りつこの読書と落語メモ

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第185回朝日名人会

12/15(土)、有楽町朝日ホールで行われた「第185回朝日名人会」に行ってきた。

・駒六「真田小僧
・わん丈「お見立て」
・扇辰「雪とん」
正蔵「小間物屋政談」
~仲入り~
・小里ん「提灯屋」
小三治うどん屋


小里ん師匠「提灯屋」
なんともいえず楽しい。字の読めない連中のわいわいがやがや。ただで提灯をもらってこようという「判じ紋」のばかばかしさ。
どんどん警戒心を高める提灯屋の恨みのこもった睨みがすごくおかしい。
楽しかった~。


小三治師匠「うどん屋
長い長~いまくら。
北海道のテレビで密着番組の取材があったらしくその話をしながら、昔バイクで北海道を旅行しながらあちこちで落語会をした時の話、手術の話…話しがあちこち飛びながらぐるぐる回り道しながら…「調子出て来たぞ」。
「あ、調子が出てきたっていうのはね、こうやって話をしながら、あ、あれもあった、これもあった、ってどんどん浮かんでくるのね」。

…ぶわはははは。
まくらが弾む時の小三治師匠は調子がいい証拠なんだよね(笑)。だからファンからすると、もっともっと話して~時間なんかどうでもいいから!ってなるんだけど、こういう会でこれだけ時間を延ばしてもらえるのは珍しい。なんだいい会じゃないか「朝日名人会」(笑)。

で、北海道の話から稚内はもう北海道の端っこだ、というような話しをして、「私の死神では」と言った瞬間にわかった!稚内終点先生!!
稚内終点先生って小三治師匠が考えた名前って初めて聞いた!そうだったんだー。大好きなフレーズ。いいよね、稚内終点先生。
そこまで話してから「あ、そうか。この会はネタ出ししてるんだ。…だから俺は嫌いなんだ、ネタ出しって」。

…ぶわははは。この流れで「死神」やってもいいな、っていうのが頭をよぎったのかな、もしかして。

そしてネタ出ししている「うどん屋」を頸椎を悪くしてからできなくなってしまった、という話に。
真打の披露目で最後の手締めを頼まれた時も音が鳴らなくて…って…きっと小八師匠のお披露目の時のことだな、それって。ああ…そうだったのか…。

で、何年もやってないから忘れちゃったんだよ。それで楽屋で「どういう噺だったっけ」って若手に聞いてたから、出囃子が鳴ってもなかなか出て来れなかったんだよ、と。
「こんなことを落語に入る前に話すのはかっこ悪いけど。まぁやってみます。でもこれからもっともっとよくなるから。まだまだうまくなるつもりだから。」
その前に一度拍手が起きたんだけど、そう言った後になんと「拍手してくれ」の意思表示。うわーーー小三治師匠がこんなことするの初めて見た。なんか胸がいっぱいだ。なんだろう、意欲もすごいし、正直な自分をさらけ出す勇気っていうか腹の括り方っていうか。
ハードル上げてやりづらくないのかしら、という心配をよそに「うどん屋」。

久しぶりだから探り探り、という感じはあったけれど、酔っぱらいのめんどくささと温かさ。
かわいがっていたみぃ坊の婚礼帰りの嬉しさと寂しさ。
じんわりと伝わってきて、いいなぁ…。
風邪っぴきのうどんを食べる様子のおいしそうなこと。
予定より1時間ほどオーバー。楽しかった!

第24回林家しん平親子会

12/14(金)、東田端ふれあい館で行われた「第24回林家しん平親子会」に行ってきた。

・きなこ「孝行糖」
・しん平「時そば
・あんこ「佐々木政談」
~仲入り~
・しん平「芝浜」


しん平師匠「時そば
ラーメンについてのまくらが死ぬほどおかしかった。
昔はラーメンって今みたいな食べ物じゃなかったよね。「シナソバ」って言って黄色い縮れた麺に鶏ガラに醤油味のスープでペラペラのチャーシューとナルトが入ってて…あれを夜中に屋台で食べてると「俺、こんな時間にこんな悪いもん食ってる」っていう背徳感があって…あれが楽しかったんだよね。
それが今はラーメン作るのに魂こめちゃってるもんね。魂こめて作るようなもんじゃないでしょ。ラーメンなんて。もはやあれは違う食べ物だよね。
とんこつラーメンも最初に出てきた頃は獣臭くてね。今は製法も洗練されてきたけどね。あれ、豚の骨髄を溶かしてるんだよね。骨髄を溶かすって…豚の側から見たらとんでもねぇ食いものだよ。俺が豚だったら震え上がるよね。がはははは!!な?オレ詳しいだろ?痛風になってラーメン食べられなくなったけど、テレビのラーメン特集とかめちゃくちゃ見てるから、詳しいのよ。

今はなんでも食べ物がやわらかくなっちゃったね。それもこれもなめらかプリンのせいだね。みんなあのなめらかプリンがいけないね。
昔のプリンはさ、固かったよね。だからプリン型からなかなか出てこなかったよね。こうひっくり返してポン!なんて叩いてもさ、出てこないのよ。固くて。
今のプリンなんかそんなことしたらぐずぐずぐず~ってなっちゃうからね。やわらかすぎて。だめだよ、あれじゃ。すっごくうまいけどね。なんだ好きなんじゃねぇかなめらかプリンも。がははは!!!
あとプッチンプリン。あれはプリンじゃないね。別の食べ物。それでなんか入ってるねイケナイ物が。だから1つ食べるとまた食べたくなっちゃう。白い粉とか入れてんじゃないの?…関係者がもしいたら…怒んないでね!
せんべいもさ、昔は噛みきれないほど固いせんべいだったよね。5分くちゃくちゃやっててもまだ噛みきれなくてね。あれをかじり切った時の快感ね。「俺の歯、まだまだいけるぜ!」っていう。
今の若い子なんかもう固いもんを食ってないからあんなせんべいは噛みきれないね。

