りつこの読書と落語メモ

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鈴本演芸場5月中席昼の部

5/19(土)、「鈴本演芸場5月中席昼の部」に行ってきた。
大好きなこみち師匠が鈴本で初めてのトリ!うれしい!
でもこうやって抜擢があると、その分出られなくなった人もいるわけで…。そういうことを考えるとちょっと複雑な気持ちになったり。ただの客なんだからそんなこと考えずに楽しめ!とも思ったり。

 

・ひしもち「初天神
・小はぜ「子ほめ」
・仙三郎社中 太神楽
・一琴「強情灸」
・しん平「無精床」
・ひびきわたる 漫談
・はん治「妻の旅行」
・歌奴「芝居の喧嘩」
ロケット団 漫才
・燕路「お菊の皿
~仲入り~
・アサダ二世 マジック
・菊丸「幇間腹
・正朝「悋気の火の玉」
・二楽 紙切り
・こみち「寝床」


小はぜさん「子ほめ」
すごく面白くなっていてびっくりした。
元気があってテンポがよくてふわっと力がいい感じに抜けてて。うわーーなんか小はぜさん、面白くなってるよー。
自分の勉強会ではどちらかというとチャレンジングな噺をされているけど、そういうふうに勉強していくと、こういう前座噺をすごく楽しんでできるようになるのかなぁ。
ファンのひいき目ではなく、本当に面白かった。寄席の空気が変わったのを感じた。


しん平師匠「無精床」
この師匠、好きなんだよねぇ…。もうこのカキーンと高い声でハイテンションに話されるともうおかしくておかしくて。
「無精床」、あんまり好きな噺じゃないんだけど、客の男がすっごいテンションが高くて調子が良いから、床屋の親方が無愛想でえばってても、その対比ですごく面白い。

客が頭をお湯で湿らせてくれと言うと「湯なんかねぇよ」。
「じゃ水でいいや」「水もない」「水がないわけねぇだろ?」「女房が出てちゃってからみんないやになっちゃって店も開けたり閉めたりしてたら客が来なくなって、金払えなくなって水道止められちゃったんだよ」

「そこの桶に水がたまってるよ」って言われて見るとぼうふらが沸いてて客が「うわ、きったねぇ」って言うと「育ててるんだよ。これを見ると自然を感じるっていうか、生命の神秘を感じる」。サゲも「さあ、みなさんごいっしょに。ぼうふらはみんな生きている~」。

ばかばかしい~。楽しいなぁ。この師匠、トリだとどんななんだろう。見たい。


歌奴師匠「芝居の喧嘩」
この師匠、明るいからこの噺も楽しい!ちょっとびっくり。
というのは「芝居の喧嘩」って、一朝師匠以外で聞いて面白いと思ったことがないのだ。
おそらく一朝師匠からじゃないかと思うんだけど、ちゃんと面白かった。

燕路師匠「お菊の皿
なんかとっても嬉しそうな燕路師匠。やっぱり弟子がトリをとるって嬉しいんだろうな。
ノリノリの「お菊の皿」で、遠寺の鐘の音を「ぼぉぉーーーーん…ぉぉん」って、すごく楽しそう。
この噺、好きだなぁ。笑った笑った。


菊丸師匠「幇間腹
一八が弾むような調子の良さで陽気ですごく楽しい。
ぴちぴちした軽薄さがたまらない。若い人がやるよりずっとずっと若々しい。この師匠も好きだなぁ。


二楽先生 紙切り
「宝船」のお題に切ったものが、動きがあってびっくり。やっぱりうまいよなぁ…落語協会紙切りは…。


こみち師匠「寝床」
長屋をまわってきた繁蔵が、一人ずつ言い訳を言うたびに「よっしゃ」と小さくガッツポーズをするのがおかしい。
でも一番笑ったのは、旦那の義太夫が始まった時、それをものすごい弾みをつけてよける仕草。無駄にキレがあって、笑った。

この日は、知ってることは全部知り合いに説明せずにはいられないおじさんがいて、サゲを噺家より先に言っちゃう、しかも声がでかい、しかも根気があって最初から最後までやりとおした…(涙)。
寄席はそういうゆるい場所、なのかもしれないけど、でもなぁ…素人のじじいのサゲを先に聞かされるって…どんな罰ゲームだよ。
あのね、みんな知ってるんだよ。知ってて黙ってるんだから、得意になって大声で先に言うんじゃない。ここはお茶の間じゃないんだから。

 

浅草演芸ホール5月中席

5/18(金)、浅草演芸ホール5月中席に行ってきた。


昼の部
・あまぐ鯉「新聞記事」
・双葉「やかん」
・喜之輔 紙切り
・昇市「鈴ヶ森」
今輔「釣りの酒」
・真理 いつもの
・春馬「つる」
・金太郎「短命」
チャーリーカンパニー 漫才
・寿輔 いつもの
・紅 芥川龍之介作「桃太郎」
・京太・ゆめ子 漫才
小遊三「汲み取り(前半)」
~仲入り~
・真打昇進披露口上(春馬、金太郎、鯉昇、紅、蘭、夏丸、幸丸、寿輔、小遊三
・蘭「信長と吉乃」
東京ボーイズ 歌謡漫談
・幸丸「吉田茂伝」
・鯉昇「長屋の花見
ボンボンブラザーズ 曲芸
・夏丸「橘ノ圓物語」
・夏丸&蘭 歌&ダンス


夜の部
・幸太「狸札」
・喜太郎「動物園」
・コント青年団 コント
・笹丸「寿限無
桃之助「犬の目」
・京丸・京平 漫才
・遊史郎「紙入れ」
・南なん「不動坊」


双葉さん「やかん」
声の出し方がなんかこう…変に力が抜けるので、噺に入り込めないし、全然面白く感じられない
大好きな圓馬師匠のお弟子さんだから応援したい気持はあるけど、うーん…。


小遊三師匠「汲み取り(前半)」
楽しい~。そして見るたびに違う噺をされるところにぐっとくるなぁ。

鯉昇師匠「長屋の花見
季節外れ?と思ったら、なんと見に行く花がアジサイなのだった。
お料理(「刺身」「薄づくり」「カラシニコフ」)に大笑い。楽しかった~。


夏丸師匠「橘ノ圓物語」
ちょっとこの日のお客さんにこの噺が合わなかったような気がしないでもない。
というのは、落語らしい落語に笑うお客さんだったから。
この日は「浅草演芸寄席」の収録が入っていて、夏丸師匠が話をしながら時々「これ大丈夫ですか?」と聞くのがおかしかった。
余裕だね!


