割りない仲になり、隠れて逢瀬を重ねる。
別宅を構え、そこにお気に入りの女中おつねを連れて行き義松を呼び入れるお静だったが、これが噂になりついに清蔵の耳に入る。
清蔵がお静を問いただすと「世間がどんな噂をしているかしれないがそんなことは決してない」と否定。
清蔵はお静に「悪かった」と謝り「今晩は一緒に寄席にでも行かないか」と誘うが、お静は頭が痛いので今日はやめておきます、それならばおつねを連れて行ってやってくれと頼む。

おつねと家を出た清蔵は人気のない場所におつねを連れて行き「お静と義松はできているのだろう?」と尋ねる。
おつねが白状すると、(清蔵は)寄席に行く途中でお客と会い今夜帰らないとお静に言うように頼む。
おつねからそう聞いたお静は義松を家に呼びだすのだが、そこに清蔵が帰ってくる。
義松は慌てて部屋を飛び出し川へ飛び込む。
一方帰ってきた清蔵は「一人で寝ているはずなのになぜまくらが二つある?」とお静を責める。
お静は「これはあなたが帰ってきた時のために温めておいた」などと言ってごまかす。

それからしばらくたったある日、人目を忍んで歩く義松に洗濯屋のお竹ばあさんが声をかける。
この洗濯屋のお竹はお静と義松の逢瀬に場所を貸していた?らしく、二人の仲を知っている。
お静は結局全てをおつねのせいにして、おつねと義松ができていて二人が別宅で逢瀬をしていることを自分は知らなかった、と清蔵に説明。清蔵も一応はそれを受け入れたらしい。
だがこのことがあってから、お竹がそういう場所を与えたりするから店の風紀が乱れると出入り禁止になってしまった、と。
それを聞いた義松が「それはすまないことをした」と言ってお竹にいくらかお金をやると、お竹が「それより面白い話がある」と言う。

何かと聞けば、こういうことがあってから清蔵も質屋の後家のおしげと隠れて会うようになった。
なんでももともと二人はいい仲だったのだがそこにお静が現れておしげは棄てられた。しかしその後も彼女の方は復縁をのぞみ機会を伺っていた。
こういうことがあって焼け木杭に火が付いたのだ、と。
それを聞いた義松は「これはゆすりに使える」とほくそえむ。

義松がお竹と別れて歩いていると、清蔵とおしげとお付きの者が3人で歩いているところに出くわす。(イッツアスモールワールド!)
後をつけると、小料理屋に入る3人。人目を忍ぶように表からではなく裏から入るのについていき、二人の雪駄と駒下駄を1足ずつ懐に入れ、立ち去る。

後日、義松は西海屋の近所?の質屋を訪れる。
質屋の番頭は義松に「女中(おつね)といい仲になって店をしくじるとはお前もばかだね」と軽口をたたく。
しばらくは和やかに話していたが、義松が「これを二百両で買ってくれ」と雪駄と駒下駄を出すと、番頭は「こんなかたちんばには1文も出せない」と言う。
そう言われたとたん義松は「俺が何の理由もなくこんなものに二百両出せと言うと思うか」とすごむ。
これは清蔵とこの店のおしげができてることの証拠だ、黙っていてほしければ二百両出せ、と脅す。
それを聞いた番頭は自分の一存では決められないから待っていてくれ、と部屋を出ていく。

しばらく待っていても誰も来ないので義松が大きな声を出して中に入ろうとすると、そこへ現れた大男。
これが御用聞きの重右衛門。
力づくで義松をねじ伏せ、「これをくれてやるからとっとと帰れ」と義松の袖に十両をねじ込む。
質屋を追い出され、「いつか仕返しをしてやる」と誓う義松であった。


「西海屋騒動」は上下巻に分かれていて、上巻は義松とのことをお静に問いただした清蔵がおつねと二人で出かけていくところをお静が見送るシーンで終わるらしい。
最初、下巻があると知らなかったさん助師匠、こんな半端なところで終わるとは…なんて斬新な終わり方なんだ!と思ったらしい。

…ぶわはははは。そりゃあんまりすぎるよー。いくら話が破たんしているとはいえ。
いやしかし…悪いなぁ、どいつもこいつも。そして悪いなりに魅力があればまだしも…むごごごご…。
そして、清蔵が主役なのかと思ったらまた義松が活躍?し始めて。相変わらず視点が定まらない。
こんな噺に取り組んでいるからさん助師匠元気がなくなっちゃうんじゃないだろうか…。
って余計なお世話だな、これこそが。ガンバレー。


さん助師匠「藪入り」
おかみさんが子どもができたとくまさんに告げるところから。
子どもがほしくてしょうがなかったというくまさんは「早く出せ」と大喜び。
それから出産の時を迎え、大慌てでお産婆さんを呼びに行くくまさん。お産婆さんはかなり年のおばあさんで悠々としているのを早く早くと急かして連れてきて大騒ぎの後に男の子を出産。
この子が小学校を卒業すると奉公へ。
奉公へ行く日のやりとりなどがあったあと、「藪入り」の前日の夜。

…いつも聞く「藪入り」は前日の夜から始まるのでちょっとびっくり。
こういう前段があったのね。

待ちわびたかめちゃん(だったっけ?記憶がおぼろげ)が帰って来てあまりに大人びた挨拶をするので、変な敬語になっちゃうくまさんがかわいい。
そしてさん助師匠のかめちゃん、かわいい。つるっとしてて。
手紙をもらって本当に喜んでいるけど、実はくまさんは字が読めないって…初めて知ったよ。
あとくまさんが我慢できずに奉公先をこっそり覗きに行ったっていうのも。