…あれこれ言った後に豪快に笑うのがもうおかしくておかしくて。大好き。
そんなまくらから「時そば」。
2番目の男のとほほ加減がすごくばかばかしくておかしい。笑った笑った。


しん平師匠「芝浜」
こちらの会で前に一度やったことがあったらしいんだけど、リクエストが多いので…ということで「芝浜」。しかもその時とはやり方を変えて…ということらしい。

最初にくまさんが酒でどんどんぐずぐずになってお客さんからも呆れられて出入り禁止になって仕事に行きたがらないところがとてもリアル。
女房に起こされて嫌々でかけるんだけどそれも「ああーやだ…ほんとに嫌だ、魚屋なんて商売」と愚痴たらたら。
それでも女房が起こす時間を間違えたせいで日の出を目にすると「ああ、ありがてぇ…。こんなものを見られるなんて…。ありがてぇなぁ」。
なんかこのくまさんの人物像がとても魅力的。

財布を拾って大はしゃぎするくまさんに調子を合わせるおかみさん。
「夢」と言い張ってくまさんをだますところでは全く迷いを見せないところが気持ちいい。
最初は「そんなわけねぇだろ」と言っていたくまさんだけど、財布を拾ったのが夢で友だちを呼んで散在したのが現実と分かると、おかみさんに頭を下げて「今回の事はなんとかしてくれ。そのかわり、これからは酒をやめて本気で働くから」。
あんなにぐずぐず言ってたのに、覚悟を決めた様子が気持ちいい。

3年経って、大みそかに借金が一つもないと聞いて、心から驚いておかみさんに礼を言うくまさん。
財布のことが夢ではなかったと聞いて「あの時俺がどんなに惨めな気持ちになったか」と恨み言を言いかけるのだけれど、おかみさんから理由を聞いて、「お前のおかげだ」「お前はすげぇよ。ほんとにかかあ大明神だよ」と頭を下げるのが、さっぱりしたくまさんの性格が表れていてとっても素敵だ。

…じめじめしたところが全然ない、気持ちのいい「芝浜」だったー。よかったーー。

 

池袋演芸場12月中席昼の部

12/14(金)、池袋演芸場12月中席昼の部に行ってきた。
芸協の寄席に来るの久しぶりな気がする。蝠丸師匠のトリを見るために有休~。


・あんぱん「牛ほめ」
・蝠よし「元犬」
瞳ナナ マジック
・金の助「強情灸」
・可風「反魂香」
ぴろき ウクレレ漫談
・米福「締め込み」
・圓遊「時そば
~仲入り~
・ナイツ 漫才
・右團治「誕生日」
・寿輔「自殺狂」
・うめ吉 俗曲
・蝠丸「鼠穴」


あんぱんさん「牛ほめ」
もしやこの「牛ほめ」は兄弟子の小笑さんに教わったのでは。ところどころ、変な間があって小笑さんの顔が浮かんできた…。


可風師匠「反魂香」
初めて聴く噺。
男が真夜中隣に住む坊主の念仏で眠れなくなり文句を言いに隣家を尋ねると「これには深い訳がある」と坊主。
なんでも吉原の高尾太夫と深い仲になったのだが、高尾は先代の藩主に見初められてしまう。
自分はあなたに操をたてますと誓った高尾は藩主に殺されてしまうのだが、別れる時に高尾が反魂香を坊主に渡し、これを火にくべたらいつでもあなたの前に現れます、と約束してくれた。
それで夜な夜なこの反魂香を火にくべて念仏を唱え高尾との逢瀬を楽しんでいると言う。
最初は信じなかった男だが、目の前に高尾の幽霊が現れると、自分も3年前に妻を亡くしてしまった。妻に会いたいのでその反魂香を自分にも分けてくれと言うのだが、坊主は応じない。
仕方なく男は薬屋に行き反魂香を求めようとするのだが薬の名前が思い出せず、反魂丹(腹痛の薬)を買ってきてしまう。
男が女房に会おうと反魂丹に火をくべると…。


結構細かいギャグが入ってとっても楽しい。
可風師匠、こういう変わった噺もされるんだ!もっと見たい!


ナイツ 漫才
結構攻めてるネタで楽しかった~!
サッカーのワールドカップのネタで日本の時間稼ぎなプレイが物議を醸しましたね、という話題の後、塙先生がちょっと後ろの下がって黙って、土屋先生が「え?あと6分時間稼ぎ?あんた何守ってんの?さっきウケたので一点?そんなつもり?」って言うの、めっちゃおかしかった。


右團治師匠「誕生日」
古典よりこういう噺の方がいい!調べたらこれって文枝師匠の新作なんだね。ほぉ。

 

蝠丸師匠「鼠穴」
今日はとっても上品なお客様と評判、と蝠丸師匠。
確かにそんなに笑わないんだな…大勢いるけど。おそらくお年寄りが多いのですぐに反応できないのと、相当わかりやすくないと難しい感じ…。
「だからってヤケになって電気を消したり笛を鳴らしたり…あれは卑怯です」と寿輔師匠の「自殺狂」をいじったの、おかしかった~。

そんなまくらから「鼠穴」。うおおおー蝠丸師匠で聴くのは初めて!うれしいーーー。

おにいさんがちゃんといやな感じ。
10年後に訪ねて行った時に貸した三文の他に二両入ってることを確認した後「たいしたもんだなぁ。」と言ったあと「返さないよ。あたしはいったんもらったものは返さないたちなんだ」ってお兄さんの因業ぶりがチラリ。これが火事になった後の冷酷な態度に説得性を与えてる。