夏丸師匠&蘭先生 歌&ダンス
始まったとたん、後ろから前座さん&二ツ目さんがわーーーーと入ってきて、舞台の下でのりのりでサイリウムを振りながら踊るのには笑った。
夏丸師匠が「憧れのハワイ航路」を歌い、蘭先生と愛嬌師匠がそれにあわせて社交ダンス。
す、て、き!


笹丸さん「寿限無
竹わさんがニツ目になって笹丸さん。
声が聞きやすいからすっと噺に入って行ける。
まくらも面白いし、落語も面白い。明るくて堂々としていて素直な落語。好きだわー。

南なん師匠「不動坊」
一時期、見に行くたびに「不動坊」で、心が折れたこともあったんだけど、久しぶりに聴いた南なん師匠の「不動坊」、面白かった。
もうなんていうか無駄が一つもなくて、だけどとぼけてた味わいがあってすごく楽しい。
完璧なのでは。もう完成したのでは。だからもう当分やらなくてもいいのでは。わはは。

 

卍(まんじ) (1951年) (新潮文庫〈第261〉)

卍(まんじ) (1951年) (新潮文庫〈第261〉)

 

★★★★★

夫に不満のある若い妻・園子は、技芸学校で出会った光子と禁断の関係に落ちる。しかし奔放で妖艶な光子は、一方で異性の愛人・綿貫との逢瀬を続ける。光子への狂おしいまでの情欲と独占欲に苦しむ園子は、死を思いつめるが――。おたがいを虜にしあった二人の女が織りなす、淫靡で濃密な愛憎と悲劇的な結末を、生々しい告白体で綴り、恋愛小説家谷崎の名を不動のものとした傑作。 

 げんなりするくらいねっとりとした世界。登場人物誰一人好きになれないし、話を聞いて書いている「先生」(谷崎自身)にも嫌悪感をかんじるが、それなのに面白い。
じっとりしてるのに爽快ですらある不思議。

それは恐らく全ての元凶である光子が清々しいほどにエゴイストであるからなのかもしれない。自分を見てほしい、好きになってほしい、我を忘れるほどに。
醜悪、でも魅力的。

谷崎、変態だわー。でも、あー面白かった。
長いこと日本の文豪を読まず嫌いだったけれど、こうして読むと本当に面白い!
まだまだ読んだことのない作品がたくさん残っているのが嬉しい。

末廣亭5月中席夜の部「5代目柳家小さん 17回忌 追善興行」

5/17(木)、末廣亭5月中席夜の部「5代目柳家小さん 17回忌 追善興行」に行ってきた。


・市馬 歌謡曲
・清麿「東急駅長会議」
・権太楼「町内の若い衆」
・南喬「猫の災難」
~仲入り~
・鼎談(小袁治、小里ん、小燕枝)
・小ゑん「フィッ」
・小菊 粋曲
・さん喬「寝床」


市馬師匠 歌謡曲
今日あたしは落語をやらせてもらえないんです、と市馬師匠。
拍手が起きると「最近、歌の方が拍手が多くて、ちょっと気にしてるんです」。
なんたって小さんの弟子の中であたしが一番の年若ですから。花緑さんもいますけど、他では私が若い。
あたしだって外に行けば「会長」とか呼ばれることもあるんですよ。
それが今日なんかは楽屋でお茶入れてるんですから。

…ぶわはははは。そう言いながらもニコニコ楽しそうな市馬師匠。

小さんは相撲が好きでよく見に行ってました。お供したこともあるんですけど、師匠は結びの3つ前ぐらいになると席を立っちゃうんです。それが優勝にかかわる大事な一番でもいつもそう。
それでどうするかっていうと出口のところに立って見てる。
なんでそんなことをするかってぇと、とにかく短気な人ですから。結びまで見て出口が混雑するのが耐えられない。
だったら家でテレビで見ればいいじゃないか、と思ってました。

それからカラオケが出始めた頃、師匠は私を連れてよくカラオケに行きました。
で、当時も映像がついてて、それが昔のチャンバラ映画だったりする。
私もそれを知ってますから、映像がチャンバラの歌をよって歌ったりして。そうすると師匠は機嫌がいいんです。
そんなにチャンバラ映画が好きなら何もカラオケ行かなくても映画を見りゃいいじゃねぇかって話なんですけどね。

そんなまくらから、相撲にまつわる歌。そして呼び出しをやって相撲甚句

もうほんとうにいい声で、明るくて心の底から楽しそうで、聞いていると幸せな気持ちになってくる。
ああっ、いいっ。市馬師匠の歌声。好き好き。今年は久しぶりに年末の歌謡ショーにも行こうかな。
次に出てきた清麿師匠が「ご機嫌な芸ですねぇ」と言ったのがすごくおかしかった。


権太楼師匠「町内の若い衆」
まくらなしで「よう」「大家から呼び出しだって?」と話し始めて、おお、これは「黄金の大黒」!珍しい~。
と思っていたら、猫を食べちゃった一件を話したところで「あ、だめだ、これ。できねぇ」。
この日小さん十八番で南喬師匠が「猫の災難」をやることになってたのだ。
前座さんにネタ帳を持ってこさせて「うーんうーん」。それから「だめだ、切り替えられない…。ちょっと出囃子おねがい」と言って、登場するところから。

…ぶわはははは!楽しい~。こういうの、二倍美味しいよねぇ。権太楼師匠のこんな姿、めったに見られないもの。

で、「町内の若い衆」。短縮版だったけど、おかみさんのふてぶてしいかわいらしさが絶品で笑った笑った。楽しかった。

南喬師匠「猫の災難」
飲みたいけど一文無しのくまさんのところに兄貴が訪ねてきて、ざるをかぶせてある鯛を見て「これを三枚におろしていろんなことをして食おうじゃねぇか」と言った時のくまさんの「え?…ま、食えなくはねぇけど」という困惑した顔がなんともいえずおかしい。
兄貴が酒を買いに行って、その間にくまさんが言い訳を考えて、帰ってきた兄貴にそれを言うと、けろっと信じて「じゃ鯛買ってくるわ」と出て行くのがスピーディーで(笑)それがまたおかしい。