おかみさんががま口からお金を見つけて頭にかーっと血が上ったくまさん。
くまさんにポカリとやられて、それまで大人びた口調でしゃべっていたかめちゃんが子どもっぽくなるのが泣ける…。

それでもやっぱりなんかさん助師匠に元気がないのが気になる…。
早く内側からピカーっと明るいさん助師匠の落語が聴きたいな。外側は十分ピカーっとしてるんだからさ(←余計なひと言)。

らくごカフェ火曜会OB会 小せん・志ん陽二人会

1/30(火)らくごカフェ火曜会OB会 小せん・志ん陽二人会


・志ん陽「天狗裁き
・小せん「弥次郎」
~仲入り~
・小せん「お血脈
・志ん陽「ふぐ鍋」


志ん陽師匠「天狗裁き
天狗裁き」といえばさん喬師匠のイメージが強くて、寄席でさん喬師匠が「天狗裁き」をかけると、「ああ、またか」と思うけれど、聞けば必ず笑ってしまう。
そしてさん喬師匠のイメージが強すぎてそれと違うと「あれ?」と思ってしまう。
難しい噺なんだなぁ…。繰り返しが多いからそこをどうやるか(はしょると繰り返しの面白さがなくなるし、かといってきちんとやると飽きる)にかかっているような気がする。
志ん陽師匠はさすがに加減が絶妙~。やっぱりセンスがいいんだなぁ。
それでも正直スカッと面白い!とまではいかなかったかなー。


小せん師匠「弥次郎」
「弥次郎」通しで聞けることはめったにないのでうれしい。
小せん師匠、とっても楽しそうにこの噺をされるなぁ…。
寄席でしか見たことがなかったけど、なんかいいなー。


小せん師匠「お血脈
落語家の何が難しいって高座の上で噺を決めること。これがかなり難しい。
お客さんに合わせなきゃいけないんだけど、その見極めがとにかく大変。
今日もこうやってまくらを振りながら今日のお客さんにはどんな噺をしたら喜んでいただけるんだろうと悩んでいるわけなんですが。

そんなまくらから「お血脈」。
いやもうこれが楽しくて楽しくて。小せん師匠の印象がガラッと変わった。

お釈迦様の誕生の話はいろんな噺家さんで聞いているけど、そのお釈迦様が学校を出たものの就職先が決まらず、そこに友だちの阿弥陀様に出くわして「しゃかちゃん」「あみちゃん」が「就職決まった?」「書類で落ちちゃって」みたいな話をして、「じゃおれらで宗教ひろめちゃう?」ってなるっていう会話の軽さとバカバカしさ。
すごく軽いんだけど、全然下品じゃなくてすごく楽しい。

閻魔様が軽くて実務的なのに、石川五右衛門がやたらと気取るのもおかしくて、最初から最後まで笑い通し。
楽しかった~。
「今日のお客さんにはこれ」がバッチリ当たったんだなー。すごい。


志ん陽師匠「ふぐ鍋」
これがまたすごく楽しかった。
ふぐに先に口をつけたくない二人のやり取りがべらぼうにおかしくて、目をつむって食べる…と見せかけての表情が別人みたいで大笑い。
そしてなによりも食べる様子がほんとにおいしそう~そして温かそう~。

火曜会でのこの組み合わせは2年ぶりとのことだったけど、行けてよかった。楽しかった。

末廣亭1月下席夜の部

1/29(月)、末廣亭1月下席夜の部に行ってきた。

・談幸「高砂や」
Wモアモア 漫才
・陽子「桂昌院
・遊吉「粗忽の釘
~仲入り~
・夢丸「祇園会」
・ポロン マジック
・小助六「鼻ねじ(隣の桜)」
・伸治「時そば
・正二郎 太神楽
・小文治「愛宕山


談幸師匠「高砂や」
軽口たたくハチ公と楽しそうな談幸師匠が重なって見える。
いいなぁ、寄席の談幸師匠。都々逸風、浪曲風の謡も楽しかった~。


助六師匠「鼻ねじ(隣の桜)」
わーい、また珍しい噺!(嬉)
しかも三味線が入るの楽しい~。
同じ芝居に何日も通うとなにかこう…ストーカーみたいで気持ち悪いのでは…と気が引けるんだけど、小助六師匠は毎日違う噺をしてくれてうれしいなぁ。


伸治師匠「時そば
おなじみの噺も伸治師匠だとなんともいえず楽しい。
おいしいお蕎麦もまずーいお蕎麦も両方楽しいんだよなぁ。いいなぁ。


小文治師匠「愛宕山
わーーー、うれしい!この噺を小文治師匠で聴けるとは。
大口叩く一八に旦那がカチンとくるのが伝わってくる。
最初は威勢よく登っていたのにすぐにヘトヘトになって泣き言。
逃げようとするのを逃がしてもらえず、お尻を後ろから押し上げられるところとか、この師匠のちょっとお人形さんぽい動きにぴったりで、なんともいえず楽しい。

旦那のかわらけ投げのうまそうなこと。
そして小判目当てに飛び降りようとして飛び降りられない一八の様子から、落ちてから小判を拾って歩くところから、着物で縄をこしらえるところから、奇跡の生還(笑)を果たすところまで、すごく楽しかった!満足。


それにしても同じ芝居に何回も通っているとマジックがしんどい。完全にタネがわかってしまう…。
なんかタネがわかって見ているのも申し訳なくてうつむいてしまった…。ごめんよ、ポロンさん。
正二郎先生はうまいなー。安心して見ていられる。

熱狂的な鈴本演芸場の後、芸協のこの芝居は本来の寄席っぽい雰囲気でよかったー。ついつい通ってしまった。