うなされている竹次郎を起こして悪い夢を見たと聞かされて、「火事のあとに商売の元を借りに来て?ああ、あたしは千両ぐらい貸したか?え?貸さない?そんなこしたの…?」と言った後に、「夢の中でも嫌な役だなぁ~」と頭を抱えたのおかしかった~。

サゲが蝠丸師匠らしく…変えてあったのも面白かった。 

バッタを倒しにアフリカへ

 

バッタを倒しにアフリカへ (光文社新書)

バッタを倒しにアフリカへ (光文社新書)

 

★★★★★

◎バッタ被害を食い止めるため、
バッタ博士は単身、モーリタニアへと旅立った。
それが、修羅への道とも知らずに……。

◎『孤独なバッタが群れるとき』の著者が贈る科学冒険ノンフィクション!

この人は一体何者なのだろう、なぜこの本を書いたんだろう?という疑問を胸に読み始めたのだが、なるほど…研究を続けるためだったのか。ものすごいバイタリティ。

言葉も通じない、文化や考え方も違う国に飛び込んで、味方を作りながらバッタの研究にまい進する姿がカッコいい。
また干ばつに襲われてバッタがいなくなってしまった時に「浮気」と称して別の虫の観察をしたりフランスへ渡るという柔軟なところも素敵だ。

料理もおいしそう!(でも「砂漠料理を味わいたければせっかくの料理に砂を一つまみ入れるとよい」のキャプションに大笑い)

自分で道を切り開くとはこういうことを言うのだな、と思う。素晴らしい!

 

任務の終わり

 

任務の終わり 上

任務の終わり 上

 
任務の終わり 下

任務の終わり 下

 

 ★★★★★

相棒のホリーとともに探偵社を営むホッジズのもとに現役時代にコンビを組んでいたハントリー刑事から現場にきてほしいと連絡が入った。事件は無理心中。6年前に起きた暴走車による大量殺傷事件で重篤な後遺症を負った娘を、母親が殺害後に自殺したものとみられた。だがホッジズとホリーは現場に違和感を感じ、少し前にも6年前の事件の生存者が心中していたことを突き止める。これは単なる偶然なのか?一方、6年前の事件の犯人、ブレイディは脳神経科クリニックに入院していた。大規模な爆破事件を起こそうとして直前で阻止されたブレイディは、その際に脳に重傷を負い、後遺症で意思疎通も困難な状態にあった。だが、その周囲で怪事が頻々と発生する。看護師、師長、主治医…彼らに何が起きているのか?エドガー賞受賞の傑作『ミスター・メルセデス』でホッジズと死闘を演じた“メルセデス・キラー”が静かに動き出す。恐怖の帝王がミステリーに挑んだ三部作完結編、得体の知れぬ悪意が不気味な胎動をはじめる前半戦がここに開始される! 

なにがショックって「ミスター・メルセデス」三部作の二作目を飛ばして読んでしまったってこと!ぬかりすぎやで。

「ミスター・メルセデス」は実に真っ当なミステリーだったけど、今作は…。
そうなのだ、キングは物語がどちらに転ぶか分からないから、そっち?そっちもありでしょ?というのが読んでいてスリリングなところで。
「ミスター・メルセデス」が出た時にすでに「三部作」とうたわれていたということは、もともとこの展開を考えていながらのあの一作目だったのか。かーーーっ。

いつものように分厚さに怯むけれど、物語の吸引力がすごいのでぐいぐい読める。
ホッジズ、ホリー、ジェローム。この3人がそろえば無敵!と思っていたので、もしかしてヤツを倒せば癌も消滅するのでは?!というわずかな希望を抱いていたんだけど…そう都合よくはいかないのね…。

飛ばしてしまった二作目も読みたい!

末廣亭12月上席夜の部

12/10(月)、末廣亭12月上席夜の部に行ってきた。
結局この芝居、4回通った。たいてい夜の部ってお客さんが少な目だったりするけど、この芝居は毎日大勢のお客さんで、千秋楽は立ち見も出るほど!すごいっ。
きく麿師匠のお客さんや応援しているファンが通ったというのももちろんあるだろうけど、話題が話題を呼んで「行ってみようかな」と来た人もたくさんいて、しかもそういう人のリピート率も高かったと思う。
すごいなー。ほんと今回はきく麿師匠の底力を見せてもらったなぁ。


・小里ん師匠「にらみ返し」
~仲入り~
・駒治「レモンの涙」
翁家社中 太神楽
・天どん「ひろっちゃった!!」
・文蔵「時そば
・正楽 紙切り
・きく麿「スナックヒヤシンス」

駒治師匠「レモンの涙」
ニツ目の頃は「ガールズトーク」率が大変高かった駒治師匠。この芝居はめちゃくちゃ攻めてる。
悪役プロレスラーの噺で客席がぐわーーーっと盛り上がる!
しかもここに出てくる「レモンティアードロップス!」がその後に続く人たち共通のフレーズになる楽しさ。
すごい援護射撃。

翁家社中 太神楽
太神楽の中で和助さんが一番好きで一番うまいと思っているんだけど、この日は傘の曲芸で「昔は回していたけど今は回さなくなったもの」を回すとか、太神楽が生まれた瞬間(和助さんの創造)とか、いつもと違う趣向もあり。
太神楽を初めて見るお客さんも多かったようで反応がすごくよくて大盛り上がりだった。すごい!