くまさんがちらっと酒を見て吸い寄せられるのが、いかにも酒飲みらしくていいなぁ。
飲んでるうちにどんどん機嫌が良くなって、どんどん酒を飲んじゃうのが楽しいし、言い訳もすぐに「隣の猫」に決めちゃうのもおかしい。

飲みながら何回も「ありがてぇ」って言うのが好き。
そして兄貴分もからっとしていていいなぁ。

楽しい楽しい「猫の災難」。くーーー、いいなぁ、南喬師匠。もっともっといろんな噺を見たくなる。


鼎談(小袁治師匠:司会、小里ん師匠、小燕枝師匠)
小さん師匠の教えを一番聞いている小里ん師匠が芸論を話す、という内容。
内弟子だった小里ん師匠と小燕枝師匠なんだけど、二人が内弟子をやっていた頃はちょうど師匠が遊びを覚えた頃で、あんまり家に帰って来なくなっていた、と。
でも旅のおともに付いて行くことがあり、たいていは師匠はグリーン車で弟子は普通車だったけど、時々師匠と隣り合わせの席をとってもらうことがあって、そういうとき、お互いに無口なので会話が弾まず、耐え切れずに芸のことを聞いたりすることがあったらしい。
小さん師匠は基本的には自分の弟子に稽古をつけたりはしなかったけど、聞けばいろいろ教えてくれた。
また小燕枝師匠は、他の師匠から教わった噺もよく小さん師匠に「見て下さい」と言って見てもらっていた。

あと袖で聞いていてあれこれ言われることもあった。
末廣亭は楽屋が近いから必ずなんか一言言われてあれがいやだった。
たいていは「おめぇの噺はおもしろくねぇな」だった。

…聞けば聞くほど、小さん師匠を好きになるなぁ…。
そしてこうやって弟子が師匠の思い出話を語るのを聞くのって…ほんとに楽しいなぁ。

小ゑん師匠「フィッ」
普通の会話をしていて時折さりげなく「フィッ」と入る可笑しさったら…。もうおかしくておかしくて笑いが止まらない。
「え?先輩、そのフィってなんですか?」
「フィなんて言ってねぇよ」
「気づいてねぇんだな」
という会話のおかしさよ…。

楽しかった~。大好き。


さん喬師匠「寝床」
さん喬師匠の「寝床」は何回も見ているけど、え?まえからこんなだったけ?というぐらい、旦那の義太夫が酷くて、笑った笑った。
「おぇーおぇーーー」で始まって「ぐぇぇえええええ」と激しい調子になったあとに真顔で「声が出ない」って…ぶわはははは!

最後の「寝床」までやらず、病気のおっかさんとのやりとりを若旦那が義太夫調でやるところでサゲたのも面白かったな。

 

 

羊と鋼の森

 

羊と鋼の森 (文春文庫)

羊と鋼の森 (文春文庫)

 

 ★★★★

高校生の時、偶然ピアノ調律師の板鳥と出会って以来、調律に魅せられた外村は、念願の調律師として働き始める。ひたすら音と向き合い、人と向き合う外村。個性豊かな先輩たちや双子の姉妹に囲まれながら、調律の森へと深く分け入っていく―。一人の青年が成長する姿を温かく静謐な筆致で描いた感動作。 

我が家にもいつも来てくれる調律師さんがいたことを思い出した。
きちんと背広を着て執事のような風貌で礼儀正しくていつも時間をかけて丁寧に調律をしてくれた。音を確かめるときに弾くメロディが好きだったなぁ。
調律が終わると出されたコーヒーを静かに飲んで礼儀正しく帰っていく。
宮下さんももしかしてそういう調律師さんを知っていて、そのイメージからこの作品を書かれたのかしら、なんてことを思った。

美しすぎる物語にも感じられるけど、調律の世界はそうなのかもしれない…と信じたい気持ち。よかった。

小三治一門会 調布グリーンホール

5/15(火)、調布グリーンホールで行われた「小三治一門会」に行ってきた。

・小はぜ「平林」
・福治「安兵衛狐」
~仲入り~
・三之助「替り目」
小三治「小言念仏」


小はぜさん「平林」
わーい、小はぜさん。
これってあんまりおもしろい噺じゃないし、そもそも無理がある(だって「ひらばやし」を覚えられない定吉が、「たいらばやし」「ひらりん」「いちはちじゅうのもくもく」「ひとつとやっつでとっきっき」を覚えられるわけがない!)と思うんだけど、小はぜさんがリズムに乗ってテンポよくほんとに楽しそうにさらっとされるので、見ていてとても楽しい。
特に何か入れごとをするわけじゃないのに、間がいいから、わかっていてもつい「ぷっ」と笑ってしまう。
サゲも、ぱっとしないサゲだよなーといつも思っていたんだけど、小はぜさんの「平林」はサゲでふわっと力の抜けるところがとても楽しくて、サゲで初めて笑ったかも!
小はぜさん、いいぞ~。
こんな大勢のお客さんを前に前座としてこういう高座を何回もつとめてるんだもんなぁ、小はぜさんは。力もつくよね、そりゃ。


三之助師匠「替り目」
前半があっという間に仲入りになってしまいちょっと不穏な空気になったお客さんを、まくらで笑いの渦に巻き込んだのはさすが。
落語に入ってからも、酔っ払いの歌でどっかん!ときてたからなぁ。
私の隣のおばあさまたちも大笑いしてて「上手ねぇ」って喜んでた。
順番的にあれ?と思ったけど、この順番でよかった。