天どん師匠「ひろっちゃった!!」
ネガティブとポジティブの二人組がお金の入った茶封筒を拾うという話。
ポジティブな人のどこまでもポジティブな思考も面白いけど、ネガティブな人の悲観的過ぎる思考が面白い。
拾うところで「芝浜やれなくなるだろ!…誰がやるんだよ!」、お金を数えるところで「ひぃふぅみぃ…。」「変な数え方するなよ!時そばやるつもりだったらどうするんだよ!」。
わはははは。


文蔵師匠「時そば
絶対やるだろうなと思っていたらやっぱり「時そば」に入ったので客席は大盛り上がり。
真似する男が文蔵師匠らしくコワモテなのが妙におかしい。
蕎麦屋に向かって「てめぇ、なんで逃げるんだよ!」「あなたみたいな人相の人が追いかけてきたら誰でも逃げますよ!」に大笑い。

正楽師匠 紙切り
「クィーン」とリクエストされて「はい、ご苦労様。…なんでも切れると思ったら大間違い」と言いながら、フレディとブライアンを完璧なフォルムで!もうもうもう素敵すぎる、正楽師匠。


きく麿師匠「スナックヒヤシンス」
出囃子ではなく「We will rock you」のBGMで登場。
ああ、それであの方は「Queen」をリクエストしたのか!お客さんまで援護射撃ってすごくない?!
まるでロックコンサートのように場内が盛り上がり、それを普通に座ってお辞儀をして沈めるきく麿師匠が素敵。
異様なほどの盛り上がりだから緊張しただろうなぁ。
でもちゃんといつものまーろさま。さすがです。
そしてこの感動的な雰囲気の中で「スナックヒヤシンス」のばかばかしさよ。わははははは。

最初のママとチーママの会話。柿ピーの食べ方がすごくうまくて、意味があるようなないような会話が楽しくて、会場が一気にちょっとひなびた場末のスナックになるのが小気味いい。
そしてあの腰に手を当てた変な踊り。もうどうしてこういうのを考え付くかなー。
また山田の悪口を言う二人、山田の何も動じない感じもリアルで「恋の坂道発進」の歌のくだらなさがたまらなくて、やーーー笑った笑った。

最後は立ち上がって寄席の歌。
一度幕が下がってからまたQueenが流れて幕が開いたら木久翁師匠はじめ、一門と出演者が勢ぞろい。
素敵ーーー。

お披露目かっていうぐらいの盛り上がりでなんか感動して涙が出ちゃったよ。ほんとすごい。
末廣亭のきく麿師匠のトリが恒例行事になりますように。

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12/3

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12/6

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12/10

 

朝の九時落語

12/9(日)、UNA galleryで行われた「朝の九時落語」に行ってきた。

 

・さん助 立ち話
・さん助「狸札」
・さん助「鮫講釈」


さん助師匠 立ち話
噺家という職業だと話好きとか話がうまいと思ってる方がいらっしゃるようですけど、決してそんなことはありません、とさん助師匠。
私はほんとに話ベタで説明ベタでたどたどしくなっちゃう。

噺家になった時先輩から言われたのが「芸名で頼まれた仕事は断っちゃいけない」でした。
なのでニツ目になりたての頃は身の程も知らず頼まれればなんでもやってました。
でも何回かやってこれだけはだめだと思ってそれ以降断ってる仕事があります。それが司会の仕事。
結婚式の司会もやったことがありますけどもうダメダメで。それ以来、断るようにしてたんですけど、ある時同級生から結婚式の司会を頼まれまして。断ったんですけど、どうしても私に頼みたいと言われて、だったら下手だけどやるよ、でもお金はいらないからね、と言ってやりました。
最後に新婦からの挨拶があったんですけどその中で自分たちはこれから夫婦になって頑張っていきます、それから司会をしてくださった落語家さんも頑張ってください、って…なぜか司会をやった私に励ましの言葉をくれた、という謎の幕切れで…。

昨日、自分の会があったんですけどそこで最近見た映画「ボヘミアンラプソディ」がいかによかったかというのを…この感動をお客さんに伝えたいと思ったんですけど、言えば言うほど何も伝わらないというのを、ひしひしと感じました…。


…ぶわははは。
確かにさん助師匠の話ベタはすごい。全然説明できてないもんね。
ボヘミアンラプソディ」二回見た私(そしてまた今週も見る!)にも、伝わってこなかった(笑)。ある意味すごい。

さん助師匠「狸札」
うわ、さん助師匠の「狸札」、初めて聴いた!
狸がかわいくて、八五郎もほんとに気のいい男で、気持ちいい。
義理堅い狸が八五郎がカラッケツと知って「大きなお金に化けましょう」「どうせ同じなんですから大きなお金に」と何度も言うのがいじらしい。それに八五郎が「それはいけねぇよ。そういうことはしたくない」と言うのもいいな。

わりと丁寧な「狸札」で若干長めかな、と思っていたんだけど、落語の後に「じつはこの噺は前座の頃はよくやってたんですけど、それからほとんどやってなくて。ニツ目になってからは二回ほどやったんですけど、私その時サゲを間違えちゃいまして。”札を持ってきました”じゃなくて”がまぐちを持ってきちゃいました”と言って、お客さんがしーん!!としたことがあって。それがトラウマになってやってなかったんですけど、久しぶりにやってトラウマを払拭できました」と。

さん助師匠「鮫講釈」
お、「鮫講釈」!
船が出るところと江戸っ子二人のやりとりは楽しいんだけど、後半がね…と思っていたら、講釈がよくなってる!
あのみんなを不安に陥れる下手すぎる講釈じゃない!
いいよいいよ絶対そのほうが。
長くやるなら若干下手な部分と妙に流暢な部分があるとメリハリがあっていいかもしれないけど。
普通にやっても十分ヘンなんだから。それでいい!