小三治師匠「小言念仏」
この日、高畑監督のお別れの会に行ってきたという小三治師匠。
まだ頭の整理ができてないけど…とその話を。

そもそも自分はお弔いが嫌いでまず行かない。
その人が亡くなってさみしい、お見送りしたい、近しい人たちで思い出を語りたいという気持ちはあるけど、葬式っていうのがその人とは関係なくイベント化しているのがどうも嫌いで。だって死んだ当人は知っちゃいないでしょ、こんなことは。だから自分もやってほしくない。いつか私も死ぬかもしれないですけど、その時には葬式はしてほしくない。あ。死ぬかもしれないじゃない、絶対死ぬんだな、ははは…。

今日行った高畑監督のお別れの会はあの方の大好きだったジブリの森の美術館でありました。
そんなに大勢入れるようなホールじゃなくて…200名は入れないかな…。こじんまりとした…でも盛大な、いい会でした。

高畑監督が落語が好きで、小三治のことも好きで、そんな縁もあってジブリの森で社員だけに向けての落語会を年に一回招待されてやっていた。それとは別に私の会にも黙って来てくれて…そんなご縁があった。
でもそれよりもなによりも作品が素晴らしかった。そういって、「風の谷のナウシカ」「火垂るの墓」の話。

特に「風の谷のナウシカ」については、最初に世に出した作品というのがどれほどの熱を持っているか、その感動をあちこち話が飛びながら(小椋佳のデビュー曲のすばらしさ、この名前が出てこなくて、うりゃーーとなる師匠。でもまくらの終わり間際に急に黙ったかと思ったら「おぐらけいっ!」とジェスチャー付きで叫んだのが最高!なんてかわいいんだ!)。

一作目というのは本当に特別。
二作目以降がだめだと言ってるんじゃない。
でも、一作目の「これで世に出るぞ。じぶんはこれでやっていきたいんだ」という熱は何にもかえがたいものがあって、そのあとはどうしても一作目の上を行こうとか違うことをしようとか興行的なことやお金のことを考えるようになる。
お金のことが絡むとほんとにダメ。落語もそうだけど、みんなお金でダメになる。
もちろん誰にだって売れたいとかお金がほしいという気持ちはあるけど、それがほんとに作品や芸をダメにする。
政治家もそう。ほんとにどいつもこいつもみんなカネカネカネだよ。(とまたしばらく脱線)

この高畑さんという方はとても穏やかで優しくていつもにこにこしている柔らかい人だった。やっぱりそうでなきゃいけない。
やってやるぞとか変えてやるぞというとき、どうしても力が入ってこうかたくなる…負けねぇぞってまわりに対して身を固くする。私もそうですけど、でもほんとはそれじゃいけない。
何かを成し遂げるには柔らかくなきゃいけない。やさしくなきゃいけない。

…あちこち話が飛びながら、「あれ、おれなんでこの話してるんだっけ」「また長くなっちゃう」と言っては、「今日は私の落語は面白くないですよ」「あ、やりますよ。落語も」。
「もう毎年こんななんだからわかりそうなもんじゃねぇか」「なのにこんなに(お客さんが)来るんだから。なんで来るんですか?」「…いやありがとうございます。ほんとうに。来ていただいて」。

…ぶわはははは。もうほんとに好きだ、小三治師匠。
話があちこち飛ぶのも、いろんなことが浮かんできてそれを伝えたいと思うからで、次々いろんなことが湧き出てきて、それをどうにかして伝えようとする気持ちがとても尊くて、ずーっと聞いていたくなる。
そして、高畑監督がとても穏やかで控えめでえばらない人で、だけど音楽にもものすごく詳しくて、自分が作りたいもの変えていきたいものがあってそれをひたむきに作っていったこと、そして作られた作品がどれも素晴らしくてそれを見られたことを感謝していて…。
そのことが伝わってきてじーんとした。

落語だってそうなんです、と。
高座の上でいつも悩んでいて一生懸命みっともなくもがいていて、…でもそれを一生懸命聞きに来るお客さんがいて、お客さんも一緒になって一生懸命になって苦しみながら聞いていた李して…。なんなんだろうね、これは。でもありがたいです。ありがたい。

…その言葉を聞いた時に、ああ、ほんとにそうなんだよ、となんか胸がいっぱいになった。
私も馬鹿みたいに落語を聴きに行って、何度も同じ人を見に行けば、その人だって調子が悪い時もあって、そういうこともしょっちゅう行ってるとわかるようになっちゃって、そうなると純粋に落語を楽しんでるっていえない状態になって、そんなにまでして見に行く自分ってバカじゃねぇか?と思ったりもするんだけど、でも噺家さんがもがいている姿を見て自分の励みになってもいるわけで。
なんとなくそのことを小三治師匠に肯定されたような…そんなことはないんだろうけど…でも私はもともとネガティヴだから「この客こんなにしょっちゅう見に来やがって。バカヤロウ。」と思われてんじゃないかと思うこともあるので、小三治師匠の言葉はとても嬉しかったのだった。


そんなながーーーいまくらから「小言念仏」。
もうきっとまくらが長くなった時にこれにしようと決めていたんだろう。
小三治師匠が「小言念仏」をやると「またか」と言う人もいるけど、そして私も「この人はこればっかりだ」と文句を言うの党だけど、小三治師匠の「小言念仏」は本当に好きで何回聞いても好き。ほかの人の「小言念仏」は聞きたくないくらい好き。
そしてまくらが長い時は小三治師匠の調子がいい時でもあるので、小言念仏は大歓迎なのだ。

念仏唱えながら小言のたねを探してる様子がなんともいえずチャーミングで、小言もいちいちおかしくて笑ってしまう。
「話しかけるんじゃないよ。信心の邪魔になる」には大笑い。
赤ん坊に向かって「ばぁ」。…あのかわいらしさはずるいよなー。
楽しかったー。そして元気な師匠が見られて、生の声が、想いが聞けてほんとにうれしかった。満足。

野蛮なアリスさん

 

野蛮なアリスさん

野蛮なアリスさん

 

 ★★★★★

現代韓国最注目作家、「暴力の心臓部」を描いた傑作!

「私はアリシア、女装ホームレスとして、四つ角に立っている」
ソウル郊外の農村コモリに建設される大規模マンションを巡り、人々の欲望がどこまでも加熱する――凶暴な母と年老いた父、そして沢山の食用犬と暮らす少年アリシアの、たったひとりの戦い。

韓国日報文学賞、シン・ドンヨプ文学賞、イ・ヒョソク文学賞、大山文学賞、キム・ユジョン文学賞……数々の賞を総なめにする韓国最前線の女性作家が、強烈なイメージで描く怒りと敗北、そして無垢な祈りの物語。

 

 面白かった、と言っていいのか悩むくらい、残酷でしんどい物語。

日常的に暴力をふるう母に、飼っている犬を殺して食う父。見て見ぬふりをする悪意に満ちた隣人に、役に立たない行政。

子どもはあまりに無力で、暴力には暴力で立ち向かうしかないのか、持たない者に浮上するチャンスはないのか。

悪夢のような物語。まさに「目を開けて見る悪夢」だが、ものすごい力があって、ヘタレな私でも目をそらすことができない、ページをめくることをやめられなかった。

インパクトのある表紙と相まって、忘れられない一冊になりそうだ。

福岡から来ました。

5/14(月)、落語協会で行われた「福岡から来ました。」に行ってきた。

・はな平・さん光 トーク
・はな平「大師の杵」
・はな平「権助提灯」
・さん光「壺算」


はな平さん、さん光さん トーク
とてもゆるーい雰囲気。お客さんとも話しながら、二人が近況を語る。
師匠に付いて九州に行ってきたさん光さんが買ってきたおみやげを配ってくださって。それが権太楼師匠のお孫さんの大好物ということだったんだけど、この間会社で同じものをおみやげに持ってきた人がいたやつだったりして、なんか嬉しい。


はな平さん「大師の杵」
林家というと地噺というイメージがあるようです、とはな平さん。
でも地噺ってやるのに勇気がいるんです。
というのは、本来の噺の部分のほかにふんだんにギャグが入って、その部分も含めて教わるんですけど、このギャグの部分、教えていただいた師匠がやるとウケてるのに自分がやるとウケないことがあって。そうすると、教えてくださった師匠にも傷をつけるような気がして、なんか申し訳ない気持ちになるんです。
だからできるだけギャグの部分は自分で考えたやつを入れるようにして、二倍傷つくのを防ぐ…。そんな私です。

…わはははは!そんな話は初めて聞いた!そういうものなのか。おもしろ~い。

「弘法も筆もあやまり」ということわざがありますが、似たようなものに「名人、ネタをあやまり」というのがあります。
このネタをあやまるというのは、その日のお客さんに合ってない噺を選んでしまった、ということを言ってます。
あと「弘法、筆を選ばず」というのがありますが、これには「名人、客を選ばず」というのもあります。これは名人というのはお客を選ばない。笑わないお客さんのことも笑わせることができる、ということです。
その点私は「はな平、客を選ぶ」。笑ってくれないお客さん相手に撃沈なんていうことも少なくありません。

…ぶわはははは。この対比、面白い!
これがさっき言ってた「自分で入れたギャグ」なのかな。だとすると、はな平さんのセンス、すごい好きだわっ。

そんなまくらから「大師の杵」。
空海上人は若いころ、非常に見目麗しかった。修行のために立ち寄った川崎で宿に泊まった時、その宿の娘のおもよさんが空海に想いを寄せた。
おもよさんがそのことを父親に打ち明けると、父親は空海におもよを嫁にしてくれないかと話をする。
しかし空海は自分は修行の身の上だからと、それを断る。
断られた父親はそれをおもよに伝えることができず、夜、部屋に訪ねてくるように空海が言っていたと嘘をつく。
それはこれだけの美女が夜訪ねてくればさすがの空海も誘惑に負けるだろうと考えたからだった。

期待に胸を膨らませたおもよが夜中に空海の部屋を訪ねてみると、部屋はもぬけの殻。布団にはまだぬくもりが残り、中に杵が置いてある。
これはなにかのなぞに違いないと考えたおもよさん。
想いを杵(キレ)なのか、はたまた、俺に付いて杵(来ねぇ)なのか。
江戸っ子の方(ついてきねぇ)だと思ったおもよさんが家を飛び出すが、渡しに行ってみると空海がすでに川を渡ったことがわかる。

失恋ですよ。
失恋といえばいい歌がありますね。なんといっても西野カナ
そういって歌詞を諳んじるはな平さん。
それだけでもおかしいのに、そのあと、あみんの「待つわ」とか石川ひとみの「待ちぶせ」とか中森明菜の「難破船」とか…。挙げる歌がどれもツボなんですが。

この噺って、夜部屋を訪ねてくるようにと言うのが父親というのと、空海が言うのと2パターンあるよね。
空海が言う方だと、確かにそりゃあなたも悪いわ、気を持たせたんだから、と思うけど、今回のように間に入った父親が勝手に言ったとなると、空海に罪はないよなぁ…。気の毒だわー。

地噺ってギャグが過ぎると気が散って「もうそれ(ギャグ)いらない!」って思うけど、はな平さんのはほどがよくて噺の邪魔にならずとても楽しかった。


はな平さん「権助提灯」
まくらで「不倫」という言葉がいや。倫理に「不」ってひどいじゃないですか。そういうのばかりじゃないと思うんですけどね。
ってわかるよ、言いたいこと。なんかね…。
その点昔は「お妾さん」というのがいて、正妻もその存在を知っていて容認していたというんですから…。
なんていうまくらから「権助提灯」。

この噺って、奥さんが「あの子の家に泊まってあげたら」と言われた旦那が大喜びで「じゃそうさせてもらうか」と言った時点で家には帰れないことが決まったも同然だよなー。
そしてお妾さんに向かって「家内が泊まれと言ったから」と言ったのもまずい。「風が強くて心配だから(自主的に)来た」と言えば歓迎されたのにねぇ…。
お妾さんを認めていたと言ったって、奥さんにしてみればやっぱり面白くなかったんだよ、ぜったいに。
それを認めて心の広いところを見せることで自分を保っていたんだろうなぁ、と思うとこの奥さんが気の毒になるし、やれやれー!と思ってすっきりする。

嬉しそうに大声あげる権助がおかしい。
そして出かけるときに権助が「わしだってわしみたいのをおともに連れて行きたくない」とうそぶいたのがおかしかった~。
楽しい「権助提灯」だった。


さん光さん「壺算」
GWは師匠に付いて九州に行った、というさん光さん。
それでちょっと尾籠な話になるんですが…GW中にお尻にできものができてこれが痛いのなんの。でもGW中は病院も休みで行くことができず、ようやくあけてから皮膚科に行ったんですが、どうもバイ菌が入って膿んでるっていうんですね…。切って膿を出すしかないけど相当痛いですよ、どうしますか?って医者に聞かれて…。
どうしますか?って、なにその選択肢?切ってもらうよりほかないじゃないですか!