…ってすごい失礼だな。わはははは。

面白かった。

さん助 燕弥 ふたり會

12/8(土)、お江戸日本橋亭で行われた「さん助 燕弥 ふたり會」に行ってきた。


・さん助「馬のす」
・燕弥「佐々木政談」
~仲入り~
・燕弥「釜泥」
・さん助「鼠穴」

 

さん助師匠「鼠穴」
兄さんの複雑さがとてもリアル。
最初に訪ねて行った時、歓迎してくれて「奉公したい」と言ったのを「奉公じゃつまんねぇ。自分で商売ぶて」と言いながら「これを元手に」と渡してくれたのがたったの三文。
10年経ってその三文を返しに行くと「利子ってわけじゃねぇけど」と渡された二両を見て、自分がどういう気持ちで三文を渡したかを話す。
弟がそうとは知らず恨んだりして申し訳なかったと謝ると、「わかってもらえればそれでいい」と本当に嬉しそうで、ああ、本当にそういう気持ちだったんだろうなぁと思わせる。

しかし火事になって弟の家が丸焼けになり商売のもとを貸してもらいたいと訪ねるとけんもほろろ
女房子供もいると言うと「おれが持ってくれと頼んだわけじゃねぇ」。
その表情を見ると、ああ…やっぱりこういう人だったんだ、と思う。

お兄さんが弟に「出ていけ」と手を挙げるところや、弟が見返り柳のところで泥棒にぶつかられるところ、声の大きさや動きの大きさに迫力があって最後を知っているのにドキっとして苦しくなる。

うわーーー、さん助師匠の「鼠穴」すごくいい!!
ネタ出しされたときから、きっといいのでは…と思っていたけどやっぱりいい。

こういう嫌な噺は結構間違いないよなぁ、さん助師匠。
そしてあのお兄さんの嫌な感じ…あれはもしかすると「西海屋騒動」をこの何年かずっとかけ続けていたことが生きているのかもしれない、なんてことをふと思った。

素晴らしかった。これから何回かかけるともっともっと良くなっていくんだろうな。
また見たいな。

 

勧之助トークライブ

12/8(土)、らくごカフェで行われた「勧之助トークライブ」に行ってきた。

勧之助師匠のtwitterが大好きだ。
ものすごくくだらなくて一生懸命くだらないに徹しようとしてるけど時々ナイーブさがにじみ出るところが好き。
トークライブ、きっと面白いだろうなぁと前から思っていたので行ってみた。

もう最初から最後まで面白くて笑いっぱなし。
ワンドリンク付きでビール飲みながらこんなにおもしろい話をずっと聞けるって最高!

・この会では恒例らしいんだけど、勧之助師匠が登場するとき出囃子じゃなくてご本人のカラオケ。そこでかかったのが「私がおばさんになっても」。この曲っていうだけでツボなのに歌詞が「わたしが真打になってもずっと変わらない?とても心配だわあなたがニツ目が好きだから♪」。ぶわはははは!!すごいセンス!!
・真打披露目の時におっかないので有名な師匠を打ち上げに誘おうとトライしてみた話。(この師匠の「おおぅ」の言い方で「いいよ、行ってやるよ」なのか「ま、よしとくわ」なのか聞きとらなきゃいけなくてそれをヒヤリングするために師匠番の前座さんに近くに座っててもらったっていうのが最高)
・おさん師匠をゲストに呼んで二人であれこれトーク。このおさん師匠がもう独特でめちゃくちゃいい!またおさん師匠と対したら、少し引いて上手に話しを引きだしながら、自分もそれを楽しみながら、でもまた面白い話しをしてくれる勧之助師匠。
あーやっぱり思ってた通りの人だなぁ。バランス感覚がいい?できる男?っていうのとも違う。なんかできる加減と無造作加減がちょうどいいっていうかなんていうか。
・おさん師匠が勧之助師匠に向かって「たとえがわかりやすいね!」「話しが具体的!」とふわっと言ってくるのがすごいおかしい。
・二人でコロナビールを開けたんだけど、口にしたのはほんの一口。とくにおさん師匠はほんの数センチ。途中でおさん師匠に向かって「今日はよくしゃべってるね」って勧之助師匠が言ったらおさん師匠が「ビールの力は偉大だね!」。すかさず勧之助師匠が「これっぽっちで?!」。
・質問コーナーで「おさん師匠の一番リスペクトするところは?」というのがあって「え?リスペクト?うーんうーん…」と悩む勧之助師匠。「一番」というところでとても悩んだようだったんだけど最終的に「あにさんは…善です」。
・二人で前座修行中、勧之助師匠は自分の師匠に対してできるだけ遠まわしにしくじらないように気を付けてはっきり言うことはなかったけど、おさん師匠は言いにくいことも正面から言っていた、というのも面白かった。
・でも基本的に似てる部分が多い。いいと思うこと、いやだと思うことは一緒だなと感じることが多かった、というのも。

じゃんけんして一人一つなにかもらえるという抽選会で真打昇進の口上書きをいただいたのもうれしかったな。
でも手拭いも扇子も歌のCDもほしかった!