切る時、まずは麻酔をしますと言われたんだけど、私子どものころから注射が大嫌い。小学生の頃は注射がいやで1時間泣き続けたほど。今だって変わりません。
しかも医者が「これを打ちます」ってわざわざ注射を見せてきたんですけど、これがすごくぶっとい。
なんで見せたんですか?!

で、打たれたんですけど、これがもう…。ただでさえ座っているのも耐えられないぐらい痛いところに注射を打つんですから、痛いところに痛いですから…さすがに大人だから泣いたりはしなかったですけど、「ううっ」って思わず声が何度か漏れたんです。
そうしたら終わってから医者が「痛かったね?」とにやり。

…ひぃーーー。聞いてるだけで痛いわっ。
そんなまくらから「壺算」。
さん光さんが落語に入ったときの声が権太楼師匠にそっくりでドキっとする。タイプが同じというわけじゃないんだけど、声の出し方がとっても似てる。もしかすると権太楼師匠の全部のお弟子さんの中で一番似てるんじゃないかしら。

買い物の下手な方の男の無邪気でかわいい。
おかみさんが「あんたは性格が素直だから買い物が下手」と言う気持ちもわかる。
瀬戸物屋の番頭が一回目の説明で「ああ、そうでした!」と満面の笑みになるところがお人よしっぽくておかしい。

うーん。さん光さん、とってもチャーミング。
なんか内側から湧き出る明るさがあって、そこが好きだな。私、暗さと明るさがある噺家さんに弱いのよねぇ。
でも「壺算」だけじゃ正直物足りない。もっとたっぷり聞きたいぞ。ということは赤坂の会に行かないとだめかな。(そういって、どんどん「行かなきゃだめ」な会が増えていく~)

 

小泉放談

 

小泉放談 (宝島社文庫)

小泉放談 (宝島社文庫)

 

 ★★★★

2016年2月に50歳の節目を迎えた小泉今日子が、人生の先輩たちとともに、これからのオンナの生き方を考える対談集。
豪華ゲスト陣は、樹木希林美輪明宏、YOU、上野千鶴子江國香織いくえみ綾吉本ばなな槇村さとる小池百合子etc.
小泉今日子本人による本書描きおろしのエッセイも収録。 

キョンキョンが50歳を迎える前に50歳オーバーの女性たちに話を伺う、という対談集。

私もまさに…なので、思わず前のめりになって読んだ。
体のことは本当に個人差があるから何とも言えないけど、無理をしないこと、毎日ご機嫌で暮らすこと、自分が出来ることやりたいと思うことを積極的にやること、それが大事なんだろうな、と思う。

ここに出てくる人たちとは比べ物にならないスケールの小ささだけど、キョンキョンの「自分の身近な人たちを幸せにできないで、いい仕事なんかできない」という言葉に大きく頷く。

放談相手は好きな人ばかりじゃなかったけど、面白かった。 

師匠、御乱心!

 

師匠、御乱心! (小学館文庫)

師匠、御乱心! (小学館文庫)

 

 ★★★★★

「もう決めた、あたしゃ、伝家の宝刀を抜く!」昭和五十三年、名人・三遊亭円生が、落語協会の方針に異を唱え、一門を率いて協会を脱退するという大事件が起こった。一番驚いたのは、他ならぬ円生の弟子たちである。寝耳に水の師匠の決断。寄席への出演も差し止められ、一門の前途は真っ暗に!弟子たちに広がる疑心暗鬼。崩壊する師匠との絆、そして訪れる突然の別れ。落語界を揺るがした大騒動の一部始終を内側から描いた問題作。騒動の後日譚と、三遊亭円楽小遊三両師を招いて四十年後の本音を語った「三遊鼎談」を新たに収録。 

あくまでもこれは円丈師匠の目から見た落語協会分裂事件ではあるけれど、でも当時全て事後報告でただただ翻弄されるばかりだった円丈師匠が(名前が載らず「〇〇ら」という扱い)「いつかこのことを書いてやる」と思って書いたこの執念。そしてただの暴露本のようなものではなく、読み物としてちゃんと面白いことに感動。

何の後ろ盾もない状態で協会に復帰してから新作を作り続けて今に至るということがわかってるだけに、凄いとしか言いようがない。
正直、好きなタイプの噺家さんではないのだが、才能、執念、努力は並大抵のものではないと思った。

これを読んで一番喜んだのが先代の小さん師匠だったっていうのがまた面白い。
苦い物語ではあるけれど、面白かった。

上野広小路亭5月中席前半

5/12(土)、上野広小路亭5月中席前半に行ってきた。


・金の助「子ほめ」
・馬ん長「鈴ヶ森」
・橋蔵「犬の目」
・伸三「長短」
宮田章司 江戸売り声
・南なん「狸札」
・米福「短命」
・よし乃 太神楽
・圓遊「湯屋番」
~仲入り~
・紫「お歌合せ―桂昌院とおさめ―」
・コント青年団 コント
・圓馬「青菜」
・柏枝「蛙茶番」
・扇鶴 音曲
・歌若「井戸の茶碗


伸三さん「長短」
上野広小路亭はお年寄りのお客さんが多くて、笑い少な目、私語多め、酔っぱらってるのかシラフなのか地声で話したり演者に話しかける、となかなかキビシイ状況。
そんな中、いいなぁ、伸三さん。明るさと安定感があってようやくほっとできる感じ。
「長短」…難しい噺だよなぁ。とってもチャーミングだけど、長さんののんびりさがちょっと不自然な感じがしたのが残念。


南なん師匠「狸札」
わーーい、南なん師匠。
あんまり笑わないお客さんがいつものまくらにドッカン!とウケる。うれしい…。
狐狸が化けるまくらからの「狸札」。
南なん師匠の口調と狸のセリフがぴったりあってほんとにかわいい~。
「恩返ししないで帰るとおとっつぁんに怒られちゃうんですよ」「おとっつぁんもほめてました。いまどき人間にしては珍しく義侠心に富んだ人だって」「大学出てるんです…短大」。

楽しかった…。そして笑わない、私語の多いお客さんのことを、南なん師匠の高座の間は忘れていられた。さすがや。


圓遊師匠「湯屋番」
途中から来たお客さんが前の方に座っておしゃべりしたり落語聞かないで噺家年鑑を見たり熟睡したりするのが気になってしょうがない圓遊師匠。
直接注意したり、いじったりしている間に、どんどん時間が長くなり…後半はちょっと大慌て。
面白くなってきた~というところで、茶々が入ると、聞いてる方も集中力が途切れちゃうんだよな…。ちょっと残念。


圓馬師匠「青菜」
わーーい、圓馬師匠の「青菜」は初めて!うれしい。
上方版?旦那がわりとラフな感じ。でもそこはかとなく上品。
そして植木屋さんがすぐに「お台所に(自分が)取りに行ってきます」と言うのが、礼儀正しくて微笑ましい。
帰ってからのおかみさんとのやりとりも楽しいなぁ。
押入れから飛び出してくるおかみさんが汗だくな姿が見えて、大笑い。

楽しかった~。


柏枝師匠「蛙茶番」
はんちゃんがすごく大きな声できびきびした動きなのが、たまらなくおかしい。
話し始めて、柏枝師匠の「蛙茶番」だったらもう面白いに決まってるでしょう!と思った通り、すごくばかばかしくて楽しい。

着物をまくって見せる時の動作のきびきびしてること!笑った笑った。


扇鶴先生 音曲
いつものように小さな声で最初の都々逸をうたったところで前にいるお客さんから「聞こえないぞー」「声が小さい!」とヤジが。
「…出ないんです」と答えながらも、その後一生懸命大きな声を出していた…(涙)。
「朝から何も食べてないんで」と言うと「じゃ食べなよ」って…おっさんよ…。
浅草演芸ホールより安いって喜んでたけど、やいやい言いたいのなら寄席じゃなく飲み屋に行ってほしいよ、ほんと。

末廣亭5月中席夜の部「5代目柳家小さん 17回忌 追善興行」

5/11(金)、末廣亭5月中席夜の部「5代目柳家小さん 17回忌 追善興行」に行ってきた。
13回忌の興行は行っていてとても楽しかったので、初日、午後休をとって行ってきた。
前の時、整理券を配っていたので、今回もあるかなと思って15:20頃行ってみるとかゑるさんが立っていて整理券を配っていて、もらってみると30番代後半。こんなことならお昼を食べる前に来ればよかった…。
でもずっと並んでいなくて済むのはありがたい。

 

・口上(小袁治、小団治)
・さん福「豆や」
・三寿「強情灸」
・にゃん子・金魚 漫才
花緑蜘蛛駕籠
・南喬「壺算」
・さん八 物まね(田中角栄など)
・小さん「のめる」
馬風 いつもの
小満ん「猫の災難」
~仲入り~
・鼎談(小三治馬風
・小袁治「初天神
・小猫 動物物まね
小三治ちはやふる


三寿師匠「強情灸」
この師匠、前の小さんまつりの時に見て、その時は歌を流しながら登場したのですごくびっくりして、変わった噺家さんだなぁと思っていたんだけど、前に見た時より若々しくなっているような?三寿師匠って寿伴さんの師匠だっけ?お弟子さんが入って若々しくなった?
そして江戸っ子の朝湯のまくらからの「強情灸」という、もう寄席で何回見たかわからない流れだったんだけど、これがとても面白かった。特別フツウと違っているわけじゃないんだけど、なんだろう。テンポがよくて間がよくてとても気持ちいい。
わーーびっくり。なんか他の噺も見てみたい!


南喬師匠「壺算」
テッパン。こんなに聴きなれた噺がいつもこんなに面白いってすごい!
満員の客席が一番盛り上がって、私が鼻の穴膨らませて誇るところじゃないんだけど、なんかとってもうれしい。
「この3円にはなんの疑いもないんです」。ほんとに憎めない番頭さん。


小満ん師匠「猫の災難」
一人で飲んで気持ちよくなって都々逸を歌うくまさんの楽しそうなこと。小満ん師匠らしく、ちょっと変わった都々逸なのが素敵。
そしてお酒がおいしそうで思わずごくり…。
いいなぁ、小満ん師匠の「猫の災難」。大好きだ。


鼎談(小三治師匠、馬風師匠)
馬風師匠が露悪的な話をして、小三治師匠がちょっと考えるような顔をして…ちょっと怖い顔になったかと思うとしばらくしてぷっと吹きだすのがなんかすごく面白い。
内弟子馬風師匠は、小さん師匠の旅にもよく付いて行っていてそれが羨ましかったという小三治師匠。
一方馬風師匠の方は、今の小さん師匠が小学生の時におねしょしないように夜中にトイレに連れて行ったり、芸者に送られてきた小さん師匠を鬼の形相のおかみさんが階段を転げるように降りてきて激しい夫婦喧嘩があったり、前座時代から生意気だった小三治師匠をいたぶってやれとご飯を鬼のように食べさせて小三治師匠が1週間休んでそのわけを小さん師匠に話したもんだから後から師匠にこっぴどく怒られたり…。
絶対気が合わない二人だけど、小三治師匠が話の合間に「…おもしろいねぇーー」と笑うのがすごく楽しくて、思った以上に楽しい対談だったなぁ。

 

小三治師匠「ちはやふる
今も師匠に言われた言葉は呪いのように自分にとりついている、と小三治師匠。
私の「粗忽長屋」は若い頃ずいぶんウケてたんです。ある時寄席で師匠と一緒になった時にこの「粗忽長屋」をやってどかんどかんとウケて楽屋に戻った。師匠に呼ばれたので、褒められるのかなと思って行ってみると、師匠が「さっきのはなんだ。ウケすぎた」って言うんです。ウケすぎって小言をくらうとは思ってなかったので、ええ?と思いましたよ。
お前はウケようウケようとしてやってる。落語っていうのはお話なんだ。そのお話の中で登場人物が自由に動き出す。そうしたらそんなにどかんどかんウケるわけないんだ。
そう言われました。