末廣亭12月上席夜の部

12/6(木)、末廣亭12月上席夜の部に行ってきた。

・扇遊「たらちね」
・木久扇 漫談
・小里ん「手紙無筆」
~仲入り~
・ひろ木 津軽三味線&小噺
翁家社中 太神楽
木久蔵「看板の一」
・文蔵「道灌」
・正楽 紙切り
・きく麿「特別エスパー浪漫組」

小里ん師匠「手紙無筆」
おおお。小里ん師匠の「手紙無筆」は初めてかも!
小里ん師匠の語りが淡々としているから、兄貴も淡々としていてでも全然読めてないのが面白かった。


文蔵師匠「道灌」
「道灌」でこんな風に笑いが起きるってすごい。
口の悪いはっつぁんと文蔵師匠が重なって見える。
楽しかった。


きく麿師匠「特別エスパー浪漫組」
前座さんが座布団を返す時に何かを座布団の後ろに置いたので、え?きく麿師匠、腰でも痛めてた?でも合曳にしては形状が違うような?
と思っていたら「特別エスパー浪漫組」!そうだ、あれに使う小道具だ!

失業して彼女の家に転がり込んでいた男が彼女から別れを切り出され、必死に謝るんだけど、彼女は「別に怒ってるとかそういうんじゃないから。謝らなくてもいい。でももう私の前に姿を見せないで」。
ああっ、その気持ちわかる!すごいリアル。この彼女の怒り方が。
そして彼女が行ってしまい困り果てていると、指で変なメガネを作った男が「お困りのようですね」と話しかけてくる。
もうこの男の怪しさが…よくこういうばかばかしいことを思いつくよなぁ。
そして言われるがままに話を聞きに行って、そこで登場する特別エスパー浪漫組のシーンで例の小道具が使わるんだけど、最高にくだらないっ!
それぞれのメンバーの得意技のビミョーさがまたたまらない。
そしてこの得意技が仕込みになっていて、ラストに効いてくるのがもうもう…!

笑ったーー。楽しいーー。
そして寄席の歌が昨日までと変わっていて、そのサービス精神がたまらん。
全力でトリを務めるきく麿師匠、かっこいいなぁ。

両方になる

 

両方になる (新潮クレスト・ブックス)

両方になる (新潮クレスト・ブックス)

 

 ★★

 15世紀イタリアに生きたルネサンスの画家と、母を失ったばかりの21世紀のイギリスの少女。二人の物語は時空を超えて響き合い、男と女、絵と下絵、事実と虚構の境界をも鮮やかに塗り替えていく。そして再読したとき、物語はまったく別の顔を見せる―。未だかつてない楽しさと驚きに満ちた長篇小説。コスタ賞ベイリーズ賞、ゴールドスミス賞受賞作。

 二部構成で両方ともが「第一部」であることとか意味深なタイトルとか、いろいろ仕掛けがあることがにおわされているんだけど、もやもやとはっきりせず。そしてどうもそれほど興味も持てず楽しむこともできず。

読み通したけどとりあえず最後まで読んだ、というだけに終わってしまったなー。

末廣亭12月上席夜の部

12/5(水)、末廣亭12月上席夜の部に行ってきた。

・ひろ木 津軽三味線&小噺
翁家社中 太神楽
木久蔵幇間腹
・彦いち「ねっけつ!怪談部」
・正楽 紙切り
・きく麿「首領が行く!」

ひろ木師匠 津軽三味線&小噺
自信なさそうなちょっと挙動不審な喋りと、三味線に入ると弱気を振り切ったような思い切った演奏。なんか面白いな、これはこれで。
津軽三味線をやってみなよと勧めた木久扇師匠、すごい。

木久蔵師匠「幇間腹
なんか好きなんだ、木久蔵師匠って。
自虐的な二世噺家のAチーム、Bチームのまくらもおかしいし、若旦那も幇間もキャラが同じだけど「幇間腹」もばかばかしくておかしい。
っていうか、これ、小んぶさんがやってるのと同じ「幇間腹」!出所が一緒?あるいは木久蔵師匠から教わった?とか?
笑った笑った。


彦いち師匠「ねっけつ!怪談部」
安定感と安心感があってトリに繋げる感がすごい。
こうやって一門が出るっていうの、いいな。絆を感じる。楽しかった。


きく麿師匠「首領が行く!」
老人ホームのまくらだったので「歯ンデレラ」だと思っていたらまさかの「首領が行く!」。
これがこの日のお客さんにぴたりとはまって、気持ちいい!
Vシネマにはまった小学生の偽関西弁の偽物加減が絶妙なんだよなぁ。うますぎず下手すぎず。またそれに突っ込む先生のタイミングがいい!吉田くんが先生にはちゃんと一目置いてるのもいいなぁ。
また3日後の先生の変貌がたまらない。浮かんでくるんだわ、極道の女が。
末廣亭のトリで堂々と「首領が行く!」をかけるきく麿師匠、かっこいい~。

恒例となった歌も撮影タイムも楽しい。
また行こう(癖になる)。

末廣亭12月上席夜の部

12/3(月)、末廣亭12月上席夜の部に行ってきた。
きく麿師匠の初トリ!うれしい!めでたい!すばらしい!

・扇遊「家見舞い」
・小里ん「親子酒」
~仲入り~
・駒治「10時打ち」
・ストレート松浦 ジャグリング
・天どん「有名人の家」
・文蔵「寄合酒」
・正楽 紙切り
・きく麿「漫才やりたい!!!」

駒治師匠「10時打ち」
初めて駒治師匠の新作で大爆笑した(失礼!)。
まくらも「いつもの」じゃなくて新鮮!
この間まで真打披露目をやっていたけれど何が嬉しいって口上。
馬風師匠とか正直言って私のことを何も知らないのに言葉を尽くして褒めてくださる。ありがたい限り。
でもやっぱり連日そういう心にもないことを言わないといけないから疲れてもたまっていくんでしょうね。
この間HS師匠が口上でおそらくこういおうとしたんだと思うんです。「彼が大看板になるよう努力をするのはもちろんですがそれには何よりもお客様の御贔屓お引き立てがなければいけません」。
でも疲れすぎていて「彼は何もありませんが。お客様の御贔屓お引き立てがありません」。
…なにもかも「ない」って言っちゃってました。

…ぶわはははは。おかしい。
そして鉄道マニアらしい新作「10時打ち」。これがまためちゃくちゃ面白かった。
自分は興味がない分野でもマニアの話ってほんとに好き。
10時打ちなんて知らなかった!


ストレート松浦先生 ジャグリング
大大大好き。太神楽も好きだけどストレート先生のジャグリングってほんとに最高。
最初から最後まですごいし楽しいし!
一番好きなのが踊る棒。これほんとに凄いと思うんだよねー。


天どん師匠「有名人の家」
出囃子で手拍子が起こるという盛り上がりだったんだけどそこがピークで、まくらから噺の流れで驚くほどひゅ~っと客席が引いた?
なんでなんで?!
私はとっても面白かったけど。天どん師匠のノリがこの日のお客さんには違っていたのか、あるいは面白かったけどどう面白がっていいかわからなかったのか?
面白いほどの引き方でそれはそれでおかしかったんだけど、びっくり。
その後に出てきた文蔵師匠が「こんなに引かせて!」「たっぷりやれと言った俺が悪かった!」と言ったのもおかしかった。


きく麿師匠「漫才やりたい!!!」
寄席の初トリ3日目のきく麿師匠。
寄席っていうのはみんながトリに向かって流れを作って行ってくれてまさにチームプレイ。ものすごく楽しいしありがたい。
いやしかしここまでウケなくてそれで帰り際に「俺のせいじゃないもーん。あートリじゃないと気楽だー」って捨て台詞を残して帰って行くとは…。

…ぶわはははは。天どん師匠、おかしい!
いやでもそれはそれで逆に面白かったし!
でもきく麿師匠もやりづらそう?わはははは。笑い事じゃない?

昨日M1だったけど、見られなかったので録画しておいて今日改めて見ました。
みんな頑張っていて、あれを見て「あー自分も頑張らなきゃなぁ」っていう気持ちになったんですけどそのままにしていたら演芸番組になって桃太郎師匠の高座が流れて…それを見たら「ああ、こんな風に気楽にやるの、いいなぁ」ってなんか嬉しくなりました。
あと我々噺家って結構褒めあうんですね。冗談で。「お、いかしたコート着てるじゃん」とか、からかい半分に。
例えば後輩からそんなことを言われた時、「よせよ~」って答えるんですね。これ、私噺家になるまでやったことなかったですけど。我々ほんとによく「よせよ~」って言うんです。ゆるい感じ、まんざらでもない感じで。
これが本当に嫌!っていうときは言い方が変わって「よせよっ!!」になります。
そんなまくらから「漫才やりたい!!!」。
おおお、M1の翌日にやるにふさわしい…そして前方に出たほぼ同期?の天どん師匠のことも含めて、とってもぴったりなチョイス。

噺家二人が話をしていて、片方が「俺、漫才やりたいんだよね」と言う。
もう一人は「え?俺は別にやりたいと思わないなぁ」。
「なんで?だっていいじゃん漫才。M1で優勝したらもういきなりスターだぜ。仕事もじゃんじゃんくるしお金もバンバン入ってくるんだぜ」。
「俺、今噺家でそこそこお金ももらえるようになってるからいいよ、べつに」
「いやそういう話じゃなくて」
「いやどうもこうもなくて興味ないよ」
「いやいや。だってさ」

片方が漫才をやりたい、もう片方が噺家のままでいい。
で、やりたくない方がそんなに漫才やりたいなら今相方のいなくなった〇〇とかとやればいいじゃん!と言うと「これから売り出したい!夢を追いたいって言ってるのにあんな××なんか!!」
…ぶわはははは、わかるだけにめちゃくちゃおかしい!!

それからとりあえず漫才をやってみようよということになって、シチュエーションコントみたいなものを始めるんだけど、絶妙なズレがなんともいえずおもしろい。
そしてちょいちょい落語のしぐさやセリフが入るのがツボ!
途中でいきなり入り込んでくる「♪鬼の弱点知ってるかい」。これがもう…なんなんだろう、この世界感がたまらなくおかしい。
同期の気安さも伝わってきてそこもよかった!

そして落語の後は「寄席の歌」と言って「昔の名前で出ています」。
このこなれ感がもうたまらない。
毎日歌うのかな。いいいなぁばかばかしくて。最高。

 

おらおらでひとりいぐも

 

おらおらでひとりいぐも 第158回芥川賞受賞

おらおらでひとりいぐも 第158回芥川賞受賞

 

★★★★★

74歳、ひとり暮らしの桃子さん。
おらの今は、こわいものなし。

結婚を3日後に控えた24歳の秋、東京オリンピックのファンファーレに押し出されるように、故郷を飛び出した桃子さん。
身ひとつで上野駅に降り立ってから50年――住み込みのアルバイト、周造との出会いと結婚、二児の誕生と成長、そして夫の死。
「この先一人でどやって暮らす。こまったぁどうすんべぇ」
40年来住み慣れた都市近郊の新興住宅で、ひとり茶をすすり、ねずみの音に耳をすませるうちに、桃子さんの内から外から、声がジャズのセッションのように湧きあがる。
捨てた故郷、疎遠になった息子と娘、そして亡き夫への愛。震えるような悲しみの果てに、桃子さんが辿り着いたものとは――

青春小説の対極、玄冬小説の誕生!
*玄冬小説とは……歳をとるのも悪くない、と思えるような小説のこと。
新たな老いの境地を描いた感動作。第54回文藝賞受賞作。
主婦から小説家へーー63歳、史上最年長受賞。