そして落語っていうのは、よく言う小噺「隣の空き地に塀ができたってよ」「へー」っていうのでも、この光景が見えてこないといけない。そのためには間とかちょっとした首の動きとかそういうので距離が見えたり、光景が浮かんでくるから、面白い。
私が一番好きな小噺。
無精者が大勢集まって話をしている。その中の一人が「これだけ無精者が集まってるんだから無精者の会を作ろうじゃねぇか」っていうとそれを聞いた一人が「…よそうよ。…めんどくせぇ」。
これなんかもこの言いだすタイミングとか、言葉と言葉の間の「間」で、なんともいえないバカバカしさが生まれてくる。

…ぶわはははは。確かにこの小噺で大爆笑してしまった。間、なんだなぁ。やっぱり小三治師匠はこの間が絶妙なんだなぁ。くー。

そんなまくらから「ちはやふる」。
在原業平」の名前が出なくて、「あ、ああ、いたな。いい男」という答え方。
業平の歌といわれて「ああ、あるな。うたったな」。
竜田川、なんだと思う?」と聞いた後の先生のいらっとした感じ。
この二人が見えてくるんだよなぁ…。
「いいだろう、豆腐屋になったって」。

もう何度も聴いている小三治師匠の「ちはやふる」だけど、もうなんともいえず楽しくて幸せ。
有休とって行った甲斐があったなー。満足。

なみのひとなみのいとなみ

 

なみのひとなみのいとなみ (幻冬舎文庫)
 

★★★

好きなことだけして生きていきたい。それなのに、営業に行けば相手にされず、ジョギングすれば小学生に抜かれ、もらった車は交差点で立ち往生…。この不本意な毎日は、いったい誰の陰謀であろうか。後ろ向きだけど楽天的。なまけ者なのに心配性。空回りの日々も、がんばらない自分も、なぜか愛おしく思えてくる!日常爆笑エッセイ。

 サラリーマンをしていた時のエッセイが面白い。
会社というのが、その仕事自体が好きではないけどやたらとがむしゃらに頑張る人で成り立っていることに驚く作者に共感。そういう献身に支えられてるんだよなぁ、会社って。

好きなことじゃないから頑張れない、常に腰が引けてる状態の自分がどうにも嫌になってそこから飛び出した勇気、素晴らしいと思う。
でも全体的に今の私の気分にはミスマッチだったかな。読み飛ばした部分も。

 

庭

 

 ★★★★★

それぞれに無限の輝きを放つ、15の小さな場所。待望の短篇集。ふきのとう。ヒヒ。彼岸花。どじょう。葦。鶴。おたまじゃくし。ままならない日々を生きる人間のすぐそばで、虫や草花や動物たちが織り成す、息をのむような不可思議な世界。暮らしの中にある不条理と喜びを鮮やかに捉え、風景が静かに決定的に姿を変える瞬間を克明に描き出す、15篇の物語。芥川賞受賞後初著書となる作品集。 

マンションの上の階に住んでいると、土があって池があって川があって虫がいて…という暮らしを忘れてしまう。
拾ってきたどんぐりを茹でで乾かして清潔な状態にしてから保存するように、消毒された暮らしに慣れていると、家の中に虫が入ってきたり、自分が「生き物」であることを急に思い出させられたりすると、激しく動揺してしまう。

ここに収められた短編はみな、自分のそこらへんの「弱い」部分を刺激されるようで、読んでいてぞわぞわ…。
でも決してそれが不快ではなく、何度も繰り返し読み返したい感じ。

面白かった。

末廣亭5月上席夜の部「桂夏丸・神田蘭 真打昇進披露興行」

5/9(水)、末廣亭5月上席夜の部「桂夏丸神田蘭 真打昇進披露興行」に行ってきた。

・今丸 紙切り
・歌春 いつもの
小遊三「野ざらし
~仲入り~
・真打昇進披露口上(歌春、紅、蘭、夏丸、幸丸、小遊三
・蘭「信長と吉乃」
・紅「お富与三郎」出会い~仕置き」
・幸丸「昭和30年代」
ボンボンブラザーズ 曲芸
・夏丸「馬の田楽」

小遊三師匠「野ざらし
先生がはっつぁんに女のことを聞かれて、向島での出来事を話さずにいきなり女が幽霊だと言ったので、おや?時間が押してて短縮版?とびっくり。
そうしたら口上の時に「自分でもびっくりするような間違え方をした」と言っていて、大笑い。
そうかーほんとにすぽっと抜けちゃったんだ!
でもそれを正直に言う小遊三師匠、好きだなー。
大好きな噺なので、ちょっと残念だったけど。

 

真打昇進披露口上(歌春師匠:司会、紅先生、蘭先生、夏丸師匠、幸丸師匠、小遊三師匠)
とてもゆるーい口上。
でも自分がただウケたいだけの口上じゃなくて、ちゃんと新真打二人が主役の口上だから、私は好き。
なによりも紅先生、幸丸師匠の口上がたっぷりなのが嬉しかった。


幸丸師匠「昭和30年代」
幸丸師匠、このお披露目で好きになってしまった。
あの独特の「…いやだね…」っていう口調、癖になるー。
微妙に毎日違う内容なのも嬉しい。


夏丸師匠「馬の田楽」
落語に入ってびっくり。「馬の田楽」!
夏丸師匠ってあんまり人がやらない噺とか、ちょっと癖のある噺をされるイメージがあったので、すごく意外だった。まぁ「馬の田楽」もそんなにみんながやる噺ではないけど。

ゆったりのんびりした田舎の光景が広がる…というより、なんか飄々としていてファンキーでちょっと不思議な世界。
酔っ払ってるたじゅうどんは正直そんなに酔っ払ってるように見えなかったけど、耳の遠いおばあさんがいい味だしてた。
疲れが出るころだと思うけど、次は浅草。がんばれ~。