好き好き!読みづらいかなとおもっていたけど全然そんなことなかった。

東北弁、声に出して読むとストンと意味がわかるのが不思議。この桃子さんの心の声(柔毛突起の言)がたまらなくいい。ユーモラスで温かくて慰められる。

最愛の夫が急死して子どもたちとは疎遠で一人暮らし。とてつもなく寂しいけど自由でもあって、寂しさと楽しさを感じながら暮らす桃子さんがリアルだ。
とっちらかる思考、衰える身体、時々襲い掛かる孤独感。しかしそれらを飼いならしながら桃子さんは生きて行く。

芥川賞受賞作品はモヤモヤな読後感の作品が多いけどこれは珍しく爽やかだったなぁ。
楽しかった。

第52回伝承話芸を聴く会

12/1(土)、東京堂ホールで行われた「第52回伝承話芸を聴く会」に行ってきた。

・琴柳「祐天吉松 甲府落ち」
・小燕枝「提灯屋」
~仲入り~
・藤兵衛「井戸の茶碗

琴柳先生「祐天吉松 甲府落ち」
前回聞いた「祐天吉松」の続き。

屋敷を焼いた吉松と健治は甲府の長兵衛親分の元へ身を寄せる。事情を知っている長兵衛は吉松には背中の彫り物で名前が知れているから近所の湯屋には行くなと釘を刺しながらも二人を歓迎し「ゆっくりしていきねぇ」と優しい言葉をかける。

3か月過ぎた頃に長兵衛が二人を呼び、実は自分が世話になった親分の孫弟子?にあたる常五郎が不幸が続いて困窮していると聞くので十両を届けてほしい、自分からと言うと他の子分どもがそれなら自分にも…と金の無心に来られても困るので、お前たち二人からと言ってあげてほしい、と言う。
そう言われた吉松は「それであれば自分も最近サイコロの具合がよくて金がたまっているので身銭を切らせてほしい」と申し出る。

二人が常五郎がいると聞いた村に入り「常五郎の家はどこだ?」と尋ねると「それは哀れ常五郎のことか?」と村人。どうやら常五郎の不幸は村でも評判らしい。
「あそこが常五郎の家だ」と指差されたのは豚小屋と見間違えるほどのあばら家。
訪ねてみるとそこには年老いた母と常五郎の子ども。妻は子どもを産み落としたときに死んでしまい、乳飲み子を抱えて困窮している様子。

「これは我々から」と十両を渡された常五郎は「いやこれは長兵衛親分からなんだろう」と言うが、誤解を正そうとはしない吉松。
常五郎に見送られ家を後にする。

常五郎が出て行ってしばらくすると富之助の子分4人が押し入ってきて、借金の二十両を返せと言ってくる。
常五郎は確かに富之助に二十両を借りたが、その前に富之助には二十両を貸しているのでこれでチャラになるはずだと言う。
しかし4人は言うことを聞かず、常五郎の母親が大事に持っている十両に目をつけて、母親を蹴飛ばして十両を奪い逃げ去って行く。

常五郎が刀を懐に入れて飛び出そうとするのを止める母親。お前が何かことを起こしたら乳飲み子はどうなるのだ、辛抱してくれと言われ、ぐっとこらえる常五郎。
子どもの乳をもらいに八百屋に行き帰ってくると、母親は自害していた。
あまりのことに常五郎が富之助の元へ走ろうとしたところ、道に迷っていた吉松と健治に出会う。事情を聞いた吉松は常五郎と兄弟分の盃をかわし、自分たちも助太刀することを誓う。

…おおお。今回はちゃんと筋が追えたぞ。
琴柳先生の語りってなんかすごくかっこいい(←あほな感想)。時々入るくすぐりが楽しくてふわっと力が抜けて、またそこから物語に集中できる。張扇の叩き方もやたらとばしばししてなくて素敵だ。


小燕枝師匠「提灯屋」
ちんどん屋のチラシをもらって飛び込んで来た男がやたらと「女のちんどん屋がいた。女だぜ。女のちんどん屋だぜ。女なんだよ」と女女言うのがおかしい。それを聞いて「お前、何度も何度も女のちんどん屋って言いやがって。」と言いながら「きれいな女だったな」とやっぱり「女」に食いついているのがおかしい。しかもちんどん屋の後ろにくっついて町内をぐるっと一周して「そういう子どもはいるが、大人でやったのはあなたが初めて」と「感心してやがった」とえばってるおかしさ。

その後は字が読めない連中でああでもないこうでもないとやいやいやるんだけど、「無理は禁物ってことだよ」と妙に上から目線の男がいたり、「こんなものは匂いをかげばわかる」とチラシをくんくんにおったり、くだらなくておかしい。

提灯屋に来る若い衆の「紋」のはんじ方がどんどん雑になるのもおかしくて、たいして説明もしてないのにすぐにもらって帰ろうとしたり「これただでくれたとして下に取るならいくらになる?」と言ったりするのもおかしい。楽しかった。


藤兵衛師匠「井戸の茶碗
清兵衛さんが正直者だけど口が悪くていかにも庶民らしくて楽しい。
千代田氏のところに行って五十両を受け取らせようとして「あなたのはバカ正直」と言って「バカだと?」と怒らせたり、「娘さんがそんなみすぼらしいなりをして」と言って「そんなことを言われる覚えはない」とさらに怒らせたりするのも、そういう口の利き方や気の使い方ができないことが伝わってくる。
高木作左衛門はいかにも若い侍らしくて爽やか。屑屋の顔を改めるときに「(そんな顔に生んで)親から謝られなかったか」というのには笑った。

こざっぱりした軽い「井戸の茶碗」で好きだなー。
次回は1月5日。抽選もあるって…行きたいな。